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幼少期
クリスはいい子ね
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オレが魔法と出会ったあと、しばらくは平穏な日々が流れた
しかし、オレが3歳になりいつものように母に見守られながら乳母と遊んでいると、父が昼間にもかかわらず、帰ってきたのだ
それを不思議に感じながらも、何か忘れ物でも取りに来たぐらいに思い、遊びを継続した
すると、オレの元に親父が歩いてくるのが見えた
オレがそれに気付き、すぐにこの天使の微笑みと言われる笑みを浮かべ、駆け寄った
これを忘れると、それは恐ろしいことが起こる
そう、髭スリスリの刑だ
あれは、子どものデリケートなお肌には大敵だ
「ちちうえ~」
「クリス!我が息子よ~!今日もかわいいな~!」
ちなみに親父は相変わらず親バカだ
なので、この発言もいつもと変わらず、常にオレはそれをスルーする
そして、いつものように駆け寄ると親父の後ろに18歳~20歳の金髪碧眼の王子様のようなイケメン少年がいた
思わず、親父に抱きつく直前に立ち止まってそのイケメンにくぎ付けになってしまった
『えっ、誰・・・・?』
その声なき声が聞こえたかのように立ち止まっていたオレを抱き締めていた親父が少しだけ腕を緩め彼の方を向き、彼の正体を話し出した
「クリス、彼は今日からお前の側付きになったカイル・アクア君だ。普通だったらお前が5歳になってからにしようかと思ったんだが、賢いお前なら今日からでも大丈夫だろう。」
親父は話している途中からオレと目線を合わせながら、諭すように語った
オレは急な展開に何も言えなかった
だが、そんなオレに構わずにその少年はオレの前に一歩踏み出し、自己紹介をした
「カイル・アクアと申します。以後お見知りおきを・・・・」
綺麗な礼をしたが、こいつの言葉には一切の感情が含まれていなかった
ただ、淡々と音の羅列を述べていったかのようだ
オレはとにかく、挨拶はされたら返すものだと思っているので、一旦親父から離れ、彼の方を向いてからこちらも自己紹介をした
「くりすとふぁー・ろーど・ふぉれすとです。じゃくはいものですが、どうぞよろしくおねがいします!」
そう言ってからオレは彼と同様に頭を下げた
そして、顔を上げると目の前で目を見開いた状態のカイルが固まった
「?」
なぜ、そのような反応をされるのか分からず、オレは首をこてんと傾げてみせた
その様子を見ていた親父は、ハハハと笑いだし、カイルの肩を叩き出した
「な?私の息子はかわいい上に賢いだろ?」
「・・・はい、予想以上です。・・・・・・」
更によくわからないことを言われたので、オレは逆方向に首を傾げた
それを見た親父はなぜか胸を抑え、悶えていたと思いきやオレに抱きついた
「ほっんとに、クリスはかわいいなぁ~!」
「ちちうえ、いたいです。」
「あなた、いい加減にしてください。クリスが嫌がっているでしょう。」
「す、すまん」
抱きつくだけにとどまらず、顔にスリスリしてきたのでオレはすぐに手で親父の顔をどけた
しかし、所詮大人と子ども力で勝てるはずがない
最終奥義泣きわめきを発動しようとしたその時オレは母さんの手によって救出された
母さんがオレを親父から取り上げ、ぴしゃりと言うと、親父は小さくなって謝った
オレはそれを見て、母さんにだけは逆らわないでおこうと思った
「さて、あなたはまだお城でお仕事があるのでしょう?後はまかせてさっさと戻ってくださいな。」
「クリスが足りない・・・・」
「あなた?」
「わ、わかった!戻る!戻るから!じゃあなクリス!」
母さんの笑顔の圧に負けた親父はすごすごと肩を落としながら、捨てられた子犬のような瞳でオレに挨拶をして去っていった
それを見届けた母さんは一つため息を吐き、今度はカイルと向き合った
「騒がしくてごめんなさいね?話は夫から聞いています。今日からはここをあなたの家だと思って過ごしてちょうだいな。今日は疲れただろうからもう下がってもいいわよ。明日以降の詳しいことは執事長にお尋ねなさい。」
「はい、承知いたしました。それでは、失礼いたします。」
母さんがカイルに休むよう告げると、彼はまた淡々と挨拶と礼をして去っていった
その後、さっきまで座っていた椅子に戻り、母さんが腕の中のオレを見た
「クリス?あなたは人の上に立つものなのだから先ほどのように軽々しく頭を他人ましてや使用人に下げるものではなくってよ?」
母さんはさすがである
子どもの教育をよくわかってらっしゃる
このように逃げられない状態からのお説教、見事である
「でも、これからおせわになるのだからあたまをさげてあいさつしないと・・・・・」
オレが小さな声で抗議をすると、母さんは慈愛の笑みを浮かべた
「人としてはね?でも、私達は貴族。それも公爵家よ。だからそうしたいときは私的な時か周りに誰も居ないときにね?できるかしら?」
「っ、はいっ!ははうえ!」
母さんはウィンクをしながら人差し指を口に持っていき、秘密の会話をするように小さな声で言った
オレはその言葉に身分はともかく、生まれてきたのが母さんのところで良かったと心底思った
「クリスはいい子ね」
オレと母さんは同時にクスクスと笑い合い、その日も結局穏やかに過ごしたのだった
─────────────────────────────────────────────
ありがとうございました!
お母さんまじ女神!
そして、お母さん最強説が浮上しましたね~
あと、短編でも登場した謎の男カイルさんが登場!
しかし、オレが3歳になりいつものように母に見守られながら乳母と遊んでいると、父が昼間にもかかわらず、帰ってきたのだ
それを不思議に感じながらも、何か忘れ物でも取りに来たぐらいに思い、遊びを継続した
すると、オレの元に親父が歩いてくるのが見えた
オレがそれに気付き、すぐにこの天使の微笑みと言われる笑みを浮かべ、駆け寄った
これを忘れると、それは恐ろしいことが起こる
そう、髭スリスリの刑だ
あれは、子どものデリケートなお肌には大敵だ
「ちちうえ~」
「クリス!我が息子よ~!今日もかわいいな~!」
ちなみに親父は相変わらず親バカだ
なので、この発言もいつもと変わらず、常にオレはそれをスルーする
そして、いつものように駆け寄ると親父の後ろに18歳~20歳の金髪碧眼の王子様のようなイケメン少年がいた
思わず、親父に抱きつく直前に立ち止まってそのイケメンにくぎ付けになってしまった
『えっ、誰・・・・?』
その声なき声が聞こえたかのように立ち止まっていたオレを抱き締めていた親父が少しだけ腕を緩め彼の方を向き、彼の正体を話し出した
「クリス、彼は今日からお前の側付きになったカイル・アクア君だ。普通だったらお前が5歳になってからにしようかと思ったんだが、賢いお前なら今日からでも大丈夫だろう。」
親父は話している途中からオレと目線を合わせながら、諭すように語った
オレは急な展開に何も言えなかった
だが、そんなオレに構わずにその少年はオレの前に一歩踏み出し、自己紹介をした
「カイル・アクアと申します。以後お見知りおきを・・・・」
綺麗な礼をしたが、こいつの言葉には一切の感情が含まれていなかった
ただ、淡々と音の羅列を述べていったかのようだ
オレはとにかく、挨拶はされたら返すものだと思っているので、一旦親父から離れ、彼の方を向いてからこちらも自己紹介をした
「くりすとふぁー・ろーど・ふぉれすとです。じゃくはいものですが、どうぞよろしくおねがいします!」
そう言ってからオレは彼と同様に頭を下げた
そして、顔を上げると目の前で目を見開いた状態のカイルが固まった
「?」
なぜ、そのような反応をされるのか分からず、オレは首をこてんと傾げてみせた
その様子を見ていた親父は、ハハハと笑いだし、カイルの肩を叩き出した
「な?私の息子はかわいい上に賢いだろ?」
「・・・はい、予想以上です。・・・・・・」
更によくわからないことを言われたので、オレは逆方向に首を傾げた
それを見た親父はなぜか胸を抑え、悶えていたと思いきやオレに抱きついた
「ほっんとに、クリスはかわいいなぁ~!」
「ちちうえ、いたいです。」
「あなた、いい加減にしてください。クリスが嫌がっているでしょう。」
「す、すまん」
抱きつくだけにとどまらず、顔にスリスリしてきたのでオレはすぐに手で親父の顔をどけた
しかし、所詮大人と子ども力で勝てるはずがない
最終奥義泣きわめきを発動しようとしたその時オレは母さんの手によって救出された
母さんがオレを親父から取り上げ、ぴしゃりと言うと、親父は小さくなって謝った
オレはそれを見て、母さんにだけは逆らわないでおこうと思った
「さて、あなたはまだお城でお仕事があるのでしょう?後はまかせてさっさと戻ってくださいな。」
「クリスが足りない・・・・」
「あなた?」
「わ、わかった!戻る!戻るから!じゃあなクリス!」
母さんの笑顔の圧に負けた親父はすごすごと肩を落としながら、捨てられた子犬のような瞳でオレに挨拶をして去っていった
それを見届けた母さんは一つため息を吐き、今度はカイルと向き合った
「騒がしくてごめんなさいね?話は夫から聞いています。今日からはここをあなたの家だと思って過ごしてちょうだいな。今日は疲れただろうからもう下がってもいいわよ。明日以降の詳しいことは執事長にお尋ねなさい。」
「はい、承知いたしました。それでは、失礼いたします。」
母さんがカイルに休むよう告げると、彼はまた淡々と挨拶と礼をして去っていった
その後、さっきまで座っていた椅子に戻り、母さんが腕の中のオレを見た
「クリス?あなたは人の上に立つものなのだから先ほどのように軽々しく頭を他人ましてや使用人に下げるものではなくってよ?」
母さんはさすがである
子どもの教育をよくわかってらっしゃる
このように逃げられない状態からのお説教、見事である
「でも、これからおせわになるのだからあたまをさげてあいさつしないと・・・・・」
オレが小さな声で抗議をすると、母さんは慈愛の笑みを浮かべた
「人としてはね?でも、私達は貴族。それも公爵家よ。だからそうしたいときは私的な時か周りに誰も居ないときにね?できるかしら?」
「っ、はいっ!ははうえ!」
母さんはウィンクをしながら人差し指を口に持っていき、秘密の会話をするように小さな声で言った
オレはその言葉に身分はともかく、生まれてきたのが母さんのところで良かったと心底思った
「クリスはいい子ね」
オレと母さんは同時にクスクスと笑い合い、その日も結局穏やかに過ごしたのだった
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ありがとうございました!
お母さんまじ女神!
そして、お母さん最強説が浮上しましたね~
あと、短編でも登場した謎の男カイルさんが登場!
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