ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

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第三章 ランク戦開催

8話 目的の男

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「思った以上に順調過ぎない?」

「そうですわ。あまりにも話がうますぎる…」


路地を歩きながら、そうつぶやくエレナとフレデリカ。
その横では、アレックスがソフトクリームを美味しそうに食べている。

イノチたちはアキナイに紹介された人物に会うべく、街の少し外れの静かな路地に来ていた。


「そうかもしれないけどさ、アキナイさんを疑うわけにもいかないだろ?」

「もしかすると、あれは偽物かもしれないじゃない。」

「そうですわ。ありとあらゆる想像を働かせておかないと…」

「はぁ~、お前らなぁ、あの顔を見たのにそんなこと言うのか?」


二人はイノチの言葉に押し黙る。


「あの瓜二つ…いや、瓜三つの顔と、センスを疑う建物のデザイン!あれがカルモウ一族のものでないと、お前らはそう言うんだな。」

「いや…悪かったわよ。あれは確かにカルモウよ。」

「ですわ…ね。」


二人の反応に笑いながら、イノチは話を続ける。


「まぁ、ランク戦まであまり時間もないからな。すぐに目的の人物に会えるのは助かるよ。あとはどうこの国をぶっ壊すか…だな。」





話は少し前に遡る。


「リシア帝国に行って、内側からぶっ壊すんだ。」

「リシアに行ってぶっ壊す?いったい…何をするの?」


全員の前でそう言い放ったイノチに、ミコトが問いかける。
イノチはそれを聞いて、少し楽しげに口を開いた。


「あのじいさんたちから聞いた話だと、リシア帝国のプレイヤーの数が、この世界でもっとも多いらしい。そして、リシア帝国自体も領土拡大に一番貪欲なんだと。対して他の2国は、リシアに主導権を握らせたくないから、ジパン国を押さえて優位に立ちたいと思っている。」


イノチは地図を指差しながら、説明を行っていく。


「リシア帝国のプレイヤー数は、約500名。それに対してジプトは300、ノルデンは200だ。この数が全部来るわけじゃないと思うけど、それでも勝ち目のない数だよ。だから、俺はプレイヤー自体の相手はしない。」

「プレイヤーの相手を…しないだと?意味がわからん…ランク戦なのにか?」


ゲンサイがあきれたように肩をすくめる横で、エレナ、アレックス、ウォタの3名は、メイが用意したクッキーを美味しそうに食べている。

どうやら話に飽きてしまったようだ。
それにあきれつつ、イノチは話を続けていく。


「…リシア帝国って独裁政権らしいんだ。独裁国家にだいたいできるものって、何だかわかるか?」

「はぁ?独裁国家にあるものだと?わけわからんこと言ってんじゃねぇよ!」

「わぁーい、ナゾナゾだねぇ♪僕大好きだよぉ~♪」

「独裁国家ねぇ…」

「どうでもよい話だな。我はうまい食べ物があればそれで良い。」


それぞれの反応を見て、問いかけた奴らを間違えたと後悔するイノチだったが、この二人だけは違った。


「人間のことにはあまり詳しくないが、独裁国家とは、一個人、少数者または一党派が絶対的な政治権力を独占して握る政治体制を持つ国のことだろ?」

「ゼンさま、よくご存知で。さすがですわ。しかし、BOSSの言う"できるもの"とは…」

「ふむ、イノチの言い方からするに、国家ができた後に"改めてできるもの"という事だと思うが…」

「しかも、国を潰すために利用できるもの…」


二人が考えを巡らせていると、紅茶を入れ直してきたメイが、イノチの話を聞いていたのか、小さくつぶやいた。


「反抗勢力…では?」

「おぉ!そうか、確かにそうだな!メイ、お見事。」

「メイもなかなかやりますわね!」


二人に褒められて、顔を赤らめるメイに微笑みを向けつつ、イノチは話を再開する。


「メイさんの言うとおり!正解はレジスタンス、反抗勢力のことだ。」

「じゃあ、そのレジスタンスを利用して、国を荒らしてやろう…そう言うことかよ。」

「あぁ、リシアは今、国の施策に対する国民の不満が募っていて、裏で大きなレジスタンスが組織されているらしい。そのレジスタンスが立ち上がれば、リシア帝国は国盗りどころじゃなくなるだろ?プレイヤーたちが国の中枢に入り込んでるなら、そいつらも簡単には動けなくなるはずだ。」

「なら、それをあたしたちでやるってわけね。」


クッキーを食べ終え、満足したのか。
いつの間にか目をギラつかせているエレナがそう告げる。
フレデリカとアレックスも嬉しそうにうなずいている。


「そういう事!かなり危険だろうけど、これを成功させて、リシア帝国のプレイヤーたちには、ランク戦からご退場いただくんだ!ジプトはゲンサイがしっかりやってくれるだろうから、あとはノルデンのプレイヤーを追い返すのみ!!って、うまくいけばだけどな。」


豪語した分、すこし自信なく笑うイノチに、ゲンサイが鼻を鳴らす。


「はんっ!ジプトは全部俺がもらう。そうと決まれば、俺は行く。」

「待て待て!その前にいくつか準備させてくれ!」

「準備だぁ?!意味ねぇことは必要ねぇぞ!」


引き止められて不満そうに振り向くゲンサイ。
そこにエレナが詰め寄ってくる。


「あんた、勝手な事してんじゃないわよ。」

「うるせぇなぁ、俺の勝手だろうが!弱えぇ奴がほざくなよ!」

「なんですってぇ!?」

「あ"ぁ"~!?」

(うわぁ~エレナの奴…ゲンサイに怯んでないよ…)


突然、バチバチと火花を散らし始めるエレナとゲンサイに引きつつ、イノチは気を取り直し、咳払いする。


「ゴホンッ!まっ…まぁ、今からする準備ってのはみんなにとって大事なことだ。もちろんゲンサイにも。」

「ちっ…わかったわかった!その代わり早くやれよ!」

「ふん!最初からそう素直にしとけばいいのよ!」

「あ"!?」

「なによ?」

「だぁぁぁ!!やめろって、もう!!すぐに争うな!!準備はすぐ終わるよ!ミコトとトヌスとゲンサイに、同じプログラムを組むだけだから!」


イノチの叫びに一同が顔を向ける。
トヌスの頭のハテナが1番大きいようだ。


「…だんな、プログラムを組むってのはいったい…」

「元の世界みたいな事、言いやがって…意味わからん。」


イノチは大きくため息をつくと、説明を再開する。


「帰りにゲンサイに言われた事を思い出してさ。俺はみんなの『ネームタグ』見えないんだよね。だから、誰がプレイヤーかすぐに判断できないわけ。」

「そっ…そうなの?イノチくん…」

「そんな事があんのか…だんな、本当にプレイヤーかよ?」

「正真正銘のプレイヤーだよ!!ったく、そこで考えたのが、みんなの『ネームタグ』を隠蔽する事。今回は潜入ミッションもあるから、みんなのネームタグを周りから見えなくしようと思うんだ。ただし、プレイヤーと交渉する場合も考えて、ネームタグの出し入れを自由にしておくよ。」

「おっ…お前、ネームタグを隠すって…何言ってんだ?」


ゲンサイが初めて驚いた顔を見せた。
イノチが言っている事が理解できていないらしい。

エレナが横でププッと笑っているが、イノチはそれを無視してゲンサイに自慢げに告げた。


「やってみればわかる!百聞は一見にしかず!!」





「ここだな…。」


少し寂れた古い建物の前に立つイノチたち。
ほとんど人通りはなく、昼なのに薄暗ささえ感じる通りに、ポツンと佇むその建物に、目的の人物がいるらしい。


「アキナイの話だと、この店で間違いないですわ。」

「なら、さっそく入りましょう!」

「ワクワク♪ドキドキ♪」


三人を尻目に、ドアをノックするイノチ。
中から返事はない。


「誰もいないのかな♪」

「うーん…この時間に約束してくれてるって、アキナイさんは言ってたんだけどなぁ…」


困った顔を浮かべるイノチと笑っているアレックス。
すると突然、エレナとフレデリカが声を上げた。


「なに奴!」
「誰だ!!」

「どっ…どうしたんだ?」


驚いて振り向くと、エレナたちと対峙する一人の男性が立っていた。

眼鏡をかけた背の高いスラっとした優男。
それがイノチの第一印象。


「すみません…驚かせるつもりはなかったんだけど。」


男はそう言いながら、頭をかいて苦笑いしたのだった。
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