ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

文字の大きさ
272 / 290
第四章 全ての想いの行く末

43話 システムハッカー

しおりを挟む

「いったいどういうことなんだ!!」


クロノスは納得がいかず、怒りを吐き出していた。アヌビスもよほど悔しいのだろう。その肩を震わせて、クロノスを睨みつけている。


「話が違うぞ…クロノス…」

「あぁ!?僕だってこんなの予想してない!」

「なぜ、あいつが生きているんだ…」

「あいつ…?あいつって…誰だよ!?」

「ちっ…僕もログアウト寸前に聞かされたんだが…」


訳もわからずにログアウトさせられたクロノスとは違い、アヌビスはログアウト寸前にヘルメスから理由を聞かされていた。

それをクロノスへ説明すると、彼は顔を歪ませて怒りを露わにする。


「生きていただって…!?あり得ないだろ!奴は竜種に胸を貫かれたんだぞ!?」

「僕に言われても、理由なんてわかる訳ないだろ!!だが、これはみんなあいつがしたことだ!」


アヌビスがそう告げた瞬間、今度はヘルメスがログアウトさせられて、飛ばされてきた。

それに気づいた二人は、ヘルメスに声を上げる。


「ヘルメス!説明しろ!いったいどうなってるんだ!」

「なんで奴が生きている!?確実に胸を貫かれたはずなのに!!」


ものすごい剣幕で詰め寄る二人の神に、ヘルメスは表情に残していた歓喜を消し、それに答えた。


「どうやら…我々は彼に出し抜かれたようです。」


冷静にそう告げるヘルメスの態度が気に食わず、クロノスがさらに問いかける。


「ちゃんと説明しろ!なんで奴は死んでいないのか…そして、どうやって僕らをログアウトさせられたのかを!!」

「もちろん…私も全ては把握しておりませんが、彼が何をしたのかは説明できますので…」





「見事にやってくれたのぉ…」


仰向けに横たわるイノチに向けて、ゼウスがそう告げる。
イノチはそれには答えずに空を眺めていた。

だが、そのうちに服をはたきながら起き上がるが、先ほどまで血で染まっていた服は綺麗さっぱり元通りになっている。


「まったく…勘弁してくれよ。なんであんたらみたいな奴らが、二人も出てくるんだ。しかも、ヘルメスさんも寝返っちゃうし…」

「そう言う割には冷静じゃな。しかも、あの二人を強制的にログアウトさせちゃうとは…まったく、君にはいつも感服させられる。」


イノチは、そう告げるゼウスに冷ややかな視線を送る。


「よく言うよ…この『ハッカーの極意』を使ってなかったら、俺は今頃あの世じゃないか。はぁ…船の中でいろいろと調べておいて準備しておいてよかったよ。しかし…このアイテムってやばくない?システムのどこにでも入れて、なんでも書き換えれるんですけど…」


イノチはそう言って、右手に装備したハンドコントローラーを掲げた。すると装備ステータスが表示され、そのオプション欄に『ハッカーの極意』というアイテムが備え付けられているのがうかがえる。

ゼウスは、そんなイノチの様子にニンマリと笑った。


「じゃろ?活用してもらえて何よりじゃ!デュアルレイジーじゃったかのぉ!フォッフォッフォッ!」


その言葉にイノチは悪態をつく。


「ちぇっ…なんかバカにされてるみたいだな。だけど、その言い草だと、あんたが仕組んだように聞こえるんだが…」

「その通りじゃもん。」


その返事に大きくため息をつくイノチ。
それから、ゼウスに視線を向けて問いかける。


「…ということは、推測だけどヘルメスさんは…」

「うん、わしがあっち側につくように指示した。」

「理由は…?」

「聞いとったと思うが、奴ら…いや、クロノスの目的は、この世界を利用して地球の人間を殲滅することじゃ。ならば、まずこの世界を手に入れるためにはしなければならないことがある。」


イノチは少し考える素振りを見せる。
そして、思いついたように口を開いた。


「特権アカウントか…ヘルメスさんは、それが使えるんだな。」

「ご名答じゃ。」


ゼウスは再びニカッと笑うが、イノチはそれを無視しつつ、少し考えに耽る。

ジパンからノルデンへの渡航中に、『ハッカーの極意』を利用し、イノチはこの世界について調べていた。

そこでわかったこと。
それは、この世界はサーバーのような場所に神の手で様々なシステムを組み込むことで創られた仮想の世界で、それをオンラインゲームのように仕立てていること。

クライアントサーバー型の接続方式で非同期型、つまりMMO RPGやFPSなどのオンラインゲームに採用されている仕組みを取り入れ、それを神々が遊べるように調整した世界。

それがこのバシレイアという世界であるということ。
大まかに言えば、こういうことだ。

そして、ゼウスの話によれば、この世界のシステムを統括する運営であるヘルメスは、全ての権限を扱える『特権』と呼ばれるIDを持っていて、彼女はこの世界のシステムを自由自在に書き換えることができる唯一の人物ということになる。

だから、クロノスたちは彼女を仲間に引き入れたかった。それを知っていたゼウスは、ヘルメスを寝返ったように見せかけて、彼らの懐に入り込ませたと…そういうことらしい。

だが、イノチが最も重要だと感じていることは、そんな事ではない。自分やミコト、タケルたち人間が、この世界にいる意味…それが重要なのだ。

『ハッカーの極意』によってこの世界を調べていくにつれて、あることがわかった。

それは、この『アクセルオンライン』というゲームを遊んでいる自分達は、本当はプレイヤーなどではなく、地球からこの世界に誘い込まれ、神の意のままに動かされるキャラクター、つまり自分達は神の駒であるということだ。

本当の意味で、『プレイヤー』とは神々のこと。この『アクセルオンライン』というゲームを"プレイ"する神々のことを指すのだ。

細かな関係性はわからないが、この世界の裏にある構図はこれでほぼ間違いないだろう。

そう考えた時、イノチの中で改めて怒りが芽生えてくる。
なぜ自分たちが、神たちの戯れに巻き込まれなければならないのか。彼らの都合で、なぜこんなサバイバルのようなことをさせられなければならないのか。

そう考えたら許せなかったのだ。

しかし、今回の件で、イノチの中で新たな懸念が生まれてしまったのもまた事実だ。

クロノスが言っていた「この世界でプレイヤーを増やす」ということが意味するのは、地球からこの世界へ更に人間を送り込み、特殊な能力を持たせた兵隊を量産しようとしているという事だと推測される。

そして、奴らはその兵隊を地球に送り込み、人間を殲滅しようとしているのだ。

神様というものはやはり理不尽な存在だと、イノチは心の中で強く感じていた。

しかし、ゼウスはそれを読み取ったように口を開く。


「君が考える通り、我らはそういう存在なのじゃ。」

「それで済まされても困る。こんな世界を創ったのも、人間を簡単に滅ぼそうとするのも、ちょっと悪趣味過ぎやしないか?」


ゼウスは、ひげをさすりながらイノチへ顔を向ける。


「神とは完全であり、不完全な存在。良くも悪くも…な。」

「哲学的な回答だな。俺には理解できないが…親子喧嘩なら、他所でやってくれよ。」


イノチが鼻を鳴らして皮肉っぽく告げると、二人の間に少しだけ沈黙が訪れた。

だが、ゼウスはすぐに笑みをこぼして、イノチヘと問いかける。


「まぁ、良いではないか。わしと君の利害は一致しとるんだし、君に望むことも、もうわかっとるんじゃろ?」

「はいはい…あいつらを止めたらいいんだろ?」

「その通りじゃ。しかし…いつになく素直じゃのぉ。」


その言葉に、イノチは大きくため息をつく。そして、あきれたようにゼウスへと視線を向けてこう告げたのだ。


「どうせ、あんたの手のひらの上で踊らされるんだ。この際だから好き勝手やってやるよ!」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

離婚すると夫に告げる

tartan321
恋愛
タイトル通りです

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...