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連載
番外編 カエラside①
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私はマニワルト伯爵家の次女カエラ・マニワルト。
本が読むのが好きで時間さえあれば本を読んでいる本の虫です。
人と接する事が苦手な私には友達と呼べる人はいませんでした。
逆に2歳上の姉のマイラは美しく、話上手で社交的。
友人も多くて両親も姉ばかり構っていました。
私は家にいてもいなくても変わらない存在でした。
でも、私はあまり気にしていません。
本さえあれば幸せだったから。
そんな私も12歳になり淑女の為の学園に行く事になりました。
登校初日。
既に入学していたお姉様と共に学園へ行こうと馬車に乗ろうとしたら、お姉様に「別々に行きましょう」と言われて置いて行かれてしまいました。
我が家には馬車が一台しかありません。
家から学園まで馬車で10分ほど。徒歩なら30分位でしょうか……
時計を見ると始業までは30分程しかない。
どう考えても姉を送った馬車の帰宅を待っていたら確実に遅刻してしまう。
流石に登校初日から遅刻は避けたい。
私は深くため息を吐くと急いで家を出ました。
普段から本を読んでばかりであまり運動をしていなかった私には辛い道のりですが、遅刻を避けたい一心で精一杯走りました。
息が苦しい。
脇腹が痛い。
姉のお下がりの少しキツめの靴が痛い。
私は登校初日に何をしているのだろう。
そんな虚しさが襲ってきて、自然と涙が溢れてくる。
そんな気持ちを押し殺してただ、ひたすらに走っていると、私の隣で立派な馬車が急に停車して中から私と同じ制服をきた女の子が降りてきて不思議そうな顔をした。
「貴方……なぜ走ってるの? しかも泣きながら……」
「あ……姉が乗った馬車が先に行ってしまったので……」
息を切らせながら私が答えると、その女の子は眉間に皺を寄せて首を捻る。
そして、私の手を掴むとそのまま私を馬車に乗せる。
「貴方、一年生でしょ? 私もなの。そのままのペースじゃ遅刻するわよ。一緒に行きましょう」
そう言って女の子は笑った。
馬車はうちのものよりずっと豪華なものだった。
女の子自身も姉のお下がりの制服を着ている私と違って、身なりがきちんとしていて上位貴族であることは明らかだった。
「貴方、名前は?」
「わ……私はマニワルト伯爵家次女のカエラと申します」
私が頭を下げると女の子は明るい笑みを私に向ける。
「カエラね。私はバルメルク公爵家エリアーナよ。宜しく」
名前を聞いて私は固まる。
バルメルク公爵家って……あの筆頭公爵家の?
瞬間冷や汗が流れる。
どうしよう……
そんな困惑している私を見てエリアーナ様は笑う。
「あまり畏まらないで。私そういうの嫌いだから」
「あっ……いや……ですが……」
「んー。なんだか貴方可愛らしいわね。気に入ったわ。私達お友達になりましょう。ね?」
そう言ってエリアーナは私に手を差し出す。
私はどうしたらいいか分からずオドオドしているとエリアーナ様は私の手を無理やり掴み握手をする。
「私の事はエリアーナと呼んで。貴方の事はカエラと呼ぶわね」
「えっ……もう決定ですか?」
「ええ。私とカエラはもう親友よ」
「……しん……ゆう?」
これが、今後の私の人生を大きく変えてくれるエリアーナとの出会いでした。
本が読むのが好きで時間さえあれば本を読んでいる本の虫です。
人と接する事が苦手な私には友達と呼べる人はいませんでした。
逆に2歳上の姉のマイラは美しく、話上手で社交的。
友人も多くて両親も姉ばかり構っていました。
私は家にいてもいなくても変わらない存在でした。
でも、私はあまり気にしていません。
本さえあれば幸せだったから。
そんな私も12歳になり淑女の為の学園に行く事になりました。
登校初日。
既に入学していたお姉様と共に学園へ行こうと馬車に乗ろうとしたら、お姉様に「別々に行きましょう」と言われて置いて行かれてしまいました。
我が家には馬車が一台しかありません。
家から学園まで馬車で10分ほど。徒歩なら30分位でしょうか……
時計を見ると始業までは30分程しかない。
どう考えても姉を送った馬車の帰宅を待っていたら確実に遅刻してしまう。
流石に登校初日から遅刻は避けたい。
私は深くため息を吐くと急いで家を出ました。
普段から本を読んでばかりであまり運動をしていなかった私には辛い道のりですが、遅刻を避けたい一心で精一杯走りました。
息が苦しい。
脇腹が痛い。
姉のお下がりの少しキツめの靴が痛い。
私は登校初日に何をしているのだろう。
そんな虚しさが襲ってきて、自然と涙が溢れてくる。
そんな気持ちを押し殺してただ、ひたすらに走っていると、私の隣で立派な馬車が急に停車して中から私と同じ制服をきた女の子が降りてきて不思議そうな顔をした。
「貴方……なぜ走ってるの? しかも泣きながら……」
「あ……姉が乗った馬車が先に行ってしまったので……」
息を切らせながら私が答えると、その女の子は眉間に皺を寄せて首を捻る。
そして、私の手を掴むとそのまま私を馬車に乗せる。
「貴方、一年生でしょ? 私もなの。そのままのペースじゃ遅刻するわよ。一緒に行きましょう」
そう言って女の子は笑った。
馬車はうちのものよりずっと豪華なものだった。
女の子自身も姉のお下がりの制服を着ている私と違って、身なりがきちんとしていて上位貴族であることは明らかだった。
「貴方、名前は?」
「わ……私はマニワルト伯爵家次女のカエラと申します」
私が頭を下げると女の子は明るい笑みを私に向ける。
「カエラね。私はバルメルク公爵家エリアーナよ。宜しく」
名前を聞いて私は固まる。
バルメルク公爵家って……あの筆頭公爵家の?
瞬間冷や汗が流れる。
どうしよう……
そんな困惑している私を見てエリアーナ様は笑う。
「あまり畏まらないで。私そういうの嫌いだから」
「あっ……いや……ですが……」
「んー。なんだか貴方可愛らしいわね。気に入ったわ。私達お友達になりましょう。ね?」
そう言ってエリアーナは私に手を差し出す。
私はどうしたらいいか分からずオドオドしているとエリアーナ様は私の手を無理やり掴み握手をする。
「私の事はエリアーナと呼んで。貴方の事はカエラと呼ぶわね」
「えっ……もう決定ですか?」
「ええ。私とカエラはもう親友よ」
「……しん……ゆう?」
これが、今後の私の人生を大きく変えてくれるエリアーナとの出会いでした。
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