King of the slave

鴻上縞

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十七章 覚悟の夜

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 柔らかい日差しの中、幸せそうに笑う人々。木々が優しく揺れ、穏やかな時に自然と頬が緩む程、暖かい微睡みに揺蕩うような感覚。だが自身の隣で美しい笑みを浮かべるアルベルトの存在に、フェイはこれが夢であると気付いた。
 ここは何処だ。何故こんな夢を見る。確かにそれは長年思い描いて来た未来だ。だが自分の心には、決してこんな穏やかな時を許してはならぬのに。そんな未来を夢を見る程に、アルベルトに期待してしまったのだろうか。下らないと吐き捨てて、フェイはその夢から逃れるように瞼を開いた。
 見慣れた天井、馴染んだ匂い、間違いなく自分の部屋だ。しかし一瞬の安堵を吹き飛ばすよう、右腕に感じる重みと、頬をくすぐる柔らかい髪の感触に昨日の記憶が蘇る。人の腕の中で勝手に安らかな眠りに落ちているアルベルト。この男の前であろう事か昨日子供のように泣いてしまったなど、フェイにしてみれば一生の恥である。だがアルベルトは何度突き放しても戻ってきてしまう。傷付く事も、苦しむ事も分かりきっている癖に。何も知らなかった日には戻れない絶望も、嫌という程味わってきた筈だ。それでも何故、アルベルトは未だこれ程に純粋無垢な寝顔を見せるのだ。
 余りにも無防備なその顔をもう少しだけこのまま見ていたい、確かにそうは思った。だがそれは一瞬の事で、少し腫れた右頬に自分のしでかした事を思い出す。そんな自身を戒めるよう、フェイは奥歯を噛みしめる。
「……フェイ?」
 不意に薄っすらと瞼を開いたアルベルトが、そんなフェイを不思議そうに見上げた。その頬を親指で優しく撫でると、痛むのか、僅かにその表情が歪む。
「おまえに、これだけは言っておく」
 翡翠色の瞳が、掠れた声に不安気に揺れた。
「俺には何も望むな。傷付け、裏切る事しか出来ない。一人生きるより他、俺には道がない」
 フェイの言葉に、アルベルトは優しく微笑みかけ、額を首筋に押し付けるように顔を隠す。
「それでもいい、側にいたいのだ──」
 先程の笑顔とは裏腹に震える声が、唯々胸を締め付ける。
 顔を合わせるだけで心が乱れてしまうから、会う事さえ拒んで来た。仕事だからとその身体を抱く事が出来ない気がして、怖かった。この男の強さに呑まれてしまいそうになる自分が、殺したい程憎い。まるでフェイのその想いを知っているかのように、アルベルトは小さく呟いた。
「フェイ、私は──」
「何も言うな。その全てを拒絶する事しか俺には出来ないんだ」
 その先を聞きたくなくて、フェイは思わずその言葉を断ち切った。それでも腕が勝手に細い身体を抱き締める。フェイ自身も気付き始めていた。きっと思う以上に、アルベルトに惹かれてしまっていた事を。それでも踏み出せない、傷付けたくない、苦しめたくない。どうしようもなく愛おしく想ってしまったからこそ、歩み寄れない事を分かってくれ。フェイは口に出せぬ想いを胸に、そう願った。

 振り切るよう、フェイは部屋を後にした。階段を降りラフターの部屋に入ると、既に三人は朝食を食べ始めていた。
「ミト、糞犬小屋に返しとけ」
 いつも元気よく返事をするミトが、今日は不貞腐れたまま食事を続けている。どうもアルベルトが来てから反抗期が来たらしい。それも良い事だが、今はフェイにも余裕がない。腹は立ったが相手にする事も面倒だからと、フェイはそのまま席に着いた。
「珍しいな。お前が他人と夜を明かすなんて」
 そのラフターの白々しい口振りに、フェイは今回の事がやはりラフターの差し金であったと確信する。
「言ったはずだ。俺は二度とあいつの仕込みはしない。黒札として使いたいのなら、おまえらの誰かがやればいい」
 フェイは大真面目に言ったつもりだったのだが、ラフターは小馬鹿にしたように鼻で笑った。
「それは、本気で言っているのか?」
 一体何が言いたいのか、相変わらず含みを持たせるラフターに、フェイの苛立ちは増して行く。
 そんな二人が睨み合っている横で、朝食の質素な屑パンを頬張っていたルーイは小さく溜息を吐いた。
「ラフターさん、朝からやめましょうよ。兄貴も新しい女が出来たみたいだし、俺達ももうわんこに固執する必要ないですって」
 フェイはまるで覚えのないルーイの発言に思わず間の抜けた声を上げる。だがそんな会話を聞いていたミトは、力任せに机を叩き立ち上がって叫んだ。
「レスティアさんはそんなんじゃない!わんこが悲しむ事言うな!」
 新しい女がテバンの女王だったことに、フェイは呆れ果て肩の力を抜いた。想像力が豊かなのか、乏しいのか。何にしても全員バカの一つ覚えのようにわんこわんこと喚き散らしている事の方が問題である。フェイにしてみれば、アルベルトの事はもう考えたくないのだ。
 全てを聞かなかった事にして、フェイは食事を進めた。しかし相変わらず納得していないのか、ラフターはニヤケ面でフェイを見下している。
「試しにルーイ、おまえあいつを抱いてやれよ。こいつがどんなツラするか、楽しみだな」
「え、嫌ですよ!何で俺なんですか!俺には心に決めた女がいるって知っているでしょう!」
 ルーイは必死で首を横に振っているが、最早そんな事はどうでもいい程、フェイは爆発的な怒りを抑える事に必死であった。
「ラフター、おまえいい加減にしろよ。悪趣味なんだよ、ヤブ医者が」
 これ以上この場にいれば手に負えない喧嘩になりそうで、フェイはそれだけを言い捨てて逃げるように街に出た。その道すがら、冷え始めた頭で思考を巡らせる。
 ブラックタグであったフェイを救ってくれたものは、ラフターだ。滅び行く国を見詰めながら、ロンの手により気を失ったフェイは、ロンが乗せたであろう馬で逃がされた。しかし、その先で運悪く人買いの手に落ちたのだ。今でこそ需要なぞないだろうが、幼い頃は未だ愛くるしい少年だった為に、金になるからと黒札の奴隷にされ、数多の人の手を渡り歩く事となった。当たり前に身体は反応する事もなくて、殴られ蹴られながら犯される度に、フェイの心には奴隷の青年の顔ばかりが浮かぶ。それはまるで罰を受けているかのようで、堪らなかった。
 その頃から少しずつ、フェイの心は壊れて行った。何度も何度も死を望み、だが望むだけで見殺しにした民の事を、リーハを憎んでいた人々を、そしてこの手で殺した父を思い出し、この地獄を生き抜かなくてはならないと嫌という程思い知らされた。そんな時に出会ったのが、買い手の家に出入りしていたラフターだった。医者の癖にその瞳には生気がまるでなくて、辛い世を逃げ出したいと言う思いが痛い程に伝わった。
 ある日、何時ものように散々痛めつけられ、部屋の隅に蹲るフェイに向かい、ラフターは問うた。何故お前はそんな人生を生きようとするのか、と。フェイは奴隷となってより、そんな事を考えた事もなかった。生きなくてはならない、だから生きていた。何故──その日は答える事が出来なくて、それから暫くフェイは考え続けた。
 周りの奴隷達は何故必死に生きるのだろう。奴隷としての人生、その先に見えるものは、何一つ変わらぬ地獄のような道の筈だ。カビたパンを必死になって奪い合う人々はまるで野良犬同然。考える事すら忘れたその生き様は、狂おしく胸を締め付けた。中にはリーハによって奴隷となった人が、きっと沢山いる筈だ。
 フェイはその時に、この人生の意味を知った気がした。何の為に地を這い、泥を舐めてでも生きてきたのかを。
 苦しんだ過去は消せはしない。だがその所為で死の床まで苦しむなんて、そんな罰を受けなければならない者は自分だけである筈だ。だからこそ奴隷となった人々を救いたい。それが、フェイの生きる意味に、ほんの小さな夢となった。
 後日、ラフターに自身の生い立ち、そして背負った罪の重さ、故に生き抜かねばならぬ事、そして奴隷を救いたいと思った事の全てを話すと、ラフターは何を思ったか共にその夢を叶えようとフェイを買い取り、ブラックタグと言う人生から解放してくれた。そう言うラフターの瞳には、生きる力が芽生え始めていた。勿論、そんなラフターに心から感謝はしているし、頭も上がらない。だがだからこそ、全てを知りながら態とアルベルトと引き合わせようとするラフターの心がフェイには分からないし、許す事が出来ない。楽しんでるのだろうか、そう思うと、余計に腹が立った。

「フェイさん、おはようございます」
 苛立ちを抱えながら当てもなく街を歩くフェイの背中に掛けられたその声に振り向くと、つい先日まで奴隷としてフェイの元にいた少女が優しい微笑を浮かべて立っていた。
「おはよう。調子はどうだ?」
「自由って思っていたよりもずっと、大変なのですね」
 そう言って笑う顔には生きる事の喜びが満ちている。その笑顔を見ていると、不思議と苛立ちも収まり、フェイも自然と微笑み返す事が出来た。
 そのまま肩を並べて街を歩く。彼女の新しい生活の事を聞いたり、生まれた時より奴隷であった所為でまだ戸惑うことの多さに悩む彼女を慰めたり、そんな穏やかな時を過ごす。
 暫く行くと、ふと少女は思い出したように足を止めた。
「そういえば、王様が帰って来たのですって?」
「王様……ああ、アルの事か。耳が早いな。全くバカな男だよ。黒札として使ってくれなんて言ってな」
 それでも、フェイの側にいたいと──そう言って腕の中で泣いたアルベルトを思い出すと、思わず胸の奥が締め付けられるように痛む。だがそれを聞いた少女は、嬉しそうに笑った。
「良かった、これでフェイさんも救われますね」
 その言葉にフェイは思わず息を飲む。救われるなんて、そんな事を望んだ覚えは一度もない。何より、自身を救うなどと言う下らない事の為に、アルベルトを苦しめて良い筈がない。
「何故、そんな事を……」
「私の名前、呼んでもらえますか?」
 言葉に詰まるフェイを宥めるよう、少女はそう言って少し照れたように笑った。フェイは戸惑いながらもその名を呼んだ。
「モリー」
「そう、貴方がくれたの。この名前と、そして望む自由。貴方は優しい人。だからこそ自分を責め、逃げてしまうのです。それが余計に傷付けてしまう事もあるのですよ。どうか、王様と向き合ってあげてください」
 フェイの事を何も知らない筈の少女にそんな事を言われるなんて、それ程に苦悶を顔に出し生きていたのだろうかと不安に駆られるフェイの心を、モリーは優しく撫でるよう言葉を繋ぐ。
「生意気な事を言ってすみません。でも私も、この街で奴隷から人になった人々も、皆何よりも貴方の幸せを願っているのですよ」
 モリーはそう言って頭を下げると長いスカートを翻しながら走り去った。不思議とその背中にもう、彼女の未来は何も心配する事はないと思えた。
 この心が見る夢は間違いではない。それを素直に嬉しく思う裏側で、呪いのようにフェイは言い聞かせる。

 我が身に与えられた名は、フェイ・リンメイ。大罪を犯した一族の生き残り。先祖より積み重ねられた血塗られし罪を背負う為に、こうして恥を晒し生きているのだ。大丈夫、まだ間に合う。他者に脆い心を見せる事も昨晩で最後。初めて怯まず真っ直ぐぶつかってくる人間に出逢い、そのあまりの強さに一瞬呑まれてしまったに過ぎない。家に帰る道すがら、フェイはそう強く言い聞かせた。
 幸せを願ってくれる人々、こんな男を想ってくれたアルベルト。その想いに応えられない事を、どうか許してほしい。未来に幸せなどはない。心の奥で叫ぶように救いを求めるこの声は、罪深いこの身を戒める為にある。救いを求めても誰もこの手を取ってはくれず、一瞬寄り添ってくれたとしても、呪われし大国リーハの王だったと知れば逃げて行くに違いない。それ程に重く、決して償う事の出来ない罪を背負い生きている。アルベルトを愛してしまった事さえ、罰なのだ──。
 フェイは再び嘗ての自分を取り戻した。もう二度と揺れる事はないと、そう信じていた。煩いミトとラフターのお陰で部屋に鍵も取り付けた。これで勝手に仕込みと称してアルベルトを連れ込まれる事もない。その顔さえ見なければ心が乱れる事もない。これまで通り人買いとして生きるのみである。それでも少しづつではあるが確実に変わって行く奴隷達の表情に、小屋の中で日々時が過ぎる事を待つアルベルトを想う。だが、想うだけならば慣れた。何より、フェイは諦め生きる事に慣れていた。

 そんな日々がもう半年経ち、秋の彩がラブールを染め上げた。間も無くこの街にも少し早い冬が訪れる。フェイのあまりの強固な態度に、徐々にラフターも、ミトでさえアルベルトの話しをしなくなった。やっと分かってくれたと、フェイはそう思っていた。
 仕事の方は最近王族狩りと称した者達が方々に手を伸ばしていて、戦が多いにもかかわらず、ホワイトタグを集める事は難航していた。内乱は領地争いのような国同士の戦とは違い、民自らがその手で勝利を掴みたいと思う事が多く、ホワイトタグが使われる事は珍しいのだ。それでも一応各地に散らばる仲間達に出向いてもらってはいたが、予想通りの結果が届くばかり。
 今日もその報告が遠方の仲間から届き、フェイは自室でルーイとそれに目を通していた。
「何か、遣る瀬無いですね」
「……ん?」
 そう言って小さく溜息を吐いたルーイの横顔は、まるで苦虫を潰したかのように歪んでいる。
「一国の王なんて、俺達が思うよりずっと大変なんじゃないのかな。そりゃあ中には利己的な王はいますけど。でも、自分が良いと思ってやって来た事を受け入れて貰えず、どんなに責められてどんなに傷付いたとしても平気な顔して真っ直ぐ立っていなきゃいけない訳でしょう。国の為に心を削り続けても分かってもらえないなんて、苦しいだろうなって。わんこ見てると、そう思うんですよね。俺のいた国は内乱が多かったですけどね、今思うと結構辛いものがありますよ。兄貴は王族嫌いだから、分からないと思うけど」
 ルーイはそう言って書類に再び視線を落とした。
 幸いフェイは自国で内乱を経験してはいないが、どれだけ虚しいものかは分かる。いつか内乱を見せた時にアルベルトも言っていた。虚しい、と。アルベルトの感じた虚しさと、フェイの感じる虚しさは違う物だけれど、どちらにしてもあまりに遣る瀬無いものだ。どうして王族狩りの者達は関係のない他国の内乱を煽るなんて事をしているのか、まるで理解に苦しむ。それだけ王族に強い恨みがあるのだろうか──。
「兄貴、仕事終わらないですよ」
 その声でぼんやりとしていた事に気付き、フェイは慌てて残りの書類に目を通していった。

 漸く仕事が終わる頃には、辺りはすっかり闇に包まれていた。窓から見える空には、星が疎らに散っている。
「やっと終わった。やっぱり疲れますね」
 そう言って大きく伸びをしたルーイは、元々坑夫だったからか机に向かう事が中々慣れないらしい。
「お疲れ、腹減ったな」
 そんな事を話しながら自室を出て、二人はラフターの部屋へと向かった。部屋に入るともう夕飯の時間にもかかわらず、食事に遅れた事のないミトの姿が見当たらない。
「ミトはどこに行った」
「客が来るとかで、慌てて出ていったぞ」
 一人食事を進めていたラフターが興味なさ気に呟く。ミトに客などがいるのだろうか。そう考えても全く思い付かなかった。また変な事を企んでいる気がしないでもないが、あまり気にしたくもないから、フェイはルーイと並んで食事を始めた。
 丁度食事を終え、三人が食後の一服をしながら取り留めのない話しに花を咲かせている頃に、玄関の方から数人の足音が聞こえた。
「……何だ?」
「ミトですかね?」
 足音から察するに、この家に入って来た者は少なくとも四人はいそうである。フェイはルーイと目を合わせ、不思議な緊張感に足音が止むまで声すらも出なかった。特に気にも止めていない様子のラフターは、やはり何かを知っている。そうは思ったものの、既に手遅れな事はフェイにも分かる。今ここでラフターを責めた所で何の意味もない。
 そんな事を考えているうちに、扉からミトが顔を覗かせた。
「兄貴、ちょっと」
 怯えているような瞳の中に、確かに揺れるまるで強い決意のような、そんな力にフェイは思わず震えた。何をしようとしているのか、知らぬ所で動き始めた何かが、恐ろしくて堪らない。
 アルベルトがここに来て何かが変わってしまった。それは良い事も勿論ある。奴隷達の自我の目覚めは、フェイが一人でやっていた時よりも格段に早い。実際に最近連れて来た奴隷でさえ、早くもその瞳に生きる力強さを宿し始めている。ミトの心もまた少しずつ変わっていて、そしてフェイの心も憎い程に揺れる事が多くなった。それだけは悪い事ではあるが──。
 フェイはミトの瞳に抗う事が出来ず、促されるまま黙ってその後ろをついて歩む。この先に見える物は絶望か、それとも──その思いをフェイは必死に掻き消した。また望んでいたのか、希望なんてものを。下らない。誰が何をしようと変わる事はない。この身が滅ぶ瞬間まで、孤独の淵で自分を責め続ける。それが、罰だ。

 しかしこの先にフェイを待ち受けていたものは、知らなければならなかった真実であり、知りたくはなかった真実であった。フェイは己を責める事でしかこの孤独の苦しみに耐える事のできない、弱い男だったと知る事になる──。
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