ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

文字の大きさ
62 / 290
第一章 アクセルオンライン

61話 謎の男

しおりを挟む

(くそっ…こいつ、速いわ!一度グレンダガーで攻撃を防いで…)


エレナはそう考えて、2本のダガーを交差させると、男の攻撃を受ける構えをとった。

下から振り抜かれた男のダガーが、自分へ襲いかかってくるのが見える。

漆黒の刀身と赤黒に光る刀身がぶつかり合い、乾いた金属音とともに一瞬ではあるが火花を散らす。


(おっ…重いわね…!でもこのままカウンターを…!)


エレナは防御の手応えを感じ、そのまま攻撃に転じようとする。

…が、その時、何か違和感を感じたのだ。

男がニヤリと笑みをこぼす。
漆黒の刀身が押し上げられ、エレナのグレンダガーの刀身に亀裂が走った。


(なっ…何ですって…!?)


男が力を込めると、グレンダガーは2本とも真っ二つに折れてしまう。

そのまま漆黒の刃は、エレナの左腕を切り裂き、右眼をも奪い去っていった。


「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


エレナから血飛沫が上がるとともに、ミコトの叫び声が響き渡る。

イノチは目の前の出来事に愕然とした。
前に立つフレデリカの合間から、エレナが斬られ、血飛沫を上げているのが見えたのだ。

男はそのまま体を横に回転させると、エレナを蹴り飛ばして、なおもイノチに襲いかかってくる。


「エレナッ!!」

「BOSS…っ!下がってなさい!!」


フレデリカは、とっさにイノチを後ろへと弾き飛ばして、ファングソードを構えて応戦する。

ダガーを構え直した男は、右手に持ち帰ると地面を蹴って上空へと飛び跳ねた。


「なめるなっ!!」


フレデリカはそう言い放ち、宙を舞う男の体へとファングソードを突き立てるが…

男は体を捻りながら、襲いくるファングソードの軌道に黒い刀身を合わせる。

その瞬間、ファングソードの側面をその刀身が火花を散らして走っていく。


(なっ…その体勢でこれをかわす?!)


男はダガーをうまく使い、ファングソードの軌道を変えることで、フレデリカの攻撃をかわしたのだ。

そのまま、フレデリカの後ろに着地すると、男は体を回転させて、フレデリカへ蹴りを放った。


「がぁっ!」


背中から攻撃を受けたフレデリカは、耐えきれず蹴り飛ばされてしまう。


「次は…お前だ…」


口元に醜悪な笑みを浮かべ、男はイノチに向かって再び走り出した。

イノチは、持っている剣を素人ながらに構えてるが、手と足が震えていていうことを聞いてくれない。

男はもうすぐ目の前に迫っている。

震えるイノチに対して、漆黒のダガーが振り抜かれた。

1度目の右払いで、持っていた剣が弾き飛ばされ、手に強い痺れを感じる。

そんなことを気にする暇もなく、すぐに次の攻撃が飛んでくるのがわかった。

その時点で、イノチは死を覚悟した。

エレナとフレデリカが敵わない相手だ。足掻いても無駄なことは分かっている。

ミコトの顔が離れたところに見えた。

涙を浮かべ、こちらを見る顔には、悲しみと悔しさ、そしてイノチを心配する表情が浮かんでいるのだ。


(くそ…俺はここで終わりか。これがゲームなら、本当に死ぬわけじゃないから…仕方ないとか思うんだろうけど。なんだろう、悔しいというか怖いというか…この感情は後悔って言うのかな。仲間を傷つけられたこと…ミコトを守れなかったこと…全部が悔しい!!)


死を目前にすると、思考がスローモーションになるというのは聞いたことがあった。

走馬灯と言うのだろう。

目の前の全てがゆっくりと動いていく。
自分に襲いかかる漆黒の刃でさえも…

そう思い、イノチは目を閉じる。


「なんでそこで諦めるのだ!バカモノが!!」


ガキンッガキンッ!

目の前で声が聞こえたかと思えば、金属がぶつかり合う音がした。

イノチは目をゆっくりと開ける。

するとそこには、小さな青いドラゴンが尻尾を揺らして浮かんでいるのが見えたのである。


「ウォッ…ウォタ…!!」

「お主は我の主人であろう!そんな簡単に、自分の命を諦めてもらっては困るぞ!!」


距離を取る男を見つつ、ウォタはイノチに檄を飛ばした。


「…なんだ、そのチビは…」

「チビとは言うてくれるのぉ…貴様ごときに舐められるほど、落ちぶれてはおらんはずだが…」


ウォタはそう言うが、互いの力量を測り合っているようだ。両者は、睨みを効かせ合ったまま動かずにいる。

しかし、すぐにそれも終わりを告げた。


「ハァーッ…やめた、やめた!性に合わん!!」

「どっ…急にどうしたんだ、ウォタ?」

「エレナたちがやられよったから、ちょっと真剣になり過ぎた…我らしくもない。おい、そこの小童…最強の竜種である我が相手してやるからかかってこい。」


ウォタはそう言って、指をクイクイッと動かして男を挑発する。


「やはり…貴様は『竜種』だったか。この世界最強種を仲間にするとは…まぁいい、こいつはちょうどいい腕試しだ!」

「腕試しとは、我も舐められたものだ!」


向かい来る男を、ウォタはニヤリと笑いながら迎え撃つ。

漆黒のダガーから放たれる剣技を、ウォタは鋭いツメで弾き、お返しとばかりにそのツメで斬撃を繰り出していく。

イノチはその闘いに少しの間、目を奪われていたが、ハッと気づいてエレナの姿を探し始めた。

壁際に倒れ込むエレナを見つけると、こっそりと移動を始め、途中で、ミコトにはフレデリカの元へ行ってもらうよう合図する。


「エレナっ!」

「BOSS…よかった…無事で…」

「待ってろ!今、ポーションで…!!」


倒れ込んだエレナを抱き上げ、アイテムボックスから取り出した2本のポーションを左腕と右目にかけていく。

左腕の傷はみるみると塞がっていったが、右眼だけは…


「ふぅ…助かったわね。」

「エレナ…右眼が…」

「ああ、これ…仕方ないわよ。表面の傷は治っても、このポーションじゃ、眼の機能までは治せないもの…」


エレナはそっと右眼に触れた。
右眼に残る大きな傷跡は隠しきれず、手の間からから見えている。

エレナはそのまま、ウォタと男の戦いに目を向けた。


「あいつ…マジでやばいわね。アクアドラゴンと単騎で互角にやり合うなんて…」


エレナはどこか悔しげにその闘いを見つめていた。

エレナと同じ方に目を向ければ、ウォタの連撃をかわしている男の姿が見える。
未だ闘いは続いており、その激しさは増している。

そこから右の方へと目を向けると、ミコトとフレデリカの姿も確認できた。

フレデリカも無事なようで、イノチはホッと胸を撫で下ろす。


「ウォタの方が押してるよな…」

「そうね…ウォタは本気出してないみたいだし…」


再び闘いに目を向けたイノチは、エレナへと問いかけ、エレナは静かにそれに答える。


「でも、奴の方も本気じゃないみたいね…」

「マッ…マジかよ…最強種を前にして力を温存するとか…あれ、人間か?」

「わかんないわよ…でも、BOSSと同じ『プレイヤー』なんでしょ?」

「そうなんだけどさ…人間離れし過ぎてやしないかと思って…」

「…BOSSのスキル、鑑定…だっけ?あいつに使ってみたら?」

「あっ…忘れてた!」


イノチは思い出して、目に魔力を集中させる。


「プッ…プレイヤーランクが…『120』…!?」


現れた男の情報画面には、驚くべき事実が映し出されていたのだった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない 

堀 和三盆
恋愛
 一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。  信じられなかった。  母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。  そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。  日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...