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二十八話 目的
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――――光が眩しくて私は目を開けた。目の前にはスピカとレイド兄さんらしき人と目があった。
「あっ、レイド兄さん、スピカ、これで二人共平和だね、良かった~。」
私は安心から顔がにやけてしまう。二人に寝転んだまま手をのばす、レイド兄さんの頬を、スピカの頭を撫でる。二人共温かい。そのままいたら二人が私の手を掴む、夢なのにリアルだなぁ~......待って、どんどん手を握る力が強くなってる気がする。いや、強くなってる。
「痛い。」
そう言っても二人は真顔で私を見ながら止まらない。
「痛い。」
まだまだ強くなる。
「爪が食い込んでる。」
止まらない。
「痛い痛い、いや自分今両手ふさがってるから上手く立てないの。」
もう、止まる気配すらない。流石にしびれを切らして私は二人の手をはらい、そのまま立った。
「痛いって‼何⁉」
二人は真顔で私を見ている。
「えっ、待って怖い怖い怖い。えっ?夢じゃないの?」
やっと二人の表情が変わったと思ったらなんだか怒っている顔をしていた。
「ディル~?これはどうゆうことだ?」
(ディル?どれだけ心配したかわかってるの~?)
二人はじりじりと私に近づいてくる。私も後ろに下がっていくけど後ろが木でもう下がれない。レイド兄さんが私の肩に勢いよく掴む、レイド兄さんに怒られる‼
「.....良かった。」
そう言ってレイド兄さんは力が抜けたようにしゃがみこんだ。
(....ほんとよね。さっきディルが騒がしくなかったら安心しきらなかったわよ。)
….不本意だ。騒がしくしたのは元はと言えば二人のせいだ。.....心配してくれてたんだな。
申し訳なくて、でも嬉しくて、でもやっぱり私も二人のことが心配で、そんな気持ちが渦巻いてもやもやする。でも嬉しい気持ちが勝って、私は涙を流しそうになった。私はその場に正座レイド兄さんと目線を合わせた。
「....ごめんなさい。私さえいなければ二人共平和で、幸せになるんじゃないかと思って、自分自ら王城に行こうとしたの。本当にごめんなさい。結局....助けてもらっちゃった。
――ありがとう。」
謝るときは目線を外してしまったけどお礼は、ちゃんと目線を見て言えたことが自分にとっても嬉しかった。二人は微笑んで、立ち上がった。
「もうこんな事するなよ。俺は面白そうだからついてきただけだ。」
(私もよ‼…..だから、あなたはどんどん前に進んでいくだけでいいの!)
レイド兄さんが笑いながら私に手を差し伸べた。
「ほら、立てるか?」
私はその手を取る。
「ありがとう。」
立ち上がり、私は『影縫い』をし、顔と服装を変えた。このままいると簡単に見つかっちゃうしね。
「少し歩こう。ブーヨの森とは言えもしかしたら追手が来る可能性もある、一刻も早くイニーから離れたほうがいい。」
「うん。そうだね。」
(はーい!あ~あ、レイドが馬を離さなければ馬で行けたのにな~)
「えっ⁉馬⁉どうゆうこと⁉」
「離したんじゃねぇ離されたんだ。なんかブーヨの森に入ろうとしたら馬に拒絶された。」
「....不思議なこともあるんだね~」
荷物を持ち、歩きながらそんな無駄話をする。しばらくイリ―と逆方向に歩いてきて流石に暗くなったので休むことにした。
「んで、これからどうするんだ?」
レイド兄さんが薪に火をつけ、火を見ながら話す。
「目的でしょ?....自分的にはなくはないけど~情報がないから....」
「言ってみろよ、俺は特に目的はないし。」
「う~ん、じゃあ言うんだけど、スピカに【忌み子】の事を聞いたときになんか文献が破られてたって言うんだよね、だからそこがずっと引っかかってて。」
火が風でゆらゆらと揺れる。
「....確かにそうだな。だけど調べようにも【忌み子】は嫌われ者だ。調べようとして、連れて行かれたやつを見ている。」
「そうなんだ...いや怖ッ。なにそれ....はぁ~、どうしよ。」
私とレイド兄さんが頭を抱えていると黙っていたスピカの口が動いた。
(神に会う方法....)
「「えっ?」」
(えっとね....【忌み子】ってほら、神に与えられたものだったでしょ?だから、神に直接会えばなにかが分かるんじゃないかしら?)
私とレイド兄さんは目を見合わせて、スピカを見た。
「「それだ!!」」
「確かにそうだ....!なんで今まで思わなかったんだろう!でも神に会う方法なんて早々見つかるかな....?」
「それもそうだな....でもきっとあるだろ。だいぶ長くなりそうだけどな。」
レイド兄さんの顔がパッと明るくなる。私も次の目標が決まって嬉しい気持ちが顔に出ていた。
「あっ、レイド兄さん、スピカ、これで二人共平和だね、良かった~。」
私は安心から顔がにやけてしまう。二人に寝転んだまま手をのばす、レイド兄さんの頬を、スピカの頭を撫でる。二人共温かい。そのままいたら二人が私の手を掴む、夢なのにリアルだなぁ~......待って、どんどん手を握る力が強くなってる気がする。いや、強くなってる。
「痛い。」
そう言っても二人は真顔で私を見ながら止まらない。
「痛い。」
まだまだ強くなる。
「爪が食い込んでる。」
止まらない。
「痛い痛い、いや自分今両手ふさがってるから上手く立てないの。」
もう、止まる気配すらない。流石にしびれを切らして私は二人の手をはらい、そのまま立った。
「痛いって‼何⁉」
二人は真顔で私を見ている。
「えっ、待って怖い怖い怖い。えっ?夢じゃないの?」
やっと二人の表情が変わったと思ったらなんだか怒っている顔をしていた。
「ディル~?これはどうゆうことだ?」
(ディル?どれだけ心配したかわかってるの~?)
二人はじりじりと私に近づいてくる。私も後ろに下がっていくけど後ろが木でもう下がれない。レイド兄さんが私の肩に勢いよく掴む、レイド兄さんに怒られる‼
「.....良かった。」
そう言ってレイド兄さんは力が抜けたようにしゃがみこんだ。
(....ほんとよね。さっきディルが騒がしくなかったら安心しきらなかったわよ。)
….不本意だ。騒がしくしたのは元はと言えば二人のせいだ。.....心配してくれてたんだな。
申し訳なくて、でも嬉しくて、でもやっぱり私も二人のことが心配で、そんな気持ちが渦巻いてもやもやする。でも嬉しい気持ちが勝って、私は涙を流しそうになった。私はその場に正座レイド兄さんと目線を合わせた。
「....ごめんなさい。私さえいなければ二人共平和で、幸せになるんじゃないかと思って、自分自ら王城に行こうとしたの。本当にごめんなさい。結局....助けてもらっちゃった。
――ありがとう。」
謝るときは目線を外してしまったけどお礼は、ちゃんと目線を見て言えたことが自分にとっても嬉しかった。二人は微笑んで、立ち上がった。
「もうこんな事するなよ。俺は面白そうだからついてきただけだ。」
(私もよ‼…..だから、あなたはどんどん前に進んでいくだけでいいの!)
レイド兄さんが笑いながら私に手を差し伸べた。
「ほら、立てるか?」
私はその手を取る。
「ありがとう。」
立ち上がり、私は『影縫い』をし、顔と服装を変えた。このままいると簡単に見つかっちゃうしね。
「少し歩こう。ブーヨの森とは言えもしかしたら追手が来る可能性もある、一刻も早くイニーから離れたほうがいい。」
「うん。そうだね。」
(はーい!あ~あ、レイドが馬を離さなければ馬で行けたのにな~)
「えっ⁉馬⁉どうゆうこと⁉」
「離したんじゃねぇ離されたんだ。なんかブーヨの森に入ろうとしたら馬に拒絶された。」
「....不思議なこともあるんだね~」
荷物を持ち、歩きながらそんな無駄話をする。しばらくイリ―と逆方向に歩いてきて流石に暗くなったので休むことにした。
「んで、これからどうするんだ?」
レイド兄さんが薪に火をつけ、火を見ながら話す。
「目的でしょ?....自分的にはなくはないけど~情報がないから....」
「言ってみろよ、俺は特に目的はないし。」
「う~ん、じゃあ言うんだけど、スピカに【忌み子】の事を聞いたときになんか文献が破られてたって言うんだよね、だからそこがずっと引っかかってて。」
火が風でゆらゆらと揺れる。
「....確かにそうだな。だけど調べようにも【忌み子】は嫌われ者だ。調べようとして、連れて行かれたやつを見ている。」
「そうなんだ...いや怖ッ。なにそれ....はぁ~、どうしよ。」
私とレイド兄さんが頭を抱えていると黙っていたスピカの口が動いた。
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「「えっ?」」
(えっとね....【忌み子】ってほら、神に与えられたものだったでしょ?だから、神に直接会えばなにかが分かるんじゃないかしら?)
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「「それだ!!」」
「確かにそうだ....!なんで今まで思わなかったんだろう!でも神に会う方法なんて早々見つかるかな....?」
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