オレの来世は黒歴史忍者っ!(連載版)

存在感の薄い者

文字の大きさ
14 / 23
幼少期

まっずっっっ!!!

しおりを挟む
意識が薄れる中、オレは走馬灯の後、来世に希望を持つことにした
そうして目を閉じて衝撃が来るのを待った

そう、待ったのだ
だがいくら経っても痛みが来ない

『え、もしかして、痛みも感じずに死後の世界に行ったってやつか?』

オレはそんなことを考えながら目を閉じて待つが、何も起こらない

『あれ?オレもしかして今度は地獄とかに連れてかれたのか?』

違う怖さを感じながらオレはゆっくりと恐る恐る目を開けた
すると、目の前には剣を持った筋骨隆々な男とローブを羽織っている魔法使いらしき女が立っていた

『地獄の番人ってこんな感じか?』

呆然としていると、すぐ後ろから声をかけられた

「ぼっちゃ、いや、リスト!無事、なのかっ!?」

その声は先ほど恋しく思っていた人物のものだった
オレは思わず振り返った

目をつむる
目を開ける
目をつむる
目を開ける

見間違いじゃない
そこには走って来ただろうカイルが膝に手をついて息を整えているところだった
彼がいるということは、オレはどうやら死んでいないらしい
つまり、オレの前に立ってる男たちは助っ人ということだ

『あっぶねぇ!危機一髪っ!』

遅れて安堵と恐怖を感じ、オレは男たちを見つめた

「坊主、大丈夫か!大丈夫ならすぐにどこかに避難しろ!怪我するぞ!」

「はっ、はい!」

そう言うとオレはすぐにカイルに支えられながら、離れた場所まで退避した

それからの戦いは圧倒的なものだった
もちろん男たちの方がだ

前衛を男、後衛を女が役割分担し、お互いに補い合っていた
まず、男が勇敢にもオーガに立ち向かい、炎を纏わせた剣で切りつけていた
そして、女はオーガが男に攻撃をしようとすると、すかさずオーガに牽制攻撃を与えていた
それに加え、女は男に補助魔法をかけて更に男が力を発揮できるようにしていた
それはまさしく、完成されたというべき素晴らしい連携だった
オーガは足や手を切り取られながらもさっきオレが死にかけた魔力弾を放ち抵抗をしていた
だが、その抵抗も虚しく、最後に男がオーガの首を切ることで戦いの幕を閉じた
戦いが終わると、2人はオレ達の所に来た

「お前ら怪我はないか?」

「だ、だいじょうぶです!」

男に聞かれたので、オレが答えた

「はい、これ飲んで・・・」

ずっと黙っていた女が自分の鞄から一つの青い液体が入ったビンを取りだし、オレに差し出した

「これはなんですか?」

「魔力回復薬」

オレが謎のビンの正体を尋ねると、女は端的に答えを言った
オレは魔力切れにより立っているのも限界、ともすれば意識がとびそうだったが、初対面の人から貰ったものを果たして本当に飲んでしまってもいいものかと迷っていると、男がそんなオレを見かねて口を開いた

「こいつ、無愛想だけど、ただ口下手で人見知りってだけだから、気にせず飲め飲め!」

「・・・・うるさい」

女とは対称的な男がまるでお酒を勧めるかのように促した
女はそんな男の言葉に機嫌を悪くし、抗議をしていたがいつものことなのか、男は全く気にしている様子は無かった

「えっと、それじゃあありがたくいただきます」

恐る恐る口元にビンを持っていき、一息に飲み干した

「っ・・・・!」

オレはそれを飲み干したと同時に地面にゴロゴロと転がり、悶え苦しんだ

『まっずっっっ!!!』

そう、それはとてもまずいのだ
苦いなんて言葉で表せられないほどの苦さだった
かわりに魔力は全回復したが、違う意味で意識がとびそうだった

「・・・それ、味、改良する前のやつ・・・」

「うぇぇぇ~、なんでそんなものをっ!」

オレはその問題発言に涙目で抗議した

「・・・・今回のような無理よくない・・・だから、その味・・・忘れないで・・・・・」

「ガハハハ!こいつの優しさだ!ありがたく受け取っとけ!」

「うぅぅ~、わ、わかりました・・・・」

会話でも見事な連携プレーをしているのを聞きながら、人見知りなりの「新人に対する忠告優しさ」は十分伝わってきた
しかし、味でそれを伝えるのはやめて欲しかった
それにしてもまずい
逆に改良版はどんな味がするのかとても気になるが、今試すのは恐いので、またの機会にしようと思う

その後、オレ達はオーガから回収できる素材だけ採取し、ギルドへと帰った
──────────────────────────────────────────────
ありがとうございました!

やっと森から帰れます~
長かった・・・
はやく例のスキル出したいです!

書いてると勝手にキャラが寄り道するんですよね・・・・・
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...