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天国と地獄 ③
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辺りは、強い乳白色の閃光に包まれた。
『 イオリ、イオリ…』
聞き覚えのある、若い女性の声が何処からともなくこだましてきた。
ーアオイさん…?
『イオリ、 聞いて。あの子は、そのうち、黄魔になる。』
サトコは、ハッとしアオイの声に耳を傾けた。
時間が、止まって見える。
『 大丈夫。私が時間を止めたから。』
サトコは、ハッとした。
『 この少年に取り憑いた霊の事は、大体知ってるわ。彼は、霊気が大分乱れている。この、魔王は彼の辛い過去を踏みにじって完全な悪霊にしようとしている。この少年の霊を救いたければ、この悪霊を先ず、何とかしないと…』
サトコは、不安になりアオイに疑問をぶつけてみた。
『 私は、どうすればいいの?』
サトコは、心の声で彼女と通じていた。だが、それに疑問を感じず、当たり前のような感覚になっていた。
『この魔王の、 魂の層、霊相を読むのよ。』
『 霊相…!?どうやって…?』
『 奴を見て、霊気の流れを読んで。そして邪気の渦を感じ取るのよ。』
『 そんな、そんな事、私には…』
サトコは、戸惑った。
アオイの言っている事が、異次元過ぎてついて来れなく感じてしまう。
『 大丈夫。あなたは私の妹だもの。』
アオイは、優しく力強い声を出した。だが、サトコは未だ不安が強かった。
『 でも、私見て、分かるでしょう…どういう状況か…』
『 大丈夫。あなたは、何でも出来る。』
アオイのその言葉に、強い芯の強さを感じた。その自信は、何か確証があるのかが、よく分からない。
だが、サトコは、今なら何でも出来そうなきがした。
『 分かった。やってみる。』
サトコは、自分とアオイを重ねて想像してみた。
『 アオイさん、力を貸して!』
目を閉じ全神経を集中させ、アオイのようになった自分をイメージしてみる。
それは、魔なる存在を払い除ける、不思議な神通力だ。
藤巻の身体に、黒紫色のオーラが巡っているように見えた。
サトコは、タイミングを見計らった。
禍々しい黒紫色のオーラは、丁度、サトコの体内に循環しようとしていた。
サトコの身体は、みるみる熱くなった。身体の芯から、乳白色の光がメラメラ横溢する。
そして、両手の握り拳から、眩い白い閃光が放出された。
「ぎゃああああ」
藤巻は、悲鳴を上げた。
彼女の身体は、みるみる溶けていき、そして蝋人形のように爛れたような状態になって、動きを止めた。
サトコは、その隙に藤巻からサジタリウスを奪い返し、彼女を発砲しようと引き金を弾いた。
弾丸は、見事に彼女の額にクリーンヒットした。
「今まで、優しくしてきたのに、その恩を仇で返すなんてね…」
藤巻の声は、みるみる低くしゃがれたようになっていった。
サトコは、その声を聞いてゾッとした。
ーやっぱり、あの不可解な事件の犯人は、藤巻先生ー!?
「サトコちゃん、さあ、こっちおいで、帰りましょう。」
藤巻の身体は、ドロドロに溶けやがて粘土細工のようにぐにゃぐにゃにゆがみ、そしてトンガリ帽子の少女を象った樹木の姿に様変わりした。
サトコは、瞠目しその異形の化け物へと視線を移した。
ー信じられない…
今まで、優しかった筈の藤巻さんの正体が、異形の化け物だったなんてー
サトコは、ショックで声が詰まりそうになった。
「聞き分けのない子ね。お仕置きしてあげる。」
人型の樹木のような化け物は、丸く大きな目のような窪みを、赤くカチカチ点滅させ、こちらを見ている。
それは、神話かゲーム世界に出てきそうな妖樹を彷彿としていた。
そいつは、両腕を蛇のようにうねうね畝らせ、こちらに近付いてくる。
何とか気力を振り絞り、サトコはゴクリと唾を飲み込む。
「あなたが、この界隈で次々と悪霊を呼び寄せ霊障を引き起こした張本人ですよね?そして、あなたはアリアの妹さんですよね。」
「御明答。よく、分かったわね。」
魔物は、カチカチ窪みから赤い光を点滅して話した。
ドライアイスのような、乾いた低い女の声ー
妖樹のような、鬼のような不可解で恐ろしい化け物を目にしながらも、サトコはじっとそれと向き合った。
ー大丈夫。私には、アオイさんがついているから。
「施設内で不可解な霊現象が起きた時、あなたの姿だけいつも見た覚えがないんですよ。多分、本来のこの姿になったか、他の誰かに変身していたかでしょう。その間にも、あなたは生身の人間を喰らい続けていたんですよね?あなたは、いつも台所にいました。包丁で硬いものをきり刻む音がしました。あれば、多分、骨です。台所の勝手口を出た辺りに、確か生ゴミを棄てる箱がありますからね。そこの奥に人骨を埋めてあるんでしょう。」
「あら、素晴らしい回答です事。あなた、見かけによらず、結構、頭が冴える方なのね?」
「あなたは、まじないか何かで、霊を呼び寄せた。そして、次々と悪霊に変え霊現象を引き起こしてきたんです。その線香のような匂いが、その証拠です。あなたは、この辺りの寺や仏壇に行って何らかのまじないをやって、霊をおびき寄せたんです。」
「フフフ、素晴らしい回答だわ。全部あなたの推理通りよ。私は、私の理想郷を作りたかったの。」
「何の為にですか…?」
「それは、光と闇が反転する世界、死者が生者を支配する世界よ。」
時間が完全に停止した奇妙な世界の中で、フフフ…と、辺りに不気味な笑い声がこだました。
『 イオリ、イオリ…』
聞き覚えのある、若い女性の声が何処からともなくこだましてきた。
ーアオイさん…?
『イオリ、 聞いて。あの子は、そのうち、黄魔になる。』
サトコは、ハッとしアオイの声に耳を傾けた。
時間が、止まって見える。
『 大丈夫。私が時間を止めたから。』
サトコは、ハッとした。
『 この少年に取り憑いた霊の事は、大体知ってるわ。彼は、霊気が大分乱れている。この、魔王は彼の辛い過去を踏みにじって完全な悪霊にしようとしている。この少年の霊を救いたければ、この悪霊を先ず、何とかしないと…』
サトコは、不安になりアオイに疑問をぶつけてみた。
『 私は、どうすればいいの?』
サトコは、心の声で彼女と通じていた。だが、それに疑問を感じず、当たり前のような感覚になっていた。
『この魔王の、 魂の層、霊相を読むのよ。』
『 霊相…!?どうやって…?』
『 奴を見て、霊気の流れを読んで。そして邪気の渦を感じ取るのよ。』
『 そんな、そんな事、私には…』
サトコは、戸惑った。
アオイの言っている事が、異次元過ぎてついて来れなく感じてしまう。
『 大丈夫。あなたは私の妹だもの。』
アオイは、優しく力強い声を出した。だが、サトコは未だ不安が強かった。
『 でも、私見て、分かるでしょう…どういう状況か…』
『 大丈夫。あなたは、何でも出来る。』
アオイのその言葉に、強い芯の強さを感じた。その自信は、何か確証があるのかが、よく分からない。
だが、サトコは、今なら何でも出来そうなきがした。
『 分かった。やってみる。』
サトコは、自分とアオイを重ねて想像してみた。
『 アオイさん、力を貸して!』
目を閉じ全神経を集中させ、アオイのようになった自分をイメージしてみる。
それは、魔なる存在を払い除ける、不思議な神通力だ。
藤巻の身体に、黒紫色のオーラが巡っているように見えた。
サトコは、タイミングを見計らった。
禍々しい黒紫色のオーラは、丁度、サトコの体内に循環しようとしていた。
サトコの身体は、みるみる熱くなった。身体の芯から、乳白色の光がメラメラ横溢する。
そして、両手の握り拳から、眩い白い閃光が放出された。
「ぎゃああああ」
藤巻は、悲鳴を上げた。
彼女の身体は、みるみる溶けていき、そして蝋人形のように爛れたような状態になって、動きを止めた。
サトコは、その隙に藤巻からサジタリウスを奪い返し、彼女を発砲しようと引き金を弾いた。
弾丸は、見事に彼女の額にクリーンヒットした。
「今まで、優しくしてきたのに、その恩を仇で返すなんてね…」
藤巻の声は、みるみる低くしゃがれたようになっていった。
サトコは、その声を聞いてゾッとした。
ーやっぱり、あの不可解な事件の犯人は、藤巻先生ー!?
「サトコちゃん、さあ、こっちおいで、帰りましょう。」
藤巻の身体は、ドロドロに溶けやがて粘土細工のようにぐにゃぐにゃにゆがみ、そしてトンガリ帽子の少女を象った樹木の姿に様変わりした。
サトコは、瞠目しその異形の化け物へと視線を移した。
ー信じられない…
今まで、優しかった筈の藤巻さんの正体が、異形の化け物だったなんてー
サトコは、ショックで声が詰まりそうになった。
「聞き分けのない子ね。お仕置きしてあげる。」
人型の樹木のような化け物は、丸く大きな目のような窪みを、赤くカチカチ点滅させ、こちらを見ている。
それは、神話かゲーム世界に出てきそうな妖樹を彷彿としていた。
そいつは、両腕を蛇のようにうねうね畝らせ、こちらに近付いてくる。
何とか気力を振り絞り、サトコはゴクリと唾を飲み込む。
「あなたが、この界隈で次々と悪霊を呼び寄せ霊障を引き起こした張本人ですよね?そして、あなたはアリアの妹さんですよね。」
「御明答。よく、分かったわね。」
魔物は、カチカチ窪みから赤い光を点滅して話した。
ドライアイスのような、乾いた低い女の声ー
妖樹のような、鬼のような不可解で恐ろしい化け物を目にしながらも、サトコはじっとそれと向き合った。
ー大丈夫。私には、アオイさんがついているから。
「施設内で不可解な霊現象が起きた時、あなたの姿だけいつも見た覚えがないんですよ。多分、本来のこの姿になったか、他の誰かに変身していたかでしょう。その間にも、あなたは生身の人間を喰らい続けていたんですよね?あなたは、いつも台所にいました。包丁で硬いものをきり刻む音がしました。あれば、多分、骨です。台所の勝手口を出た辺りに、確か生ゴミを棄てる箱がありますからね。そこの奥に人骨を埋めてあるんでしょう。」
「あら、素晴らしい回答です事。あなた、見かけによらず、結構、頭が冴える方なのね?」
「あなたは、まじないか何かで、霊を呼び寄せた。そして、次々と悪霊に変え霊現象を引き起こしてきたんです。その線香のような匂いが、その証拠です。あなたは、この辺りの寺や仏壇に行って何らかのまじないをやって、霊をおびき寄せたんです。」
「フフフ、素晴らしい回答だわ。全部あなたの推理通りよ。私は、私の理想郷を作りたかったの。」
「何の為にですか…?」
「それは、光と闇が反転する世界、死者が生者を支配する世界よ。」
時間が完全に停止した奇妙な世界の中で、フフフ…と、辺りに不気味な笑い声がこだました。
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