転生したので好きに生きよう!

ゆっけ

文字の大きさ
3 / 100
第一章ヒューマニ王国編

女神様は性急がお好き

しおりを挟む
「貴女が苦労しないように高位貴族の元で生きていけるようにしましょう」

「もう、どうとでもして」

 話を聞かない女神リュシエル様に私は現世で獲得した『諦め』を発動する。

 ぼんやりと青空を見ているとフワフワと小さな小人が飛んでいる。直ぐに妖精だと思い観察する。

 どの子も可愛らしい容姿に蜻蛉のような透明な羽を羽ばたかせて飛んでいる。
 くるくるくるくる、楽しそうに飛んでいる妖精が動けない私の側を飛ぶ。すると一人がちょうど私の顔付近へと飛んできたので興味本位でフゥと息を吹き掛けてみた。

 すると妖精はくるくるっと息に吹き飛ばされてしまった。それを見た他の妖精がわっと私の顔に殺到する。

 あまりにも人口密度が上がると、この場合妖精密度かな?妖精密度が上がると息が出来ないと思い、妖精達を吹き飛ばす。妖精達はキャッキャッと楽しそうに飛ばされていく。どうやら楽しんでいるようだ。私は必死なんだけどね。

「…こんなものでしょうか。では、今から地上に送りますね」

「説明なしなの?せめて、どんな世界情勢とかどんな所に行くとかの事前情報が欲しいんだけど?」

 私の当然の主張も女神リュシエル様はまるっと無視すると指笛を鳴らす。高く澄んだ音が場に響く。

 するとどこからか淡く金色に光り、頭には冠のような鶏冠を戴く荘厳な鳥が此方へと飛んできた。飛ぶ様も優雅であまりにも美しい鳥は冠も合わせ、まるで鳥の中の王のようだ。

 美しい鳥は女神リュシエル様の傍らに降り立った。あまりにも大きな鳥だったが、羽ばたきや着地する音など皆無で優美な仕草で女神リュシエル様の顔に擦り寄ると真っ青な青い瞳を細め、ピュルルルと甲高く鳴く。甘えているのかな?

「地上に神鳥スパルナが連れて行ってくれます。では、良いをどうぞ~」

「なんでかな?今生だと思うんだけど今生が根性って聞こえるんだけど!!」

「GOOD LUCK!!」

 女神リュシエル様は綺麗な笑顔と親指を立ててサムズアップしている。

「女神なのに俗っぽいな!本当に説明なしなの!!」

 辺りに私の悲痛な叫びが響き、体の下に展開された魔法陣によって私の意識は刈り取られた。








◇◇◇◇◇





 多重に展開される魔法陣の向こうで静かに眠る異世界の少女を優しく見守る女神リュシエルとその周りを飛び回る精霊、神鳥スパルナは大人しく女神リュシエルの足元で座っている。

「この子、僕達のこと見えたよぉ」
「見えた、見えた」
「遊んでくれた」
「楽しかった」

「地上でもきっと遊んでくれますよ」

「本当!」
「僕達とまた遊んでくれるの!」
「わぁ~い」

 人にあまり関心がない精霊がいつになく楽しそうにしている様に微笑む女神リュシエル。

 ふとこの少女がいた世界を管理する管理者の事を思い出し、次に何故にこの少女ばかりが不幸な境遇を辿るのかと思いを巡らす。

 決して、最悪の環境でもないが最高でもない。それでもこの少女に降りかかっていた事柄は決してこのではなかった。

の方はどのような考えなのか…」

 美しいかんばせが今度は憂いに満ちた表情に変わる。それを察した神鳥スパルナが手に擦り寄る。
 ふんわりとした羽毛を撫でながらこの少女のこれから送る異世界での生活が穏やかであれと願う女神リュシエル。

「酷い環境だっただろうに少女の魂は決して穢れていない…そこが救いなのだけど」

 女神リュシエルの目には少女の摩耗した精神と決して屈する事なかった純粋な魂が見えている。

「本来は此方の世界でなに不自由なく人生を謳歌していたでしょうに何故、彼の方はこの少女の魂を奪ったのか。これまでの事を挽回する為にも最高の恩寵を授けましょうね」

 穏やかに眠る少女を慈しむような暖かな眼差しで見詰め、最後の仕上げを施すべく腕を持ち上げた。






しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

【完結】婚約者と仕事を失いましたが、すべて隣国でバージョンアップするようです。

鋼雅 暁
ファンタジー
聖女として働いていたアリサ。ある日突然、王子から婚約破棄を告げられる。 さらに、偽聖女と決めつけられる始末。 しかし、これ幸いと王都を出たアリサは辺境の地でのんびり暮らすことに。しかしアリサは自覚のない「魔力の塊」であったらしく、それに気付かずアリサを放り出した王国は傾き、アリサの魔力に気付いた隣国は皇太子を派遣し……捨てる国あれば拾う国あり!? 他サイトにも重複掲載中です。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

【完結】婚約破棄はいいですよ?ただ…貴方達に言いたいことがある方々がおられるみたいなので、それをしっかり聞いて下さいね?

水江 蓮
ファンタジー
「ここまでの悪事を働いたアリア・ウィンター公爵令嬢との婚約を破棄し、国外追放とする!!」 ここは裁判所。 今日は沢山の傍聴人が来てくださってます。 さて、罪状について私は全く関係しておりませんが折角なのでしっかり話し合いしましょう? 私はここに裁かれる為に来た訳ではないのです。 本当に裁かれるべき人達? 試してお待ちください…。

モブっと異世界転生

月夜の庭
ファンタジー
会社の経理課に所属する地味系OL鳳来寺 桜姫(ほうらいじ さくらこ)は、ゲーム片手に宅飲みしながら、家猫のカメリア(黒猫)と戯れることが生き甲斐だった。 ところが台風の夜に強風に飛ばされたプレハブが窓に直撃してカメリアを庇いながら息を引き取った………筈だった。 目が覚めると小さな籠の中で、おそらく兄弟らしき子猫達と一緒に丸くなって寝ていました。 サクラと名付けられた私は、黒猫の獣人だと知って驚愕する。 死ぬ寸前に遊んでた乙女ゲームじゃね?! しかもヒロイン(茶虎猫)の義理の妹…………ってモブかよ! *誤字脱字は発見次第、修正しますので長い目でお願い致します。

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

処理中です...