ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

文字の大きさ
226 / 290
第三章 ランク戦開催

99話 激アツ!大フィーバー

しおりを挟む

話は隠し部屋に移動する少し前に遡る。


「エレナ、やはり今回BOSSに引かせるのは『装備ガチャ』ですわ。」


腕を組み、壁に寄りかかるフレデリカがそうつぶやいた。

今、イノチはお風呂に行っているため、ここにはいない。
ガチャ魔法を使用する前に、一度風呂に入りたいと言い出したイノチをエレナたちは快く送り出して、今に至るわけだが…


「それがいいわね。人手が増えるのもいいけど、先に装備を整えたいのが本音。」


反対側の壁にもたれたいたエレナがそう返す。


「えぇ、わたくしも今回戦った他のプレイヤーたちを見ていて、改めて思いましたですわ。この世界ではプレイヤーランクも重要ですが、しっかりとした装備を整えることがそれ以上に重要だと。今のBOSSが他のプレイヤーと一対一で対峙した場合、ランクで優れていても簡単にやられます、ですわ。」

「ほんとそれ…あたしたちが常に近くにいれば守ることはできるけど、今度の生誕祭ではそうもいかないわ。おそらく乱戦になるだろうから、はぐれる可能性も高い…」

「その場合、BOSSには一人で切り抜けてもらわねばならないですわ。」


そこまで話して、二人の間にしばしの沈黙が訪れた。

二人が何を話し合っているのかというと、イノチの装備の軽さについてである。

現在、イノチの装備は『ハンドコントローラー(SR)』と『魔道のローブ(N)』のみであり、命のやりとりをする世界に身を置いている者としてこの軽装はあり得ない。

フレデリカとエレナは、以前からこの状況に懸念を抱いていたのだった。

イノチたちの戦闘スタイルは、エレナとアレックスが前衛、フレデリカが中衛、そして、イノチが後衛となる陣形が基本である。

かなりバランスが取れた陣形であり、エレナたち個々の強さから考えても、敵側にウォタやゼンクラスが出てこない限り、これが崩されることはまずないと言っていい。

そして、イノチ自身もそこに絶対的な信頼を置いているため、自分の装備が疎かになっているのである。

しかし、それだけではない。

もともとイノチが好んでプレイしてきたソーシャルゲームは『アニメRPG』。

ガチャで手に入れたキャラを編成し、ストーリーやクランバトル、個人ランク戦などを楽しむジャンルのものである。

この手のゲームの特徴は、基本的に自分を強化したり自分のために装備を揃える必要がないということ。

故に、イノチは自分の守りを固めることに対する意識が薄いのだ。

タケルのようにキャラを固めつつ、装備も充実させる器用なプレイヤーもいるが、この『アクセルオンライン』内のプレイヤーたちは基本的に自分を強化していく傾向にある。

そして、そんなプレイヤーたちとソロで対峙した場合、イノチは絶対に勝てない。

フレデリカとエレナはそう考えていた。
そして、その考えはあながち間違っていないし、イノチの死は自分の死にもつながると言うことを、二人はしっかりと理解しているのだ。


「では、どうやって『装備ガチャ』を引かせる方向へ持っていくか、ですわ。」


フレデリカが沈黙を破り、作戦を考え始める。


「BOSSはキャラばかり集める傾向にありますですわ。その懲りようは、もはや病気と言っても過言ではない…」


あごに手を置き、静かに考えるフレデリカ。
自分の主人に対して酷い言いようではあるが、それを聞いたエレナも不敵な笑みを浮かべてこう豪語した。


「大丈夫よ!あたしに考えがあるの。BOSSの場合、ゴリ押しが一番よ!」

「ゴリ押し…一理ありますですわね。まぁ、少し不安ですが、BOSSと一番付き合いの長いあなたに任せますわ。」


フレデリカがそううなずいたタイミングで、アレックスが姿を現す。


「二人ともぉ♪BOSS、戻ってくるよぉ♪」


背中の盾を大きく揺らし、そう言いながら走ってきた彼女は、風呂に入っているイノチの監視役を務めていたようだ。


「ならエレナ、あなたの話に合わせます。よろしくですわ。」


フレデリカの言葉にエレナはうなずき、アレックスも笑顔で反応した。





そんなこんなで、エレナの作戦を決行した結果が、目の前で目を輝かせて立っているイノチだった。

どことなく暑苦しいと言うか…うざさを感じさせるイノチの様子に、エレナもフレデリカも少し引き気味だったが、フレデリカが改めて口火を切る。


「エレナ…ここから先はよろしくですわ。」

「なっ…!なんで…!?」

「そりゃあ…あなたが考えた芝居のせいでこうなったのですわ。」

「BOSS、目がキラキラだぁ♪なんか面白いねぇ♪」


楽しげに笑うアレックスを横目にエレナは大きくため息をつくと、恐る恐るイノチへと声をかけた。


「ボ…BOSS?それじゃ、本題に戻っても良いかしら…?」

「いいよ!もちろんだ!」

(なにこれ…めちゃくちゃ暑苦しい…)


輝く目を自分へと向けるイノチに対して、エレナは苦笑いを浮かべながら続ける。


「フレデリカが持ってるこの『希少石』だけど…これをいったいどうするの?」


その問いにもっと顔を輝かせるイノチ。


「それはな、これを錬成の素材にして黄金石を手に入れるのさ!フレデリカの錬成は等価交換が原則だから、"URが確定"するアイテムを素材にすれば、大量の黄金石が手に入る!俺はそう予想してる!」

「…確かに。これは私も見たことがない鉱石ですわ…BOSSの考えも一理有りそうですわね。」

「なら、ちゃっちゃとやっちゃいましょうよ。」


エレナの言葉にうなずいたフレデリカは、テーブルの上に希少石を静かに置くと、その上に手をかざして目を閉じる。


(これは…なんですの?何か計り知れない力を感じますですわ。)


かざした手のひらから普段は感じ得ない未知の力を感じ取り、フレデリカは不思議な気分に包まれていく。

いつもの錬成時に頭に浮かぶ様々な式は出てこない。
浮かぶのは得体の知れないイメージのみ。

フレデリカはそのイメージに支配されたような感覚に落ち入り、無意識に錬成の詠唱を唱えていた。


「万物を創生し得る神の名の下に、我、等しき対価をここに捧げん。」


その瞬間、希少石が輝きを放ち始める。

赤、青、緑、黄色など、様々な色を発しながら、ゆっくりとその輝きを膨らませていく希少石の様子を、イノチたちは固唾を飲んで見守っていた。

一方で、フレデリカは膨らみ始める強大なエネルギーを必死に抑えようと堪えていた。

触れてはいけないものに触れてしまったのではないか。
そう感じさせるほどの質量を持ったエネルギーが、手のひらの下で暴れているのだ。

閃光とは違う…
強力な光を発し続けるそれは、まるで意志を持った無数の蛇のようにグネグネと動き回っている。


(こ…これは…制御できない!)

「BOSS…!!退避を…!!」

「…えっ!?」


抑える腕の限界を感じ、フレデリカはイノチたちへと声をあげたが…

ズドォォォン!!

大きな爆発が巻き起こり、フレデリカもイノチたちもそれに巻き込まれてしまった。





「うわぁ♪びっくりしたなぁ♪」


砂ぼこりが漂う部屋の中に漆黒の盾がぽつりと立っている。
そして、その裏からひょっこりとアレックスが顔を覗かせた。

彼女だけは間一髪のところで自分の盾に身を隠し、ことなきを得ていたようだ。


「ケホッケホッ…煙たいなぁ♪BOSS♪エレナさぁん、フレデリカさぁん♪」


他の三人の名を呼ぶが返事はない。


「いったいなにが起きたのかなぁ♪みんなぁ~大丈夫ぅ♪」


のほほんとした表情でそうつぶやきつつ、砂ぼこりが収まるのを待つアレックス。

次第に晴れていく煙の先…
ジッと見つめるアレックスの視界には、ゆっくりと信じられない光景が飛び込んでくる。


「わわわぁ~♪激アツな展開だよぉ~♪」


目を輝かせるアレックスの視界には、部屋一面…いや、部屋ぎっしりに詰まった大量の黄金石が映し出されていたのだ。

そして、その黄金石の中から生えている6本の足も…
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

離婚すると夫に告げる

tartan321
恋愛
タイトル通りです

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...