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第一章ヒューマニ王国編
女神様は性急がお好き
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「貴女が苦労しないように高位貴族の元で生きていけるようにしましょう」
「もう、どうとでもして」
話を聞かない女神リュシエル様に私は現世で獲得した『諦め』を発動する。
ぼんやりと青空を見ているとフワフワと小さな小人が飛んでいる。直ぐに妖精だと思い観察する。
どの子も可愛らしい容姿に蜻蛉のような透明な羽を羽ばたかせて飛んでいる。
くるくるくるくる、楽しそうに飛んでいる妖精が動けない私の側を飛ぶ。すると一人がちょうど私の顔付近へと飛んできたので興味本位でフゥと息を吹き掛けてみた。
すると妖精はくるくるっと息に吹き飛ばされてしまった。それを見た他の妖精がわっと私の顔に殺到する。
あまりにも人口密度が上がると、この場合妖精密度かな?妖精密度が上がると息が出来ないと思い、妖精達を吹き飛ばす。妖精達はキャッキャッと楽しそうに飛ばされていく。どうやら楽しんでいるようだ。私は必死なんだけどね。
「…こんなものでしょうか。では、今から地上に送りますね」
「説明なしなの?せめて、どんな世界情勢とかどんな所に行くとかの事前情報が欲しいんだけど?」
私の当然の主張も女神リュシエル様はまるっと無視すると指笛を鳴らす。高く澄んだ音が場に響く。
するとどこからか淡く金色に光り、頭には冠のような鶏冠を戴く荘厳な鳥が此方へと飛んできた。飛ぶ様も優雅であまりにも美しい鳥は冠も合わせ、まるで鳥の中の王のようだ。
美しい鳥は女神リュシエル様の傍らに降り立った。あまりにも大きな鳥だったが、羽ばたきや着地する音など皆無で優美な仕草で女神リュシエル様の顔に擦り寄ると真っ青な青い瞳を細め、ピュルルルと甲高く鳴く。甘えているのかな?
「地上に神鳥スパルナが連れて行ってくれます。では、良いこんじょうをどうぞ~」
「なんでかな?今生だと思うんだけど今生が根性って聞こえるんだけど!!」
「GOOD LUCK!!」
女神リュシエル様は綺麗な笑顔と親指を立ててサムズアップしている。
「女神なのに俗っぽいな!本当に説明なしなの!!」
辺りに私の悲痛な叫びが響き、体の下に展開された魔法陣によって私の意識は刈り取られた。
◇◇◇◇◇
多重に展開される魔法陣の向こうで静かに眠る異世界の少女を優しく見守る女神リュシエルとその周りを飛び回る精霊、神鳥スパルナは大人しく女神リュシエルの足元で座っている。
「この子、僕達のこと見えたよぉ」
「見えた、見えた」
「遊んでくれた」
「楽しかった」
「地上でもきっと遊んでくれますよ」
「本当!」
「僕達とまた遊んでくれるの!」
「わぁ~い」
人にあまり関心がない精霊がいつになく楽しそうにしている様に微笑む女神リュシエル。
ふとこの少女がいた世界を管理する管理者の事を思い出し、次に何故にこの少女ばかりが不幸な境遇を辿るのかと思いを巡らす。
決して、最悪の環境でもないが最高でもない。それでもこの少女に降りかかっていた事柄は決してこの少女の運命ではなかった。
「彼の方はどのような考えなのか…」
美しい顏が今度は憂いに満ちた表情に変わる。それを察した神鳥スパルナが手に擦り寄る。
ふんわりとした羽毛を撫でながらこの少女のこれから送る異世界での生活が穏やかであれと願う女神リュシエル。
「酷い環境だっただろうに少女の魂は決して穢れていない…そこが救いなのだけど」
女神リュシエルの目には少女の摩耗した精神と決して屈する事なかった純粋な魂が見えている。
「本来は此方の世界でなに不自由なく人生を謳歌していたでしょうに何故、彼の方はこの少女の魂を奪ったのか。これまでの事を挽回する為にも最高の恩寵を授けましょうね」
穏やかに眠る少女を慈しむような暖かな眼差しで見詰め、最後の仕上げを施すべく腕を持ち上げた。
「もう、どうとでもして」
話を聞かない女神リュシエル様に私は現世で獲得した『諦め』を発動する。
ぼんやりと青空を見ているとフワフワと小さな小人が飛んでいる。直ぐに妖精だと思い観察する。
どの子も可愛らしい容姿に蜻蛉のような透明な羽を羽ばたかせて飛んでいる。
くるくるくるくる、楽しそうに飛んでいる妖精が動けない私の側を飛ぶ。すると一人がちょうど私の顔付近へと飛んできたので興味本位でフゥと息を吹き掛けてみた。
すると妖精はくるくるっと息に吹き飛ばされてしまった。それを見た他の妖精がわっと私の顔に殺到する。
あまりにも人口密度が上がると、この場合妖精密度かな?妖精密度が上がると息が出来ないと思い、妖精達を吹き飛ばす。妖精達はキャッキャッと楽しそうに飛ばされていく。どうやら楽しんでいるようだ。私は必死なんだけどね。
「…こんなものでしょうか。では、今から地上に送りますね」
「説明なしなの?せめて、どんな世界情勢とかどんな所に行くとかの事前情報が欲しいんだけど?」
私の当然の主張も女神リュシエル様はまるっと無視すると指笛を鳴らす。高く澄んだ音が場に響く。
するとどこからか淡く金色に光り、頭には冠のような鶏冠を戴く荘厳な鳥が此方へと飛んできた。飛ぶ様も優雅であまりにも美しい鳥は冠も合わせ、まるで鳥の中の王のようだ。
美しい鳥は女神リュシエル様の傍らに降り立った。あまりにも大きな鳥だったが、羽ばたきや着地する音など皆無で優美な仕草で女神リュシエル様の顔に擦り寄ると真っ青な青い瞳を細め、ピュルルルと甲高く鳴く。甘えているのかな?
「地上に神鳥スパルナが連れて行ってくれます。では、良いこんじょうをどうぞ~」
「なんでかな?今生だと思うんだけど今生が根性って聞こえるんだけど!!」
「GOOD LUCK!!」
女神リュシエル様は綺麗な笑顔と親指を立ててサムズアップしている。
「女神なのに俗っぽいな!本当に説明なしなの!!」
辺りに私の悲痛な叫びが響き、体の下に展開された魔法陣によって私の意識は刈り取られた。
◇◇◇◇◇
多重に展開される魔法陣の向こうで静かに眠る異世界の少女を優しく見守る女神リュシエルとその周りを飛び回る精霊、神鳥スパルナは大人しく女神リュシエルの足元で座っている。
「この子、僕達のこと見えたよぉ」
「見えた、見えた」
「遊んでくれた」
「楽しかった」
「地上でもきっと遊んでくれますよ」
「本当!」
「僕達とまた遊んでくれるの!」
「わぁ~い」
人にあまり関心がない精霊がいつになく楽しそうにしている様に微笑む女神リュシエル。
ふとこの少女がいた世界を管理する管理者の事を思い出し、次に何故にこの少女ばかりが不幸な境遇を辿るのかと思いを巡らす。
決して、最悪の環境でもないが最高でもない。それでもこの少女に降りかかっていた事柄は決してこの少女の運命ではなかった。
「彼の方はどのような考えなのか…」
美しい顏が今度は憂いに満ちた表情に変わる。それを察した神鳥スパルナが手に擦り寄る。
ふんわりとした羽毛を撫でながらこの少女のこれから送る異世界での生活が穏やかであれと願う女神リュシエル。
「酷い環境だっただろうに少女の魂は決して穢れていない…そこが救いなのだけど」
女神リュシエルの目には少女の摩耗した精神と決して屈する事なかった純粋な魂が見えている。
「本来は此方の世界でなに不自由なく人生を謳歌していたでしょうに何故、彼の方はこの少女の魂を奪ったのか。これまでの事を挽回する為にも最高の恩寵を授けましょうね」
穏やかに眠る少女を慈しむような暖かな眼差しで見詰め、最後の仕上げを施すべく腕を持ち上げた。
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