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60.
放課後になり、私は足早に温室へと向かう。
食堂での出来事の後、色々の人から心配をされた。
友人であるセリーヌやマリリン、ルーラをはじめ、クラスメイト達は私に対して何かを聞きたそうにソワソワしていたけど、空気が読めるミランダとハイスさんがさりげなく牽制をしてくれて特に大きな問題も起きず、放課後を迎えることが出来た。
教室内ではそれなりにショックというか…突然の婚約破棄に心痛めた令嬢を演じていたけど、内心は晴れ晴れとしたもう喜びを誰かと共有したくて仕方ない気持ちでいっぱいだった。
温室に着いて、秘密の部屋の扉を勢いよく開けると、そこにはもうお馴染みのメンバーが揃っていた。
「カロリーナさんっっ」
エリーさんが私の姿を見ると同時に私に抱きついてくる。
「やったね。大成功っっカロリーナさんの凜とした姿にジーンとしちゃいました」
「エリーさん。ありがとうございます。もう…全てエリーさんのおかげです…こんなに上手くいくなんて…夢みたい」
「夢じゃないよ。カロン」
アロンは私を抱きしめるエリーさんを勢いよく引き剥がすと、私に満面の笑みを向けて優しい声で言う。
「アロン…」
私は感情が高まってアロンに抱きつく。
アロンはそんな私に驚きながらもギュッと包み返してくれる。
「アロン…アロン…本当にありがとう」
「カロン…やっとまた君を抱き締められる…」
アロンの腕の中が居心地良くてホッとする。
あぁ…本当にここまで来たんだ。
学園入学前にはこんな事になるなんて想像すらしていなかった。
幸せってこう言うことを言うんだろうな…
こんな気持ち…ずっと忘れていた。
「盛り上がっている所、悪いけどここでキスとかし始めないでよ」
「ハイルさんそれは野暮ってやつですよ」
「今まで我慢して来たんだからいいじゃない。やっちゃえやっちゃえ~」
「アローン様…きちんと理性は保ってください」
「アローンがどこまで我慢できるか賭ける?」
「いいね。我慢するつもりがすぐ手を出しちゃうに10ゴールド」
あ…みんなの存在を忘れていた…
私は咄嗟にアロンから離れる。
でも、アロンはそんな私を“逃がさない“とでも言うかのように引き寄せて、今度は私の背後から真綿を包む様に抱きしめられた。
「カロン…もう僕から離れないで…」
アロンは私の耳元で甘く囁やく。
何も考えずアロンに抱きついてしまったのは私だけど、あまりの恥ずかしさにもう爆発しそうになる。
「甘っっ…」
「イケメンと美少女のバックハグ…萌える」
「アローンがデレてる…」
「カロリーナ様…お顔が真っ赤です」
「溺愛…」
「独占欲の塊…」
「ねぇ…みんなで楽しそうな所何なんだけど、なんか俺の存在忘れられてない?」
みんなが私達を揶揄うように呟く中、この部屋にいつもはいない存在に気づいて私は現実に引き戻される。
「…えっ?あ…えっ⁉︎⁉︎さ…サムルさま…んっっ」
何故サムル王太子殿下がこの部屋に?
「あー。ちなみに、盛り上がってる所に申し訳ないけど、マルクが勝手に宣言しただけで、まだ婚約の破棄認められてないからね。婚約破棄するにしても国王の許可を得てからだから。まだマルクとカロリーナさんの婚約は継続中の保留状態。分かってる?」
サムル様の言葉に甘々だったアロンは明らかに不服な表情をみせる。
「そこは殿下がなんとかしてくださいよ」
「まだ俺にそんな権限はないからね。まぁ…アローンが俺の側近になる事を約束してくれたら色々手を回してあげてもいいけど?」
「……」
「ハハ…本気で悩まないでよ。冗談冗談。」
サムル様の介入で一気に部屋の中の空気が変わる。
「で、アローン。俺も含めこの部屋に集まった理由は?イチャつくのを見せつける為じゃないだろう?」
サムル様はあっという間にこの部屋の中の主導権を握ってしまう。
やっぱこの人はすごい…こういうのを天性の才能って言うのかな…
サムル様の言葉に、アロンは軽くため息を吐くと、私から渋々離れる。
「すみません。殿下。とりあえず、今日カロンがマルク殿下からの婚約破棄を言い渡されました。なので、早速次のステージに進む為に本題に入ろうとおもいます。
第2ステージの目的は、サムル殿下の噂を鎮静化する事と国を混乱に陥れようとしているマサラ王妃。そしてカロリーナを不当な扱いをして来たマルク第2王子への断罪。」
「ほう…色々動いてくれているとは思ったが…
まぁ…俺としては痛くも痒くもない全く持って現実味のない噂だけど、噂の出所は誰もが知る所だし、根絶やしする為には最高のタイミングだね。
まぁ国王が留守の間に良くやるよ。あの女豹は…で、どう進めていく気だ?アローン。」
サムル様はフッと笑みを浮かべる。
「殿下ももうマサラ王妃の…マルク第2王子の最大の秘密にお気付きでは?」
サムル様はアロンの言葉にピクっと反応する。
マサラ王妃とマルク様の…最大の秘密?
食堂での出来事の後、色々の人から心配をされた。
友人であるセリーヌやマリリン、ルーラをはじめ、クラスメイト達は私に対して何かを聞きたそうにソワソワしていたけど、空気が読めるミランダとハイスさんがさりげなく牽制をしてくれて特に大きな問題も起きず、放課後を迎えることが出来た。
教室内ではそれなりにショックというか…突然の婚約破棄に心痛めた令嬢を演じていたけど、内心は晴れ晴れとしたもう喜びを誰かと共有したくて仕方ない気持ちでいっぱいだった。
温室に着いて、秘密の部屋の扉を勢いよく開けると、そこにはもうお馴染みのメンバーが揃っていた。
「カロリーナさんっっ」
エリーさんが私の姿を見ると同時に私に抱きついてくる。
「やったね。大成功っっカロリーナさんの凜とした姿にジーンとしちゃいました」
「エリーさん。ありがとうございます。もう…全てエリーさんのおかげです…こんなに上手くいくなんて…夢みたい」
「夢じゃないよ。カロン」
アロンは私を抱きしめるエリーさんを勢いよく引き剥がすと、私に満面の笑みを向けて優しい声で言う。
「アロン…」
私は感情が高まってアロンに抱きつく。
アロンはそんな私に驚きながらもギュッと包み返してくれる。
「アロン…アロン…本当にありがとう」
「カロン…やっとまた君を抱き締められる…」
アロンの腕の中が居心地良くてホッとする。
あぁ…本当にここまで来たんだ。
学園入学前にはこんな事になるなんて想像すらしていなかった。
幸せってこう言うことを言うんだろうな…
こんな気持ち…ずっと忘れていた。
「盛り上がっている所、悪いけどここでキスとかし始めないでよ」
「ハイルさんそれは野暮ってやつですよ」
「今まで我慢して来たんだからいいじゃない。やっちゃえやっちゃえ~」
「アローン様…きちんと理性は保ってください」
「アローンがどこまで我慢できるか賭ける?」
「いいね。我慢するつもりがすぐ手を出しちゃうに10ゴールド」
あ…みんなの存在を忘れていた…
私は咄嗟にアロンから離れる。
でも、アロンはそんな私を“逃がさない“とでも言うかのように引き寄せて、今度は私の背後から真綿を包む様に抱きしめられた。
「カロン…もう僕から離れないで…」
アロンは私の耳元で甘く囁やく。
何も考えずアロンに抱きついてしまったのは私だけど、あまりの恥ずかしさにもう爆発しそうになる。
「甘っっ…」
「イケメンと美少女のバックハグ…萌える」
「アローンがデレてる…」
「カロリーナ様…お顔が真っ赤です」
「溺愛…」
「独占欲の塊…」
「ねぇ…みんなで楽しそうな所何なんだけど、なんか俺の存在忘れられてない?」
みんなが私達を揶揄うように呟く中、この部屋にいつもはいない存在に気づいて私は現実に引き戻される。
「…えっ?あ…えっ⁉︎⁉︎さ…サムルさま…んっっ」
何故サムル王太子殿下がこの部屋に?
「あー。ちなみに、盛り上がってる所に申し訳ないけど、マルクが勝手に宣言しただけで、まだ婚約の破棄認められてないからね。婚約破棄するにしても国王の許可を得てからだから。まだマルクとカロリーナさんの婚約は継続中の保留状態。分かってる?」
サムル様の言葉に甘々だったアロンは明らかに不服な表情をみせる。
「そこは殿下がなんとかしてくださいよ」
「まだ俺にそんな権限はないからね。まぁ…アローンが俺の側近になる事を約束してくれたら色々手を回してあげてもいいけど?」
「……」
「ハハ…本気で悩まないでよ。冗談冗談。」
サムル様の介入で一気に部屋の中の空気が変わる。
「で、アローン。俺も含めこの部屋に集まった理由は?イチャつくのを見せつける為じゃないだろう?」
サムル様はあっという間にこの部屋の中の主導権を握ってしまう。
やっぱこの人はすごい…こういうのを天性の才能って言うのかな…
サムル様の言葉に、アロンは軽くため息を吐くと、私から渋々離れる。
「すみません。殿下。とりあえず、今日カロンがマルク殿下からの婚約破棄を言い渡されました。なので、早速次のステージに進む為に本題に入ろうとおもいます。
第2ステージの目的は、サムル殿下の噂を鎮静化する事と国を混乱に陥れようとしているマサラ王妃。そしてカロリーナを不当な扱いをして来たマルク第2王子への断罪。」
「ほう…色々動いてくれているとは思ったが…
まぁ…俺としては痛くも痒くもない全く持って現実味のない噂だけど、噂の出所は誰もが知る所だし、根絶やしする為には最高のタイミングだね。
まぁ国王が留守の間に良くやるよ。あの女豹は…で、どう進めていく気だ?アローン。」
サムル様はフッと笑みを浮かべる。
「殿下ももうマサラ王妃の…マルク第2王子の最大の秘密にお気付きでは?」
サムル様はアロンの言葉にピクっと反応する。
マサラ王妃とマルク様の…最大の秘密?
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