ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

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第三章 ランク戦開催

100話 続 激アツ!大フィーバー

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「死ぬかと思った…」


椅子に座り、肩でため息をついたイノチがそうつぶやいた。
その横では、エレナとフレデリカもテーブルに寝そべり、疲れた顔を浮かべている。


「なによ…あの大量の黄金石は…」

「わからないですわ…錬成式を掛け合わせた瞬間、膨大なエネルギーが膨れ上がったのですわ。」

「みんな、無事でよかったよぉ♪」

(アレックス…強か過ぎるわ。)
(あなたが一番強かですわ。)


ニコニコと笑うアレックスを見て、エレナもフレデリカも心の中でつぶやいた。

大量の黄金石に埋め尽くされた部屋の中から三人を救出したのは、とっさに自分の身を守り、一人だけ無事であったアレックスだった。

アレックスに起こされ、意識を取り戻した三人は、改めてあり得ない状況を目の当たりにして動揺した。

部屋いっぱいにぎっしりと詰め込まれた大量の『黄金石』。

まるで、どこかのダンジョンをクリアした報酬を目にしているような…そんな感覚に落ち入りそうになる。

それほどの質量を感じさせる黄金石に対して、イノチが先に感じたのは歓喜よりも不安だった。

前回、ガチ魔法のシステムをいじろうとして制裁を受けた記憶が蘇り、再び同じことが起きるのではと心配になったのだ。

しかし、目の前の黄金石は消えることなく、無事にアイテムボックスへ収納が完了。

一度、頭を整理するためにイノチたちは壊れたテーブルと椅子を直して、そこに腰を下ろしたのだった。


「さてと…希少石を黄金石へ変換するという作戦は成功したな。唯一、誤算があるとすれば、この黄金石の量かな…」

「嬉しい誤算じゃない。」


エレナの言葉にうなずいたイノチは、携帯端末に表示された黄金石の所持数に目を落とした。


『黄金石×6,000個』


バカみたいなその数字を見て、イノチは顔がニヤけるのを止められなかった。

我慢したいのに頬が緩む。
真面目な話をしたいのに、口角が下がらない。

話そうとすると笑いが止まらなくなるのだ。


「エヘ…エヘヘヘヘ…」


そんなイノチを、エレナもフレデリカもあきれた顔で見ている。


「BOSS…シャキッとしなさいよ。」


頬杖をついたまま、ため息混じりにそうつぶやくエレナ。


「ほんと…煩悩が膨れ上がってみっともないですわ。」


フレデリカも肩をすくめ、大きくため息をつく。


「仕方ないだろ!10連ガチャ300回分だそ!俺じゃなくてもニヤける数だ!」

「知らないわよ。ほら、さっさと引いちゃいましょ!」

「バカを言うな!こんな機会滅多にないんだ!一回ずつ…ゆっくりと…吟味して…ヌフフフ…」


再びニヤつくイノチを見て、エレナもフレデリカも大きなため息をついた。

そして、エレナがアレックスに声をかける。


「アレックス…頼むわ。」

「ほぉい♪」


その言葉を聞いたアレックスは嬉しそうに笑い、イノチの元へと歩いていく。

そして、イノチの顔を覗き込むように自分の顔を近づけた。


「BOSS~♪早くガチャ引こうよぉ♪」

「ア…アレックス…!あぁ…引くよ、引く。でもさ…」


突然、天使級のアレックスの笑顔が視界に入り込み、イノチはタジタジし始める。


「僕♪早くカッコいい装備をつけたBOSSが見たいなぁ♪」

「カッコいい…装備…?」

「うん♪ローブじゃなくてカッコいい鎧とかさぁ♪」

(うっ…!キラキラが眩しい…!なんだ…俺は何で…何でガチャを引くのをもったいぶってんだ…)


イノチが魅了され始めたこと気づき、エレナとフレデリカは小さく笑う。


「ねぇ、BOSS♪いいでしょ~♪」

(あぁ…心が洗われる…俺はいったい…欲は捨てないといけないよなぁ…あぁぁぁ…)


なぜか涙を流し始めるイノチ。


「早く引こうよぉ~♪ねぇ~ってばぁ♪」」


イノチの頬に絶妙な力加減でアレックスの吐息が当たる。
それはアレックスのトドメの一撃だった。

イノチの表情が、まるで悟りを開いたかのようにスッと落ち着きを取り戻した。


「煩悩…ガチャへの欲とはなんと見苦しいものなんだ…。俺は捨てよう…ガチャ欲を。ガチャなどゲームのシステムの一部に過ぎないのだから。」


その表情はまるで菩薩。

無心無欲の塊…聖人と化したような顔をエレナたちに向けるイノチに、エレナもフレデリカも少し顔をひきつらせていた。


「ちょっとアレックス…やり過ぎじゃない?」

「えぇ~そうかなぁ♪僕にとっては面白い感じに仕上がったと思うけど…♪」

「なんだかヤバい感じに仕上がってますわね。そもそも欲を捨てるっていう割に、ガチャを引くことは止めてないですし…」

「みんな…何を言っているのかわからないが、さっさとガチャを引いてしまおう。時間は有限、時は金なり…ガチャにばかり時間をかけている暇はないのだから。」


イノチの言葉と態度に、エレナもフレデリカも虫唾を感じずにはいられなかったが、唯一、アレックスだけは嬉しそうに…いや、面白そうにイノチのことを眺めていた。





「さてと…気を取り直してさっそく引こう。」


イノチの言葉に、エレナたちはうなずいた。
それを確認したイノチは、お決まりの言葉をつぶやく。


「ガチャガチャ…」


すると、目の前にいつものウィンドウが現れる。


「今回は…装備ガチャ…なぁ、一回くらいキャラガチャ引いても…」


懇願しようと振り返ったイノチは、エレナたちの視線を見てすぐに諦めた。


(まさか300回分、全部装備ガチャに注ぎ込むことになるとは…)


肩を落として小さくため息をつくと、イノチは装備ガチャのアイコンをタップする。


「なら、引いていくぞ。」

「えぇ、どうぞ。」


イノチはため息とともに、10連のアイコンをタップした。

画面が切り替わり、ムービーが流れ始め、白髪白ひげの男が現れたところで、イノチはあることに気づく。


「ん?『スキップ』ボタンがある…今までなかったのに。」

「そうなの?なら、好都合じゃない!さっさと飛ばしちゃいましょ!」

「はぁ…味気がないよ、まったく…」


イノチはそうつぶやきながら、『スキップ』を押下した。

画面が暗転し、右下に『Now loading』が表示される。
だが、それもすぐに切り替わって排出結果が表示された。

そして、神界で"天運"と称されるイノチの運が爆発する。


「おいおい…うそだろ?UR一つに、SRが…三つ!?」


ウィンドウを見て驚くイノチのそばに、エレナたちもやってきた。


「すごいわね!URは『ハッカーの極意』…なにこれ?」

「SRは『賢者の白衣』、『アナライズグラス』…それと『Special Athy code(※※※※)』?最後のやつはよくわからないですわね。」

「これ、全部BOSSの装備だねぇ♪すごぉい♪」


皆が驚く中、イノチはプルプルと体を震わせていた。
それに気づいたエレナが声をかける。


「BOSS…大丈夫?」

「あぁ…大丈夫だ。少し嬉し過ぎて震えが止まらないだけだから。よし!次行こう!!」


気を取り直し、再びガチャを引こうとしたイノチをエレナが制止する。


「BOSS…ガチャはもう終わりよ。」

「はぁ?なんでだよ。まだ始めたばかりじゃないか!」

「だって、装備を整えるという目的は達成したもの。」

「目的…?まだまだだろ!エレナたちの装備も、この勢いで引いてやるからな!」


イノチはそう言って10連のアイコンに指を向ける。
しかし…


「終わりなのよ…お・わ・り!あと299回も引いてられないの!予想に反して、一発目で目的の装備を引いてくれたから、これでガチャはおしまい!」

「ふざけるな!俺は引くぞ!エレナたち公認で引ける機会なんてそうないんだ!この機会に俺は存分に引く!!絶対に引いてやる!」


エレナの言葉に抵抗を見せるイノチ。


「うぉぉぉぉぉ!!」


そう叫びながら、鋭く伸ばした人差し指を勢いよくガチャウィンドウ目掛けて振り下ろしたが…


バキッ!!


鈍い音ともに、イノチは白目を剥いてうつ伏せに倒れ込んだのだ。


「ふう…これでよしっと。」

「エレナ…あなた、だいぶ扱いが雑ですわね。」

「仕方ないわよ。これ以上引かせると歯止めが効かなくなるもの。」

「でもBOSS、笑ってるよ♪」


アレックスの言葉に、エレナたちが倒れたイノチヘ視線を向けた。

そこには白目を剥きつつも、幸せそうな顔を浮かべるイノチの姿があったのだった。
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