オレの来世は黒歴史忍者っ!(連載版)

存在感の薄い者

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学園編

まじ尊いっ!

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昼間からオレ達の前に賊があらわれた
婚約者とやっと会話が続くようになり、夢の女の子とのデートっぽいことができてふわふわと浮かれていたオレにはそれは大変不愉快な出来事だった
それが例え10歳でも女の子は女の子、非モテにはそれでさえ光と言う名の希望なのである
とっさにオレは彼女を庇うように背後に隠した
5人の刺客が剣を抜き、その中の一人が口を開いた

「お前自身に恨みは無いが、我らの正義のために死んでもらおう!」

そう叫びながら奴らは一斉に襲いかかってきた
魔法で対抗しようとしたが、それよりも前にその剣を受け止める人物がいた

「クリストファー様お下がりください。ここは私が片付けますので」

「えっ?」

婚約者がいつのまにか短剣を両手に持ち、オレの前に進み出て一方的に言った
オレが何かを言う前に、すぐに彼女は飛び出て近くの2、3人が沈められた
残りはあと2人オレは目の前の光景に唖然としながら彼女の行動を見守る
それは今下手に入ってしまうとむしろ彼女を危険にする可能性がある
それに加え、彼女をいつでも助けられるように魔法の準備をするためだ
しかし、そんなこんなで全員を難なく倒した彼女は短剣をドレスのスカートの下にしまった
思わず凝視しそうになったが、すぐに目を反らした
紳士たるもの女性には誠実であるべし
そんな風に目を横に向けるとキラリと光る物が2ヶ所見えた
よく見るとそれは矢が光に反射したものであった
気づいたオレはすぐさま行動に移したが、彼女を守りながらの攻撃は難しかった
矢なので、オレが一人を倒す間にもう一人のところへ行くまでに時間がかかってしまう
矢が放たれた瞬間、オレは一人を魔法で倒し、もう一人は自身に身体強化の魔法と結界をかけて彼女を庇うように抱きしめた

「っ!」

すぐに矢は攻撃力をなくし、それを見て刺客へ死なない程度の雷魔法を放った

雷の咆哮サンダーボルト

完全に敵が居なくなったのか確認するために魔法で索敵し、他にいないことを確認の上気絶している犯人達─彼女が倒した5人とさっきの2人─を土魔法で拘束した
そこでやっと人心地がつけ、抱きしめていた婚約者の無事を確認した
すると、彼女はプルプルと震えていた
どこか怪我をしたのかと心配し、声をかけた

「お怪我はありませんか?」

「だだだ、大丈夫ですっ!」

その言葉に安心し、オレは謝罪した

「恐らく、ワタシを狙ったのでしょう。あなたをこのようなことに巻き込んでしまって申し訳ない」

「いいい、いえ!そ、それよりも・・・・どう、思い、ましたか?」

紳士的にそう言うと、彼女はどもりながら、もじもじして尋ねてきたが、何を指してるのか分からなかった

「何をでしょう?」

「その、貴族の私が女であるにもかかわらず剣を扱えるということを、です・・・・・」

その言葉にオレははっとした
確かにこの異世界で貴族の女性が剣を振るうというのはあまりよく思われない
だが、オレにはそんな常識はどうでもいいのである
前世の時を含め、今ではギルドに行くとそんな人はごまんといるためその点に関しては、何ら違和感はなかった

「いえ、別に。多少驚きはありましたが、それを厭うような感情はございません」

「・・・・・・・・・」

そう言うと、彼女のプルプルがぶるぶるぐらいに進化した
そして、顔も真っ赤に染まり、目はうるうるとしていた
よっぽど今まで何か言われてきたのだろうと思いながらもオレは思った

『美少女の恥ずかしそうな表情ありがとうございます!まじ尊いっ!』

心の中で拝みながら変態発言をしたが、あくまで心の中のみでとどめているのでセーフである
それと、一つやらねばならないことがある

「あの、アリシア嬢、実は、ワタシが魔法で刺客を倒したことを誰にも言わずに内緒にしていただけませんか?もし、できないとおっしゃるのならば、ワタシはあなたに酷いことをしてしまうかもしれません」

オレはにっこりと微笑みながらそう脅し、彼女が否定をしても対抗できるように禁断のスキルを発動した

人生の禁忌ライフシェイム

しかし、待っても何も起こらない
発動していないのかと思い何回かやったが、何も映像は流れて来なかった
このことから考えられることは一つ、彼女には黒歴史がないということだ
念のために「鑑定」を使ってみたが、オレのこのスキルに対抗できるようなものを持っているわけではなかった

『ま、まじかよ!?黒歴史無いの?普通一つぐらいあるだろう!?』

驚愕したが、きっとまだ10歳だからだろうと、理由をこじつけ、なんとか己を納得させた

「・・・・・・・・・・・・・・・・理由をお聞きしても?」

オレの言葉に彼女はしばらく考えた後に尋ねてきた

「それは、こういった有象無象を排除するためですよ。こちらが弱いと見せかけていれば相手は油断をしてくれますので」

『頼む!OK出してくれ!』

奥の手が使えないと分かると、オレは心の中で必死に願った
表向きは飄々とそう言ったが、背中は汗びっしょりになっている
彼女に言った理由もそうだが、本当は偉い人達に目をつけられて軍とかに入れられ、最終的に戦争とかに駆り出されたくないからだ
それに、そうなると自由がなくなり、冒険ができなくなる
もちろんスローライフなど夢のまた夢である

「ここは、ワタシの従者がやったことに致しますので、どうかご内密にお願いします」

「わかりました」

だめ押しでオレが提案すると、そう言ってくれたが、所詮は子どもが約束したことと少々不安になった
しかし、ここは彼女を信じるしかないと思いオレは開き直った

「感謝いたします」

そしてその日、オレは婚約者という素晴らしい人を得たのだった───
─────────────────────────────────────────────
ありがとうございました!

やっと念願のスキル出せました!
長かった・・・・・

そして、書き溜めが無くなってしまいました・・・
次回からは不定期になってしまいます。
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