妹を監禁するはずの悪役から、なぜか執着されています

夏目みや

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第三章 再会

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「相変わらずアリッサ様は意地悪よね」
「本当、あの性格の悪さを知ってて近くにいるのなら、取り巻き達も大したものだわ」

 シアナと二人、グラスを片手に一息ついた。

「きっと、お姉さまに嫉妬しているんだと思う。同じ年だから、ライバル意識丸出しよね」
「求婚者の一人も現れない私に!?」

 シアナは静かにうなずいた。

「それが不思議なのよね……。社交界ではお姉さまは綺麗だって噂されていると耳にするわ。だけど、一人も求婚者が現れないところを見ると、裏で不思議な力が働いているようにしか思えないの」

 真面目な顔で話すシアナに噴き出しそうになる。きっとたまたま縁がないだけで、いつか見つかる! ……と思って、こうやって舞踏会などの場数を踏んでいくしかない。

「それと、これも原因かと、少し考えるのよね」

 私は左手にはまったままの指輪をそっとかざす。あの件以来、何をしても私の指から外れることはなかった。石鹸で洗っても、体重を落としてみてもダメだった。

「もうすでにお相手がいると思われているのかもね」

 それ、一番困るやつだから。未婚、恋愛経験なし、一度ぐらいは胸が焦がれるような体験をさせて欲しい。

 姉妹で話しているとシアナに熱い視線を送っている男性がいることに気づく。

「ほら、シアナも私に遠慮しないで、行ってきたら? 舞踏会の夜を楽しみましょう」
「お姉さまったら」

 シアナの背中を押すと、すぐさま男性が声をかけてきて、そのまま仲良く話し込んでいる。

 良かった、シアナも楽しそうだ。二年前なら考えられなかったもの、シアナが体調を崩す日が多かったから。今では月に一度ぐらいしか発作が起きない。昔に比べたらずいぶん良くなった方だわ。

 シアナを見守り、壁際の方に移動しながら一息ついた。

 華やかな世界が広がる中、流れる音楽を耳に心地よく感じながら、壁に寄りかかった。

 ふと強い視線を感じた。広間の中央に視線を向けると、一人の男性と目が合う。

 サラサラとした長めの金髪に快晴の空を思わせるような、爽やかな瞳の色。
 スラッとした高身長に長い手足の男性は端正な顔立ちだ。加えて余裕のある立ち居振る舞いが彼の魅力を一層引き立てていた。

 目が合って、しばらくそのまま見つめ合う。

 心臓がドキッと音を出すが、慌てて視線を逸らす。あまり不躾な視線を送っていては失礼だ。
 でも、どうしてあの人は私のことを見ているのだろう。

 それにどこか既視感が――。

 考え込んだ時、広間にファンファーレが鳴り響き、驚いて顔を上げる。広間の中央では国王がワイングラスを片手に、立っていた。

「我が、ロバール国の皆よ、よくぞ集まってくれた」

 威厳のある姿は、周囲の皆の目を惹きつけた。

「今日は皆に嬉しい報告がある、心して聞いて欲しい!!」

 国王がワイングラスを片手に周囲をぐるりと見まわした。皆がどんな話かと、顔に緊張が走る。

「私の息子、第三王子を紹介しよう!!」

 息子……?
 国王には王妃との間に、二人の息子がいる。だが第三王子って……。

「長い間、その存在を伏せていた。だが、今回は皆に公表できて私も嬉しく思う」

 国王の声からは嬉しさがにじみ出ている。

 国王の息子? 隠し子がいたとか?

 脳裏に浮かぶのはエディアルド・カーライルの姿。だが、すぐさま否定する。

 ははは、まさかね。
 エディアルドは小説の中では一生、女性として過ごしたはずだもの。

 こんな場に出てくることなんてない。ましてや男性の姿だなんて――。

 緊張からか変な汗をかいてきた。落ち着こうとしてグラスに口付け、水を含んだ。

「ロバールの名を授けた我が息子を紹介しよう、エディアルド・カーライル・ロバールだ!!」

 聞いた瞬間、ブーッと口の中の水を吐いた、盛大に。
 周囲の人々が怪訝な顔を向けるが、今回ばかりは気にならなかった。

 い、今、なんて言ったの!?

 顔を上げると国王の隣にいたのは、さきほど私と目が合った男性が並んでいた。

 うそ……。本当にエディアルドなの?

 私はゴクリと息を飲み、震え始めた手を隠そうと、握りしめた。

「しかも我が息子、エディアルドは五大属性の精霊の加護を持つ。これは奇跡としかいいようがない!!」

 や、やっぱりエディアルド本人じゃない!!

 五大属性の精霊の加護を持つと聞き、周囲はざわめき始めた。そりゃあ、今までに聞いたのでも、最大で二大属性だからだ。五大属性って、本当になにそれ、レベルだ。

 だが私は目の前の現実にただただ混乱していた。
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