妹を監禁するはずの悪役から、なぜか執着されています

夏目みや

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第三章 再会

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 素敵なデザインだと思っていたが、まさか呪いの指輪だったとは夢にも思わなかった。

「昔、ジェラールがリゼットと婚約すると言ったことがあっただろう?」

 ああ、監禁状態だった時、エディアルドと一緒にいるために私と婚約するとか言い出したあれね。
 どんだけ自己犠牲が強いんだと思ったわ。エディアルドのために私と結婚しようだなんて。

「あの時、ジェラールがリゼットをそういう目で見ていると思ったら、耐えられなかったんだ、俺」

 エディアルドは昔を思い出したのか、遠い目を見せた。

「ジェラールでも魅了されるのに、外に出したらどうなってしまうんだろう。誰もリゼットのことも好きだと思って欲しくなくて」

 なんてことをしてくれたんだ。

 私の遠い目を見たエディアルドは立ち上がると、ムッとした顔を見せた。

「もしかして出会いが欲しかったとでも言うつもりか?」
「そ、そう言うわけじゃ……」

 ありあり。大ありだった私は気恥ずかしくて視線をフイと逸らす。出会いに夢見るのは年頃なら仕方ないじゃない。

「俺以外がリゼットに求婚するなんて、耐えられない。他の男と話しているのが視界に入るのさえ、嫌だ」

 エディアルドは私をギュッと抱きしめてきたので、そのまま固まった。

「それでも、もし離れていた間に、誰かに求婚されていたら――。相手を潰してやるところだった」

 耳元でささやかれた言葉にときめくどころか、背筋がゾクッとした。

 ひぇぇぇぇ。
 エディアルドの狂おしいほどの執着は健在よ! それよりもパワーアップしている気がしてならない。

「だからリゼット、俺と結婚してくれ」

 展開の早さについていけない。

 エディアルドは目をキラキラと輝かせ私の左手を取ると、甲にチュッと口づけを落とした。

「ま、まだ早すぎるわよ。私たち、再会したばかりなのに」
「つれないな。毎日リゼットを想っていたのに」

 エディアルドは肩をすくめた。

「俺たち、二年も離れていたんだ」
「二年も……って」

 あっという間の二年だったと思うのは、私の時間の感覚がおかしいの?

「だから、残りの人生全部欲しい」

 いや、重ッ! 重いわ、それ!!

「手に入れたらもう、死ぬまで手放さないから」

 固まる私の顔を見て、エディアルドはフッと微笑む。

「まあ、いい。もう少しだけ待つ。色よい返事を期待している」
「ちなみに選択肢は……」

 私はゴクリと喉を鳴らすと、エディアルドは私の前に二本の指を突き付けた。

「結婚を承諾するか、監禁されるか、二つに一つ」

 ぜんっ、ぜん、変わっていないようで!! ある意味期待通りだわ。
 それになんだか――。

「も、もしかして、家に魔法治療師を寄越してくれたのって……」
「ああ、リゼットの妹なら、俺にとっても義妹になるだろう? ご両親にだって喜んでもらいたかったんだ。その方が俺の印象も良くなる」

 ま、周りから固めていく作戦かーー!!

「だから早く、俺のものになってくれ、リゼット」

 髪をひと房手に取ると、そっと口づけを落とす。その仕草にとんでもなく色気を感じて直視できない。

 も、もしかしなくても、エディアルドが私を好きなのって、異性に対する感情なの!?
 どうやらエディアルドの執着心は健在なようで、それが私に向けられている。しかも友情ではなく異性としてだと、まざまざと実感させられた日だった。
 
「今日は泊っていくだろう、リゼット」
「は、そんなわけないでしょう!」
「冷たいな、昔は一緒のベッドで朝まで眠ったのに――」
「いつの話よ、いつの!」

 帰ろうとする私にエディアルドはとんでもない話題を口にする。

「リゼットと過ごす夜は激しくて、なかなか寝させてもらえなかったよ」
「誤解を招く言い方はやめてくれる!?」

 私の寝相が悪かったと言いたいのだろうが、聞き方によっては変なことを想像する。エディアルドは使用人など目に入っていないようだが、さっき、焼き菓子を運んできたメイドは絶対に聞いているはず。そして噂になるだろう。

「もう、帰るから!」

 真っ赤になって踵を返すと、エディアルドが腰に腕を回す。

「玄関まで送ろう」

 スッと横に並び、私をエスコートする。腰にがっつりとつかまれた腕の力は、緩みそうにない。

 意識してしまい、手に汗をかく私に、耳元でささやく。

「俺は急ぎすぎてしまったようだ。だが、ずっと会いたかった。この時を待っていた」

 回された腕にギュッと力が入り、彼の香りを感じてしまい、距離の近さをなおさら実感する。

「絶対に逃がさない、だから早く俺に落ちてきてくれ」
「ちょっ、ちょっと」

 歩きながらも私を口説こうとするのはやめて。前を見て歩け。

 ぐいぐいと腰をつかみ、そのまま顔を近づけ、頬に口づけを落とそうとしていると察知した私は、手で頬に触れ、エディアルドの唇からガードする。

「近いってば! さっきから」

 だが、エディアルドは微笑むのみだ。
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