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第26話 ざまぁの時間②昔の話
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「断罪せねばならん。のう……王宮魔術師長。レゼシア公爵よ」
「なっ???」
突然話を振られた王宮魔術師長は明らかに戸惑っていた。
そんな彼の背後に王宮騎士がしっかりとした足取りで近寄り、国王陛下に敬礼しながら立ち止まった。
絶対に逃がさない。
そう宣言されているような光景だった。
って、あの騎士は……!?
「どういうことでしょうか、陛下?私にはなんのことやら……」
レゼシア公爵は国王陛下を一心に見つめながら戸惑いの言葉を発する。
「そのような演技は不要だ。気付いておるのだろう?いや、どこまで把握されたのか分からぬ、ということか?」
「……」
しかし国王陛下は確たる証拠でも掴んでいるようだ。
自信と怒りに満ち溢れた様子にレゼシア公爵は明らかに怯んでいる。
「まぁ、白状するのは厳しいだろうから、代わりに喋ってもらえ。頼むぞ、カイゼル公爵よ」
「はっ」
そして国王陛下は横に控えていた壮年の男性に声をかけた。
あれがアッシュのお父さん……。
ということは?
「まずはこれを見るがいい」
「そっ……それは?」
カイゼル公爵は3枚の紙を取り出して掲げた。
いずれにもレゼシア公爵家の印が押してあり、それが見えるように。
「……嘘だ。それが残っているはずが……」
「皇帝はあえて残していたようだぞ?残念だったな。貴様の誤算の1つは皇帝の用心深さを甘く見たこと、それから皇帝が負ける事態を想定しなかったことだな」
「まさか……」
なるほど。内通の手紙……読んだら証拠隠滅のために消し去るべきなのに皇帝があえて残していたのね。
アッシュが帝国の城から持ち出していた包みはあれだったのね……。
「第二王子を亡きものにするようにと書いてある。そして不幸な事故として処理することもな。印まで押しておいて、言い逃れはできんぞ?」
この国の貴族の印鑑は当主でなければ押せない。
当主となるときに国王陛下の前で魔力を通し、嘘偽りなく貴族としての役目をこなす誓いを立て、それを行わなければ印鑑を使うことができないからだ。
レゼシア公爵は震えながら膝をつき、動かなくなってしまった。
「王宮魔術師長……まさか私のためにか?私を王にするためにそのような謀を行ったというのか?なんということをしたのだ!」
そんなレゼシア公爵を弾劾するのはアホ王太子だ。
目を疑う光景だが、きっと斬り捨てたんだろう。
そもそも王宮魔術師長が単独でそんなことをするわけがないし、仮にそうでも王太子が責任を逃れられるとは思えない。
なにせ彼の管轄が外交と王宮魔術師団なのだ。
にもかかわらず、恐らく全力で斬り捨てて自分だけは助かるつもりなのだろう。
急に茶番劇になったようね……。
「滑稽だな、アレクサンダーよ」
「くっ……」
「次はこれです」
そう言うとカイゼル公爵は1つのオーブを取り出した。
これは記録のオーブ。
起動すると周囲で起こったことを一定時間記録する魔道具で、記録した光景を見ることもできる。
*--
「王太子様。計画通り、クリストファー王子が大使として帝国を訪問することが決まりました。これで計画を実行できます」
「うむ……。あいつもしゃしゃり出ることなく、俺に従っていれば長生きできたものを、バカなやつだな」
少し暗い部屋の中で会話するレゼシア公爵と王太子の姿がバッチリ映っていて、さらに鮮明に会話も聞き取れた。
「皇帝にはそこまで余裕はないはずですから、受けるでしょう」
「うむ。どんないちゃもんでもいいからサクッとクリストファーのやつを殺害させて、あとはつじつまを合わせておけば問題ないだろう」
悪い顔を晒しながら王太子が喋った内容は明らかな暗殺宣言だった。
「あとは苦しんでる国……メロファス王国でも使えばいい。あそこの姉妹の王女の片方を俺の奴隷にして、もう片方を皇帝へあてがっておけばいい。緩衝国家として生きながらえさせてやるとでも言えば受けざるを得ないだろうからな。ひゃっはっは」
そしてただただ醜悪だった……。王太子自身は妄想に興奮を隠せないようだった。
「これで馬鹿なクリスは死に、俺の誘いを断ったルインにも罰を与えられるな。あの美貌はもったいないが、仕方ない」
私もか……いつまで愛人の話を断ったことを根に持っているんだ。
「そしてあれも始末できる可能性があります。そうなれば……」
あれ?どういうこと?
*--
そこで記憶のオーブの映像は終わる。
「嘘だ!捏造だ!きっと何らかの手段でオーブの記録を捏造したに違いない!」
王太子がさらに醜悪に喚き始める。
王宮魔術師長ともあろうものが盗撮に使われた記憶のオーブに気付かなかったのかしら?
「見苦しいわ、このたわけが!捕らえよ!!!」
国王の喝によって王太子は黙らされ、騎士たちに拘束された。
王宮魔術師長も一緒に。
「陛下……いや、父上。違うのです。なにかの間違いです!」
「……」
王太子はまだ喚いているけど、王宮魔術師長の方は大人しくなった。
王族の暗殺未遂は確か禁固10年だったわね……。
殺害は死刑、不慮の事故の場合は国王判断。アッシュの件で調べたから知ってるのよ。
それくらいならまだ出て来れると覚悟でも決めたのかしら。
「最後はこれです」
しかし断罪を続けるカイゼル公爵はもう1つのオーブを取り出した。
えっ?まだあるの?
「これは今回の件とは直接関係ない。しかし、今回の件で王宮魔術師団の使用している部屋を調査した時に見つけたものだ。ずっと壁に埋め込められていたもので、遥か昔の記録になるが、入っていたのは衝撃的な事実だった」
王太子も王宮魔術師長もきょとんとしている。
これ以上何かあるとは思っていなかったようだ。
この時点でも相当酷い計画だけど……。
「なっ???」
突然話を振られた王宮魔術師長は明らかに戸惑っていた。
そんな彼の背後に王宮騎士がしっかりとした足取りで近寄り、国王陛下に敬礼しながら立ち止まった。
絶対に逃がさない。
そう宣言されているような光景だった。
って、あの騎士は……!?
「どういうことでしょうか、陛下?私にはなんのことやら……」
レゼシア公爵は国王陛下を一心に見つめながら戸惑いの言葉を発する。
「そのような演技は不要だ。気付いておるのだろう?いや、どこまで把握されたのか分からぬ、ということか?」
「……」
しかし国王陛下は確たる証拠でも掴んでいるようだ。
自信と怒りに満ち溢れた様子にレゼシア公爵は明らかに怯んでいる。
「まぁ、白状するのは厳しいだろうから、代わりに喋ってもらえ。頼むぞ、カイゼル公爵よ」
「はっ」
そして国王陛下は横に控えていた壮年の男性に声をかけた。
あれがアッシュのお父さん……。
ということは?
「まずはこれを見るがいい」
「そっ……それは?」
カイゼル公爵は3枚の紙を取り出して掲げた。
いずれにもレゼシア公爵家の印が押してあり、それが見えるように。
「……嘘だ。それが残っているはずが……」
「皇帝はあえて残していたようだぞ?残念だったな。貴様の誤算の1つは皇帝の用心深さを甘く見たこと、それから皇帝が負ける事態を想定しなかったことだな」
「まさか……」
なるほど。内通の手紙……読んだら証拠隠滅のために消し去るべきなのに皇帝があえて残していたのね。
アッシュが帝国の城から持ち出していた包みはあれだったのね……。
「第二王子を亡きものにするようにと書いてある。そして不幸な事故として処理することもな。印まで押しておいて、言い逃れはできんぞ?」
この国の貴族の印鑑は当主でなければ押せない。
当主となるときに国王陛下の前で魔力を通し、嘘偽りなく貴族としての役目をこなす誓いを立て、それを行わなければ印鑑を使うことができないからだ。
レゼシア公爵は震えながら膝をつき、動かなくなってしまった。
「王宮魔術師長……まさか私のためにか?私を王にするためにそのような謀を行ったというのか?なんということをしたのだ!」
そんなレゼシア公爵を弾劾するのはアホ王太子だ。
目を疑う光景だが、きっと斬り捨てたんだろう。
そもそも王宮魔術師長が単独でそんなことをするわけがないし、仮にそうでも王太子が責任を逃れられるとは思えない。
なにせ彼の管轄が外交と王宮魔術師団なのだ。
にもかかわらず、恐らく全力で斬り捨てて自分だけは助かるつもりなのだろう。
急に茶番劇になったようね……。
「滑稽だな、アレクサンダーよ」
「くっ……」
「次はこれです」
そう言うとカイゼル公爵は1つのオーブを取り出した。
これは記録のオーブ。
起動すると周囲で起こったことを一定時間記録する魔道具で、記録した光景を見ることもできる。
*--
「王太子様。計画通り、クリストファー王子が大使として帝国を訪問することが決まりました。これで計画を実行できます」
「うむ……。あいつもしゃしゃり出ることなく、俺に従っていれば長生きできたものを、バカなやつだな」
少し暗い部屋の中で会話するレゼシア公爵と王太子の姿がバッチリ映っていて、さらに鮮明に会話も聞き取れた。
「皇帝にはそこまで余裕はないはずですから、受けるでしょう」
「うむ。どんないちゃもんでもいいからサクッとクリストファーのやつを殺害させて、あとはつじつまを合わせておけば問題ないだろう」
悪い顔を晒しながら王太子が喋った内容は明らかな暗殺宣言だった。
「あとは苦しんでる国……メロファス王国でも使えばいい。あそこの姉妹の王女の片方を俺の奴隷にして、もう片方を皇帝へあてがっておけばいい。緩衝国家として生きながらえさせてやるとでも言えば受けざるを得ないだろうからな。ひゃっはっは」
そしてただただ醜悪だった……。王太子自身は妄想に興奮を隠せないようだった。
「これで馬鹿なクリスは死に、俺の誘いを断ったルインにも罰を与えられるな。あの美貌はもったいないが、仕方ない」
私もか……いつまで愛人の話を断ったことを根に持っているんだ。
「そしてあれも始末できる可能性があります。そうなれば……」
あれ?どういうこと?
*--
そこで記憶のオーブの映像は終わる。
「嘘だ!捏造だ!きっと何らかの手段でオーブの記録を捏造したに違いない!」
王太子がさらに醜悪に喚き始める。
王宮魔術師長ともあろうものが盗撮に使われた記憶のオーブに気付かなかったのかしら?
「見苦しいわ、このたわけが!捕らえよ!!!」
国王の喝によって王太子は黙らされ、騎士たちに拘束された。
王宮魔術師長も一緒に。
「陛下……いや、父上。違うのです。なにかの間違いです!」
「……」
王太子はまだ喚いているけど、王宮魔術師長の方は大人しくなった。
王族の暗殺未遂は確か禁固10年だったわね……。
殺害は死刑、不慮の事故の場合は国王判断。アッシュの件で調べたから知ってるのよ。
それくらいならまだ出て来れると覚悟でも決めたのかしら。
「最後はこれです」
しかし断罪を続けるカイゼル公爵はもう1つのオーブを取り出した。
えっ?まだあるの?
「これは今回の件とは直接関係ない。しかし、今回の件で王宮魔術師団の使用している部屋を調査した時に見つけたものだ。ずっと壁に埋め込められていたもので、遥か昔の記録になるが、入っていたのは衝撃的な事実だった」
王太子も王宮魔術師長もきょとんとしている。
これ以上何かあるとは思っていなかったようだ。
この時点でも相当酷い計画だけど……。
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