ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

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第三章 ランク戦開催

30話 最強僕っ子

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見上げられるほどの大きな巨躯。
光苔の明かりと相まって、ミノタの体には明と暗のコントラストがくっきりと分かれていて、その巨大さを表現している。


「リュカオーンより…でかくない…?」

「う~ん、そうね。少し大きいかしら。」

「まぁ、どんぐりの背比べほどですわ。」


イノチは心の中でその例えはおかしいとつぶやきつつ、アレックスの方に目を向けた。

彼女もまたミノタを見上げている。
彼女の背丈はもともと小さいが、ミノタによってその小ささが際立って見えた。


「アレックス…大丈夫だよな?」


ふと心配になるイノチに対して、エレナもフレデリカも肩をすくめるように告げる。


「あの子の防御力はハンパないですから。」

「そうよ。アレックス、ウォタの覚醒時のパンチを防いだからね。」

「なっ!?ウォタの覚醒時のパンチを?!」


驚くイノチに二人は腕を組んでうなずいた。


「あれは頭おかしいですわ。普通はウォタさまのパンチはかわすものですもの。」

「そうね。いくら手加減しているとはいえ、あれは受けるものではないわね。」

「…そうなのかよ。通りでアレックスの奴、この前の戦闘では余裕だったわけだ。てか、お前らいつもそんなことやってんのか?」

「だって体がなまるもの。たまにウォタやゼンたちと組手とかして、感覚を養ってるのよ。」

「ですわね。強者とも戦えてわたくしたちのストレス(戦闘欲)も解消できますし、ウォタさまも運動ができて満足されてますわ。」


なるほどなぁとうなずきつつ、イノチは再びアレックスに視線を戻した。



「ほわぁ~♪大きいなぁ~♪」

「そうだろうミノぉぉぉ!!今度こそお前を踏み潰してやるミノぉぉぉ!!」


ミノタはそう告げて右足を大きく上げると、アレックスに向けて踏みつけた。

先ほど以上の衝撃波が起き、その波が辺りにあるものを吹き飛ばしていく。


「グワワワワァァァッ!!ザマアミロだミノぉぉぉ!!」


しかし、砂ほこりが晴れてくると、ミノタはすぐに違和感に気づいた。

足が地面についていない…
全体重を載せて踏みつけたはずなのに、右足が何かに阻まれて浮いているのである。


(なっ…なんだこれミノ!まるで巨大な鉄の塊を踏みつけているような感じミノ!!)


そう思った瞬間、右足の下から可愛らしい声が聞こえてくる。


「ふむふむ♪こんな感じかぁ♪…そろそろいいかなぁ♪飽きちゃったし…♪」

「なっ…声が…あいつ生きているミノか!?」

「それじゃあ、いくよぉ♪せぇ~のぉ~♪やぁぁぁ♪♪♪」

「おわっ…おわぁぁぁぁ…ミッ…ミノォォォォ!!!」


ミノタは右足の裏に一瞬だけ力強い何かを感じたが、それも束の間、急に突き上げられて背中から地面に倒れ込んだ。

大きな地響きとともに舞い上がった砂ほこりが、ゆっくりと消えていく。

そして、倒れたミノタの前でこちらに向かってピースサインをするアレックスの姿があった。


「アレックスってさ、盾士だよな…」

「そうね。そう聞いてるわ。」

「盾士ってさ…攻撃できないんじゃなかったっけ?」


驚きあきれた表情でそうつぶやいたイノチに、フレデリカが反応する。


「相手に攻撃されている時は押し返せるらしいですわ。あとは、相手の攻撃を受ける前提のカウンタースキルとかも持ってるとか…」

「えぇ~そんなのありなの…」

「別にいい事なんじゃない?できないと思ってたことができてるんだし。」

「そうだけどさぁ…なんだかな。」


イノチは敢えてチートという言葉は使わなかった。
なんだか言ってはいけない気がしたからだ。


「イテテテッ…おまっ…お前、なんなんだミノ!!」


体を元の大きさに縮ませながらそう嘆いているミノタに、アレックスは振り返ると楽しげに笑う。


「楽しかったぁ♪久々にワクドキできたよぉ♪きみ、ありがとうね♪」

「うっ…キュ…キュンだミノ…」


アレックスに可愛らしい笑顔を向けられ、顔を紅潮させるミノタ。


「おい…あいつ、アレックスにキュンとしてるぞ。」

「本当ですわ。」

「まぁ、その気持ちはわかるわ。」


赤くした顔を見られ、その恥ずかしさからすぐに我にかえったミノタは声を荒げる。


「おっ…お前ら、覚えとけだミノ!!この借りは絶対返すミノ!!」

「あっ!逃げた!」

「逃げたわね。」

「逃げたですわね。」


そう言いつつ走り去っていくミノタの背中を、イノチたちは見送るのであった。





「ハァハァ…まったくなんなんだミノ!あんな強いやつ、初めて会ったミノ!!」


イノチたちから逃げ切ったミノタは、苦しそうにしながらも悪態をついていた。


「こうなったらケンちゃんにあいつらの始末を頼むミノ!」


そうつぶやいた瞬間…


「ミノタ…お前何やってんだよ!」

「ケッ…ケンちゃん!!良いところに来たミノ!!」


ミノタが振り返ると、そこには背の高い男の姿があった。
ただし、腰から下は4足歩行の馬の体をしており、背には弓を背負い、腰に矢と矢筒を携えている。


「どうしたんだ?そんなに焦ってさ。」

「ケンちゃん、聞いてくれミノ!実は…」


ミノタは先ほどの一幕を、ケンちゃんと呼ぶ男に説明した。


「なるほとな、お前のパワーを超える奴がいるのか。」

「そうなんだミノ!!ちっちゃいくせにハンパない力してるミノ!!」

「おもしれぇーじゃん!どれ、俺が相手してやるぜ。」


ケンちゃんは不敵な笑みをこぼしたのだった。





「ねぇ、BOSS?」

「なんだ?エレナ。」


ミノタを見送ったイノチたちは、再び大空洞の奥を目指して進んでいた。


「ここに来た目的って、リシアの生誕祭で暴れさせる神獣…いえ、ユニークモンスターを捕縛しに来た、で間違いないわよね。」

「…うん、おおよそ合ってるよ。」

「それはいいんだけど、いくつか疑問もあるのよね。」

「珍しいね。エレナが疑問だなんて。」

「あたしだって考える時くらいあるわ…」


余計なことを口走り、エレナに睨まれて焦るイノチ。


「ごっ…ごめん。で、疑問って何?」

「ふん!まず第一にどうやってユニークモンスターを捕縛するわけ?」

「簡単だよ。書き換えるんだ。」

「書き…換える?」

「そう。ちょっとごめんね。」


首を傾げるエレナの肩に触れるイノチ。
目の前にはウィンドウが一つ現れる。


「これはエレナのプログラムね。あっ…プログラムって言うのは、コンピュータ用語の定義だとコンピュータに行わせる処理の手順を決められた形式(プログラム言語)に従って書き表したものだね。コンピュータはどんな情報処理も行いうる能力を備えた機械(ハードウェア)なんだけど、プログラム(ソフトウェア)が与えられて初めて実際の処理を遂行できるってわけ。それが俺の世界でのプログラムなんだけど…」


マシンガンのように話すイノチに、唖然とするエレナ。
それに気づいたイノチは、苦笑いをして説明し直す。


「ごめん。ちょっと熱くなっちゃったかな。簡単に言うとエレナがこの世界で存在するための行動規範みたいなものだな。これに従ってエレナの行動が決まったり、制限されるわけだ。」

「…行動規範?全然意味がわからないわ。」

「う~ん、そうだなぁ。なら…」


イノチはウィンドウをエレナに見せて説明する。


「ここにはさ、『エレナはプレイヤーであるイノチが排出したキャラクター』って書かれてる。その下を読んでいくと、『彼の命令には従わねばならない』とも書いてあるわけ。これの意味はわかるだろ?」

「あたしはBOSSに逆らえない…いえ、逆らわないように制限されているってことね。」

「そういうこと。で、俺のスキルはこれを『書き換える』ことができるんだ。だから、ユニークモンスターを動けなくして、奴らのプログラムを『俺たちの仲間』とかに書き換えてしまえばいいってこと。まぁ今のは超単純な例えだけど…」

「なるほどね。理解したわ!なら、さっきの奴を半殺しにしたらいいわけね!」

「そっ…その例えは怖ぇよ…」


エレナの発言にイノチが引いていると、フレデリカが前を見据えて小さくこぼした。


「新手…ですわ。」


その言葉に一同が前を向くと、そこにはミノタともう一人、馬男の姿があった。
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