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婚約破棄編
Ⅴ
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「は?ルート?攻略?」
ライラのこの発言に眠たげだったジョナサンも流石に困惑気味だ。自分だけが理解していないのかと他の面々を見回すが、同じ様な表情に自分だけではなかったと心中で安堵する。
「第一王子ロイト、宰相公爵家子息ジルベルト、王国第一騎士団団長子息ケネス、王国魔術師団団長子息ジョナサンを攻略してハーレムエンドにしないと隠しキャラのレナードが出てこないから仕方なく攻略してやったのよ!!」
「ハーレムエンド?」
喚き続けるライラをレナードが小首を傾げて訝しんでいる。聞き慣れない言葉にどう解釈していいのか分からないと本気で思っているレナード。
「隠しキャラ?」
ケネスもポツリと呟くがロイトもジルベルトもジョナサンもライラの不思議な言葉に呆けている。
「なんか…大丈夫かい?ライラ嬢、気でも狂れたのかい?」
レナードもついていけていないが他の四人よりは冷静だった。少し心配そうに問い掛けるレナードだったが、ライラの勢いは止まらない。止まらない処か加速していく。
「いいえ。私は正気よ!!天使のような美貌のレナードしか美少女である私の横には相応しくないの!お金持ちだし、穏やかな性格も男性にしては細い身体も優雅な仕草も全てが最高で最強に私の好みなのよ!!!」
「はぁ……」
幼い頃から他国に留学していたのか王弟レナードという名前は最近になってよく聞くようになった。そんな彼は天使の美貌と穏やかな性格でたちまち国民に受け入れられ、愛されるようになった。
そして彼は独自の財源を持つ実業家でもあった。他国での留学経験とコネを生かした事業は多岐に渡るが、そのどれもが成功している。国内でも有数の資産家となり、他国にも様々な事業を起こし、忙しく世界を飛び回っている。
地位、名誉、資産、美貌と兼ね備える彼を独身女性や未亡人、娘の嫁ぎ先を決め倦ねていた親達が放っておくわけがない。日々、縁談が後を絶たないが彼自身は女性に興味がないのか、全て縁談を断っている。
興奮気味に捲し立てるライラに気圧されて気の抜けた返事しか出来ないレナード。
「好きでもないジルベルトと婚約したのは愛しのレナードと結ばれる為なの!!」
「!」
何かを耐えるように唇を噛み、俯くジルベルト。元々、ライラとの婚約話は断っていたがライラの父親であるロナルド・カルマ男爵が強引に捩じ込んできた事だ。何度も何度もしつこく迫られ、それでも断っていると外堀から埋められ、あるはずのない既成事実を盾にごり押しされ、渋々頷く事になった。
嫌々ではあったが婚約を申し込んだ時に『嬉しいわ』、『大好きよ』と言っていたライラ。今だから分かる。あの時点でレナードと結婚する為に自分を踏み台にする気だったのだと。情けなくもジルベルトの瞳に涙の膜ができている。瞬き一つでそれは瞳から零れ落ちてしまいそうだ。
「ジルベルト、怒って良いんだよ?」
気遣わしげにレナードがジルベルトの顔を見やる。その様子に何故、この方はここまで自分に優しくしてくれるのだろうかと考えたが、もしかしたら自分には考えも及ばない何かがあるのではと勘繰ってしまった。その思考に愚かだなと自嘲する。
「いえ、僕が腑甲斐無いばかりに…騙されているのも気付けなかったんです」
「君は優しいね。優しいが、愚かだ」
辛辣な言葉でも声色は何処までも優しくレナードの声はとても心地いい。
「……はい」
いつまでも聞いていたいと思う自分がいるが、そんな事が叶う訳もなく、心の中で諦めにも似た溜め息でつく。
「私がこんなに愛しているのに。他の女と婚約してしまうなんて」
「……………はい?」
ライラのこの発言に眠たげだったジョナサンも流石に困惑気味だ。自分だけが理解していないのかと他の面々を見回すが、同じ様な表情に自分だけではなかったと心中で安堵する。
「第一王子ロイト、宰相公爵家子息ジルベルト、王国第一騎士団団長子息ケネス、王国魔術師団団長子息ジョナサンを攻略してハーレムエンドにしないと隠しキャラのレナードが出てこないから仕方なく攻略してやったのよ!!」
「ハーレムエンド?」
喚き続けるライラをレナードが小首を傾げて訝しんでいる。聞き慣れない言葉にどう解釈していいのか分からないと本気で思っているレナード。
「隠しキャラ?」
ケネスもポツリと呟くがロイトもジルベルトもジョナサンもライラの不思議な言葉に呆けている。
「なんか…大丈夫かい?ライラ嬢、気でも狂れたのかい?」
レナードもついていけていないが他の四人よりは冷静だった。少し心配そうに問い掛けるレナードだったが、ライラの勢いは止まらない。止まらない処か加速していく。
「いいえ。私は正気よ!!天使のような美貌のレナードしか美少女である私の横には相応しくないの!お金持ちだし、穏やかな性格も男性にしては細い身体も優雅な仕草も全てが最高で最強に私の好みなのよ!!!」
「はぁ……」
幼い頃から他国に留学していたのか王弟レナードという名前は最近になってよく聞くようになった。そんな彼は天使の美貌と穏やかな性格でたちまち国民に受け入れられ、愛されるようになった。
そして彼は独自の財源を持つ実業家でもあった。他国での留学経験とコネを生かした事業は多岐に渡るが、そのどれもが成功している。国内でも有数の資産家となり、他国にも様々な事業を起こし、忙しく世界を飛び回っている。
地位、名誉、資産、美貌と兼ね備える彼を独身女性や未亡人、娘の嫁ぎ先を決め倦ねていた親達が放っておくわけがない。日々、縁談が後を絶たないが彼自身は女性に興味がないのか、全て縁談を断っている。
興奮気味に捲し立てるライラに気圧されて気の抜けた返事しか出来ないレナード。
「好きでもないジルベルトと婚約したのは愛しのレナードと結ばれる為なの!!」
「!」
何かを耐えるように唇を噛み、俯くジルベルト。元々、ライラとの婚約話は断っていたがライラの父親であるロナルド・カルマ男爵が強引に捩じ込んできた事だ。何度も何度もしつこく迫られ、それでも断っていると外堀から埋められ、あるはずのない既成事実を盾にごり押しされ、渋々頷く事になった。
嫌々ではあったが婚約を申し込んだ時に『嬉しいわ』、『大好きよ』と言っていたライラ。今だから分かる。あの時点でレナードと結婚する為に自分を踏み台にする気だったのだと。情けなくもジルベルトの瞳に涙の膜ができている。瞬き一つでそれは瞳から零れ落ちてしまいそうだ。
「ジルベルト、怒って良いんだよ?」
気遣わしげにレナードがジルベルトの顔を見やる。その様子に何故、この方はここまで自分に優しくしてくれるのだろうかと考えたが、もしかしたら自分には考えも及ばない何かがあるのではと勘繰ってしまった。その思考に愚かだなと自嘲する。
「いえ、僕が腑甲斐無いばかりに…騙されているのも気付けなかったんです」
「君は優しいね。優しいが、愚かだ」
辛辣な言葉でも声色は何処までも優しくレナードの声はとても心地いい。
「……はい」
いつまでも聞いていたいと思う自分がいるが、そんな事が叶う訳もなく、心の中で諦めにも似た溜め息でつく。
「私がこんなに愛しているのに。他の女と婚約してしまうなんて」
「……………はい?」
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