婚約破棄をされましたが、婚約解消された隣国王太子に恋しました。

はゆりか

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2、婚約破棄

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あまりに非常識な事に流石の私も呆れてしまう。

「ローライ様にも確か婚約者がいらっしゃいましたよね。そちらは大丈夫なのかしら。」

「いや…あの…その…お恥ずかしながら先日破談になりまして…」

なに?その話。私が聞いてませんが。
嫁ぎ先の家庭事情は把握しているつもりでしたが…

「破談に?確か伯爵家の御令嬢だったかと…ゴーイン伯爵だったかしら?」
「はい…」
「何故破談に?」

私が聞くとローライ様は俯きウジウジとしている。

あぁ…こういうところが破談理由かしら。
確かローライ様はマイク様と1つしか違わないのよね。
18歳でこれだと…なんとなくだが納得してしまう。

マイク様の考えがよくわからないけど、とりあえず今は夜会には行かなくては。

「なんとなく事情はわかりました。ローライ様に現在婚約者がいらっしゃらないのであればよろしくお願いします。後でしっかりマイク様には説明して頂きますので。」

私はそう言って微笑むと右手を前に出す。
ローライ様は慌ててその右手に手を差し伸べると私をエスコートする。

そのまま馬車に乗り込みランベスト公爵家へと向かうが、道中は無言で居心地が悪い。

こんな気分で久々の夜会に行く事になるなんて…


ランベスト公爵家に着きローライ様にエスコートされて馬車を降りる。

ローライ様はおどおどとしているけれどもエスコートに関してはマイク様よりスムーズでやりやすいわ。マイク様はちょっと強引なのよね。



そのままローライ様のエスコートに従い夜会会場に進み会場に入るとすで会場は人に溢れていた。

何人かは私に気づき礼をする。
私はそんな人々に微笑みを返す。



奥に進んで行くと友人達と談笑しているマイク様を見つけた。

楽しそうに友人達と話をしているマイク様。
私を迎えにも来ず、エスコートもせずに友人と談笑って…


何事ですの?


私の抑えていた怒りがふつふつと身体中湧き上がってくる。
それでも人前。私は国を代表する皇族の1人。
怒りをなんとか押さえ込む。



そんな私を見て隣にいるローライ様は急に深々頭を下げる。

「申し訳ありません。皇女様…」

急に謝られて私は焦る。

「ローライ様。こんな所でやめてください。よくわかりませんが頭を上げて。」

私がローライ様をなだめていると、それに気づいたらしいマイク様が私に近づいてくる。

「待っていたよ。ティナ。」
マイク様はいつものように私に優しく微笑み掛ける。

待っていた?
待たないで迎えに来なさいよ。

「ティナ。聞いたよ。君は皇族という立場を利用して他の御令嬢達にかなり酷い対応をしていたそうだね。」

マイク様は笑顔を崩さないまま私に冷たく言う。

はっ?
何をいってるの?
酷い対応?いつ?


マイク様の方を見るとマイク様の傍にくっつくように立っている1人の令嬢が目に入る。

たしか…ローライ様の婚約者だったゴーイン伯爵令嬢…接点が全くなかったので名前は思い出せない。

「何か言ったらどうだい?ティナ。」
マイク様が笑顔を崩して私を嫌悪する目で見つめる。

「何を言われているか私にはわからないのですが…」

私の言葉にマイク様は馬鹿にしたように笑う。

「無意識に高飛車なのだな。」


はい?

皇女として恥ずかしくない立ち振る舞いはしてますが、高飛車にした記憶も人を見下したりした記憶はございませんが?


「ティナ。私は今まで君を婚約者として大切にしてきたがもう君を婚約者として見る事はできない。いつもいつもうるさいし、もう子守はうんざりだ。真実の愛に私は目覚めたから君との婚約はなかった事にしてほしい。」

そう言ってマイク様は隣にいたローライ様の元婚約者を抱き寄せる。

えーと…
はい?

あまりの事で私は頭が回らない。
隣にいるローライ様は悲しみからか恐怖からかフルフル震えてる。

要するにローライ様の婚約者とマイク様が恋仲になり、ローライ様は破談に。私は婚約破棄されると言うことですか?


この人…大丈夫ですか?
公爵家の長子であるマイク様が皇族である私に婚約破棄?
しかも弟の元婚約者と恋仲って…

馬鹿ですの?


夜会会場を見渡すとまだ大半が出会いを求めて夜会に参加する様な若い年代の招待客しかいない。

まだ招待状にあった夜会の開始時間より早いからでしょう。

ちらほらと現職貴族の方々もきているけど公爵も公爵夫人もまだ来ていない。あと何分もしないうちには来ると思いますが…

マイク様の事です。このタイミングを見計らっていたのでしょう。


事の大きさに気づいて焦る人々。
面白いことをしていると興味本位で見ている人。


私は呆れて言葉も出ない。


最低。
最悪。
腹が立つ。


「マイク様はずっと私がそんな事をする女だと思われていたと。」

私はその苛立ちを隠してマイク様に微笑んで言う。

「私だけではない。みんなが思っている事だ。」

マイク様は私に軽蔑した目を向けてから隣の伯爵令嬢を見て、自身の取り囲み友人達に目を向ける。



みんな…ねぇ…

誰を指してみんななのかしら?
自身の取り囲み数人ではみんなという表現はおかしいわよ。

私は思わずため息をついてしまう。

その姿が気に入らなかったらしくマイク様は私に近づき腕を強く握る。

「いたっっ」
「人を見下して自分の過ちに対して悪いとすら思わないのか?」


見下す?見下しているのは貴方ではなくて?

「私が皇族だと言う事はご理解いただいているのですわよね?」

私はマイク様を睨みつける。

「ほら。そういう所だ。可愛らしくない。たとえ皇族とはいえ、いずれ我公爵家に降嫁し、私のお陰で公爵夫人になるのであれば私に対してもっと敬うべきだろう?なのに年下のくせに私に色々と言ってきて…ずっと腹が立っていた。」

この人は何を言っているのでしょうか?

我が公爵家ってまだ貴方は公爵家を継いでいないでしょう。

しかもまだ貴方のお父様はバリバリの現役で後継を誰にするか公言されていませんわよ。

そして何よりも私が公爵家に嫁ぐ事により利があるのは皇族と縁を結べる公爵家の方ですのに…


バカバカしい。



「くだらない。もうこんな茶番に付き合ってなんていられません。婚約破棄喜んでお受けしますわ。金輪際マイク様と私は無関係。よろしいですわ。さようなら」


私はそれだけ言うとマイク様から掴まれた腕を振り払い夜会会場を後にした。



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