ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

文字の大きさ
137 / 290
第三章 ランク戦開催

11話 〇〇へのいざない

しおりを挟む

レンジたちとの話を終えて、宿屋に戻ったイノチは、ベッドの上で開いた携帯端末と睨めっこしていた。

フレデリカとアレックスは、茶菓子をおいしそうに頬張っている。

縁側の座椅子に座り、頬杖をついてお茶をすすっているエレナは、ふとイノチへと声をかける。


「BOSS?さっきから何を難しい顔をしているわけ?」

「ん?あぁ…タケルとトヌスからのメッセージを確認したたんだ。」

「…メッセージ?」

「うん。フレンド登録してる場合は、相手に直接伝えたいことを送ることができるんだけど、クランメンバーにはグループでメッセージを…つまり、まとめて伝言が可能ってわけ。」


途中から興味がなくなったのか、エレナは「ふーん。」と言ってお茶をすすった。


「リアルタイムに伝言を送ることができるのは、すごいことですわ。ちなみに二人からはなんと?」


反対に、興味を持ったフレデリカが聞いてくる。
アレックスは、いまだにおいしそうに口をもしゃもしゃしている。


「タケルたち『タカハ』組は、少し大きめのクランのリーダーと知り合えたみたい。明日交渉するってさ。トヌスの方は、ロドたちを軍に入隊させたらしい。それぞれの得意分野を活かして、ジパン国の人手不足の解消を目指すって。シャシイさんにも話はついてるみたいだな。」

「順調…と言っていいのかしら?」

「そうだな。ただ、問題もいくつかあるみたい。」

「問題…?」


耳を傾けるエレナとフレデリカ。
イノチは携帯端末をしまい、近くの座椅子に座ると自分のお茶をすする。


「まず『タカハ』組についてだけど、昨日の夜、得体の知れないレイピア使いに突然襲われたらしい。」

「…襲われたですって!二人に怪我は?」

「とりあえずは大丈夫みたい。タケルが撃退したらしいけど、どこの誰かも不明だと…」

「しかし、なぜ急に襲われたのでしょう。こちらの考えが他国に漏れているのでしょうか…」

「おそらく、それはないと思うよ。」


お茶をすすりながら、答えるイノチ。


「なんでですの?」

「だってさ、俺たちの作戦がバレているなら、なんで『タカハ』組だけ襲うんだ?俺たちも、トヌスだって襲われてもいいだろ?今回の作戦で一番重要なのは俺たちだ。そこを狙わずにタケルたちをってのは、あまり納得いかないからね。」

「確かにそうね。野盗の方ならともかく、ミコトたちを狙う理由はあまりないわね。非効率だし…」

「…トヌスおじさんたちを狙う理由ならあるってこと♪?」

「ですわね。ジパン国への依頼文書を持ったトヌスを襲う方が、わたくしたちにとっては痛手ですもの…」

「そういうこと。」

「…で、他の問題は何?」


再び、茶碗を持ち上げると、エレナが問いかけてくる。
一口、お茶をふくむと、ゆっくりと飲み込んでホッと一息つくイノチ。


「もう一つは、トヌスの方だ。『トウト』の街には、どうもクランっぽいものがないらしいんだよ。だから、プレイヤー一人ずつに声をかけるしか、方法がないみたいなんだ。明日、ギルドに行ってみるとは言ってるけど…」

「意外ですわ。この国の中心都市である『トウト』こそ、大きな組織が拠点を置いておいてもよさそうですのに。」

「おそらくなんだけど、最初のスポーン地点が関係してるんじゃないかなと思う。」

「スポーン地点…?ってなによ。」


首を傾げるエレナに対して、もう慣れたといった素振りでイノチは話を続けていく。


「エレナは覚えてるかな?初めにこの世界に来たときのこと。」

「えぇ、覚えてるわよ。森の中に降り立った時のことでしょ。」

「そう、最初に現れた場所。それがスポーン地点ね。」


なるほどとうなずくエレナを見ながら、イノチは説明を続ける。


「あの時さ、アリエルって天使からは、最初の国を選べとしか言われなかった。てことは、その国のどこに降り立つかはランダムってことになる。結果、送られる場所はどこかもわからない森の中だった。では、ここで問題です。見ず知らずの場所に突然連れて来られた人が、最初に考えることってなんでしょうか?」

「やったぁ♪またなぞなぞだねぇ♪」


喜ぶアレックスに微笑みつつ、解答を待つイノチに、エレナが答える。


「簡単よ。人里を探す…でしょ。」

「あぁ!早いよぉ~エレナさん(泣)」


目に涙を浮かべて、悔しそうにするアレックス。
エレナは、困ったようにアレックスをなだめている。

イノチは苦笑いしつつ、説明を続ける。


「エレナの言うとおり、答えは『近くの街』だ。」

「確かにそうかもですわ。でも、それと『トウト』の件にどんな関係が?」

「これ、普通のゲームじゃないし、人の心理的に最初の街を拠点にしたがると思うんだよ…現に俺もそうだからね。となると、自然に最初の拠点の街で、クランを作るようになってくる。」

「なら、『トウト』の近くにスポーンするプレイヤーが皆無ってことになりますわ。BOSS…それは推測でしかないのですわ。」

「確かにそうだね。だけど、ミコト、タケル、ゲンサイに聞いたら、みんな最初のスポーン地点は『トウト』以外の街の近くらしいんだよ。俺も含めた四人とも、そうなるのはまぁまぁな確率じゃないか?」


フレデリカは、頭の中で何かを計算しているようだが、イノチはそのまま話を続けていく。


「まぁ、その辺は置いておくとして、結果『トウト』にはクランがないから、仲間に加えるのも一苦労しそうだったことだな。それに、もう一つ気になることがあるんだよね。」

「まだあるの?」


エレナが面倒くさそうにため息をつく。


「あぁ、これが一番重要な気がするんだけど…トヌスの奴、見知らぬ女性にアイテムをもらったらしいんだ。」

「見知らぬ…女性?」

「アイテム…?」

「ねぇねぇ、BOSS♪どんな人なの♪その女性って♪」


訝しむ二人をよそに、一人楽しげに聞いてくるアレックスに、イノチは微笑んだ。


「白装束で、顔は隠してたから見えなかったんだとさ。もらったものは煙管(キセル)だって。」

「ふむ。想像するに、BOSSが会った神の使いとやらの仲間では?」

「俺もそう思ってるよ。でも、なんでトヌスだけに…」

「その煙管は使ってみたわけ?あの野盗は。」

「怪しさマックスで、使い兼ねてるみたいだな。」

「ちっ…相変わらず、肝っ玉の小さい男ね!」

「ハハ…」


腕を組んで鼻息を荒くするエレナに、苦笑いを浮かべるイノチは、小さくため息をついた。


「トヌスには使ってみるように話してるから、そのうち結果を教えてくれるだろうさ。とりあえずは、各チームの現状はそんな感じだね。」

「了解よ。で、あたしたちはこの後どうするの?」


お茶をすするイノチへ、エレナが問いかけた。


「とりあえず、この指輪が光るのを待たないと…ってとこかな。レンジたちの状況とか、いろいろ情報を集めないと何にも決められないからね。」

「なら、お風呂にしましょう!」

「ですわ。」

「やったぁ♪温泉っ♪温泉っ♪」

「あ~、俺はいいや。飯食べてからで…調べたいこともあるし。」

「ダメよ、BOSS。」


再び、携帯端末を取り出そうとしたイノチに、エレナが言い放つ。


「なんでだよ。後でちゃんと入るよ。」

「そういう問題じゃないわ。リシアではみんなで行動する。そう言ったのはBOSSでしょ!」

「うっ…」

「確かにそうですわね。」

「BOSSも一緒に行こうよぉ~♪」

「ちぇっ!わかったよ。行くよ行くって!!」


三人に見つめられて、居心地悪そうにしていたイノチは、携帯端末を懐にしまい直した。

観念したイノチを見て、満足げにエレナとアレックスが準備を始め、フレデリカもそれに続いていく。

小さくため息をつくイノチであったが、この後、出血大サービ…コッ…コホン。

出血多量で死にかけることを、彼は知る由もなかった。

次回に続く。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

離婚すると夫に告げる

tartan321
恋愛
タイトル通りです

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...