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『Underground caT』
贖罪
しおりを挟む隆司さんの過去は、いい意味でも悪い意味でも俺を少し動かした。いい意味で言うと、泊まりの仕事がない日俺はなるべく家に帰るようにした。街に立つ日を減らしたのだ。将生さんに脅されたって言うのがもちろん一番だけど、いられるのなら隆司さんの側にいたいと素直に思ったから。
例えば明日、どちらかが死んでしまうかもしれない。そう思うとその限られた時間を大切にしたいと思った。
悪い方は、この想いは叶う事がないと突き付けられた事。抱き締められた隆司さんの腕の中は凄くあったかくて優しくて、そして酷く、心が痛かった。もう平気だって顔をして、乗り越えたつもりでいるけれど、あの人はやはり今も奥さんを想っている。籍は入れられなくても、妻と言う位。死んだ事を受け入れていても。二度と会えないとわかっていても。
所詮死んだ人間には勝てない。だって思い出は美化されて行く物だし、汚れる事もなく何時迄も綺麗なままだから。こんな事を思うなんてやはり俺は自分の事しか考えていない酷い人間だ。それでもほんの一瞬だけ。神様なんか信じた事は一度も無いのに、つい図々しく祈ってしまいそうになった。隆司さんを幸せにして欲しいと。願うしか、俺には出来ないから。
そんな事を考えながらぼんやり外を眺めていたら、隣に座っていた将生さんに肩を叩かれた。
「最近夜遊びしていないんだって?」
「……そうだよ。偉いだろ」
していない訳じゃ無いけれど、減った事は確かだ。そんな得意気な俺を見て将生さんは顔を顰めた。
「偉いって言うかさ。そう言う危機感が薄れるって、本当なんだね」
それには俺も答える気になれず、だんまりを決め込んだ。
性依存症の人間は性病や妊娠への認識が薄く、安全を考慮せずに自ら危険な場所へと足を踏み入れる傾向にあるんだと。それの事を言っているらしいけれど、俺は自分が性依存症だと言う自覚も無ければ、例えそうだとしてもどうでも良い。どうでも良いとは少し違うけれど病院にいく程とは思っていない。
それに今はその話しをしないで欲しいのが本音だ。助手席には隆司さんがいる。ただでさえ俺に良い印象は持っていないだろうし、これ以上軽蔑されたく無い。こんな人間の癖に浅ましい事は重々承知。けれどそれが本音だから仕方がない。
それ以上誰も話す事なく、しばらくして車は静かに停車した。目の前のあまりに巨大な日本家屋に運転席の慎太郎が驚きの声を上げる。
「え、二階堂?」
その言葉通り、表札には二階堂と言う文字。今日初めての俺の仕事相手の名前だ。
「二階堂ってあの二階堂ですか!?」
「そうそう。ここ二階堂家の別邸らしいよ」
「マジすか……すげえな」
そう言って身を乗り出して家を眺めている慎太郎を尻目に、俺と将生さんは車を降りた。
二階堂家とは、世間一般にも知れ渡っている位の由緒有る家系。一家の当主である父、二階堂譲は様々な業界に手を広げている二階堂グループの社長。妻は名のある華道一族の出で、長男は若手政治家、長女はモデル、次男は医者。何を間違ったか三男はとんだ出来損ないだと言うのは有名な話しだ。
俺の契約相手の名前は二階堂譲。つまり当主と言う事になる。今迄で一番デカい相手だ。
「緊張しないの?相変わらず図太いね」
平然としている俺に将生さんが笑いながらそんな事を言った。どんな人間も服を脱げばどうせ皆一緒だし、それに俺にとって金持ち程扱い易いものはない。こんな男娼を囲おうなんて、目的は一つでしょう?
満たされ過ぎた本能が求めるものは、まるで底無しの崖の上を行く綱渡りのようなスリル。堕ちたら文字通り地獄へ真っ逆さま。俺は甘い言葉で誘惑して、終わりの無い方へと誘ってあげる。けれど脳を掻き乱されるようなスリルばかりじゃ疲れてしまうからたまにご褒美をあげれば良い。そうやっているうちに何時の間にかバカな金持ちは俺の手の中で踊っているんだよ。
将生さんと並んで裏門に回ると、見た目はSPみたいな厳つい男が待っていた。
「あ、犬飼さんですか?白井です。この度はありがとうございます。こちらがお話しておりました間宮雪になります。契約書は二階堂様より頂いておりますので、後の事は当人同士で決めて頂いて結構です。では、二階堂様にも宜しくお伝え下さい」
言うだけ言って将生さんは颯爽と去って行った。
他の子の場合最初はちゃんと付いて行ってあげるらしいけれど、俺の事を変に信頼しているみたいでいつもこんな感じだ。俺自身別に下らない挨拶は苦手だし、あんまり硬く入ると関係自体硬くなりがちになるから有難い。そう言う意味ではやはりあの男は凄いと思う。
「どうも。間宮雪です」
そう言って頭を下げても、犬飼と呼ばれた男は鋭い眼光を光らせたまま俺を見下ろしている。さながら番犬って訳か。
「ダニが」
吐き捨てるようにそう言って犬飼は門を開いた。早く入れと顎で差されたが、俺としても言われっぱなしは癪に触る。すれ違いざまにチラリと見上げると、まるで汚い物を見るような目で睨み付けられた。こう言う男は嫌いじゃない。お硬いやつ程堕ち出したら止まらないものだ。
「ご主人様の後で良いなら、遊んであげるよ」
口角を嫌味な位上げて囁くと、そんな挑発に単純な番犬は簡単に怒りを露わにした。掴みかかって来ない所を見るとよく躾られている。これでここに通う楽しみが出来た。
自分で言って虚しいけれど、多分ボーイと言う職は俺の天職だと思う。表情一つ、微かな仕草の一つで相手の感情を感じ取るのは得意だし、気持ち良い事も好き。溺れて行く人間を見るのも楽しい。本来俺はそんな風に性根の腐った人間。それでも隆司さんの隣にいる時はそんな事すら忘れそうになる。人間って何て都合の良い生き物なんだろうね。自分を見ているとそれを痛い程に感じる。
その日は本当に顔合わせだけで、適当な話しをして終わった。別邸とはよく言ったもので、犬飼以外に人の姿は見当たらない。
犬飼に対する態度での印象、譲さんは厳しそうな人。言ってみれば厳格な父親と言う雰囲気だったけれど、俺に対してはそんな事もなく、終始和かに話しをしてくれて終わった。
帰りは犬飼に送られアパートに帰宅。車内は当然会話もなく、どうやらご主人様に上手く取り入ったダニは相当嫌われたみたいだ。
「じゃあ次の火曜に」
そう言って手を振った俺を完全にシカトしたまま、車は早々に去って行った。
赤錆の浮いた階段をカンカンと高い音を立てて上がり、一番奥の扉の前で何時ものように深呼吸。
笑われるかも知れないけれど、俺は今でも扉を開く事が怖い。漏れ明かりで隆司さんがいるのは分かる。それでも、あの日のように開けたら知らない人間だったらと思うと足が竦む。隆司さんは人を見捨てる人間じゃない。そんな不思議な安心感があるからこそ余計に怖い。
大袈裟に軋む扉をゆっくりと開く。
「おお、おかえり。飯、行くか?」
いつもそう言って微笑んでくれる隆司さん。それが堪らなく嬉しい。帰る場所がある。こんな俺を待っていてくれる人がいる。「おかえり」って、こんなにも優しい言葉だった事を俺は知らなかった。
遅めの夕飯を食べに蒸し暑い夜道を並んで歩く。遠くで白く浮かび上がる巨塔は、俺が服役する前迄工事中だった電波塔。隆司さんはあのスカイツリーを見ては刑務所暮らしが長かった事を思い知らされるとよく言っている。
薄暗い街灯の下を進んで路地裏にある汚い居酒屋は、俺を女と間違えた店主は嫌いだけど、何となく落ち着く気持ちは分からないでもない。嬉しそうに出迎える店主や常連のおっさん達と挨拶を交わして楽しそうに話しているのを、俺はぼんやり見詰める。ぶっきらぼうな物言いと近寄り難い風体なのに不思議とこの人は誰からも好かれる。
軽く飲んで銭湯に向かうのもいつものコース。今時風呂なしアパートなんてと思っていたけれど、銭湯の前でぼんやりと待つ時間も嫌いじゃない。ろくに髪も拭かず慌てて出て来てくれる姿に隆司さんの優しさを感じるから。一緒に入れば焦らせなくても済むのだが、変な性癖の奴に痕が残る程縛られる事もある。夢中になり過ぎて、強く掴まれ腰にくっきり痣が出来るなんてザラだ。何より独占欲の強い奴のキスマークは最悪に質が悪い。見える所に付けられた物はもう諦めているけれど。真っ直ぐにしか人を愛した事のない隆司さんには、この身体は見せられない。
何時でもそう。隆司さんの前の俺は、見栄を張って、汚い本性を隠す。俺は自分の事が嫌い。だから本当の俺を知ればきっと、隆司さんだって離れて行くんだ。
「雪、お前さんの番だぞ。み、だからな」
ぼんやり考えこんでいた俺は、その声で我に帰った。
「みー……水面」
「も?もなんかあるかよ」
そう言って隆司さんは考える仕草を見せる。
最近俺達の間でブームになっているのがしりとり。年が一回りも違うから、会話があまりにも合わない。それでも何か話したくて始めたのがきっかけ。
「あ、盛り合わせ」
「席」
俺の答えに隆司さんはあからさまに顔を顰めた。
「またかよ。き……き……鱚」
「する?」
「しない」
間髪いれずに即答され、思わず笑ってしまった。
「いや隆司さん、しりとりになってないよ」
「……よく言うよ。笑える冗談にもならねえな」
深い溜息を吐いた呆れ顔。このやり取りはもう何度目かだ。〝き〟で攻めて、この流れに持っていく。だけどいつも呆れられるだけで収穫は無いのだけれど。
「何だ。やっぱりつまんない男」
そう言って小さく笑ったら軽く蹴られた。
「こちとらもう三十も半ばを過ぎたんだぞ。お前さんみたいに若くねえんだよ。大体こんなおっさんとしても寒いだけだ」
「だけど俺、隆司さんよりもっと年上の親父のペットだよ?」
「よせよせ!」
聞きたくないと言う様子で先を急ぐ背中をぼんやりと追い掛ける。
隆司さんを想う事が無駄だって分かっているよ。……分かっている。けれど側にいればいる程、手に入らないと分かっていればいる程、俺の心は隆司さんに惹かれる。苦しい位に好きだと思い知らされる。変われるなら変わりたい。あんたに愛される資格のある人間に。
「セックス依存症って、治るのかな」
風がそよとも吹かない夏の夜道に、不思議な緊張の糸が張り詰めた。
「雪……どうした?」
振り向いた隆司さんの顔には驚きが色濃く浮かび上がる。これも分かっているんだ。俺は、多分変われない。苦しさを隠して精一杯笑う。嘘は得意。自分を偽るのも、得意だ。
「せっかく面白くなって来たのに」
「……勘弁してくれよ。驚くだろ」
頭をポンと叩かれて、思わず視界が揺れる。涙を隠して笑う事も、慣れた。
アパートの階段を上るその背中を俺はいつも追い掛ける。この深い闇の底からもしも俺が手を伸ばしたら、隆司さんは助けてくれる?そんな事を少しでも考えた自分が憎い。罪を犯せば罰を受ける。俺の罰は、初めて好きになった相手に自分を晒せない事。その人すら、信じ切れない事。
次の日は優さんと会う日だった。車で迎えに来てくれて、いつも適当に流した後マンションに向かう。クーラーの効いた車内は快適だけど、俺は蒸し暑い地獄のような暑さが好きだ。隆司さんの家がそうだから。扇風機を回しても何の意味も無いんだから笑えるよね。
「……雪、なんか嬉しそうだね」
信号待ちで不意に優さんが小さく呟く。
「そう?優さんと会えたからじゃない?」
わざと素っ気なく吐き捨てた俺に、隣の男はふっと笑った。
「やっぱり恋しているでしょう。可愛い顔をしているよ」
「やめろよ。あんたらしくもない」
俺の手を握る指に力がこもった。優さんはあまり嫉妬をあらわにはしない。例え俺の身体中に他の男との情事の痕が残っていようが、必死で気にしていない風を装う。スマートでいたい。この男はそう言う人。だからこんな反応は意外だった。この男が甘いだけじゃ物足りない事は分かっていた。けれどまだ早い。もう少しこの生温い時間を楽しみたいのが本音。最近、痛いのはあまり好きじゃない。
繋いだ手に頬を寄せて、指先に軽いキスを落とす。
「……怒っているの?」
返事の代わりにまた、痛い程キツく手を握られる。
静まり返る車内。いつも耳心地の良い言葉を紡ぐ優さんの唇は、固く閉じられたまま。この男の変化に気付いてはいた。それでもいつものマンションに向かうと思っていた俺は完全に油断していた。行き先がそこではないと気付いた頃には、既に街灯が極端に減っていた。
「……優さん?」
俺を無視して暗い方へと進む横顔に、何だか壮絶に嫌な予感が頭を過る。
「ねえ、聞いてる?」
返事をしない男に再び声を掛けると、車が静かに停止した。運転する時にだけ掛ける眼鏡を外し向けられた視線が思いの外熱い。
「雪は分かっていた筈でしょう?僕がどんな人間か」
「……何の事?優さんはお手本みたいな紳士じゃ──」
取り繕うように舌を回した途端、乱暴に顎を掴まれ思わず息を詰める。
「嘘、下手になったね」
隠し続けたサディスティックな本能に揺れる瞳が淀んだ光を放つ。思わず払いのけた腕を思いっきり引っ張られ、非力な俺の抵抗を嘲笑うかのように乱暴に唇を塞がれる。
「やめて!ここっ、外だから……!」
街灯が少ないと言えどない訳じゃないし、誰かが通るかもしれない。窓だってスモークも張っていないし丸見えも良いところだ。俺だってそれ位の常識はある。
あまりにも俺が暴れるから漸く観念したのか、優さんは今迄見た事のないような冷たい視線で俺を見下ろした。
「断言するよ。その恋は雪を壊す。誰の物にもならないし誰にも屈しない。そして誰も愛さない。それが君の魅力だ。それに、君は手に入れたら満足してしまうでしょ?これ以上罪を重ねるのはやめて、俺の腕の中で暗い遊びに溺れていれば良いんだよ」
冷たい言葉の裏側で燃燻る嫉妬の揺らめきが、胸に痛い。
そう。その通りだよ。俺はきっと手に入れてしまったら隆司さんですら興味が失せる。こんなにも心が求めていても、泣きたくなる程に好きだと、自覚したとしても。そう言う人間。どこ迄行っても欠陥品。
突き付けられた真実が心に影を落とす。胸の奥で眠る本性がゆっくりと頭を擡げた。
バカな男。あんたが引き摺り出したものはね、スルリと腕をすり抜け紅い舌を出して笑う可愛い小悪魔なんかじゃない。この手で堕落と言う闇の底へと導いた人間を見ても眉一つ動かさない、正真正銘の悪魔だよ。
冷たく見下ろす男の首筋に唇を這わせ、薄いシャツに掛かった手をそっと制す。
「だったら精々、楽しませてよ」
耳元で囁いて、舌先で遊んであげれば男の唇から熱い吐息が漏れた。深く倒れ込むシートの上、どちらとも無く舌を絡め、俺達は飢えた獣の如く、快楽を貪る為の前戯を始めた。顎を捕えていた指先が、滑る舌の変わりに唇の端から差し入れられ、態とらしく吸い付いて立てた水音が、悪戯に淫靡な空気を回す。唇の端から伝う唾液が余計に芯を熱く濡らし、馬乗りになった男の膝が、硬くなり始めた股座を無遠慮に押し上げる。
「んっふ……ん……」
指をしゃぶりながら上目遣いでねだってやれば、男は獲物を前に思わず悩まし気な舌舐めずり。
「もう、我慢出来ない?」
我慢出来ないのは、どっちも同じだ。腰をくねらせ催促すると、唇から引き抜かれた指先が、糸を引いて鎖骨へと落ちて行く。プツンと音を立てボタンが弾け、露わになった汗ばんだ薄い胸。魅惑的な紅い舌が辿るのは、快楽の道筋だ。
「ん……あ、ぁん……」
蓋を無くしただらしのない唇からから漏れるものは、これまたふしだらな甘い吐息。
「ねえ、どうして欲しい?」
まるで花開く直前の腫れ上がった桜色の蕾は、蜜を吸われる度に、鮮やかな薔薇色へと変わって行く。
「はやくっ……ほし、い──」
切な気に上げた声が甘く掠れた。
「その声、好きだよ」
安っぽい娼婦のような、安っぽい誘惑。色香に酔った男の脳には、そんな物でも十分だ。
人の心は不思議な物で、一秒前に思っていた事がコロリと変わる事がある。痛みが欲しい。何もかも忘れてしまう程の、痛みが欲しい。常識?そんな物、風が吹けば変わるもんだ。
狭い助手席の、男の下。不自由な体制で、精一杯股を開く。男が荒く息を吐く度に、滴る汗が額を濡らす。もっと、強く、貫いて欲しい。誰が通るかも分からない暗い夜道。路肩に寄せた車に点るハザードが、一定のリズムで揺れる。乱暴な男の腕の中で、俺は快楽に溺れたフリ。けれどどんなに身体が熱く熱を帯びても、頭の芯は冷め切っていた。
父さんに男を教え込まれた日から、俺の心の中に生まれた小さな亀裂。幼い頃は飛び越えられそうだったそれは、今ではもう、対岸すら見えない。俺はその間を渡る細い綱を目を閉じて歩く。誰かの言葉で右に、左に進路を変えて。辿り着く事の叶わない、永遠の綱渡り。口を開けて待つものは何時でも深い深い闇だ。変わらない。変えられない。そして二度と、戻れない。純粋に、真っ直ぐに、愛を信じて生きていた頃には。
隆司さんの事を好きになった事こそ、何よりの罰。それに気付いたのは、隆司さんと一緒に暮らし始めて一年が経った冬の事だった。
あの日から俺はまるで母さんに復讐していた日のように、男を本気にさせては慈悲もなく捨てるようになった。何でそんな事をするのか自分でも分からない。誰に復讐する訳でも無いのに、止められなかった。「愛している」そう言われる度に、胸の奥からせり上がる嫌悪感に耐え切れなかった。
愛なんかいらない。甘い囁きもいらない。それでも誰かに抱かれて、安息を得る自分がいる。俺は一体、何を求めているのだろう。罪を重ねる毎にそれが分からなくなっていた。
そんな日々がもう、半年過ぎた。隆司さんとは相変わらず。何の進展も無ければ、何の変化も無い。隆司さんはいつも優しくおかえりと言ってくれる。それだけでもう、十分。それ以上望む事が出来ないのは、こんな自分が後ろめたいから。
そして年が明けて早々に、俺は将生さんに呼ばれてとある料亭に足を運んだ。この男とは一度切れて以来、身体の関係はない。だからこの人の呼び出しは大概説教。
今日も深い溜息の後に、心底面倒臭そうな視線が投げられた。
「何で勝手に契約切る訳?これで何人目?」
やっぱりその事かと思う程、今日の説教の内容は察しがついていた。それと言うのも、一昨日高見と言う男に飽きて一方的に契約をブチ切った際、彼が相当憤慨していたから。
「男なんか三ヶ月で飽きる」
三ヶ月以上もっている男は二階堂さん位。それも、あっちが忙しくて会う暇がないから。優さんもとっくに捨てた。あの人は最後迄エセ紳士を貫いて見せたけれど、家庭が壊れて行った事を俺が知らないとでも思っていたのだろうか。
将生さんはそんな俺を見て再び深い溜息を吐いた。
「もうちょっと穏便に頼むよ。高見さん凄い怒っていたよ?」
「ヤクザなんだからそんなの慣れているだろう。大体あんたに半額は入れてんだから文句言うなよ」
俺の場合、マージンとして半額差っ引かれる。半額取られても一人頭月五十万前後だから全く悪くはない。まあ、物欲は無いし、金なんて生きていける位あれば良い。そんな感じだから特に文句は無いけれど、こんな風に説教された日はそれを引き合いに早く切り上げるに限る。
「……分かったけどさ。もっと上手くやりなよ。いつかみたいに痛い目みるよ?」
その言葉に俺はつい鼻で笑ってしまった。
「上手くやって付き纏われたら堪ったもんじゃないよ。あんたにはこの気持ち分かると思ったんだけど?」
大人になって俺は、僅かでも期待を残して去る事は危険だと知った。恨みを買った方がまだマシ。愛ってもんは例え思い込みでも勘違いでも、歪み易くて壊れやすい事には変わりない。柔らかくて、繊細で、酷く不安定。隆司さんのように人を愛せる人間はあまりいないと思う。将生さんがどう言う環境で育ったかは知らないけれど、俺達は似ているからこの気持ちは分かる筈だ。信じていた物に裏切られ、堕ちた人種。俺達はそう言う弱い人間だ。
「へえ。雪も少しは大人になったんだね。……久しぶりにどう?」
そう言って軽く顎を持ち上げられ、過去の記憶が駆け巡るように身体が熱を持つ。数え切れない男に抱かれたけれど、やはりこの人程相性の良い男はいなかった。
「お望みなら」
とびきり妖艶に微笑んだ俺に、将生さんは冷たい視線を投げる。
「相変わらずとんだ子猫ちゃんだね。山室の事を想って胸が痛いとか、そう言う可愛い感じない訳?」
この人の口からそんな言葉が聞けて、思わず笑ってしまいそうになる。何人間臭い事を言っているんだよ。白井将生の癖に。
「そう言うガキ臭いの、終わったみたい」
何時からか俺は、隆司さんの事を想って誰かに抱かれる事に何も感じなくなった。何も感じなくなったのとは違うけれど、諦めが付いたのだと思う。誰かを傷付ければ傷付ける程、俺の心の中であの人は遠ざかっていく。例え奥さんの事が無くても俺には無理だ。そう思い知らされる。
ふっと手を離すと、将生さんはポケットから取り出した煙草に火を付けた。
「つまんないね」
天井に向かって紫煙を吐き出す横顔は本当につまらなそうだ。
その後は運ばれて来た高そうな食事を食べて、将生さんの家でシャワーを浴びて帰宅した。色褪せた扉を開くと、隆司さんは丁度歯を磨き終わった所だった。
「おお、おかえり。またお説教か?」
小さく頷く俺の頭を軽く撫でて、お疲れさんと言う優しい表情に、ふと去り際将生さんに掛けられた言葉を思い出す。
「誰かの為に自分を犠牲にするなんて、バカだと思う?」
俺はそれに何も答える事が出来なかった。心の中では答えが出ているのに。多分、将生さんの答えも同じだ。そして俺の答えも、あの人は分かっている筈。なのに何故そんな事を聞いたのかは全く分からなかった。
「お前さん明日休みだって?」
「うん。隆司さんは仕事でしょ?」
「将生さんは人使いが荒くて参るよ。お前さんもたまにはゆっくり休みな」
そう言って布団を敷く隆司さんの隣に、俺も自分の布団を並べる。布団を敷きながらのこう言う会話が結構好きだったりする。付き合った事がないから、こう言うものが同棲している恋人同士の感じなのかなとかガラにもなく考えたり。本当俺は都合が良いよ。
次の朝。遠くで扉の閉まる音がして、ゆっくり目を覚ます。心の中でいってらっしゃいと呟いて、直ぐに再び目を閉じた。冬は全然布団から出れない。冬生まれで名前も雪なのに可笑しい。いつもそう母さんに笑われていた。何でそんな事を思い出したのだろう。もう直ぐ、誕生日だからかな。隆司さんがくれた、運動場の隅のあの人の隣が酷く恋しくなった。
布団から這い出して、押入れにしまわれた隆司さんの布団に潜り込むと、あの人の優しい匂いがした。キツい香水の匂いよりも、俺はこっちの方が好き。まるで抱き締められてるみたいな感覚にふと涙が零れた。どうして俺は、恋なんかしたのだろう。変われないのに。他人を傷付ける事しか脳がない癖に。隆司さんの事を想う時。悪魔は姿を隠す。それに気付くと必ず、自分が堪らなく嫌いになる。
その日は言われた通りゆっくり休んだ。家でぼんやりとテレビを見て、適当に部屋を掃除して。料理なんか作った事もないから昼は近所のコンビニに行って済ました。
それでも一時を過ぎたら本当にやる事がなくなって、俺はフラリと家を出た。特に行き先を決めている訳でもない。電車に乗って、好きな所で降りる。何をする訳でもなくぶらぶら歩き回ってまた電車に乗る。それを繰り返す意味の無い時間。
ふと気付けば電車は浅草で停車していた。あれから時間が合えば寄席に連れて行ってもらっている。何となく、あの人が寄席に足を運ぶ理由が分かった気がしたから。一人では絶対行かないけれど。
そんな緩い休日の時間を過ごし、日が落ちた頃俺は家路に着いた。すっかり辺りは真っ暗で、低い家屋から漏れた灯りが弱い街灯の手助けをしてくれている。銭湯があって、古い民家が立ち並んでいて、小汚い店の多いこの町が俺は何時しか好きになっていた。治安だってそんなに良くはないけれど──。
そこでふと俺はある事に気付いた。何処からだろう。多分、つけられている。T字路のミラーで確認すると、やはり途中下車した駅で何度か見かけた品の良いダークブラウンのコートを着込んだ眼鏡の男が写った。
……ストーカーだろうか。試しに走ってみたら、男はやはり走って来た。逆恨みで思い当たる節なんか腐る程ある。チラリと腕時計を確認すると、今は十八時過ぎ。隆司さんが帰って来る迄ざっと一時間。どうしようか悩んだ挙句、猛ダッシュで家に帰る事にした。家に着いたら帰り道気を付けるよう隆司さんに電話すれば良い。方針が決まったら後は行動に移すだけ。
こんなに走ったのは生まれて初めてと言う位、全力で走った。わざと遠回りしまくってアパートの階段を駆け上がり何とか扉迄辿り着いた。しかし慌てて鍵を差し込もうにも手が震えて上手く入らない。漸く鍵が入ると同時に階段を駆け上がる高い音が耳に触った。
何なんだ。一体どこ迄来るつもりだ。鍵を回して扉を思いっきり開き、身体を中に滑り込ませた途端、あろう事か男は背中からダイブして来た。打ち付けられた身体に走る痛みと、のしかかる重みに思わずキツく目を閉じる。
「誰かっ……!助けて!」
こいつ、危ない人間だ。何でもっと早く隆司さんに電話しなかったんだ。喚きながら暴れまわる俺をものともせず、簡単に手を床に押さえ付けられてしまった。
「……雪、俺だよ?」
耳元に触った声に思わず、息を呑んだ。俺の名前を知っているからじゃない。その声には聞き覚えがあった。ゆっくり目を開けて、のしかかる男を確認する。
「……とう、さん?」
俺が復讐に利用したあの大学教授が、瞳に涙を溜めて俺を見下ろしていた。
「雪、ごめん、こんな事をして。駅で君を見かけて、ついついて来てしまった。……どうして俺を捨てたの?俺達あんなに、愛し合っていたのに」
頭が回らない。どうする。何て答える?それよりあれからもう四年近く経つのにこいつはまだそんな夢を見ていたのか。しかしこうなってしまったら俺の答えなんか望んでいない。既に硬いものを押し付けられているこの状況で、打開策はもうこの家からどうにか出す事だけだ。
「あの時はごめんなさい……もう一度ちゃんと話そう?」
そう言うと義父は漸く身体をどけた。目が据わっているし、汗も酷いし息も荒い。これはとても普通じゃない。警戒しながらもゆっくりと立ち上がる。刺激しないように、外に連れ出せば良い。謂わばここは俺の聖域で、最後の砦。抱きたいなら抱かせてやるけどここでは絶対嫌だ。
「ここじゃあれだから、外でね」
自分で呆れる程こんなに上手い言い訳が思い付かない事も珍しい。しまったと思ったけれど、やはり義父は逃げると勘違いしたのか、再び乱暴に俺の腕を掴んだ。
「ここ、雪の家じゃないの?ここで良いだろ?」
「うん、まあ、そうなんだけど……ここほら、壁薄いから」
隣は空き部屋だけど。そんな事よりも俺は自分で墓穴を掘っていた。話しをしようと言いつつ、壁が薄いって……もうなんか、本当こんな自分が嫌だ。
「……やっぱり俺の事まだ」
喜々としてすわった瞳を輝かせる男にゾッとした。
「違う!あの、義父さん!」
俺が行きたい扉とは逆方向に引き摺られ、なす術もなく抱き締められた。
「良い匂い……。香水、変えていないんだね」
「うん、あのやっぱり外でさ、ちゃんと話そう?」
諦めの悪い俺に義父はとうとう我慢の限界がきたのか、再び冷たい床に組み伏せられた。
「言葉はいらない。……そうだろ?雪」
そうかも知れないけれど、いやもうそう言う事じゃなくて……。頭のネジがイっちゃった人間の対処法をぐるぐる頭で考えているうちに、義父は遠慮も無く服に手を掛け始めた。
「いやっ、やだ!お願いここでは嫌だっ!」
必死で暴れてみても、全くふりほどけない。抵抗されると燃える人種だとは分かっている。分かっているのに上手く操れない焦りに、俺の思考はどんどんと呑み込まれて行く。
「んんっ……!」
乾いた唇で必死に貪られれば息も付けない。この人を駆り立てる、俺への想い。捻れて、歪んで、壊れてしまった。気持ちを残した別れはやはり、こんな事になる。
「ん……くるしっ……!」
「ここ、好きだったよね?変わってないね」
服の中に滑り込んだ指が冷た過ぎて、身体が反射的にピクリと跳ねる。お願い、俺の体なら言う事を聞いてくれ。感じたくないんだ。
「と、さん……やめてっ!」
その言葉は逆効果だと分かってるいのに、俺の頭の中はそれ程に冷静じゃなかった。暗い背徳心のもたらす甘美な快楽を教えたのも、仕込んだのも俺だ。
解す事も濡らす事もせず耐え切れず性急に腰を進められ、あまりの激痛に止め処無く涙が溢れる。構う事なく躍動を開始され、堪らなく痛みから逃れようとすればする程、義父はキツく押さえ付けて来た。こう言う時にどう動けば良いかなんて分かっている。けれど生理的な身体の動きはどうしようもない。しかし軽い引き付けを起こしながらも俺の身体が徐々に解れて行く。本当恨めしいよ。歯を食いしばったって、良い声で啼ける自分が。
「あ、あぁっん……も、だめっ……!」
「俺もっ……もう……!」
間も無く互いに上り詰めようって時に、不意に薄い扉が音を立てて開かれた。
嘘だろ──一瞬頭の中が真っ白になって、次いで身体が大きく跳ねた。
「あっいやああっあぁぁ──」
セーブの効かなくなった男の突き上げに、俺は呆気なく果てた。涙で滲む視界の隅で口を開けたまま立ち尽くす、隆司さんの姿が映る。最悪──。
「きっ君は誰だ!?不法侵入で訴えるぞ!」
どうでも良いから、抜いてくれ。挿れたまま、動かないで──。喚く義父を足で押し退けた瞬間、未だ猛る怒張が内壁を擦りながらずるりと抜ける感触に、また背筋をせり上がる快感が酷い嗚咽を呼んだ。
「……俺は家主だが。あんたこそ誰だ?」
「えっ!?俺はそのっ……ゆっ雪の……」
狼狽えちゃって、情けない。上がる息を何とか抑えて、俺は必死で笑って見せた。
「新しい男だよ。ホテルがいっぱいでさ。ごめんね?」
義父さんは悪くない。悪いのは、全部俺だ。俺の答えにも隆司さんは眉一つ動かさない。見た事もない冷たい表情に、思わず涙が溢れそうになった。
「……あんた、ちょっと出ていてくれるか?」
鋭い睨みに縮み上がった義父が慌てて出て行くと、ティッシュを箱ごと投げ付けられた。
「……何で、こんな事をした」
「何でって?あんたに言う必要ある?」
生意気に吐き捨てた瞬間、隆司さんは思いっ切り玄関の土壁を殴り付けた。余りにも唐突な轟音に、身体がビクリと跳ね上がった。壁にめり込んだ拳が、怒りに震えている。
「頼むから、外でやってくれないか。一緒に暮らすにはルールってもんがあるんだよ。守れねえなら、出て行け」
そう吐き捨てると隆司さんはアパートを後にした。
本当の事を言ったら信じてくれた?こんな汚い俺を、守ってくれた?そんなのあり得ない事は自分で良く分かっている。それに信じるって何を?守るって何から?全部自業自得だよ。バカな俺。
「雪……あの男と、その、付き合っているのか?」
何時の間にか戻って来た義父が心配そうに俺を見詰める。
「付き合っていたら?お陰様で出て行けって言われたよ」
「雪、ごめん……。それでも、愛しているんだ」
その言葉に思わず盛大に笑ってしまった。
「俺がこの世で一番嫌いなのはその〝愛している〟って言葉だよ、義父さん。俺は生まれてこのかた誰一人、愛した事はない。何よりもセックスが好きでね。嘘を吐いて誘って、色んな遊びを楽しんでいるだけなの。そもそも、あんたの名前も知らないしね」
呆然と立ち尽くす男の耳元に唇を寄せて、最期の言葉を囁いてあげる。
「分かったら出ていって?大丈夫。ここを出たらあんたは幸せになれるよ。こんな物は悪夢だったって、忘れてしまえば良い」
肩を落とし、アパートを去る後姿を、俺はぼんやりと見送った。
誰が罪は償う事が出来ると考えたのだろう。罰を受ければそれで良いの?心の底から反省すれば罪は消えるの?俺はそうは思わない。どんな罪も償う事は出来なくて、間違いを犯すたびに足枷が一つ増えて行く。忘れるなと、許される事はないと、思い知らせる為に。
俺はこの重い重い足枷を、一体幾つ引き摺って生きて行くのだろう。何でこんな事を繰り返す。自分でも分からない。誰かに愛されれば愛される程、抉るように深く俺の心は傷付いて、隆司さんを想えば想う程に、そんな自分の汚さを突き付けられる。
冬の澄んだ藍色の空を見上げて、漸く気付いた。こんな俺が誰かを好きになる。叶う事のない、報われる事のない無駄な想い。それでもどんなに頑張ってみても、捨て去る事の出来ない厄介な感情。上手く息が付けない程に胸が苦しくて、涙で一寸先すらも見えなくて、それでもただ、隆司さんを想う。これこそ何よりの、罰だ。
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