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婚約破棄編
Ⅸ
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「言い逃れしようにも先程の大勢の紳士淑女が、君の発言を聞いているからね」
ロイト達は嫌がらせの全てがライラによるものだと、やっと信じ、自分達が間違っていたのだと項垂れた。レナードは三人の様子にニッコリ笑うと青い顔のライラに近づき、
ザクッ
ライラの美しいハニーブロンドの髪を持っていたナイフで切ってしまった。
「なっ!」
驚いたライラは、腕を持ち上げ、無くなった髪を探すよう動かす。
「何するの!!女性の髪を切るなんて!!」
「………」
無言で今度はライラの服を切り裂いた。服を切り裂かれたライラの瞳は見開かれるがレナードは、なんの表情も浮かべていない。一同には、それがかえって恐ろしく写る。
「これから君には最果ての修道院に行ってもらう。その無駄に長い髪やドレスなど無意味だよ」
「嫌よ!!そこってゲームだと、入ったら一生出られないし、戒律がとても厳しい所じゃない」
ざんばら髪を振り乱し、ライラは語調を強くする。修道院などに行きたくないライラは必死だ。
「そうだよ。虚言癖もあるし、酷い事をした君には相応しいだろう?」
「キョゲン?」
「虚言だよ。それから……」
ロイトの方に一足飛びで肉薄すると、強化魔法を手に纏り付かせると彼の腹部におもいっきり拳を叩き込む。その一撃で肋骨が折れ、内臓が破裂したのをレナードは拳で感じた。
「ぐぶっ」
殴られたロイトは血飛沫を撒き散らしながら後方へと吹き飛ぶと壁に減り込んだ。拳を突き出した状態から構えを解くと
「後、三回かな?」
にっこりと笑っているのに背筋には寒気が走るのを感じたケネス、ジョナサン、ライラの三人は真っ青な顔で動く事ができなかった。と言ってもケネスとジョナサンは動きたくても動けない状態だ。
「!」
「!」
「!!」
続けて三人の腹にロイト同様に拳を叩き込んだレナードは、それはそれは清々しい笑顔になった。
「えげつないな」
まさかここまでするとは思っていなかったグレンは呆れ半分で笑っている。
「そうかい?本当だったら三人には去勢してもらっても良かったんだよ?」
いつもの様に笑っている筈のレナードの瞳は、一切笑っていなかった。
「ウワァ、ナンテ、ヤサシインダ」
グレンは疲れたような笑顔で頷き、去勢という言葉で男性勢がキュッと内股になった。それをレナードは面白そうに見て、ジルベルトへと歩み寄った。
「今まで悔しかったよね。愚兄だけど王族だものね。でも、大丈夫だよ。今度は私が幸せにしてあげるからね」
そう言って、レナードはジルベルトの両手を取った。
「それは、ジルベルトが言う言葉ですよ!」
すかさずナルサスがツッコむ。それにレナードは笑顔で応え、ジルベルトは訝しげに疑問を口にする。
「え?あの…でもレナード様って…」
「レナードは私の弟では無いぞ。男ですらないがね」
やれやれといった風情でグレンが疑問に応えてくれた。
「え?」
ジルベルトのこてりと首を傾げる仕草にレナードは、可愛いなと思いながら、そんな彼の両手に自分の手を絡めて微笑んだ。
「私はヴァレンティーナ。女なんだよ、ジルベルト。グレン王のもう一人の子供だよ」
「今まで隠していたんだがね。どうしてもジルベルトと一緒になりたいと懇願されてね。それにロイトは、もう駄目だからね」
壁に減り込み白目で泡を吹いている四人に視線を向ける。懸命に近衛騎士達が助け出そうとしているが、かなり難航しているようだ。ロイトとジョナサンとケネスには強めの拳を叩き込み、ライラには、撫でる程度に加減はしていた。
ロイト達は嫌がらせの全てがライラによるものだと、やっと信じ、自分達が間違っていたのだと項垂れた。レナードは三人の様子にニッコリ笑うと青い顔のライラに近づき、
ザクッ
ライラの美しいハニーブロンドの髪を持っていたナイフで切ってしまった。
「なっ!」
驚いたライラは、腕を持ち上げ、無くなった髪を探すよう動かす。
「何するの!!女性の髪を切るなんて!!」
「………」
無言で今度はライラの服を切り裂いた。服を切り裂かれたライラの瞳は見開かれるがレナードは、なんの表情も浮かべていない。一同には、それがかえって恐ろしく写る。
「これから君には最果ての修道院に行ってもらう。その無駄に長い髪やドレスなど無意味だよ」
「嫌よ!!そこってゲームだと、入ったら一生出られないし、戒律がとても厳しい所じゃない」
ざんばら髪を振り乱し、ライラは語調を強くする。修道院などに行きたくないライラは必死だ。
「そうだよ。虚言癖もあるし、酷い事をした君には相応しいだろう?」
「キョゲン?」
「虚言だよ。それから……」
ロイトの方に一足飛びで肉薄すると、強化魔法を手に纏り付かせると彼の腹部におもいっきり拳を叩き込む。その一撃で肋骨が折れ、内臓が破裂したのをレナードは拳で感じた。
「ぐぶっ」
殴られたロイトは血飛沫を撒き散らしながら後方へと吹き飛ぶと壁に減り込んだ。拳を突き出した状態から構えを解くと
「後、三回かな?」
にっこりと笑っているのに背筋には寒気が走るのを感じたケネス、ジョナサン、ライラの三人は真っ青な顔で動く事ができなかった。と言ってもケネスとジョナサンは動きたくても動けない状態だ。
「!」
「!」
「!!」
続けて三人の腹にロイト同様に拳を叩き込んだレナードは、それはそれは清々しい笑顔になった。
「えげつないな」
まさかここまでするとは思っていなかったグレンは呆れ半分で笑っている。
「そうかい?本当だったら三人には去勢してもらっても良かったんだよ?」
いつもの様に笑っている筈のレナードの瞳は、一切笑っていなかった。
「ウワァ、ナンテ、ヤサシインダ」
グレンは疲れたような笑顔で頷き、去勢という言葉で男性勢がキュッと内股になった。それをレナードは面白そうに見て、ジルベルトへと歩み寄った。
「今まで悔しかったよね。愚兄だけど王族だものね。でも、大丈夫だよ。今度は私が幸せにしてあげるからね」
そう言って、レナードはジルベルトの両手を取った。
「それは、ジルベルトが言う言葉ですよ!」
すかさずナルサスがツッコむ。それにレナードは笑顔で応え、ジルベルトは訝しげに疑問を口にする。
「え?あの…でもレナード様って…」
「レナードは私の弟では無いぞ。男ですらないがね」
やれやれといった風情でグレンが疑問に応えてくれた。
「え?」
ジルベルトのこてりと首を傾げる仕草にレナードは、可愛いなと思いながら、そんな彼の両手に自分の手を絡めて微笑んだ。
「私はヴァレンティーナ。女なんだよ、ジルベルト。グレン王のもう一人の子供だよ」
「今まで隠していたんだがね。どうしてもジルベルトと一緒になりたいと懇願されてね。それにロイトは、もう駄目だからね」
壁に減り込み白目で泡を吹いている四人に視線を向ける。懸命に近衛騎士達が助け出そうとしているが、かなり難航しているようだ。ロイトとジョナサンとケネスには強めの拳を叩き込み、ライラには、撫でる程度に加減はしていた。
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