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壊す...?
しおりを挟む(楓side)
酔いが回ったのと酸欠とでフラフラになった朝陽をベッドに寝かせてから、皓大らのところへ戻った。
「...遅かったな」
「あいつ酔ってた」
「は?舐めただけじゃん」
「めちゃくちゃ弱かったらしい」
「でも、遅かったのはそのせいじゃないでしょう?髪濡れたまんまだし」
リナがからかうような調子で口を出す。別に隠すつもりはないから、特に気まずさも感じなかった。
「まぁ、ヤってたから」
「お前ら、いつの間にそんな爛れた関係になってたんだよー」
「爛れた言うなよ。お前らだって変わんねぇだろ」
リナと皓大の付き合いは長い。普段散々喧嘩してうるさいくせに、なんだかんだと一緒にいる。迷惑そうな顔をして見ていながら、内心二人が楽しそうならそれでいいと思っている俺も大概だが。
「ねぇ、楓」
「ん?」
リナが空になったチューハイの缶を手の上でもてあそびながら、どうでも良さそうに口を開く。そういうときのリナが案外真剣なことをとっくに知っていた。
「あんたがいい加減に遊んできた女達みたいに、テキトーに遊んで捨てたら朝陽、壊れちゃうよ」
「あぁ......わかってる」
「そっか...」
それ以上このことについては誰もなにも言わなかった。どうでもいい話をし始めたリナと皓大をぼんやりと見つめる。リナの手当てが終わってみれば、皓大の怪我は大したことはなさそうだった。
ふと、手の甲の傷に目をやると少し赤みが増していた。何度も傷の上を舐めていた朝陽を思い出す。始めは何をしているのかさっぱりわからなかったが、必死に舐め続ける朝陽の目がほとんど泣き出しそうなくらいに潤んでいるのを見て、どきっとした。
これ、消そうとしてるみたいだったな...
喧嘩で怪我してくる度に、あんな風に泣きそうになられては堪らない。以前みたいに骨折レベルの大怪我をしようものなら朝陽は立ち直れないくらいに悄気てしまうのではないだろうか。
......傷作んないようにしよう
それにしても、たった一滴の酒で、普段恥ずかしがってばかりの朝陽があんなに大胆になれるなら、たまには飲ませてもいいかもしれない。もちろん二人きりのときにだが。皓大やリサに見せたくないというよりも、単純に俺が我慢できなくなるから。
今日わかったこと。それは、酔っていたせいもあるかもしれないが、朝陽の体力では酸素の薄い風呂場では一回が限界だということ。濡れて滑るせいで必死にしがみついてくる朝陽はかわいいけど、一回じゃこっちが生殺しだ。
あ...今寝始めて今日、朝陽の作った晩ごはん食えるかな......
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