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第三章 ランク戦開催
98話 ソシャゲリストたる者
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通路を歩くイノチとエレナたち。
薄暗い通路には小さな蝋燭が等間隔に並び、イノチたちの影を揺らす。
イノチの案内の元、一同はとある場所へ移動する途中であった。
「まったく…BOSS、いったいどれだけの隠し部屋を作ったわけ?」
後ろで大きくため息をつくエレナに、イノチは歩きながら振り返り、笑いながら答える。
「この前の部屋はフレデリカに壊されちゃったけど、残ってるのは…ざっと10個くらいかなぁ。」
「そんなに?!一体何に使うのよ。」
「隠れてガチャをする部屋にと思ってたんだけど…今じゃそれも必要なくなっちゃったなぁ…ハハハハ」
そう笑うイノチに対して、エレナは深くため息をついた。
そんな二人のやり取りに、フレデリカが加わる。
「そもそも、ここはわたくしたちの拠点ではないのですが、その辺りの許可は取ってあるのですか?」
「許可…?もちろん!…て言うか、レンジに相談したら、襲撃時の陽動にもなるから、ぜひしてほしいって言われたくらいだ。」
「まぁ…そういう考え方もあるわね…」
エレナが肩をすくめてそう告げる。
相変わらず、アレックスはそんな三人のやり取りをただ楽しげに見つめているだけだが…
「さぁ、着いた。」
イノチがそう言って、壁の前で立ち止まった。
もちろん、エレナは目の前の疑問をイノチへと投げかける。
「どこに入り口があるのよ。ただの壁じゃない…」
「当たり前だろ、隠し部屋なんだから。ドアつけてどうすんだよ。」
エレナの言葉に振り返ることなく、イノチが目の前に現れたキーボードを軽く叩くと、今まであったはずの壁の一部が綺麗さっぱり無くなってしまった。
「この先に部屋があるよ。さぁ、行こう。」
そう告げたイノチが踏み出して中へと進むと、後にはフレデリカとアレックスが続く。
最後に残されたエレナ。
「はぁ…この周到さを戦いにも活かしてほしいわね。」
そう小さくつぶやくと、皆に遅れながら暗い通路へと進んでいった。
・
・
・
「さぁ、着いたよ。」
イノチはそう告げると、目の前のドアを開けて部屋へと入る。
「どんだけ入り組んだ構造にしたのよ…」
その一番後ろでげっそりとつぶやくエレナ。
それもそのはず。
この部屋に着くまでに、時間にして約30分ほど歩いてきたのだから。
「この階段、使う度に形が変わるようにシステム組んだ。我ながら上出来…だけど、こういう時は面倒臭いのが難点だな。」
笑いながらそう話すイノチに、エレナはジト目を向けた。
部屋に入ると10畳程度のスペースが広がっていたが、簡易的なテーブル、ソファが置いてあるだけで、その雰囲気はかなり質素なものだ。
エレナがソファに腰を下ろすと、アレックスがそれに続いてちょこんと座る。
その一方で、フレデリカとイノチは立ったまま話し始めた。
「で、BOSS、ここからどうするのですわ?『黄金石』を作るためには、かなり稀少なアイテムや素材などが膨大に必要ですけど…もしかして、実はそれらの稀少アイテムがここにあるとか…?」
「ん?いや、ないよ。」
「え…?……なら、どうやって…」
「待って…今準備するから。」
ため息をついて腕を組むフレデリカに少し待つように指示し、イノチは携帯端末を操作し始める。
「これこれ…っと…」
そうつぶやくイノチの手元には、あるアイテムが一つ姿を現した。
イノチはフレデリカへ向き直ると、彼女にそれを手渡して笑う。
「これはなんですの?」
「これは『希少石』っていうかなりレアなアイテムなんだけど…実はガチャ魔法でしか使えない代物なんだ。」
「『希少石』…?」
「そう言えば、そんなアイテムもあったわね。でも、かなり初期に手に入れてなかったっけ?」
フレデリカが物珍しそうに希少石を眺めている横で、エレナが気づいたようにそうつぶやく。
「そう。この世界に来た時、最初にゲットしてたんだよな。だけどさ、あの時エレナに止められてから、ずっとその存在を忘れちゃってたんだよね。」
「効果は『UR確定』とかだったわよね。BOSSにしては珍しいんじゃない?ガチャオタクがそんな重要なこと忘れてたなんて…」
「誰がガチャオタクだ、誰が。だけど、エレナの言葉も否めないよなぁ。初めからさっさと希少石でUR引いていれば、今までこんなに苦労せずにこれたかもしれないのに…俺にしては確かに珍しい…」
その言葉にエレナの耳がピクリと動く。
「…なによ。それだとURじゃないあたしたちじゃ、力不足みたいな言い方に聞こえるわね。ねぇ、アレックス?」
「本当だよぉ♪BOSS…ひどぉい♪」
「うっ…!そ…そういう意味で言った訳じゃ…」
「じゃあ、どういう意味なわけ…?」
「そ…それは…」
イノチは言葉の選択肢を誤ったことに気がついたが、時すでに遅し…
エレナは不満げにそっぽを向いてしまった。
その横にいるアレックスも表情は笑っているが、いつになく怒っているようにうかがえる。
イノチの背中に冷や汗が流れ落ちた。
(あれ…?)
イノチも決して本意で言ったわけではない。
だが、もともと女性の扱いに慣れていないイノチが、ガチャのことを話す上でそこまで気を使えるはずがないのは自明の理。
「そ…それはあれだ!実際にはエレナたちがいるから、URなんて必要ないってことの裏返し?だから、忘れちゃってたってわけだ…ハハハ…」
そう必死に言葉を探して捻り出すが…
「なら、URであるわたくしは要らないってことですわね。ならば、今回の黄金石の錬成の話もなかったことにします、ですわ?」
今まで食い入るように希少石を眺めていたフレデリカが、突然ニヤリと笑ってイノチを見た。
その視線に確かな怒りを感じたイノチは更に焦りが募らせる。
「え…ちょっ…フレデリカまで…あれ?」
いつもと違う様子の三人に戸惑うイノチに対して、エレナが畳み掛けるように言葉を綴った。
「まぁ、BOSSにとってはあたしたちなんて、とって替えの利くただのキャラクターだもんね。ガチャでより強い奴が出ればお払い箱なわけよね。」
「ですわね。悲しいですが、それがガチャ魔法で召喚された我々の定めなのですわ。」
「受け入れるしかないんだよねぇ♪でも僕、とても悲しくなってきたよぉ♪」
エレナの言葉に被せるように、フレデリカもアレックスも悲しげな表情を浮かべ、言葉を綴っていく。
「お前ら…」
三人の悲しげな表情を見たイノチはハッとした。
思い出したのだ…ここはゲームじゃなく、現実の世界であったことを。
エレナたちは確かにガチャ魔法で召喚されるキャラクター。
だが、それ以前に心も命もある一人の人間なのだ、と。
イノチは想像する。
もし、自分がエレナたちと同じキャラだとして、自分の代わりがガチャ魔法で出てしまったら…
代わりが出たからお前は用無しだと言われたら…
その不安、悲しみは想像を絶するものになるはずだ。
(何をやってんだ、俺は…。ソシャゲを愛することはキャラを愛すること。手に入れたキャラには、自分の全てを注ぎ込むのが信条だったはず…エレナたちの気持ちも考えずに、ガチャが引けることをただ喜んでいるなんて…)
下を向き、悔しげに肩を震わせるイノチは決心したように三人に目を向ける。
そして、目を輝かせてこう告げた。
「俺が間違っていた!三人の気持ちをまったく考えずに、自分の欲望のままにガチャを回していたなんて…。ソシャゲリストとして恥ずべき行為だったと、今更ながら気づいたよ!だから、決めた!!今回手に入るであろう『黄金石』は全て、『装備ガチャ』へ注ぎ込むことを!三人を強くするために…俺はガチャを回す!!」
拳を握り、そう宣言するイノチ。
その表情は、何か悟りを受けたような…神の啓示を受けたような…そんなすっきりとした顔をしている。
「そ…そう言ってくれると、あたしたちも嬉しい…わ。」
「そ…そうですわ。感謝します…BOSS。」
エレナとフレデリカは少し引き気味にイノチの言葉に頷きつつ、エレナがアレックスへ小さく問いかける。
「ア…アレックス…。あんた…BOSSにチャームか何か使ったの?」
「え♪つ…使ってないよ♪」
問われたアレックスでさえ、イノチの力強さに珍しくたじろいでしまうのであった。
薄暗い通路には小さな蝋燭が等間隔に並び、イノチたちの影を揺らす。
イノチの案内の元、一同はとある場所へ移動する途中であった。
「まったく…BOSS、いったいどれだけの隠し部屋を作ったわけ?」
後ろで大きくため息をつくエレナに、イノチは歩きながら振り返り、笑いながら答える。
「この前の部屋はフレデリカに壊されちゃったけど、残ってるのは…ざっと10個くらいかなぁ。」
「そんなに?!一体何に使うのよ。」
「隠れてガチャをする部屋にと思ってたんだけど…今じゃそれも必要なくなっちゃったなぁ…ハハハハ」
そう笑うイノチに対して、エレナは深くため息をついた。
そんな二人のやり取りに、フレデリカが加わる。
「そもそも、ここはわたくしたちの拠点ではないのですが、その辺りの許可は取ってあるのですか?」
「許可…?もちろん!…て言うか、レンジに相談したら、襲撃時の陽動にもなるから、ぜひしてほしいって言われたくらいだ。」
「まぁ…そういう考え方もあるわね…」
エレナが肩をすくめてそう告げる。
相変わらず、アレックスはそんな三人のやり取りをただ楽しげに見つめているだけだが…
「さぁ、着いた。」
イノチがそう言って、壁の前で立ち止まった。
もちろん、エレナは目の前の疑問をイノチへと投げかける。
「どこに入り口があるのよ。ただの壁じゃない…」
「当たり前だろ、隠し部屋なんだから。ドアつけてどうすんだよ。」
エレナの言葉に振り返ることなく、イノチが目の前に現れたキーボードを軽く叩くと、今まであったはずの壁の一部が綺麗さっぱり無くなってしまった。
「この先に部屋があるよ。さぁ、行こう。」
そう告げたイノチが踏み出して中へと進むと、後にはフレデリカとアレックスが続く。
最後に残されたエレナ。
「はぁ…この周到さを戦いにも活かしてほしいわね。」
そう小さくつぶやくと、皆に遅れながら暗い通路へと進んでいった。
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「さぁ、着いたよ。」
イノチはそう告げると、目の前のドアを開けて部屋へと入る。
「どんだけ入り組んだ構造にしたのよ…」
その一番後ろでげっそりとつぶやくエレナ。
それもそのはず。
この部屋に着くまでに、時間にして約30分ほど歩いてきたのだから。
「この階段、使う度に形が変わるようにシステム組んだ。我ながら上出来…だけど、こういう時は面倒臭いのが難点だな。」
笑いながらそう話すイノチに、エレナはジト目を向けた。
部屋に入ると10畳程度のスペースが広がっていたが、簡易的なテーブル、ソファが置いてあるだけで、その雰囲気はかなり質素なものだ。
エレナがソファに腰を下ろすと、アレックスがそれに続いてちょこんと座る。
その一方で、フレデリカとイノチは立ったまま話し始めた。
「で、BOSS、ここからどうするのですわ?『黄金石』を作るためには、かなり稀少なアイテムや素材などが膨大に必要ですけど…もしかして、実はそれらの稀少アイテムがここにあるとか…?」
「ん?いや、ないよ。」
「え…?……なら、どうやって…」
「待って…今準備するから。」
ため息をついて腕を組むフレデリカに少し待つように指示し、イノチは携帯端末を操作し始める。
「これこれ…っと…」
そうつぶやくイノチの手元には、あるアイテムが一つ姿を現した。
イノチはフレデリカへ向き直ると、彼女にそれを手渡して笑う。
「これはなんですの?」
「これは『希少石』っていうかなりレアなアイテムなんだけど…実はガチャ魔法でしか使えない代物なんだ。」
「『希少石』…?」
「そう言えば、そんなアイテムもあったわね。でも、かなり初期に手に入れてなかったっけ?」
フレデリカが物珍しそうに希少石を眺めている横で、エレナが気づいたようにそうつぶやく。
「そう。この世界に来た時、最初にゲットしてたんだよな。だけどさ、あの時エレナに止められてから、ずっとその存在を忘れちゃってたんだよね。」
「効果は『UR確定』とかだったわよね。BOSSにしては珍しいんじゃない?ガチャオタクがそんな重要なこと忘れてたなんて…」
「誰がガチャオタクだ、誰が。だけど、エレナの言葉も否めないよなぁ。初めからさっさと希少石でUR引いていれば、今までこんなに苦労せずにこれたかもしれないのに…俺にしては確かに珍しい…」
その言葉にエレナの耳がピクリと動く。
「…なによ。それだとURじゃないあたしたちじゃ、力不足みたいな言い方に聞こえるわね。ねぇ、アレックス?」
「本当だよぉ♪BOSS…ひどぉい♪」
「うっ…!そ…そういう意味で言った訳じゃ…」
「じゃあ、どういう意味なわけ…?」
「そ…それは…」
イノチは言葉の選択肢を誤ったことに気がついたが、時すでに遅し…
エレナは不満げにそっぽを向いてしまった。
その横にいるアレックスも表情は笑っているが、いつになく怒っているようにうかがえる。
イノチの背中に冷や汗が流れ落ちた。
(あれ…?)
イノチも決して本意で言ったわけではない。
だが、もともと女性の扱いに慣れていないイノチが、ガチャのことを話す上でそこまで気を使えるはずがないのは自明の理。
「そ…それはあれだ!実際にはエレナたちがいるから、URなんて必要ないってことの裏返し?だから、忘れちゃってたってわけだ…ハハハ…」
そう必死に言葉を探して捻り出すが…
「なら、URであるわたくしは要らないってことですわね。ならば、今回の黄金石の錬成の話もなかったことにします、ですわ?」
今まで食い入るように希少石を眺めていたフレデリカが、突然ニヤリと笑ってイノチを見た。
その視線に確かな怒りを感じたイノチは更に焦りが募らせる。
「え…ちょっ…フレデリカまで…あれ?」
いつもと違う様子の三人に戸惑うイノチに対して、エレナが畳み掛けるように言葉を綴った。
「まぁ、BOSSにとってはあたしたちなんて、とって替えの利くただのキャラクターだもんね。ガチャでより強い奴が出ればお払い箱なわけよね。」
「ですわね。悲しいですが、それがガチャ魔法で召喚された我々の定めなのですわ。」
「受け入れるしかないんだよねぇ♪でも僕、とても悲しくなってきたよぉ♪」
エレナの言葉に被せるように、フレデリカもアレックスも悲しげな表情を浮かべ、言葉を綴っていく。
「お前ら…」
三人の悲しげな表情を見たイノチはハッとした。
思い出したのだ…ここはゲームじゃなく、現実の世界であったことを。
エレナたちは確かにガチャ魔法で召喚されるキャラクター。
だが、それ以前に心も命もある一人の人間なのだ、と。
イノチは想像する。
もし、自分がエレナたちと同じキャラだとして、自分の代わりがガチャ魔法で出てしまったら…
代わりが出たからお前は用無しだと言われたら…
その不安、悲しみは想像を絶するものになるはずだ。
(何をやってんだ、俺は…。ソシャゲを愛することはキャラを愛すること。手に入れたキャラには、自分の全てを注ぎ込むのが信条だったはず…エレナたちの気持ちも考えずに、ガチャが引けることをただ喜んでいるなんて…)
下を向き、悔しげに肩を震わせるイノチは決心したように三人に目を向ける。
そして、目を輝かせてこう告げた。
「俺が間違っていた!三人の気持ちをまったく考えずに、自分の欲望のままにガチャを回していたなんて…。ソシャゲリストとして恥ずべき行為だったと、今更ながら気づいたよ!だから、決めた!!今回手に入るであろう『黄金石』は全て、『装備ガチャ』へ注ぎ込むことを!三人を強くするために…俺はガチャを回す!!」
拳を握り、そう宣言するイノチ。
その表情は、何か悟りを受けたような…神の啓示を受けたような…そんなすっきりとした顔をしている。
「そ…そう言ってくれると、あたしたちも嬉しい…わ。」
「そ…そうですわ。感謝します…BOSS。」
エレナとフレデリカは少し引き気味にイノチの言葉に頷きつつ、エレナがアレックスへ小さく問いかける。
「ア…アレックス…。あんた…BOSSにチャームか何か使ったの?」
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