初恋△(トライアングル)

存在感の薄い者

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追究編

おもちかえり

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保健室の一件の後、授業が終わり正門から少し出たところで呼びとめられた
私を呼びとめたのは如月君だった
彼はあの後結局保健室の先生とは違う先生と共に病院に行き、傷口を縫ってもらったらしい

そのまま直帰したと思いきや今日に限って出待ちとは・・・
いつもなら昼を一緒に過ごす友達と帰るはずだったが珍しく今日は都合がつかなかった
そしてその姿を認めた瞬間私は盛大な溜息をつく
そんな私の態度にも関わらず彼は笑顔でこちらに近づいてきた
またしても至近距離で

「どうしたんだい?そんな溜息をついて。もしかして悩み事?それならいつでも僕は相談に乗るよ。君が悩むと僕まで苦しくなるからね」

それを聞いて私はまた溜息をついた

「あの、・・・じゃあお言葉に甘えて、・・・私、今あなたのことでこんなに溜息をつくんです!」

途中で大きく息を吸いこんでから彼にきっぱりはっきり宣言した
いくらなんでもこれで引きさがるだろうと思っていた私はさっさと彼の横を通り過ぎて歩きだした

『遂に言ってやった!!はぁースッキリ!』

気分爽快で歩いたがそれは幻に過ぎなかった
理由は後ろから付いて来た彼の発言にあった

「そうか、そういうことならいつでも歓迎だよ」

『何が!?もしかしてのM発言?』

まるで心を読んだかのように彼は言葉を続けた

「つまり、こういうことだろう。僕から目が離せなくて、君はそんな乙女心に戸惑っている。そしてその感情を今の君は持て余しているんだね。そんな態度をわざととるのも僕が君に構うように仕向けているんだろう?」

まさかのナルシ発言に今まで女子とどんな会話をしていたのか呆れて聞く気もしない
それにまたしても訳の分からない台詞を吐きながら、私の肩をさりげなく抱き寄せようとしたので今度は逃げる
なぜなら今日一日を通してこういう時はいつも後の彼の行動が大変だとさすがに学習した

「そんなに僕を焦らさなくても、君の想いはちゃんと僕の心に届いたよ」

しかもこちらに向けてのウィンク付きだ
これを彼以外がやってしまうと私は気持ち悪すぎてきっと吐いてしまうだろう

『こういう台詞がよくペラペラと口から出るわね。しかもこの顔で言うから余計に始末が悪いわ』

もうどうでもよくなってきた私は少し歩く速度を上げた
もうすぐ家に着くというところまで来たがそれでも猶付いてくるので振り返った

「ねぇ一体どこまで私に付いてくるつもり?」
「だって僕の家あれだから」

彼の指の先を辿ってみるとある一軒家にぶつかった
それを見て私は一気に鼓動が跳ね上がった
原因はその隣が私の家だったからだ

『何かの間違えじゃ・・・でも確か朝お母さんが隣に新しく人が住むとか言ってたっけ。それにしても何でここなのよ!』

誰にもぶつけることができない怒りが心の中に渦巻いていた
思わず彼の方を睨みつける
その時一番聞かれたくないことを一番聞かれたくない人に質問された

「ところで君の家はどこ?ここから近い?」
「・・・うん、多分近い・・・と思う」

とにかく今はこの場を切り抜けなければならなかった

『今真実を明かせば私は一生この変人ナルシスト野郎につけ回される!』

「何それ。多分って」
「え・・・だって人にとっては遠いかもしれないじゃない」

目を泳がせながら苦し紛れを言ってみる
てっきりまた何か言われると思ったが意外にも彼は納得したらしい
早くここから逃げたくて珍しく私から彼に話しかけた

「それじゃあ私はこれで失礼します」

立ち去ろうとすると彼に肩を掴まれた

「まだ何か?」
「あのさ、今日のお礼をしたいから僕の家に寄ってかない?」
「いえ、結構です。たいそうなことは全くしてないんで」

謙遜ではなく本気で言ってみたが彼の手はまだ私の肩の上に置かれている

「だって君は倒れている僕を懸命に手当てしてしかもベッドにまで乗せてくれたじゃないか。これを命の恩人じゃないと?ここでお礼をしないと僕は一生後悔するだろう」

熱く、とろけるような声と真っ直ぐな視線が私を襲ってきた。

『絶対、イエスって言わないと離してくれないよね・・・』

そう思った私はそこで腹を決めた

『こうなれば自棄だ行くとこまで行こうじゃないか』

「はいはい、分かりました。行けばいいんでしょ?行けば」

その言葉を言うと手が肩から離れたと思ったのもつかの間その手は次に私の手を握って来た
どうやら絶対に逃がしたくないらしい

そのまま私は引きずられるように彼の家に連行されたのだった――――――
______________________________________
ここまで読んで下さりありがとうございます!!
さてユリちゃんは一体どうなってしまうんでしょうねぇ
今後に期待でいいのかな?

次回は明日です
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