妹を監禁するはずの悪役から、なぜか執着されています

夏目みや

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第二章 監禁生活

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 あ、え、ちょっ……。

 思考停止している私にエディアルドは隠すこともなく、微笑んだ。

「リゼットも早く着替えなよ。風邪をひくと悪い」

 布で髪をガシガシと雑に拭く行動は、男らしいとさえ思ってしまう。

「濡れたドレスって脱ぎにくい」

 エディアルドは私がいるのに動じることなく、ドレスを脱ぎにかかる。

「あ、それともリゼット、脱がすの手伝って欲しいとか?」

 ニコッと笑うエディアルドに顔を真っ赤にして、勢いよく扉を閉めた。

「結構よ!!」

 扉の奥からは笑い声が響く。

 信じられない――。やっぱり男だった。もしかしたら女性なんじゃないかと、男性設定は小説の中だけかと思ったが、違ったようだ。

 扉の前でしばし呆然と立ち尽くす。
 でも、これって、知ってはいけない秘密なんじゃない? カーライル公爵が最優先で隠していたことじゃないのー―。

「見ましたね」

 背後からヌッと顔が出てきたと思ったら、ジェラールの端正な顔が間近にあった。ひっ、と声を出したら、口を片手で塞がれ、大人しくするようにジェスチャーで伝えられた。

「大事な話があるので着替えたら、私の部屋に来てください」

 有無も言わさぬ雰囲気に、ただコクコクとうなずいた。

 もう双子コーデどころじゃない、私は急いで着替えると、ジェラールに指示された部屋に入る。ソファに座るように言われ、従った。

「どこから話すべきか――」
「待ってください! 私が聞いてもいいものですか?」

 親族問題を聞き、巻き込まれたくない、切実に。私のことをそっとしておいて欲しいから。

 ここでちょっとエディアルドと仲良く遊んで帰り、情をかう。友人ともなれば、簡単に手を出さないだろうと、なんともみみっちい考えかもしれないが、私は必死だった。だからこそ、全力で遊んだのだ。

「ここまで知ってしまったのなら、下手に隠すより、巻き込んでしまったほうがいい」

 ジェラールは足を組み、ゆっくりと息を吐き出した。

 ちょっと、なに、自分は覚悟を決めたぜ、キリッ、って顔を見せるけどねぇ、こっちは全然そんな覚悟なんて、ないんだってば!

「エディアは――」

 ちょっ、待って!
 だが私の心の叫びもむなしく、独白を始めた。

「君も見た通り、男性だ。今は性別を偽っている。それはカーライル公爵の願いだ」

 そこからジェラールは、話続けた。聞いてもいないのに――。

「エディアルドは偉大なる王の隠し子だ」

 うん、それな、知ってる。

 世間的には死産ということなっていた。
 また、エディアルドの母は産後の経過が悪く、半年後に命を落とした。
 残されたエディアルドは権力争いに巻き込まれるのを避けるべく、女児として育てられた。

 男性なら今よりもっと命の危機が上がるだろう。
 そして五大属性の精霊の加護を身に秘めているから、これが世間にばれたら注目を浴びる。常に命の危険が伴う王座争奪戦に巻き込まれることになる。隠し子だが第三王子の身分となるのだから。

 それに、エディアルドの持つ加護の力は簡単に扱いきれるものではない。暴走を防ぐためにも、普段は薬で抑えている、との話だった。

 でもそれってエディアルドにとって、本当に幸せなのかな。 
 偽りの性別で屋敷に閉じ込め、精霊の加護を封じて。今は本当の姿じゃないってことじゃない。

 今はまだ、小説のような残酷さは見えないけど、徐々に変わってしまうのかな。だとしたら悲しいことだ。

「それはいつまでですか?」
「エディア本人が本来の姿で生きたいと望み、精霊の加護を上手く使いこなせるようになったら」

 もしかすると一生、守られて過ごすのかもしれない。この広大な屋敷で――。

「だが……」

 ジェラールは言いよどむ。

「君と出会ってからエディアの中で変化があったようで、魔法の効果が薄れてきている」
「えっ……」
「言葉遣いと、態度が男らしくなっている。無意識なのだろうか」

 エディアルドにかけた魔法は国内一番の魔法師だったとジェラールは言った。エディアルドの精霊の加護の力が、その魔法師よりも上回ってきたのだろうか。
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