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学園編
おい、さっきの涙は偽物か?
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さて、育ち盛りなオレは早寝早起きの大変良い子なので夜明けと共に起床した
「さあ、今日から忍者への修行を始めるぞ!」
そう言って天に向かって拳を突き出していると背後から声をかけられた
「坊っちゃま、おはようございます。朝から元気にきめているのはようございますが、朝のお支度がございますのでそろそろ終わらせていただけませんか?」
いきなりのことにびくっと肩が揺れた
その気配の無さはオレが目指す忍者並みだったが、一つこいつには主人として注意しなければならないことがある
「おい、カイル。お前オレの許可なく部屋にはいってくるとはどういうことだ?」
そう咎めたが、奴は一切表情を変えず静かに返答した
「一応5回ほどお声掛けはさせていただきましたが、お返事が無かったので坊っちゃまに何かあったのかと心配になりました。そこで、大変申し訳ないと思いながらもちゃんと入室前には勝手にはいることの断りをしてから入りました。しかしながら中に入ってみると坊っちゃまは何かしらの決意を表明しながらポージングをしておりましたので、安堵のため息をついた後にお声をかけさせていただきましたが、坊っちゃまには私の心配など不要だったようで大変失礼いたしました。」
はい、ここまでノンブレスで淡々と述べられました
しかも最後には目に手をやって涙を浮かべるということまでやってきた
いつも無表情のやつがこれをやると物凄いインパクトがある
なので、思わずオレは罪悪感という気持ちに捕らわれカイルを宥めることにした
「オ、オレが悪かった」
そう言った瞬間カイルはさっきまで涙を見せていたのは嘘なのではないかと言うように元の無表情に戻った
「では、すぐに朝のお支度を」
「・・・・・・・・・・・」
オレは奴の演技にまんまと騙されたことがわかった
何故なら、奴は堂々とオレの目の前で執事服のポケットに目薬を入れたからだ
「・・・・おい、さっきの涙は偽物か?」
すると、奴はしれっと宣う
「そろそろ坊っちゃまが目を離した隙に何か突飛な行動に出てしまうのではという心配から坊っちゃまを監視いえ、みつめておりますと、目がよく乾燥してしまうので、これは私の必需品となっております」
その答えにオレは地団駄を踏みたくなった
実際一回踏んだ
そして、奴に向かって人差し指をビシッと突き付け言ってやった
「お前なんかクビだクビっ!」
「クビと申されましても私は坊っちゃまの父上つまり、旦那様に雇われているため坊っちゃまが何と申されましても旦那様に解雇宣言をされない限りは到底無理な話でございます。」
「~っ!」
オレは正論を述べられて言い返せない悔しさの余りもう一度地面を踏みつけた
「では、お支度を」
「クソっ、わかったよっ!」
このやりとりを終えると、朝からオレはどっと疲れを感じるのだった
馬車で学園に向かい、教室に行くと皆に挨拶をした
「おはよう、クリス」
「あぁ、おはようアル」
机につくと、オレの従兄弟兼第一王子のアルフォンスが挨拶をしてきた
彼はオレが1歳の誕生日のときに両陛下に会ったあとすぐに出来た子だ
歳は1歳違うがアルがオレと同じ学年になりたいがために本当だったら初等部の最高学年だったのを飛び級して中等部の1学年になったのだ
そこまで好かれるようなことはしていないのに謎である
だが、まるで兄弟のように育ってきたのは否定しない
彼はいわゆるクール系という奴だ
そんなクール・・・いや従兄弟は瞳をキランとさせて取って置きの情報を仕入れてきたのだと言ってきた
「カイル、知ってるか?今日、転入生がやって来るらしいことを。しかもそれが、10歳の女の子らしい」
「へぇ~、お前以外にも飛び級してくる奴がいるんだな」
「そうだな、それでその女の子なんだがっ──」
「あっ、アル今日の1時間目の授業って誰だっけ?」
「あぁ、始めはクロード先生の歴史学だ」
「あー、クロード先生かぁ。あの人の授業眠いんだよな」
転校生という話題は、そんなに興味を引かれる話題では無かったので、その話はすぐに終わりになった
この時、オレはアルからもっと話を聞いておけば良かったと後で後悔するのだった
アルとの会話も担任のルーズベルト先生が来たことで強制終了となった
そして、さっきアルが言っていた転校生の紹介となった
「じゃあ、入ってきてくれ」
「はい」
その可愛らしい女の子の声が聞こえたときどっかで聞き覚えがあるような気がした
そして、すぐに姿が扉の向こうから現れる
そこには見覚えのある紅い髪に若草色の瞳をした───
「紹介しよう彼女はアリシア・バーニングさんだ。今回飛び級制度によって初等部から中等部に移ってきたので、皆仲良くするように」
「アリシア・バーニングと申します。以後お見知り置きを」
彼女は担任から紹介されると、綺麗な淑女の礼をして挨拶をした
最後に目を最大限まで見開き、口をポカーンと開けている間抜けなオレを見て微笑みかけてきた
「それじゃあ、好きな席にかけてくれ」
「はい」
そう言われて彼女は間抜け顔のオレの隣に座った
「クリス様、これから宜しくお願いしますね」
最近オレの婚約者になり、互いを愛称で呼び合う仲にまで発展させた彼女は、ふふふと笑いながら女神のように可愛く美しいが、オレの脳には何が起きたのか全く分からなかった
『えっ、何?何がどうなってるんだ?』
「うふふクリス様、そろそろ授業が始まるようですわよ?」
その言葉でオレは現実に戻り、教壇を見るといつの間にかルーズベルト先生がクロード先生にチェンジしていた
「えっ、シアっ、なんでっ」
そんなオレの唇に人差し指を当ててオレを黙らすと彼女はオレに顔を近づけた
「後でお話しましょう?だから今は授業に集中して、ね?」
10歳からは到底出ないはずの色気というかフェロモンというかそういうのが彼女から漂い、オレは思わず是と答えたが、愛しの婚約者が隣にいて授業など集中出来る訳が無かった
その授業はいつも途中で夢の世界に行くオレだったが、彼女の存在にそわそわが止まらなかったためと彼女に良いところを見せたいという気持ちから今までの中で一番真剣にクロード先生の授業を聴講したのだった
但し、その内容は全く頭には入っていないことはここに宣言しよう
─────────────────────────────────────────────
ありがとうございました!
やっと王子様が出せました!
この王子のキャラをクール系にするかワンコ系にするかで大変迷いましたが、今後の話の展開的にクール系でいこうかなということになりました~
超亀更新ですが、次回お会いしましょう!
「さあ、今日から忍者への修行を始めるぞ!」
そう言って天に向かって拳を突き出していると背後から声をかけられた
「坊っちゃま、おはようございます。朝から元気にきめているのはようございますが、朝のお支度がございますのでそろそろ終わらせていただけませんか?」
いきなりのことにびくっと肩が揺れた
その気配の無さはオレが目指す忍者並みだったが、一つこいつには主人として注意しなければならないことがある
「おい、カイル。お前オレの許可なく部屋にはいってくるとはどういうことだ?」
そう咎めたが、奴は一切表情を変えず静かに返答した
「一応5回ほどお声掛けはさせていただきましたが、お返事が無かったので坊っちゃまに何かあったのかと心配になりました。そこで、大変申し訳ないと思いながらもちゃんと入室前には勝手にはいることの断りをしてから入りました。しかしながら中に入ってみると坊っちゃまは何かしらの決意を表明しながらポージングをしておりましたので、安堵のため息をついた後にお声をかけさせていただきましたが、坊っちゃまには私の心配など不要だったようで大変失礼いたしました。」
はい、ここまでノンブレスで淡々と述べられました
しかも最後には目に手をやって涙を浮かべるということまでやってきた
いつも無表情のやつがこれをやると物凄いインパクトがある
なので、思わずオレは罪悪感という気持ちに捕らわれカイルを宥めることにした
「オ、オレが悪かった」
そう言った瞬間カイルはさっきまで涙を見せていたのは嘘なのではないかと言うように元の無表情に戻った
「では、すぐに朝のお支度を」
「・・・・・・・・・・・」
オレは奴の演技にまんまと騙されたことがわかった
何故なら、奴は堂々とオレの目の前で執事服のポケットに目薬を入れたからだ
「・・・・おい、さっきの涙は偽物か?」
すると、奴はしれっと宣う
「そろそろ坊っちゃまが目を離した隙に何か突飛な行動に出てしまうのではという心配から坊っちゃまを監視いえ、みつめておりますと、目がよく乾燥してしまうので、これは私の必需品となっております」
その答えにオレは地団駄を踏みたくなった
実際一回踏んだ
そして、奴に向かって人差し指をビシッと突き付け言ってやった
「お前なんかクビだクビっ!」
「クビと申されましても私は坊っちゃまの父上つまり、旦那様に雇われているため坊っちゃまが何と申されましても旦那様に解雇宣言をされない限りは到底無理な話でございます。」
「~っ!」
オレは正論を述べられて言い返せない悔しさの余りもう一度地面を踏みつけた
「では、お支度を」
「クソっ、わかったよっ!」
このやりとりを終えると、朝からオレはどっと疲れを感じるのだった
馬車で学園に向かい、教室に行くと皆に挨拶をした
「おはよう、クリス」
「あぁ、おはようアル」
机につくと、オレの従兄弟兼第一王子のアルフォンスが挨拶をしてきた
彼はオレが1歳の誕生日のときに両陛下に会ったあとすぐに出来た子だ
歳は1歳違うがアルがオレと同じ学年になりたいがために本当だったら初等部の最高学年だったのを飛び級して中等部の1学年になったのだ
そこまで好かれるようなことはしていないのに謎である
だが、まるで兄弟のように育ってきたのは否定しない
彼はいわゆるクール系という奴だ
そんなクール・・・いや従兄弟は瞳をキランとさせて取って置きの情報を仕入れてきたのだと言ってきた
「カイル、知ってるか?今日、転入生がやって来るらしいことを。しかもそれが、10歳の女の子らしい」
「へぇ~、お前以外にも飛び級してくる奴がいるんだな」
「そうだな、それでその女の子なんだがっ──」
「あっ、アル今日の1時間目の授業って誰だっけ?」
「あぁ、始めはクロード先生の歴史学だ」
「あー、クロード先生かぁ。あの人の授業眠いんだよな」
転校生という話題は、そんなに興味を引かれる話題では無かったので、その話はすぐに終わりになった
この時、オレはアルからもっと話を聞いておけば良かったと後で後悔するのだった
アルとの会話も担任のルーズベルト先生が来たことで強制終了となった
そして、さっきアルが言っていた転校生の紹介となった
「じゃあ、入ってきてくれ」
「はい」
その可愛らしい女の子の声が聞こえたときどっかで聞き覚えがあるような気がした
そして、すぐに姿が扉の向こうから現れる
そこには見覚えのある紅い髪に若草色の瞳をした───
「紹介しよう彼女はアリシア・バーニングさんだ。今回飛び級制度によって初等部から中等部に移ってきたので、皆仲良くするように」
「アリシア・バーニングと申します。以後お見知り置きを」
彼女は担任から紹介されると、綺麗な淑女の礼をして挨拶をした
最後に目を最大限まで見開き、口をポカーンと開けている間抜けなオレを見て微笑みかけてきた
「それじゃあ、好きな席にかけてくれ」
「はい」
そう言われて彼女は間抜け顔のオレの隣に座った
「クリス様、これから宜しくお願いしますね」
最近オレの婚約者になり、互いを愛称で呼び合う仲にまで発展させた彼女は、ふふふと笑いながら女神のように可愛く美しいが、オレの脳には何が起きたのか全く分からなかった
『えっ、何?何がどうなってるんだ?』
「うふふクリス様、そろそろ授業が始まるようですわよ?」
その言葉でオレは現実に戻り、教壇を見るといつの間にかルーズベルト先生がクロード先生にチェンジしていた
「えっ、シアっ、なんでっ」
そんなオレの唇に人差し指を当ててオレを黙らすと彼女はオレに顔を近づけた
「後でお話しましょう?だから今は授業に集中して、ね?」
10歳からは到底出ないはずの色気というかフェロモンというかそういうのが彼女から漂い、オレは思わず是と答えたが、愛しの婚約者が隣にいて授業など集中出来る訳が無かった
その授業はいつも途中で夢の世界に行くオレだったが、彼女の存在にそわそわが止まらなかったためと彼女に良いところを見せたいという気持ちから今までの中で一番真剣にクロード先生の授業を聴講したのだった
但し、その内容は全く頭には入っていないことはここに宣言しよう
─────────────────────────────────────────────
ありがとうございました!
やっと王子様が出せました!
この王子のキャラをクール系にするかワンコ系にするかで大変迷いましたが、今後の話の展開的にクール系でいこうかなということになりました~
超亀更新ですが、次回お会いしましょう!
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