処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

英雄、帰還す

ギルデンスター・マグナスは処刑場の上空から、不敵に笑った。

「感情に縋る愚かな戦士たちよ……。この“無言の軍勢”の前では、足掻きすら無様だな！」

命令を下すたび、ネクサス兵たちが完璧な陣形でシリルたちを追い詰めていく。
レオが盾を構えて耐え、ソフィアの矢が敵を牽制するも、圧倒的な機械の統制には抗えなかった。

「……終わりだ。もはやお前たちに未来はない！」

ギルデンスターが勝ち誇った、その瞬間――

轟音。
空気を裂く斬撃が、一閃。

「……なっ──」

ギルデンスターの首が、刹那のうちに断ち切られていた。
彼は自分が死んだことすら理解できず、呆然と崩れ落ちる。

そこに立っていたのは、黒き外套をまとった一人の男――
勇者、レオン・アルヴァレス。

「……口だけの亡者が」

低く呟きながら、レオンは振り返ることもなく、次なる敵へと足を進める。
怒涛の動きでネクサス兵の隊列に突入する。
神経接続装甲で強化された兵士たちすら、その圧倒的な速度に反応できない。

レオンの剣が一閃するたび、
無言の軍勢はまるで紙細工のように斬り裂かれ、倒れていった。

シリルたちが見守る中、
圧倒的な“本物”の力が、無慈悲に、冷酷に、敵をなぎ倒していく。

無言だったはずのネクサス兵たちに、微かに、恐怖の感情が芽生え始める。
だが、もはや遅い。

レオンはその一振りで、神経を焼き切り、心を断ち、
“死を恐れぬ兵”たちを、“死”で迎え撃った。

――この男は、かつて『勇者』と呼ばれた存在。
その輝きを、誰もが、思い出す。

シリルは、思わず声を漏らした。

「……これが、本物の、勇者……！」