転生したので好きに生きよう!

ゆっけ

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第二章ドラゴニア帝国編

釣り人であり、餌

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 もきゅもきゅと咀嚼中のノアさんを一旦放置し、目の前のお茶を一口飲んで口の中を潤す。美味しい。なんだろ?お茶の銘柄に詳しくないからよく分からないんだけど、フルーティーな香りが鼻を駆け抜けていくんだけど。

「それで父上、クラーケン退治のお手伝いは何をしたら良いのでしょう?」

「うむ。クラーケンは活きの良い人間もしくは魔力を多量に含んだ物を捕食するのだが、こちらの領民達には無理をさせるわけにもいかず、活きが良く、魔力も高い儂が餌兼狩人として頑張ったんだが…」

「上手くいかなかったと」

「む」

「ではミゲランヘル殿をクラーケンを討つ者として誰が餌役をするかですね…」

 スヴェンさんがすかさず結論を言い、それに悔しそうに返答するミゲランヘルさん。

 カイルさんが役割分担の配置を考えだした。活きが良いって言ったらファンティーヌさんだけど、彼女は番持ちだからあまり無理はさせたくないし、無論他の面々にも危険を犯して欲しくない。

 だとすると私が出たら良いんだよね。幸い私の魔力量はこの中で高いのだから喜んで食いつくだろう。でも、食いつかれたとして私はどうやって逃げるべきか。そこが問題だ。

 ノアさんみたいにドラゴンの姿をとれれば簡単なんだけどな、と思ってチラッとノアさんの様子を見てみるとまだ、もきゅもきゅしてた。どんだけ噛むのかな?

「では俺が」

 手を挙げたのはエレンさんだった。いやいやいや、貴方は番持ちな上に王族でしょうが!

 ファンティーヌさんの愛竜クロかノアさんにやはり飛んでもらうしかないか?

 でも物は試しと言うからこう、ノアさんがドラゴンになるようにとイメージしながらうんうん唸る。

「やはり儂がどちらも遣るべきだろう。ファンティーヌ達には補助を頼むとしよう」

 イメージ、イメージ。出来れば顔とか手足じゃなくて翔ぶ為の翼。I can flyなのだ。

 すると私の中の魔力が活発に動きだし、体を循環するように巡る。巡った魔力は私のイメージ通りに肩甲骨へ、肩甲骨から伸びる翼をイメージする。

「いつもはどうしてるんすか?船を出すとか、もしかくはそのまま素潜りっすか?」

 何年経ってもスヴェンさんの敬語は完成しないんだね。もう、諦めたら良いのに。

 そう心の中だけで呟き、頭だけは今だにイメージに基づき魔力を巡らす。

 メキメキっと音がしたような気がするけど、なんの音だろうか。木が倒れる音かとも思ったけど綺麗に整えた庭園でそれは有り得ない。気のせいだと気持ちを切り替えて一人集中し、唸る。
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