ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

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第四章 全ての想いの行く末

44話 おかえり

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「そろそろ時間を動かしてくんない?」


イノチがゼウスにそう告げると、ゼウスは頷いて指を慣らしてローブのフードを被り直した。

すると、周りの時が動き出す。
無音だった世界に、風に吹かれる葉擦れの音たちがこだましていく。


「あ…あれ?イ…イノチさま…?」


イノチの姿を見たメイが驚いた表情を浮かべた。
イノチはそれに振り向いて手を上げて応えるが、すぐにある方向へと顔を向ける。

無表情のまま、こちらを見据える長く青い髪の男。
ウォタがジッとイノチを見つめているのだ。

その顔に驚きはなく、目標が生きていることを確認し、再び殺意を向けてくる。イノチはそれを、まるで命じられたロボットのようだと感じた。

ウォタの足元に倒れるミコトは気を失い、すでに元の姿に戻っている。おそらく危険はないだろう。

イノチがそう考えて息をつき、再びウォタへ視線を向ける。

ーーー待ってろよ。すぐに助けてやるから…

そう思ったところで、ウォタの瞳がまるで謝罪を伝えるように煌めいた気がした。

それに気づいたイノチは、胸の中にこそばゆいものを感じつつ、鼻で笑う。

その瞬間…

再びウォタが動き出した。
拳にオーラを込め、イノチへと飛びかかるウォタを見て、メイが焦りを見せる。

だが、思わず飛び出そうとしたところで、アキンドがまたもそれを制止した。

さすがのメイもそれを訝しく感じてしまうが、視線を向けた先のアキンドの表情は自信に満ちており、メイの心は不思議と落ち着きを取り戻す。


「ったく…神様ってのも意外と雑なんだな。ウォタの強さはこんなもんじゃないのに…」


飛びかかってくるウォタを見て、イノチはそう小さくつぶやいた。それと同時に、右手のハンドコントローラーをカタカタと動かしていく。

ウォタの拳はすでにイノチの寸前まで迫っていた。

しかし、エンターキーをタンっと弾いた瞬間、イノチとウォタを囲んだ小さな空間の中だけ、時間がゆっくりと進み始める。

当たりかけていた拳は、イノチの目の前でまるで止まっているかのようだった。


「範囲は狭いが、時間コントロールも操れるのか…そのコードは難しかろうに…」


感心した眼差しを向けるゼウス。
その視線の先…ゆっくりと動くウォタとは対照的に、スタスタと普段通りに歩き出したイノチは、ウォタの横で立ち止まった。


「さてと、とっとと目を覚まして、お返ししに行こうぜ。」


イノチがそう言ってウォタの体に触れた瞬間、ハンドコントローラーが光り輝き出したのだ。


「おぉぉ…」


アキンドが感嘆をこぼす中、その光は大きくその輝きを増していった。





眠たい…とても眠たい…

真っ白な空間で、ウォタは一人ぽつんと竜の姿でうずくまり、ウトウトと寝ぼけた眼で小さく息を吐いた。

ここはどこかもわからない。イノチはどこへ行ったのだろうか。そう考えるのも、もう何度目だろうか…覚えていない。

自分が一体何をしているのかもよくわからない…

そう思い、大きく欠伸をして再び眠りにつこうとしたその時、ある声が響く。


ーーーウォタ、そろそろ起きろよ。


なんだか懐かしい声だ…これはイノチの声か。


ーーー相変わらずグータラしてんな。さっさと起きて俺を手伝ってくれよ。


…そうだな。また、あの楽しき時間に…皆のそばに戻りたい。だが、この鎖がなぁ…


いつの間にか自分の首に回された首輪。何度足掻こうと、壊すことができなかった忌々しい鎖にそっと触れる。

その首輪に繋がる鎖がジャラリと音を立てた。

ここにきた時から付けられていたこれは、ウォタの意志を強制的に抑え込む。どうやっても外せない…なぜならこれを付けたのは神だからだ。

自分を生み出した神が付けたこの首輪と鎖を、自分が外せる道理はない。それが例えイノチであっても無理だろう。

そう感じていた。

しかし、イノチの声が明るく告げる。


ーーーなんだこれ?アクセス不能…?


ほらな…無理なのだ。これは彼の御方が付けたもの。人間が外せるわけが…


ーーーあ~これか!このコードが邪魔してんだな…っと…これ…で…


な…何を…何をしておるのだ…イノチ…?


ーーーあとはここだけだな…けっこう簡単じゃん…ほら!これで目が覚めるはずだ!


その瞬間、首に巻いてあった鉄の塊が光の粒子となって消えていく。そして、ウォタは霞んでいた頭がゆっくりと晴れていくのを感じた。


ーーーさっさと起きろよ!最強の竜種なんだろ!?


イノチの声にウォタは身じろぐと、ずっと動かしていなかった体を伸ばすように大きく背伸びをする。そして、強い意志を乗せた眼差しを真っ白な空へと向けた。

ふっ…相変わらず可愛げのない奴だ…どれ!

その瞬間、ウォタは大きく咆哮を上げる。するとどうだろうか、真っ白な空間に亀裂が走り、ガラガラと崩れ始めたのだ。

そして…





「どうじゃ?水竜は元に戻りそうかのぉ。」


少し離れた位置からゼウスがそう問うと、イノチは首を傾げながら答える。


「う~ん、邪魔な犬みたいなウイルスは排除したから、もう大丈夫なはずなんだけど…」

「カルモウ家としても、ぜひ水竜さまには復活していただきたく存じますぞ!」


いまだ目を覚まさないウォタを、イノチとアキンドが覗き込む。その横では、ポーションで回復したミコトの体をメイが支えている。


「BOSS…無事でしたか…」

「フレデリカ!アレックスも…無事でよかった!大丈夫か?」


草むらから、フレデリカとアレックスが姿を現した。
フレデリカはこっぴどくやられていて、アレックスに体を支えられているが、そのアレックスの体もボロボロだ。

しかし、それでもなおフレデリカをサポートできるところは、さすがは盾士という職業の防御力の高さにイノチは感心する。

アイテムボックス取り出したポーションを渡すと、二人ともそれを一気に飲み干して生き返ったように息をついた。


「しかし、BOSS…今の状況はいったい…」


元気を取り戻したフレデリカの問いかけに、イノチは笑って答える。


「とりあえず、脅威は去ったよ。だけど、今はウォタを元に戻すのが先決だから、詳しい話や説明はその後でな。」

「BOSSがそういうのなら…しかし、なぜ彼がここにいるのです?」


フレデリカがゼウスを指差してそう問いかけた。
みんなから離れた位置で腕を組んで岩に座るゼウスは、ヒラヒラと手を振って口元に笑みを浮かべている。

イノチが肩をすくめると、フレデリカは大きくため息をついてウォタの下へと歩み寄った。


「ウォタさまの様子は…」

「そろそろ、目を覚ましてもおかしくはないと思うんだが…」


そう言って、イノチたちは横たわるウォタを再び覗き込んだ。

すると…


「う…うぅ…」

「ウォタ!気づいたか!」


喜びを顔に表して、イノチがウォタの顔をさらに覗き込む。その周りでは、他のメンバーたちも安堵の表情を浮かべていた。


「イ…イノチ…か。ここは…我は…何を…」

「ハハハ…お前、神様に操られてたんだよ…ったく、心配させやがって!」


涙目でそう告げるイノチに、ウォタは納得したように上半身を起こした。


「神に…我が…そうであったか。そうだったな…ゲンサイとジプトからの帰りに御方の一人に出くわして…それで…それはそうと、ゲンサイの奴は無事か!?」

「お前のおかげで無事だよ。今はトウトでトヌスと一緒にいるはずだ。後でお前が戻ってきたことを伝えとくよ。喜ぶだろ…」

「そうか…すまぬな、イノチよ…」


一緒にいたゲンサイの無事を聞いて、ウォタは安堵したようだ。迷惑をかけたことを詫びるウォタに対して、イノチは改めてこう告げた。


「気にすんなよ!俺たちは仲間だろ!おかえり、ウォタ!」


ウォタにはその笑顔が眩しかった。
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