Undergroundシリーズ

鴻上縞

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『Underground caT』

傷痕を追って

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 流れるネオンを眺めながらぼんやりと考えていた。面倒臭い、居候の事を。
 何をそんなに切羽詰まっているのだか訳が分からないし、俺を誘惑しようなんてどうかしている。あの日以来襲って来る事もないが、代わりに口もきいてくれなくなった。そして毎晩毎晩男を引っ掛けに出て行く。
 もう一緒に暮らして半年はとう過ぎたのにこんな調子だ。今年の夏も暑い。クーラーの無い俺の部屋は地獄だ。風呂も近所の銭湯だし、それが気に食わないのだろうか。そんな事じゃあない事位分かってはいるのだが、答えの見付からない物をグダグダ考える事は疲れるもんだ。

「ちょっと今日飲み行くか」
「は?」
 思慮の波間を漂っていた俺と、ハンドルを握っていた慎太郎は後部座席から聞こえた言葉に見事ハモって見せた。将生さんが飲みに行こうなんてこの男の下に付いて間も無く一年だが初めてだ。
「え、ダメ?俺今マリッジブルーなんだよ」
 その言葉に俺達は呆れ果ててしまった。
 慎太郎調べだと将生さんは今月四回目の結婚をするらしい。どうもこの隣の若造は暇さえあれば白井将生と言う男について調べているらしい。この男に関して調べれば調べる程良い物が出る気はしないし、俺はやめとけと言ったのだが、どうにも腹の虫が収まらないらしい。しかし徹底した秘密主義なのか、明らかになったものは育った施設と学歴。後はバツ三だって事と、山室組に来る前はとんだ気性の荒い若造だったって事位だ。
 将生さんが元いた組に知り合いがいない訳ではないし、山室組の古参に聞けばもう少し踏み込んだ所まで分かるのだけれど、破門された俺がまた極道の世界に潜れ混んでいるなんて知れたら大事だ。それは慎太郎もよく分かっている。だから結果、俺たちには表面の事しか知り得なかった。

 結局車を置いて、その日は山室組が良く使う料亭に入った。元々俺は跡取りとなる身だったのだし、親父に連れられてよくこう言う店は来た。しかしやはり小汚い居酒屋が恋しくなるのは、刑務所暮らしが長かったからか。それとも、年を取ったのか。
「思い通りにいかないみたいだね」
 席に着いて早々将生さんにそう突然切り出されたものだから、慎太郎も俺も何の事かと顔を見合わせてしまった。
「雪だよ。こないだ注意したけどさ、困るんだよね。こちとら信用商売だ。街で引っ掛けた男に病気なんか貰ったら大変だろう?そう言う事はちゃんとケアしてくれないと」
 ……俺が?いや、預かった以上そうなるのかもしれないが、お互い大人だ。目に見えて酷い時は注意もするが、そんな夜の生活迄俺が口出す事じゃない。
「……そもそも、何で俺に任したんですか?」
「可愛い顔をしていたから」
 また突拍子もない答えに慎太郎と目を合わす。確かに可愛いっちゃ可愛い。だがそれとこれとはまるで関係の無い話しだ。そう思っていたのだが、将生さんの言う可愛いはどうやら別の意味らしい。
「雪は山室に惚れているでしょう?好きで好きで堪らない。でもね、それがあいつを苦しめているんだよ」
 俺に惚れてる?それは置いといたとしても、つまり、雪を苦しめる為に俺の所に置いたって訳か。
「悪趣味ですね」
 そう呟いた慎太郎に将生さんは小さく嗤った。
「何とでも。でも雪はまだ間に合うからさ。間に合うなら、助けてあげたいでしょう?」
 一見何を言ってるんだか分からない発言。それでも俺は、わざと意地の悪い顔をするこの男が、多分性根は優しい男なのだろうと思った。こんな少ない会話では多分でしかないが。

 それからしばらく将生さんの愚痴だか惚気だか訳のわからない当たり障りのない話しを聞いた後に俺達は家路に着いた。俺と慎太郎はどうせ方面が一緒だから、将生さんをタクシーに乗せてから二人でタクシーを拾った。
 車内でさっきの将生さんの言葉が繰り返される。いや、薄々は感じていた。しかも刑務所にいた時からだ。だが俺自身そう言う意味で男に好かれる事に耐性がないし、一時の気の迷いだと思っていた。それに雪が俺に惚れていたとしてどうにも出来ない。助けてやれるならやりたいが──。
「俺に、どうしろって言うんだよ」
 気付けば舌打ちと共に自然と愚痴が零れていた。窓の外に視線を向けていた慎太郎が驚いて俺を振り返る。
「あのボーイの事ですか?」
「ん?……ああ。いや、どうしたもんかと思ってな。助けてやれるならやりたいんだ。あいつを見ているとどうも、俺まで辛くなる」
 あれは自分を傷付けて安堵を覚える奴の面だ。何がそんなに雪を駆り立てるのか、俺には分からない。
「山室さん、ちょっと寄って来ます?実咲なら何か分かるんじゃないすかね」
 確かに男同士で真面目に考えていたって答えが出るとは思えない。夜も遅いし悪いとは思ったが素直に慎太郎の好意に甘える事にした。どうせ、雪は今日も帰らない。

 慎太郎の住むマンションに着くと、連絡を入れていたのか実咲ちゃんは晩酌の用意をして待っていてくれた。深夜につまめる本当に軽い肴も用意してある。流石元キャバ嬢と言ってしまいそうな程実咲ちゃんはよく気の利く子だ。
「それで?雪君が隆司さんを好きで、抱いてくれってせがむけど抱けないからどうしようかって話し?」
「いや、そう言う事じゃ……」
「いやそもそもさ、あの子が何でそんなに男を引っ掛けまくっているかが問題じゃないの?」
 いつにも増して実咲ちゃんが攻めて来る。女性は口が達者だ。こうなってしまっては黙って聞くしかない。
「あたしは夜やってたから分かるけどさ、そう言う子はただ不安なの。雪君はもっと深い所に堕ちているのかもしれない。でも皆根本は一緒。信じたいし、愛したいし、愛されたいの」
「だけど、俺は──」
「隆司さんは優しいからさ、皆に優しくするでしょ?雪君をそう言う目で見れないなら優しくしちゃダメ。突き放してあげなきゃ」
 実咲ちゃんに言われてショックだった。そんな簡単な事位俺は分かっていた筈だ。だが何故だか見捨てられない。突き放したら二度と、雪は立ち直れない気がする。またウザいと言われるかもしれないが。
 黙り込んだ俺に、実咲ちゃんはふと笑かけた。
「でもね、人生何があるか分からないから。隆司さんの好きにしたら良いよ。あたしは隆司さんが雪君好きになったら応援するよ?」
 唖然とする俺の横でそれまで静かにしていた慎太郎が盛大に焼酎を吹き出した。
「みっ実咲!何言ってんだ!まさか、りゅっ隆司さんがっ……!」
「パパ頭古過ぎ。今時そんなに驚く事でもないでしょ。それに雪君と隆司さんとか……絵になるっ!」
 何か変な方向に話しが進んでしまった。絵になる意味も分からない。呆然とする俺と慎太郎を他所に、その後は実咲ちゃんの妄想劇場が繰り広げられ、流石に我慢の限界に達した慎太郎が強制終了させその日の晩酌は終わった。

 マンションの下迄ついて来た慎太郎が深く頭を下げる。
「隆司さん、何かすみません。最近ずっと家にいるからか変な方に走っちゃって……」
 真面目に謝る慎太郎の姿が何だか可笑しくて、つい笑ってしまった。
「いや、偏見は持っていないつもりだったが俺も頭が古かったのかもな。少し見方を変えてみるよ」
 俺が雪を恋愛対象で見れる筈がない。その先入観を少し、置いておいてみようと思う。あまりにも前向きな俺に、慎太郎は少し困った顔をしていた。
「じゃあな。夢によろしくな」
 足早に立ち去ろうとしたものの、俺の腕を掴んだ慎太郎がそれを許さなかった。
「隆司さん……奥さんの事、話したらどうすか?そしたら流石に納得せざるを得ないんじゃないかな。いや、思い出したくないなら良いんですが……」
 思わず顔を歪めた俺に、慎太郎が再び頭を下げた。そんな優しい心根を見て、俺は慌てて笑ってみせる。
「考えてみるよ」
 踵を返した俺の背中に、慎太郎の恥ずかしげもない叫び声が響く。
「俺、秀司さんの事があるからあんたを慕っている訳じゃないですから!実咲も、夢も、本当に感謝しています!何があっても俺達は隆司さんの家族ですから!」
 俺はこいつの、こう言う所が好きだ。慎太郎は一見無遠慮で頭が悪そうに見えて、ちゃんと人の気持ちを考えられる優しい奴だ。

 秀司とは俺の一つ年下の弟。ヤクザに優しいもくそも無いが、本当に性根の優しい穏やかな男。それに秀司は元々極道の道には入らないつもりだった。俺が逮捕されたお陰で跡取りとなり、そして敵対勢力である極党會の鉄砲玉に三年前射殺された。
 本当は殺されるべきは俺だった筈だ。そう悔やんだ事もあった。今も申し訳ない事をしたと思っている。秀司にも、秀司を慕う慎太郎にも。今も俺には墓参りが許されない。それでもあいつの事を、あいつを死に追いやった罪を忘れた事はない。
 ……俺にはやはり、誰かを助けたいなんて烏滸がましいのかもしれないな。そう思うと自然と乾いた笑が漏れた。

 真っ暗なアパートに帰ると、珍しく雪は家で眠っていた。薄く唇を開けて眠る顔は、やはりガキ臭い。しかしそれは俺の布団だ。まあ、どっちも変わらないか。起こさないように静かに歯を磨いて俺も寝る準備を開始したが、あと少しと言う所で雪は目を覚ましてしまった。
「悪いな。起こしたか?」
 布団に横たわったまま虚ろな瞳で見上げる姿が何とも妖艶に見えて、思わず笑ってしまった。無意識でも色っぽいなんて、全く罪な奴だ。
「ただいま」
 床に腰を下ろしてそう声を掛けるとふいと視線を逸らされる。
「……俺に、抱いて欲しいか?」
 少し驚いた顔をした後雪は素直に頷いた。深く息を吐いて、煙草に火を付ける。慎太郎には話した方が良いと言われたが、本当に大丈夫だろうか。思案を巡らす俺の背中に、雪が額を押し当てるように抱き付く。その気持ちを思うと、逃げている場合じゃないなと思えた。
「話しておかなきゃならないんだ」
 背中越しでピクリと身体が強張る感覚を感じた。
「……何?」
「俺と……嫁の事だ」
 身体を離した雪が覗き込むように俺を見詰める。深く肺に吸い込んだ紫煙をゆっくり吐き出して、俺は覚悟を決めた。

 俺がその女、細野愛美ほそのまなみに出会ったのはまだ十八歳の時だ。今からもう十八年も前になる。親父の行きつけの料亭で愛美は女中として働いていた。背が小さくて、不安になる程に細くて、透き通るように白い肌の笑顔が綺麗な女だった。
 年は三つ上。それはもう、お互いが一目惚れだった。俺達は直ぐに恋に落ちた。彼女は儚げな見た目とは真逆で、明るくて気が強くて曲がった事が嫌いで、俺がヤクザである事も良くは思っていなかった。それでもお互い若かったから、気持ちだけで先も見ずにやることやって、十九歳になりたてで子供が出来た事を告げられた。
 愛美は元々身体が弱くて、出産には耐えられないだろう。そう言われていた。当然俺は下ろせと迫った。残酷だろ。俺は最低な男だ。それでも愛美は絶対に首を縦には振らなかった。
「例え死んだとしても、隆司との子供が欲しい。せっかく私の元に来てくれたのに、殺す事なんか出来ない」
 ボロボロ泣いている癖に、そう言う愛美の瞳は強かった。どっちを取るか。俺はその事ばかり考えていたが、その時に漸く分かったんだ。どっちも守ってやりたい。どっちも大切だ。今思えば無責任にも程があるが、若さとは残酷だ。
 結局俺達は産む決意を固めた。けれど愛美の親父さんは結婚を許してはくれず、臨月になってもその硬い決意が揺らぐ事は無かった。
 そうこうしているうちに男の子が生まれ、愛美も出産を無事に乗り越え俺達は幸せを手にしたと思っていたんだ。
 しかしその僅か三ヶ月後。愛美は肺炎で死んだ。抵抗力も、体力も、少しの風邪にすら勝てない状態だったそうだ。俺は軽率な自分を恥じた。身体の弱いあいつを何も考えず抱いた事を。それでも親父さんは、認めてあげられなくてすまなかったと、頭を下げてくれた。そんな親父さんの思いにも、愛美の為にも、何より息子の為に精一杯愛情を注いで育ててやろう。その思いで俺は足を洗った。
 そりゃあ揉めた。俺が継ぐものと思っていた親父は酷く憤慨していた。それでも意志が揺らぐ事はなく、俺は山室組を破門され、漸くカタギになれたのが二十歳。
 取り敢えず金をと思い、日雇いの仕事をしながら必死で子供を育てた。寂しくないように、側にいられる時は片時も離れない位。だが無情にも息子、真也は重い心臓疾患を患っていた。このままでは長くは生きないと言われた。しかし手術には多額の金がいる。当然俺には貯金がないし、迷いに迷った末に親父に頭を下げ、どうにか金の工面を試みた。
 だが、一度組を離れた人間に、例え息子でも親父は厳しかった。そんな時にたまたま抗争の際の後始末の話しが持ち出され、悩んだ挙句に俺は真也の手術費を出してもらう事で同意した。それが、殺しの罪を被る事だった。
 その時はただ救いたかった。せめて真也だけでもと。人殺しの息子と後ろ指を刺され、父親も母親もいない辛い人生を歩ませるかもしれない。それでも生きていて欲しい。生きてさえいればいつかきっと幸せになれる。無責任かも知れないが、俺の頭にはそれしかなかった。
 だが刑務所に入って僅か一年。真也がこの世を去った事を知らされた。こんな絶望があるのかと思う程に、目の前は真っ暗闇で、俺はその後暫くの記憶がない。俺は救えなかった。誰一人として。刑務所の中で医者にかかる程憔悴して、飯も喉を通らない位に自分を責めた。愛美を殺したものは俺だ。そしてたった一人の息子を、看取ってもやれなかった。その頃の俺は悔やんでも悔やみ切れない、深く重い後悔の念に押し潰されていた。
 そんな時に慰問で来た師匠の落語に心を打たれ考え方が変わったのだ。演目名は忘れたが、やはり親子の人情噺だった。二人を救えなかった事を俺の罪には思う。それは一生背負って生きていかなければならない。それでも自分の行いを後悔する事は違う。愛美に出会えた事は、俺の人生で一番の幸せだ。そしてたった二年でも真也が生きてくれた事を幸せに思おう。不思議とそう思えるようになった。

 そこ迄話し、俺は漸く一息付く。気付けば夏の鋭い朝日がカーテンを抜けて狭い部屋に差し込んでいた。雪はじっと俺を見詰めたまま、続きを待っていた。再び大きく息を吐く。
「……そもそもセックスに対して俺は潔癖だ。だがな、それ以来俺は不能者なんだ。正確には違うのかも知れないが、情けないが怖いのよ。……悪いな。どんな良い女でもきっと俺は抱けない。だからこれで、勘弁してくれ」
 細い身体を抱き寄せると、雪は俺の腕の中で小さく震えていた。
 俺の為に、泣いてくれるのか。やはりお前は優しい奴だ。誰かの為に涙を流せるなんて、心の優しい奴にしか出来ない事だ。背中に細い腕を回し、やっと聞き取れる位小さな声でごめんなさいと繰り返す雪が、酷く愛おしく思えた。
 実咲ちゃんに毒されておかしくなったかとも思ったけれど、これは恋愛感情じゃあない。雪は可愛い。手の掛かる弟。そんな感じだ。だったらこんな事をするなと怒られるかもしれない。けれどこいつに泣きながら見詰められたら、誰だって抱き締めてやらなきゃいけない気になるだろう。そう、自分を納得させた。
 悪いな。期待を持たそうって言うんじゃない。ただ今でも風が吹けばチリと痛みを呼ぶ古い傷跡を晒したんだ。俺も少しは落ち込んだりもする。甘えているのは、俺か。そう思うと笑えた。
 夏場だってのに雪を抱いて、そのまま気付いたら俺は眠りに落ちていた。
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