元アサシンは前世の愛に飢える

noah太郎

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33話 一件落着?

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 結局、俺たちはピンク頭のオカマ野郎を旅館側へと突き出して謝罪した。
 もちろん最上級の部屋をあれだけ破壊してしまったのだから、どれだけ嫌味を言われるかとヒヤヒヤしていたが、旅館のオーナーは俺の謝罪を快く受け入れてくれて、オカマはそのままギルドの冒険者が連行していった。

 不幸中の幸いだったのは、壊されたのは俺が宿泊していた部屋のみ……と言っても、先ほど言ったとおり最上級のスイートなのでその修繕費は計り知れないが、こういった事にも備えて保険に入っているから大丈夫だとオーナーが付け加えて説明してくれたので安心した。

 かくして、俺はオカマの暗殺者?の撃退に成功したのである。てか、特別に何かをした訳でもないんだが……

 とにかく、俺たちの部屋は壊れてしまったので旅館側が準備してくれた別の部屋へ戻ってみると、いまだに寝ているディネルースの姿を見つけて彼女の胆力の呆れつつ笑ってしまった。


 

「ところでター。さっきまでどこ行ってたんだよ。」

 
 別の部屋に戻り、一息ついたところで彼女にそう尋ねると、ターは肩をすくめて小さくため息をついた。


「お風呂よ、お風呂。ディネルースの奴が全然戻ってこないからずっと待ってたの。」

「そ……そうか。俺が出た時にちゃんと声をかければよかったな。」


 俺がそう苦笑いしてみたが、ターは小さく鼻を鳴らすだけ。その態度に少しイラッとしてしまったが、せっかくの旅行先で怒るのもナンセンスだと思い、言葉をグッと飲み込んだ。
 
 そうして、俺と彼女の間には沈黙が訪れた。
 家にいる時はあまり感じなかったが、こういう状況だと話が続かないのはとても気まずく感じた。いつもと違う環境でそれを敏感に感じてしまっているのだろう。だけど、何を話せばいいのかわからない俺に、この状況を打破できるはずもない。そう考えたら、無意識に大きなため息を吐き出してしまったが、それにハッとして咳払いする。こんな時は、いつもよく喋っているディネルースのありがたみがよくわかった。


「ディネルースはまだ起きないのかねぇ~。」


 独り言のように呟く俺にターが小さく答える。


「……ディネルースならずいぶん前から起きてるわよ。」

「はっ?!」
 

 驚いて、横になっているディネルースへ顔を向けると、彼女がもぞもぞとし始めた事に気がついた。


「おいディネルース。起きてるならそう言えよな。」

「あらあら、バレてましたか。」


 そう言って上半身を起こし笑うディネルースを見て、この沈黙が解消された事に少しホッとしつつ、まずは先ほどの件について嗜める事にする。


「ディネルース、先に言っとくがさっきのは良くないぞ。ここは旅館でたくさんの人がいるんだ。下手したらお前の毒で誰か死ぬんだぞ。それ、わかってんのか?」


 偉そうに講釈垂れているけど、そもそもがそんな相手と一緒に住んでいる俺も俺だ。だが、この件についてはそろそろ話し合っておかないといけないとは思っていた。これ以上、命を狙われるのも疲れるし。
 それに、家では話しにくい事でも旅行先では気分が高揚していて話し合いやすくなるかもしれない。
 そう踏んで、ディネルースへと語りかけてみる。


「なぁ、そろそろやめないか?なんでそんなに俺を殺したいんだ?俺、お前になんかしたっけか。」


 だが、ディネルースはニコニコと笑ったままで答えない。それはまるで、その事については触れるなとでも言っている様な笑みだ。


「答えないとわからないだろ!俺もそろそろ限界だよ!せめて殺そうとする理由くらい教えてくれ!もしかしたら、改善できる事かもしれないだろ!」


 自分でも言っている事が理解できない。なぜ、殺そうとしてくる相手にその理由を教えてくれと懇願せねばならないのか。
 だが、それでもディネルースは答える事はなく、その態度にさすがの俺も堪忍袋の緒が切れかけて、彼女に歩み寄った。


「ディネルース!!答えてくれよ!なぁ……」


 その瞬間だった。
 再び目の前で何かが膨らむ感覚……これはあのオカマが俺に向けてきた攻撃と同じだ。それに先ほどよりも強い殺気を感じた。
 とっさに目の前に座っているディネルースを庇い、背を向けてその場に蹲ると、同時に後ろの空間が勢いよく破裂した。


「ぐあぁぁぁ!」


 激しい衝撃に体が吹き飛ばされる。ディネルースを庇う様に抱え込んだので、一緒に吹き飛ばされる形になったが、このままだとディネルースが壁にぶつかってしまう俺は彼女を庇う様に体を捻り、部屋の壁へと突っ込んだ。


「ユウリ様、わたくしを守ってくださったのですねぇ!」

「イタタタ……今の……もしかして……」


 空気を読まないディネルースは無視し、今起きた事が何なのかを推測すると、その答え合わせをする様に外から聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「あっはぁ~!やってくれたじゃなぁ~い!ユウリ=ドラックスゥゥゥ~!!」


 声がした窓の外に目を向けると、暗闇の中に人影が見える。それはピンク色の短髪と、特徴的なピアスなどのアクセサリーを身につけたオカマ男。

 彼はリップを塗り直した唇を舐めると、部屋にいる俺を見下ろしていた。
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