ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

文字の大きさ
286 / 290
第四章 全ての想いの行く末

57話 ウォタvsオーディン

しおりを挟む

ウォタはニヤリと笑うと、物音を立てることなく姿を消した。対するオーディンも、戸惑うことなく先回りするように視線をスッと右に向ける。

一呼吸遅れて、視線の先にウォタの姿が現れた。しかし、自分の動きが予測されていたことに驚くことなく、ウォタはオーディンに向けて拳を放つ。


「スピードは…なかなか…」


オーディンはそうこぼしながら、少しだけ上体を後ろに逸らしてウォタの拳をかわすと、その体目がけて蹴り上げる。

鈍い音と共に打ち上げられたウォタだが、両腕で防御しおり、その間から見える顔は楽しげだ。


「まだまだぁぁぁ!」


空中で体を捻り返し、着地と同時に再びオーディンへと飛びかかる。対するオーディンは、その様子に小さくため息をついた。

再び、右拳を放つウォタ。
オーディンはそれを手のひらでいなし、ウォタの左側は回り込むと、再び下から蹴りを放つ。

…が、ウォタは体を前転させてそれをかわすと、着地した足を軸に蹴りを放ち返した。

オーディンは少し驚いた。


(先ほどより、動きが良くなった…?)


そう考えながら、ウォタの蹴りを半身でかわし、手に収束させた黒いオーラをウォタ目がけて撃つ。しかし、ウォタも青いオーラを発動させてそれを弾き飛ばすと、一度オーディンとの距離を取った。

静かに自分を見据えるオーディンに対して、ウォタは笑が込み上げてきて止まらなかった。


「…気でも触れたか?それとも、もともと頭がおかしいのか?」

「ククク…いや、大変失礼しました。これほどまでにヒリヒリする闘いは久方ぶりですので…」

「そうか…アマテラスのおもちゃは、争い好きで有名だったな。」

「ハハハハ!あの御方が一番好きですからな!」


ウォタは自慢げに胸を張って笑う。
その態度に、オーディンも何やら面白そうな表情を浮かべている。


「兄様が…楽しそう…」

「だな…あんな兄貴、久しぶりに見たぜ。」


ヴェーとヴィリは少し驚いた様子で、オーディンを見ていた。


「さて、御方よ!あまり時間もないのでは?」


そう問いかけるウォタに、オーディンは変わらず無表情で答える。



「まぁな、お前たちはほど暇ではない。」

「ならば…もう少し戯れましょうぞ!」


ウォタが言ってることは矛盾しているが、それでもオーディンは小さく「いいだろう…」と呟いて、ウォタを迎え撃つ構えを取った。

睨み合う両者の間に、風の音だけがこだましている。
その雰囲気に、ヴェーとヴィリも固唾を飲んで二人を見守っている。

と、突然オーディンが小さく呟いた。


「こちらから行こう…」


その言葉にヴェーたちは絶句する。
この闘いも然りだが、悠久の時間を一緒に過ごしてきた妹弟たちは、格下相手に先に動く兄の姿を見たことがなかったのだ。

ーーーそれだけ…本当に…兄様は楽しんでおられる…?

ヴェーは兄の表情をチラリと見る。
相変わらず、その真意を読み取ることはできないが、青い竜種と向き合うその姿は、普段とは違う雰囲気を纏っている気がした。

相対する竜種が、相変わらず楽しげに笑っている様子には虫唾が走るが、それでも兄が喜んでいることにヴェーは口だけ笑っていた。


「御方よ!本気でいかせていただきますぞ!」

「無論だ…そうでなくては意味がない…」


その言葉に不敵な笑みを浮かべると、ウォタは全身に青いオーラを発現し、オーディンへと飛びかかった。





「お!いたいた!」


イノチは、フレデリカたちの姿を見つけて駆け寄った。
フレデリカは男を一人担ぎ上げたところで、アレックスがイノチに気づいて手を振っている。


「フレデリカさん、BOSSとエレナさんが来たよ♪」

「ん?あら…早かったですわね。」

「まぁね。フレデリカたちも無事で何より…」


その言葉に、フレデリカとアレックスは顔を見合わせた。


「何が無事で何より…です。わかっててやったことでしょう?白々しいですわ。」

「そうだ♪そうだ♪こんなに強くなれるなんて、思ってもなかったよぉ♪」


二人が呆れた顔を浮かべる中、イノチは「え?そんなに?」と、ちょっと驚いている。

そんな三人にエレナが口を開いた。


「なんでもいいけど、さっさとウォタを追いかけましょうよ!」

「なんでもいいって…目の前にお前の親父さんがいるのに?」


エレナの態度に少し引き気味のイノチ。だが、エレナは腕を組んでこう告げた。


「別に全然気にしてないわ!あたしにとって、ランドール家なんてくだらないしがらみ、もはやどうでもいいもの!」


フンッと鼻を鳴らし、不満げにそっぽを向くエレナ。その姿からは、今まで以上に傲慢さと我儘さが見て取れた。それに気づいたフレデリカが、イノチへこっそりと耳打ちする。


「BOSS…エレナに何かしました?」

「え…いや、ちょっといろいろと強くなれるように…」

「イジった…のですわね?」


イノチはこくりと頷いた。


「うわわぁ~!BOSS…エッチだぁ♪」

「そういう意味じゃないって!」


アレックスにツッコミを入れるイノチ。その横で呆れているフレデリカ。そんな三人に、エレナは訝しげな顔を向けた。


「何してんのよ!さっさと行くわよ!」

「はっ…はい!」


ビクつくイノチ。
楽しげに敬礼するアレックス。
そして、呆れたままのフレデリカ。


三人は、ウォタたちがいる屋敷に西側へと向けて、歩き出した。





「クハハハハハ!!!」

「……」


一方で、ウォタとオーディンの闘いは、その激しさを増していた。

もちろん、戦況はウォタが押されており、少しずつダメージを受け始めている。しかし、青き竜はその手を止めることはなかった。

止められようが、カウンターを受けようが、思い切り蹴り飛ばされようが、笑いながらオーディンへと立ち向かっていく。

その姿は、まさに戦闘狂…バトルジャンキーとして相応しいほどに、戦いに興じているのだ。

それを見ているヴェーたちは、もはや驚きを通り越して呆れていた。


「御方よ!!さすがですな!クハハハハ!!」


ウォタはそう言って、着地後すぐに体のオーラを手に収束させ始める。オーディンもそれに合わせるように漆黒のオーラを手に纏い、ウォタを静かに見据えている。


「本気で撃ちますぞぉ!!」


そうウォタは叫ぶと、巨大な水竜の形を模したオーラをオーディン目掛けて撃ち放った。対して、オーディンも真っ黒な馬の形を模したオーラを撃ち返す。

轟音と共に互いに向かって突き進む青と黒のオーラがぶつかり合った瞬間、強大な衝撃波が辺りを襲った。


「がぁぁぁぁぁ!!」


必死に押し込むウォタと、涼しげにそれを押し返すオーディン。対照的な二人だが、その決着はすぐについた。

漆黒の馬が青き竜を飲み込むと、ウォタ目がけて一気に駆けていく。そして、高く跳躍したかと思えば、大きな黒雷となって撃ち下ろされた。

それを見上げたウォタは、満足げにニヤリと笑って目を閉じた。オーディンもそれを静かに見守っている。

そして…

雷轟とともに、漆黒の雷がウォタを飲み込んだのだ。

オーディンは未だにその様子をジッと見据えていたが、ヴェーはそれを見てホッと胸を撫で下ろす。

ーーー下等生物ごときが兄様に勝てる道理など、微塵もないのだ。己の過ちを悔いて、この世界のシステムの糧となれ。

だが、そう考えていた矢先、オーディンの黒雷が突然消えた。

何事かと目を見開いたヴェーだが、突然、人間の声が聞こえてきて、さらに驚いた。


「何やってんだよ!ウォタ!!」


その声の方に顔を向ければ、そこには偉そうに立つ三人の女と、少し焦った表情を浮かべた男が一人立っている。

だが、ヴェーはそれ以上にあり得ない光景を目の当たりにした。

その男が開いているある画面…それは神しか開くことのできないシステム画面だったのだ。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない 

堀 和三盆
恋愛
 一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。  信じられなかった。  母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。  そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。  日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...