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十二章 誰が為に生きる
しおりを挟む親愛なるミトへ──元気ですか。ラブールを離れ一週間。私は今日フィリアに帰って来ました。相変わらずこの国は自然豊かな美しい国です。そういえば途中寄り道をした街で大道芸を見たよ。今度はちゃんとお金もいれました。僅か一年前の事なのにあの旅が遥か昔の様に感じています。不思議なものだね。春になったらフィリアにおいで。この国の春を君にも見せてあげたい。恋する鳥たちの歌声に、風に踊る青葉の伴奏。空を泳ぐ白雲の鮮やかさ。夜には川面で遊ぶ月光虫が寂しい夜を優しく包んでくれるんだ。君はきっと喜んでくれると思う。私も必ず会いに行くよ。それではまた。──アルベルト・フィリア
「これでよし」
アルベルトは満足気に呟いて、今し方書き終えた手紙に再度視線を落とした。暫く筆を取っていなかったから字は歪んでしまったけれど、それもまた味があるのかもしれない。そう自分に言い聞かせ、ミトへの手紙を封に入れると、アルベルトはもう一枚便箋を取り出した。ふとフェイの最後の微笑を思い出す。
フェイは元気だろうか。短気で乱暴で子供のようで、それでも、とても優しい男だった。一人でも生きて行ける、強い男だった。憧れ、そしてその心に近付きたいと思った。フェイは知っていたのだろうか。自身がこうしてフィリアに帰り着く日を。だからこそ拒絶し突き放し、弱いこの心が未練なく進めるようにしてくれたのだろうか。そう思うと、やはり若くしてラブールの元締めなだけあって、凄い男だった。誰にも頼らず、誰にも縋らず、たった一人守る為に、導く為に進む。まるで、アルベルトの目指した王の姿だ。フェイが王ならいい国が出来るだろう。だが王族嫌いのあの男が王になるわけが無いのが残念だ。
アルベルトがそんな事を考えていると、扉を叩く音が響いた。
「アル様」
扉を開けて入って来たシンは、アルベルトの手元を見て優しく微笑んだ。
「ラブールの人々への手紙ですか?」
「うん、ミトとフェイに。シンに紹介すれば良かったな」
ミトもきっとシンに懐いてくれるはず。フェイとシンはどうだろうか。だがシンならきっとあの男を上手く扱えそうだ。その姿を想像すると面白くて、アルベルトは思わず笑った。
「何か可笑しいですか?」
「いや、何でもないよ」
「……そうですか。ではそろそろフィリアの民に帰還を知らせに参りましょう。私は先に庭で待っていますから、ごゆっくりなさって下さい」
そう言って部屋を出て行く背中に滲む今までとは違う雰囲気に、アルベルトは思わず息を呑んだ。
シンは何故自分が醜い姿と嘘を付いたのだろうか。間違いと知らずに、前王である自身の墓を立てたからなのだろうか。アルベルトのいない間に命を落としたアンナ、この国では有り得ない、死刑囚となったレッド、そしてアルベルトの知らないシン。愛した国に見える微かな違和感、アルベルトはそれを知る事が怖かった。それでも知らなくてはならない。自身はこの国の王だったのだから。そしてきっとこの歪みを呼んだのは、紛れもなく自分なのだから。アルベルトは恐ろしい予感から逃がれる様に再び筆を走らせる。
フェイへ──しかし、それ以上書く事が出来なかった。この不安をぶつけてしまいそうで、フェイの優しさに甘えてしまいそうで、二度と戻るなと言われたのに、会いたいと願ってしまいそうになるから。アルベルトはいつでも孤独に怯える。そんな自分の情けなさに、再び筆を走らせる。変わりはないか──その一言だけを書いて、アルベルトは封を閉じた。
二通の手紙を手に、アルベルトは庭へと足を進めた。秋のまだ暖かい日差しの下で佇む城。アルベルトの好きだった愛らしい姿もそのままだ。
「シン、待たせたな」
馬作を撫でていた背中に声を掛けると、シンもまた控え目な微笑で迎えた。
並んで歩む農道、黄金色に染まる稲穂の揺らめきに、思わず涙で視界が歪む。本当に帰って来たのだ。そう思うと、先程まで胸を満たしていた不安など嘘のようだった。
「アル様……アル様ですか!?」
稲穂から顔を出した女が、まるで夢でも見ているかの様な顔でアルベルトの名を呼ぶ。
「ただいま、ナンシーさん!」
アルベルトは思わず駆け寄ってふくよかな女を力一杯に抱き締める。
「こんな、夢のような事が!」
声を震わせるナンシーからは、土の匂いと、秋の太陽の香りがした。アルベルトの愛したフィリアの民の優しい香り、愛する故郷、ここが自身の居場所だと、その時に改めてアルベルトは帰還の悦びを噛み締めた。
その後国中の人々が二度と叶う事はないと思っていたアルベルトの帰還に涙した。空白の時間を埋めるように語り合い、アルベルトも泣きながら笑った。それでも揃ってアンナとレッドの事、そして新しい王については何故か硬く口を閉ざしていた。アルベルトもまたブラックタグに一時堕ちた事、そして見て来た悲しい戦の事は、言わずにおいた。知らない方がいいと、互いにそう思っていたのだろう。
だが一度崩れ出した物は止まらない。桃源郷のような国に生まれたアルベルトも、この国の民も、それを知る術が無かった。
その日の夜、アルベルトが長い風呂から上がり部屋へと戻ると、窓辺にエルバントが佇んでいた。
「エル……」
顔を合わせるのはあの冬の夜以来だ。会えた喜びの影で、不安が過る。その不安を煽るように、エルバントは小さく鼻で笑った。
「よく戻って来れたね」
不安の的中を知り、アルベルトの胸に哀しみの波紋が拡がって行く。愛する弟にどれ程会いたかったか、どれ程に心配した事か。
「私は、何かしたか?何かしたならあやま──」
「そう言う所、嫌いだったんだよ。兄様はいつだって人の事ばかり考えているフリをして、その清廉な聖者面を振りかざし、僕の欲しい物を全部奪っていったんだよ」
アルベルトは思わず耳を疑った。エルバントの欲しい物を奪った──そんな筈はない。幼い頃より楽しみにしていたお菓子だって、好きだった本だって、エルバントがほしがれば快く譲って来た。早くに二親を亡くした寂しさを感じない様に、自身は兄として精一杯やって来た筈だ。唯一、譲れないと思ったものは──。
「……シンか?」
そういう事なのだろうか。だがエルバントはもう、シンと想いを通わせているのではないのか。あの日、確かにアルベルトは見たのだ。愛を囁き合う二人を、そして、長い口付けを。
「教えてくれ、エル!私は誰よりもお前の事を──」
「だったら何で戻って来た!」
そう言って、エルバントは走り去って行った。
アルベルトは叫ぶよう、胸の内で問うた。どうか誰か教えてくれ。心より愛する、わがままで、甘えん坊で、優しく素直だった弟が、どうしてこんなにも歪んでしまったのだ。どうして、あんなにも辛そうな顔をするのだ。エルバントの気持ちが分からない。歪んでしまう程に、自身は人を愛した事がないから。シンの事は確かにずっと想い続けていた。だがシンがエルバントを愛しているのなら、燻るこの想いを胸の奥に押し込める事が出来る。それ程にエルバントも大切だからである。辛くないと言えば嘘になるけれど、二人が幸せならばそれでいい。そう思えるようになったのはきっと、沢山の人に支えられたからである。そして何より、フェイに会えたからだ。あの男のお陰で少しだけ強くなれた。フェイは教えてくれるだろうか。どうしたらエルバントを救う事が出来るのか。どうしたら、あの笑顔を取り戻してくれるのか。
そこまで思い及ぶと、アルベルトは首を横に振った。きっと、自分で考えろと言われる事だろう。もうここに自身を叱り、導いてくれる人はいない。これより先は一人で進まなければならないのだ。後悔はない。だが一人で生きる事は少しだけ不安で、そして、とても寂しいものだと感じた。やはりフェイの強さが欲しいと感じた。孤独の中でもブレずに生き抜ける、あの男の強さが。
次の日、朝日と共に目覚めアルベルトは城を抜け出した。通い慣れた農道を歩き畑へと向かう。国中の人々が笑顔で手を振ってくれる。それに応えながらも、アルベルトの足は迷う事なく国はずれへと向かっていた。国はずれの一軒の家。レッド・フリートとその娘が二人きりで住んでいた小さな家。今や主を失くしたその家は、不気味な程に静まり返っていた。
あの日救った筈のアンナは一体どうして死んでしまったのだろう。レッドは何故、死をもって罪を償わなければならなかったのだろう。一体どんな罪を犯したのだろう──。
アルベルトは深い思念のそのままに国境の山へと足を進めた。ここを一歩でも出たら、外の世界は地獄であった。知らない事ばかりで、悲しみも怒りも憎しみも、深い絶望も知った。だがそれでもまだ、知らない事が多すぎる。その全てを知ったとしたら、心を保てるのだろうか。アルベルトには自信が持てなかった。
アルベルトが憂いていたその時、突然悲鳴じみた声が響き渡った。
「アル様、そこを離れて!」
驚きに慌てて振り向くと、走り寄ったナンシーが強くアルベルトの手を引き、国境から離れようと走り出した。
「ナンシーさん、ちょっと、どうしたんですか!?」
アルベルトが必死に声をかけると、ナンシーは少し離れた場所で漸く足を止めた。
「アル様、国から出てはダメ!」
その瞳に浮かぶ怯えにも似た不安。一体、この国に何が起きたのか。
「教えて下さい。私のいない間に、この国に何があったのですか?」
何も知らなかった筈のフィリアの民。悲しみに歪むその顔は、アルベルトが見て来た外の世界の人々と、同じ顔であった。
「言えません……けれどどうか、私の言う通りに。国から、出てはダメ」
泣き崩れる女を前にして、アルベルトはそれ以上聞く事が出来なかった。
ナンシーを送り届け、アルベルトはとぼとぼと農道を歩む。農作業をする人々の顔にはやはり変わらぬ笑顔があった。泣き崩れる女の顔だけが、胸を締め付けるように脳裏で蘇るばかり。
昼食時に漸く城へと戻り、嘗てのように皆で昼食を食べる。誰一人変わった様子はない。勘違いな訳がないのだけれどと、アルベルトは首を捻った。ナンシーは確かに何かを隠し、深い悲しみに呑まれている。
考え込んでいたら思わず手が止まっていた事に気付き、アルベルトは何食わぬ顔で慌てて食事を掻き込んだ。
「……アル様?」
ふと呼び掛けられ何かと顔を上げると、食卓を囲む人々の瞳は驚きに満ちていた。
「お腹が、空いていたのですかな?」
そう言って笑うマルフにつられ、皆揃って愛想笑いをする。ふとテーブルに視線を落すと、散らかったパン屑が飛び込んだ。其処でアルベルトはまるでラブールの奴隷のように、無我夢中で食事をしていた事に漸く気付く。習慣とは恐ろしい物だ。
「エ、エル様も嬉しいでしょう。兄上がご帰還なされて」
アルベルトに気を使ってか、マルフがそんな事を叫んだ。エルバントは喜んでなどいない。アルベルトが胸の内でそう呟いた時、予想に反して浮かべられたエルバントの満面の笑みを見て、胸が締め付けられるように痛んだ。
「うん、凄く嬉しい!」
アルベルトはそれが、嘘だと感じてしまった。人を信じる心を忘れてしまったのだろうか。それが、堪らなく辛かった。
エルバントは皆の前では前と変わらず仲の良い兄弟を演じた。アルベルトも皆に、そして何よりシンに心配を掛けたくなくて同じように演じた。その度に心が張り裂けそうで、まるで罰を受けているかのように感じた。シンはエルバントと常に共にいるから、アルベルトとは食事時にしか顔を合わせない。寂しいがアルベルト自身、その方が無駄にエルバントの不興を買わずにいられて安心していた。
そんな生活が一ヶ月過ぎたが、相変わらず何も変わりはしなかった。アルベルトは変わらずにフィリアを愛している。皆の事も同様に。それでも人々とアルベルトの間には、二年とは思えない程に深い溝が出来たように思えた。帰還を願っていたものは、己だけだったのだろうか。そんな疑念を抱く程に。
アルベルトは何時の日かを偲ぶように夜の川辺に腰を下ろし、川面を踊る月光虫の光に手を潜らせる。一瞬の瞬きが、まるで儚い命の炎のようだった。ふとジャックの顔が脳裏に浮かぶ。今ならば分かる。何も知らないアルベルトには救う事が出来ないと言った、ジャックの気持ちが。フィリアに帰り着いたとしてももう、あの頃には戻れない。そう思うと胸を圧すよう込み上げた切なさに、涙が頬を伝った。寂しい。一人で生きる道は、こんなにも寂しく暗い道なのか。何の道しるべもない。何の光もない。
「フェイ──」
思わず口から零れた名前に、アルベルトは自分でも酷く驚いた。
「……アル様?」
突然背後から掛けられた声に振り向くと、心配そうに見詰めるシンが佇んでいた。
「シン……!どうしたんだこんな夜更けに」
アルベルトは慌てて涙を拭い、無理矢理な笑顔を作る。泣いてた事を気付かれただろうか、その不安だけがアルベルトの胸を満たす。シンは静かにその隣に腰を下ろした。
「私は、間違ったのでしょうか。貴方はこの国に帰って来てからいつも辛そうな顔をされている」
「そんな事──」
ふとアルベルトは思い出し、言いかけた言葉を呑んだ。
「シン、何故ラブールに私がいると?」
帰還の喜びで忘れていたが、どうして死んだ筈のアルベルトを見付け出す事が出来たのか。
「貴方が倒れたと、手紙が届いたのですよ。譫言でフィリアと何度も呟いていると。だから、私は貴方がこの国に帰りたいのかと……それは、間違いでしたか?」
「そんな事ある訳ないだろう。私は何時でも、この国を想っていた。だが何故目隠しなどして、私を買ったりしたのだ」
そんな回りくどい事をする必要は何処にもない。盗み見たシンの横顔は相変わらず美しく、だがあまりにも、苦悶が満ちていた。
「私は、罪を犯したのです。その罪に溺れ醜く歪んだ心を、貴方には見せたくなかった。だから賭けを持ち掛けたのです。もしも貴方が私に気付けば連れて帰る。そう言う賭けを」
罪を犯した──体シンは何をそれ程に悔いているのだろうか。その疑問は直ぐに浮上したが、あまりにも悲痛な表情に、アルベルトはそれ以上何も言う事が出来なかった。
この国ではない所で生まれたシン。戦によって愛する故郷を失った男。国を出るまではその心が遠くに感じていた。だが今のアルベルトはきっと、シンと同じ顔をしているのだろう。アルベルト自身、それを痛い程に思い知っていた。
「私は、国を出て沢山の事を知った。戦や奴隷、この世界の地獄。今ならばシンの悲しみも、分かる気がする」
その悲しみから救う事が出来るのかもしれない。それでももう、アルベルトはシンを想い続ける事は出来ない。エルバントをこれ以上苦しめたくはない。
「……そうですか。アル様に私の国の王の話しをした事はなかったですね」
そう言ってシンは、暗い夜の空を見上げた。
「私の故郷はリーハと言う国です。西を支配していた大国でした。滅びた時の王は、僅か十三歳。それでも私はその方を尊敬していました。たった一人全てを背負い、小さな身体で必死で民を守ろうと進む。あまりにも寂しく、哀しい、孤高の強さを持った王でした」
そう呟くシンの横顔はやはり悲しみに満ちており、大切な人を守れなかった辛さ、それとは別の、何処か切ない物のように思えた。アルベルトは想いを馳せる。滅び行く国を、その人はどのような思いで見たのだろうか。例えば生きているならば、どれだけ傷付き生きるのだろう。同じ一つの国の王であったアルベルトには、その苦しみが痛い程に分かる気がした。
話を終え、不意にアルベルトに視線を向けたシンは、少しだけ微笑んで問い掛ける。
「人買いのフェイとは、どのような男でしたか?」
「……孤独を生きる、強い人だったよ。ああ言う男になりたいと、私は心底憧れた。だがフェイは、心の底から王族を憎んでいてね。だから最後まで、私に心を開いてはくれなかった」
王でなくてもそれは変わらなかったのかもしれない。それでも何となく、アルベルトは自身が王族だからだと思いたかった。
「孤独を生きる人は誰よりも強く、そして、なによりも脆いものです」
そう言ったシンは、何故か悲しげに瞳を伏せた。その心を案じながら、アルベルトは思考を巡らせた。
シンとフェイ。同じ黒い瞳を持つ二人。共に十三歳の王を主君としていたと言うし、顔を合わせた事はなくともきっと同じ国にいたのだろう。そしてシンの尊敬する王を、フェイは憎んでいる。その違いは何なのか。国が滅びる様を見て来たアルベルトには、そんな悲しい事を口に出しては聞けなかった。
「帰りましょうか」
そう言ってシンは立ち上がり、城への道を歩き始める。もうアルベルトに、その手を差し出してくれる事はなかった。
季節は移り変わりフィリアにも冬が訪れ、アルベルトの元にミトから手紙が届いた。慌てて封を切り開くと、ミミズの這ったような字は、辛うじて『わんこへ』と読み取れる。その後は誰かに書いてもらったのだろう。見惚れる程に綺麗な字が並んでいて、そのあまりの差に思わずアルベルトは笑ってしまった。奴隷だったミトはまだ字を書けないのだろう。色々な事を教えてくれたお返しに字ぐらいなら教えてあげればよかった。助けてもらうばかりですまなかった。そんな事を思いながら、アルベルトは手紙に目を通して行った。
わんこへ──俺も皆も元気だよ。今年は一足早くこっちの方は冬が来て、皆大慌てで冬支度を始めたよ。わんこの国は雪が降るんでしょう?ラブールは寒いのにあんまり積もらないからわんこの国に行ったら雪だるまが作りたいな。そうだ、久しぶりに帰った国でいじめられてない?もしわんこをいじめる奴がいたら俺が殴りに行くからちゃんと言えよ。近いうち会いに行くからね。それまで元気でな──ミト
最後の一文まで読み終えたアルベルトの瞳からは、熱い涙が溢れた。息が出来ぬ程に胸が苦しくて、自分がどうしたいのか、まるで分からなくなってしまった。ミトの名前の下に綺麗な字で小さく書かれた、笑っているか、と言う短い言葉。それは間違いなく、フェイの想いだった。
どうしてこんなにもフェイに会いたいと願ってしまうのだろう。誰もが気を使うこの国に萎縮し、怒りを真っ直ぐにぶつけてくれるフェイを求めてしまったのだろうか。漸くこの国に帰って来た。それをずっと、自分は望んでいた筈だ。フェイに会いたいなど罰当たりだ。自身の帰還に涙してくれた人々にも、自らの痛みを隠し迎えに来てくれたシンにも、そんな事を思うなんて申し訳がない。それに何よりフェイは、アルベルトをこの国に帰した。それが、答えだ。そう言い聞かせてみたものの、アルベルトの心はやはりまだ弱過ぎて、この寂しさに耐える事が出来なかった。
強い憧れが別の感情へ変わった今、アルベルトとフェイの距離は出逢った時よりも遠く、そしてアルベルトを取り巻く環境もまた、想う事すら躊躇してしまう物に変わっていた。シンを、エルバントを、そしてフェイすらも、アルベルトは選ぶ事の許されない道を一人歩いていた事に気付く。これも全て自ら選んだ道なのだろうか。こんな思いをする為に、この二年間、辛い道程を歩んで来たのだろうか。アルベルト自身、もう分からなかった。
何故いつもこんなに上手くいかない。いつになれば──其処まで行き着くと、アルベルトは考える事をやめた。自分を責める事も、運命を呪う事も全て無駄なのだ。戻れないならば進むしかない。進まなければならない。フィリアで生きる為に、この国に微かに滲む歪みと向き合い穢れた自分を曝さなければならない。それがどう言う結果を生むかは分からない。それでもこの国を守る為に、お互い歩みよらなければならない。そして、知らなければならない事がある筈だ。
だから今日だけは、フェイを想い流す涙を、どうか許して欲しい。アルベルトは手紙を抱き、唯々そう願った。
それから暫く経ち、谷間の国フィリアを白い雪が覆った。その日も沢山の雪が灰色の空から降り注ぎ、アルベルトは中々布団から出られずにいた。起こしに来る者もなく、いつまでもその微睡みに漂う心地良さ。今迄では考えられない程に、穏やかで優しい日々だ。
しかしその至福の時をぶち壊すかのように、大臣のマルフがけたたましく扉を叩いた。
「アル様、アル様、大変です!」
飛び起きて扉を開くと、血色の良い丸い顔は青褪めていて、それがただ事ではない事を知らせる。
「国に侵入者が!何だか変な子供なんですが、貴方を出せと……!」
変な子供と聞いて、アルベルトは思わず走り出した。その後ろをマルフが慌てて追いかける。
「その子供はどこに!?」
「くっ国はずれの、山道で……!罠にかかっております!」
その言葉に、アルベルトは思わず立ち止まった。
「罠……?」
遅れて立ち止まったマルフの肩を掴むと、見慣れた丸い顔は絵に描いたように、焦りの表情を浮かべた。
「罠とは何だ、何のために!」
そう言って、アルベルトは答えも待たずまた走り出した。こんな所で言い争っている場合ではない。
漸く辿り着いた国はずれには、黒山の人集りが出来ていた。それを掻き分けて進む。まるで、国を出た日のような光景に酷く胸が騒ついた。子供の騒ぐ声が聞こえその人物を確認した途端、アルベルトの胸の奥に熱い物が湧き上がった。
「ミト!」
ミトはアルベルトの姿に安心したのか、それまで耐えていた不安に巻かれ、大声を上げて泣いた。その足から流れ出る真っ赤な鮮血。
「何て事を……!」
アルベルトは震えるミトをきつく抱き締める。その胸の騒めきは、紛れもない怒りであった。アルベルトは怒りに任せ、傍でその様子を見下ろすエルバントを睨み付けた。
「どうして?どうして、こんな事を!」
薄く口を開き呟いたエルバントの消え入りそうな程に小さな声。それでも確かに、アルベルトの耳には届いた。
「全部、兄様の所為だ」
熱い怒りが一気に寒気へと変わる。どうして、自分の所為なのか、アルベルトには理解が出来ない。泣き叫ぶミト。アルベルトから目を逸らさないエルバント。そして恐怖を隠せないフィリアの民。もうそこに、アルベルトの知っている無垢な国は無かった。その全てが、アルベルトの所為だと言うのだろうか。
騒ぎが収まり、一行は食堂に集まる事となった。幸いミトの傷も大した事はなく、安心したのも束の間。シンとエルバント、大臣のマルフに城の者達、そしてミトは、誰もが何から、何を話したら良いのか分からないままただ黙り込んでいた。何故罠など仕掛けていたのか。そしてそれが自身の所為とはどう言う事なのか。聞きたい事は沢山あるけれど、アルベルトも何から聞いたら良いのか分からない。
「ねえ、わんこ」
痺れを切らしたミトがアルベルトの袖を引っ張り、伺うように小声で呟いた。
「わんこの弟?そっくりだね」
驚いているミトに笑いかけ、エルバントを伺うと、真っ直ぐにアルベルトを睨み付けていた。そのあまりにも深い憎しみに、心臓が早鐘を打ち、大きく鳴り続けている。
「あの、アル様……わんこと言うのは……」
恐る恐るマルフに問われ周りを見回すと、誰もが変なあだ名に対し訝しげな表情を浮かべていた。これが、真実を明かす良い機会なのかもしれない。そう思い、アルベルトは一つ息を吐き出した。
「皆に話しておきたい事がある。私がこの国を離れていた、二年間の話しだ」
恐怖に負けないように、アルベルトは強く拳を握る。
何も知らないこの国の人々に、この現実を突き付ける事が正しいのかは分からない。けれど知る事で、この微かな歪みを元に戻せるかもしれない。これ以上歪む事は無いのかもしれない。縋るような願いに押され、アルベルトは静かに語り出す。
「オーラストで捕虜になり一年、私は戦火の中を命からがら逃げ延びた。一人の少年が逃がしてくれたのだ。彼は父の罪を背負い、そしてまた、オーラストを心から愛していた。だから彼は私を、その命と引き換えに救ってくれたのだ。私はその時、戦の生む悲しみを知った。それから、私は人買いの手に落ちた。奴隷タグ制度と言う物を、その時に知った。その人買いの男と旅にも出た。滅びた大地に立ち、この目で戦も見たよ。酷く狂おしい物だった。その戦により、奴隷の人々がゴミのように殺されて行く事も知った。それから、旅から帰った私も──」
「もう話さなくていい!」
突然そう叫び机を強く叩きアルベルトの話しを遮った者は、シンであった。普段物静かな男の張り詰めた怒声に、誰もが思わず息を呑む。
驚き言葉を失くすアルベルトを真っ直ぐに見据えたシンの瞳から、涙が一つ零れ落ちた。
「アル様、アンナはオーラストが陥落した時に知らされた貴方の死と言うこの国にとって絶望的な現実を己の罪だと思い、自らその尊い命を絶ちました。レッドさんは、たった一人の愛する娘の死に嘆き悲しんだ末に心を病み、そしてその果てに殺人を犯し、処刑されました。貴方がどう尽力したとしても、例え再びその身を犠牲にしたとしても、この国はもう、元には戻れないのです」
そして次いで放たれたエルバントの言葉は、衝撃的な真実を知ったアルベルトの元へ、更なる絶望を呼んだ。
「兄様がこの国を出なければ何も変わらなかった。兄様があの時別の方法を取っていれば、アンナもレッドさんも生きていたかもしれない。誰の心にも、闇が棲みつくことはなかったのかもしれない。この国の歪みも悲しみも全部、兄様が招いたんだよ」
誰も、それに反する者はいなかった。
自分は何の為にこの国に戻ったのだろう。何の為に、この身を穢し、それでも生き抜いてきたのだろう。アルベルトは溢れそうな涙を、唇を噛み締めて堪えた。これがきっとこの国を守る事の出来なかった王として、受けなければならない罰なのだ。
しかしアルベルトが地に額を擦り付けようと立ち上がると、突然隣に座っていたミトがそれを制した。
「何でだよ」
丸い瞳いっぱいに涙を貯めそう呟いたミトは、沈み込む人々の顔をゆっくりと見回して行く。
「何で、わんこが責められなきゃいけないの?どんなに辛い思いして、どんなに苦しんでそれでも、ただ一心にこの国を想って来たのに。自分がいなくなった事で皆に辛い思いをさせていないか、それだけに胸を痛めてきたのに!わんこが絶望の沼に足を取られて、それでも何度でも立ち上がってこの国へ帰り着く為に戦っていた時、お前ら一体何をしていた!この国で、ただそうやって陰気に下を向いて、この重い責任を背負わせる生贄を探していただけだろう!可哀想な自分に酔って、それで傷を舐め合っていただけだろう!本当の絶望なんて、何も知らない癖に!」
「ミトもういいやめてくれ!……もう、いいんだ。皆、すまなかった。エルの言う通り、全ては私の軽率な行動が招いた事。全て、私の責任だ」
まだ言い足りないといった様子を見せるミトを必死で制し、アルベルトはその手を引いて部屋へと戻った。
部屋に入った途端、耐えていた涙だけが溢れ出して行った。この国を出てからアルベルトは色々な感情を知った。怒り、憎しみ、深い悲しみ、それでも呪いたい程に自分を責める事は初めてであった。まるで深い闇の底に堕ちる様に、心が全て暗闇に呑み込まれてしまう絶望感。
「ごめんね、わんこ」
ミトはそう言って、崩れ落ちたアルベルトの背を、優しく撫でてくれた。奴隷として生きて来たこの少年は、アルベルトなどでは到底及ばぬ程沢山の辛い涙を呑んで来たのだろう。だからこそ人の痛みの触れ方を知っている。知らない事は罪ではない。だがアルベルトの愛した国の人々は、知らないが故に、酷く残酷であった。
次の日目が覚め、腕の中で小さく寝息を立てるミトの姿に、傷付いた心が少しだけ癒された気がした。ふわふわの髪に頬を寄せて、アルベルトは心の中で感謝の言葉を繰り返す。ミトがいなければきっと、この身は絶望の淵に堕ちていた事だろう。
暫くの後もぞもぞと起き出しアルベルトを見上げた少年の瞼は、少し赤く腫れていた。
「おはよう。傷は痛むか?」
ミトは寝ぼけ眼で小さく頭を振る。
「ミトにまで辛い思いをさせて、すまなかった」
慌てて首を振ったミトは、アルベルトの胸にそっと頭を預けた。
「兄貴、凄く心配していたんだと思うんだ。わんこがちゃんとこの国で笑えているか。だからきっと、俺をここに寄越したんだよ」
フェイの少し寂し気な笑顔を思い出し、胸が締め付けられるように痛む。あの男への想いは、離れれば薄れると思っていた。気付かずに済むと思っていた。だがどんなに遠く離れても、アルベルトはどうしようもなく、フェイに惹かれてゆく。
どうか許してくれ。罪を背負い、一人生きる道を選ぶ事を。同じ道を歩むなと言ったその思いを、無下にする事を。アルベルトは胸の内でそう繰り返し、胸に預けられた小さな頭に頬を寄せた。
「フェイには、笑っていたと伝えてくれ」
ミトはその言葉に何も答えはしなかった。その優しさが、苦しい程に有難いものであった。
足の傷が良くなり、遂にミトがラブールへと帰る日が訪れた。冬の寒さがひと段落し、あと一週間もすれば春の風が吹く頃だった。
「本当にここに残るの?」
寂しそうに瞳を潤ませるミトの髪に指を通し、アルベルトは小さく笑いかけてみせた。
「手紙を書くよ。これからは私が会いに行くから。ミト、ありがとう」
抱き着くミトの姿に思わず頬を伝った涙を慌てて拭い、胸に誓った覚悟が悟られないように、アルベルトも強くミトを抱き締めた。
もう二度と、会う事もないだろう。直ぐに折れてしまう弱い心を常に側で支えてくれた小さな少年。その道の先に、光がありますように──アルベルトはミトの輝かしい未来を唯々強く祈った。
そんな二人が何時までも別れを惜しんでいる国境へ、近付く者があった。
「アル様、少し話せますか?」
突然背後から掛けられた声は、シンのものであった。驚いたものの、ミトに少し待っているよう伝え、アルベルトはシンと共に少し離れた場所へと向かった。あれ以来まともに顔を見ていないから、緊張にじわりと汗が滲む。
「……もういいだろう?話とはなんだ」
我慢出来ず問うたアルベルトの声で漸く歩みを止め振り向いたシンは、何時ものように、真っ直ぐアルベルトを見据えた。
「私は、貴方の事を愛していました」
「な、何を……!」
こんな事エルバントに聞かれたら──そう驚き慌てふためくアルベルトを他所に、シンは深く頭を下げた。
「エル様を、どうかお許し下さい。あの方は今でも心の底から貴方を愛しています。狂わせたものは、私だ。貴方の死が知らされた時、悲しみに心を病んだエル様に、貴方の変わりでも良いからと言われ、あろう事かその誘いに乗った」
あまりにも衝撃的な真実に、アルベルトは思わず言葉を失った。シンは、ずっとそれを悔いていたのだろうか。だから自分を醜いなどと──。
「今は、心から貴方の弟君を愛しています」
そう言うシンの瞳に曇りは無かった。アルベルトはその時、不思議と心の底から安堵していた。
「ありがとう、シン。私もシンの事を、ずっと想っていたよ。エルの事を想う心と同じように。エルの事を、これからもどうかよろしく頼む」
そう言って再びミトの元へと歩き出そうとしたアルベルトを、シンは何故か制した。
「貴方は、誰の為に生きるのですか?」
一瞬何の事か分からず、アルベルトの頭の中は白く飛ぶ。シンはそんなアルベルトに、酷く優しく微笑みかけた。
「貴方はもうフィリアの王ではない。この国の為に傷付く事はないのですよ。だからどうか、これからは自分の為に生きて下さい」
シンの言葉はあまりにも残酷で、それでも痛い程に、アルベルトを想う優しい言葉。
自分の為に生きろと言われ、アルベルトの脳裏に真っ先に浮かんだものは、フェイであった。シンの強い言葉は、迷宮を彷徨うその背中を押した。
「愚かな私を、どうか許してくれ」
この手で壊してしまったこの国を離れても良いと思える程に、フェイを想う愚かな男を許してくれ。溢れ出る想いに涙が止まらないアルベルトに向け、シンは再び優しい笑顔を向けてくれた。
「忘れないで下さい。誰もあなたを恨んではいない事を。この国は何時迄も、あなたの故郷だと言う事を」
その言葉に強く頷き、アルベルトは振り返る事無く走り出した。
足を止めることなく、過ぎて行く愛する故郷の景色をこの目に焼き付ける。白い雪に覆われた大地。頬を刺す澄んだ冷たい風。やはりこの国はあの頃のまま、悲しみも、怒りも、憎しみも、そして──狂おしい程の愛しさも何も知らないように美しい。それでも知ってしまったからにはもう、何も知らなかった時に戻る事は出来ない。いくら嘗てのフィリアを想っても、何一つ変わる事はない。アルベルトはもう、王ではないのだから。
こうしてかつて愛した男の手で、アルベルトは愛する故郷を再び離れた。それは決別ではなく、新たな道への旅立ちだった。
いつでもアルベルトの側にはこうして導いてくれる人がいる。傷付けた人々、救えなかった人々を前に、迷い立ち止まる度、そっと背中を押してくれる人がいる。それはとても幸せな事だ。だからこそ一人生きるフェイにとって、そんな光でありたいと思った。
アルベルトは初めて、我が身の為に生きる事を知った──。
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