溺愛ゆえの調教─快楽責めの日常─

麟里(すずひ改め)

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一話

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 「店員さん、彼女いないの?」

 若い女性客二人が注文をとるついでにそう聞いてきた。
 またかと呆れながら俺は溜息をついた。

 「いません」

 素っ気なく答えると、彼女らは驚いた顔をしてくすくすと笑った。

 「嘘、ですよね?そんなにかっこいいのにいないわけないじゃないですか~」

 「いや、本当ですけど」

 「え、まじ?じゃあ私とかどうですか?」

 調子に乗って立候補し始める彼女たちに笑顔を向け、俺はその場を離れた。

 「フラれた~」

 などとほざく彼女達はなんとも惨めだった。
 俺はあの手の質問が一番嫌いだ。
 むしろそれ以前の問題で、俺は恋愛に興味がない。
 俺は幼い頃に両親を失い、現在一人暮らしだ。
 昼も夜もバイトで、遊ぶ暇なんてない。
 まぁ正直女性に興味がないし、かと言って男性が好きという訳でも無い。
 性欲も人に比べてない方だし、恋愛なんてどうでもいいかなと思っている。
 呆れながら厨房に戻ると、店長がニヤニヤしながらこっちを見ていた。

 「お前また逆ナンされてただろ。モテるな~」

 えいえいと腕でつつかれ絡まれるが、俺には嫌味のようにしか聞こえない。
 
 「店長やめてください……俺ああいうの嫌いなんです」 

 「え、そうなの?普通は喜ぶとこだぞ」

 「それは分かってますけど……俺は嫌いです」

 「悪ぃ悪ぃ、あんま気ぃ悪くするなって。それより辻原。今日はもう上がっていいぞ」

 「え、なんでですか」

 「バカ、時計見ろ時計」

 指摘され、ちらりと時計を見てみるともう定時になっていた。
 頑張りすぎていると時間を忘れてしまうタイプなので、全く気付かなかった。

 「あ、本当だ……すいません。じゃあ今日は失礼します」

 「おう、お疲れ様~」

 店長にお辞儀をし、俺は更衣室に入った。
 ふぅ……と息をついてから仕事着を脱ぎ綺麗に畳んでタンスに仕舞う。
 鞄に必要なものをまとめて、そさくさと社員玄関を出た。
 自宅はバイト先の居酒屋近くのマンションの一室。
 自転車で来るのは面倒だから、歩きで通っているのだ。
 俺は歩きだそうと体の向きを変えた。
 途端、背後から誰かに口を布で塞がれ羽交い締めにされた。

 「───っ!」

 突然の出来事で、頭が追いつかず何も出来ない。
 押し当てられた布からは、ほのかな甘い香りがして、意識がゆっくりと遠のいていく。
 されるがままになり素早く車に押し込まれてゆく。
 せめてもの抵抗で足をバタつかせるが力が入らないせいで意味をなさなかった。

 ──俺の意識はそこで途切れた。
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