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「“身に覚えがない“だとっっふざけるな。見ろこのエリーの頬を…まだ薄らと傷が残っている。お前の悪行は全てエリーから聞いているからな」
マルク様がエリーさんを引き寄せて私への怒りを露わにする。
「知らないことは知りません。エリーさんが私のことをどうマルク様にお伝えしたかわかりませんが、わたくしは何も知りませんので、何もお答えすることもできません。」
「何だとっ…エリーが嘘をついているとでも言うのか?」
“はい。その通りです。“
と、言いそうになるけど、さすがにその言葉はエリーさんを後々追い詰めてしまいそうなので言葉を飲み込む。
「嘘を言っているとは言っていません。何か思い違いをされているのでは?と言っているのです。」
そう言って私がエリーさんの方を見ると、エリーさんはコクリと小さく頷いた。
「辞めなさいっ」
私とマルク様がお互いに口論し始めると国王は大きくため息を吐いて私達を止める。
その声に、みんなが国王の方に視線を戻す。
「2人の言い分は分かった。では、エリーとやら…そなたの話を聞こうか?」
状況を何も知らない国王はエリーさんに厳しい目を向けてそう言う。
流石のエリーさんもその国王の表情に一瞬ビクリとするけど、すぐにいつものエリーさん(銀座のキャバクラバージョン)に切り替わる。
「わ…私はお二人の仲を引き裂くつもりはございませんでした…それに…それにマルク様のお気持ちはとても嬉しいのですが…私にはそんなつもりはございません。私は下町で食堂をやっている両親の元に生まれたしがない一平民です。第二王子であられるマルク様と釣り合う身分ではございませんし…そ…それに、私には幼き頃より結婚を約束した者がおります。」
「はっ?」
エリーさんの言葉に、一番驚いた表情をするマルク様。
「ど…どういうことだ?エリー?そんな話初めて聞くぞ?」
「…何度もお話しようしましたが、マルク様が中々聞いて下さらなかったのではありませんか…」
エリーさんはそう言って肩にかけられたマルク様の腕をソッと外す。
呆然とするマルク様に対して、エリーさんはしてやったりの顔をする。
「マルク様はもう少し人のお話を聞くようにしてください。私は色々相談に乗って頂きはしましたが、マルク様に対して恋心を抱いた事は一切ございません。それと、カロリーナさんとの件に関しましてもサムル殿下に話し合いの場を設けさせていただき、和解致しましたのでもう大丈夫です」
「は…?」
流石のマルク様もエリーさんの言葉に呆然とする。
「そもそも、私の勘違いだったのです。カロリーナさんはおちょこちょいの私を色々と助けて下さろうとしていたのに、何か起こるたびにタイミング良く現れるカロリーナさんに私が疑いの目を持ってしまって…でも、裏を返したら結局は全てわたくし自身が撒いた種だったのですよね…マルク様にはご迷惑をおかけしてしまいました。申し訳ありません。」
エリーさんは可愛らしく…でもシュンとした状態で深々とマルク様に頭を下げる。
エリーさんの演技力はもう文句のつけようがありません。
言っていることは無茶苦茶ですが、それを感じさせない表現力。
何も知らなければ、きっと私でも騙されます。
マルク様はまだ状況が把握しきれていないのでしょう。
ただただ呆然とエリーさんを見つめている。
「あ…でも、マルク様に相談をした際に、サムル殿下がして下さった様にすぐにでもカロリーナさんと話し合いの場を設けてくださればこんな大きな騒ぎにはならなかったはずですね」
最後の最後に爆弾を落とすエリーさん…流石です。
エリーさんの最後の言葉には流石のマルク様も苛立ちを露わにする。
「エリー…この俺を…この俺を騙したのかっっ」
「騙したなんて…そんなつもりは一切ありません」
「おやめさない。見苦しい…」
マルク様が私ではなく、エリーさんを責め始めた所で口を開いたのは、マルク様の母。マサラ王妃だった。
マサラ王妃はサッと立ち上がると、エリーさんを虫ケラを見つめるような目で見下してからマルク様の方を見てはぁ…と大きく息を吐いた。
「今回の件は色々思い違いがあったのでしょう?若い頃はよくある事です。どうですマルク。今回の件は良い勉強になったのではないですか?問題を大きくせず、婚約破棄なんて子供じみた事は辞めてカロリーナ嬢と和解致しなさい。あなたにとってカロリーナ嬢は最高に良いパートナーとなるわ。間違いなく…」
そう言ってマサラ王妃は私の方を見る。
「ねぇ…カロリーナ嬢。あなたもそう思うでしょう?」
何とも言えない圧で私を見てくるマサラ王妃に私はすぐに反論ができず固まってしまった。
マルク様がエリーさんを引き寄せて私への怒りを露わにする。
「知らないことは知りません。エリーさんが私のことをどうマルク様にお伝えしたかわかりませんが、わたくしは何も知りませんので、何もお答えすることもできません。」
「何だとっ…エリーが嘘をついているとでも言うのか?」
“はい。その通りです。“
と、言いそうになるけど、さすがにその言葉はエリーさんを後々追い詰めてしまいそうなので言葉を飲み込む。
「嘘を言っているとは言っていません。何か思い違いをされているのでは?と言っているのです。」
そう言って私がエリーさんの方を見ると、エリーさんはコクリと小さく頷いた。
「辞めなさいっ」
私とマルク様がお互いに口論し始めると国王は大きくため息を吐いて私達を止める。
その声に、みんなが国王の方に視線を戻す。
「2人の言い分は分かった。では、エリーとやら…そなたの話を聞こうか?」
状況を何も知らない国王はエリーさんに厳しい目を向けてそう言う。
流石のエリーさんもその国王の表情に一瞬ビクリとするけど、すぐにいつものエリーさん(銀座のキャバクラバージョン)に切り替わる。
「わ…私はお二人の仲を引き裂くつもりはございませんでした…それに…それにマルク様のお気持ちはとても嬉しいのですが…私にはそんなつもりはございません。私は下町で食堂をやっている両親の元に生まれたしがない一平民です。第二王子であられるマルク様と釣り合う身分ではございませんし…そ…それに、私には幼き頃より結婚を約束した者がおります。」
「はっ?」
エリーさんの言葉に、一番驚いた表情をするマルク様。
「ど…どういうことだ?エリー?そんな話初めて聞くぞ?」
「…何度もお話しようしましたが、マルク様が中々聞いて下さらなかったのではありませんか…」
エリーさんはそう言って肩にかけられたマルク様の腕をソッと外す。
呆然とするマルク様に対して、エリーさんはしてやったりの顔をする。
「マルク様はもう少し人のお話を聞くようにしてください。私は色々相談に乗って頂きはしましたが、マルク様に対して恋心を抱いた事は一切ございません。それと、カロリーナさんとの件に関しましてもサムル殿下に話し合いの場を設けさせていただき、和解致しましたのでもう大丈夫です」
「は…?」
流石のマルク様もエリーさんの言葉に呆然とする。
「そもそも、私の勘違いだったのです。カロリーナさんはおちょこちょいの私を色々と助けて下さろうとしていたのに、何か起こるたびにタイミング良く現れるカロリーナさんに私が疑いの目を持ってしまって…でも、裏を返したら結局は全てわたくし自身が撒いた種だったのですよね…マルク様にはご迷惑をおかけしてしまいました。申し訳ありません。」
エリーさんは可愛らしく…でもシュンとした状態で深々とマルク様に頭を下げる。
エリーさんの演技力はもう文句のつけようがありません。
言っていることは無茶苦茶ですが、それを感じさせない表現力。
何も知らなければ、きっと私でも騙されます。
マルク様はまだ状況が把握しきれていないのでしょう。
ただただ呆然とエリーさんを見つめている。
「あ…でも、マルク様に相談をした際に、サムル殿下がして下さった様にすぐにでもカロリーナさんと話し合いの場を設けてくださればこんな大きな騒ぎにはならなかったはずですね」
最後の最後に爆弾を落とすエリーさん…流石です。
エリーさんの最後の言葉には流石のマルク様も苛立ちを露わにする。
「エリー…この俺を…この俺を騙したのかっっ」
「騙したなんて…そんなつもりは一切ありません」
「おやめさない。見苦しい…」
マルク様が私ではなく、エリーさんを責め始めた所で口を開いたのは、マルク様の母。マサラ王妃だった。
マサラ王妃はサッと立ち上がると、エリーさんを虫ケラを見つめるような目で見下してからマルク様の方を見てはぁ…と大きく息を吐いた。
「今回の件は色々思い違いがあったのでしょう?若い頃はよくある事です。どうですマルク。今回の件は良い勉強になったのではないですか?問題を大きくせず、婚約破棄なんて子供じみた事は辞めてカロリーナ嬢と和解致しなさい。あなたにとってカロリーナ嬢は最高に良いパートナーとなるわ。間違いなく…」
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