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婚約破棄編
Ⅹ
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「どうせ、後で治癒術師を呼ぶんでしょ?放っておいて良いんじゃ無いですか」
ナルサスが不機嫌そうに言い放ち、これからどうやって彼等からジルベルトに対しての謝罪の言葉を引き出す事と慰謝料請求を考え始めた。
「そうだ。ジルベルト」
思い付いた、といった風にジルベルトへ言葉を掛け、自分の方へと向かせる。
「はい、何ですか?ヴァレンティーナ様?」
「ティーナで良いよ。寧ろティーナと呼んでくれて構わないよ。それでね?傷痕を無くしたくないかい?」
「そうですね。誰にも見られたくないですし…」
ある程度の治癒魔法であれば、傷痕も残らずに治す事もできるが、それは完治する前でなくてはならない。完治した後にどれだけ治癒魔法をかけても傷痕が薄くなる程度しか作用しない。
「では、私が治してあげよう」
ニッコリと笑うレナード、改めヴァレンティーナはやっと愛しいジルベルトが手に入ったとよく笑う。
「ヴァレンティーナ様…」
「んん?」
ニコニコと笑顔で凄むヴァレンティーナに、彼女から一歩下がったジルベルトは、
「ヴァレ…」
「…」
笑顔で無言のヴァレンティーナと泣きそうなジルベルト。多分、勝てないのだろうとそれ以上は名前を呼ぶのは止めた。
「できるんですか?」
「ヴァレンティーナは最高クラスの治癒術師だよ。部分欠損さえも癒すよ。傷痕を無くすなんて昼飯前だよ。まぁ、属性攻撃魔法も最高クラスだけどね」
事も無げに言うグレン。それにナルサスは不思議そうに問う。
「なんで昼飯なんですか?」
「え?まだだから?」
途端、グレンのお腹から「クキュッ」と可愛らしい音が鳴った。
「そうですね。そろそろ執務に戻らなくては、いけないですね。城に帰りましょう。お昼抜きで馬車馬の如く働いて下さい」
「え?なんでお昼抜きなの?」
「こんなに長く城抜け出した分の帳尻を合わせるには無駄を省かないといけないでしょう?」
「私のお昼は無駄かな!!!?」
「え?無駄じゃないですか?」
「ねぇ!!知ってる!!!人ってご飯食べないと死んじゃうんだよ!!!」
「一食抜いた位では人は死にませんよ…ああ、睡眠も削りましょう」
「ねぇ!!知ってる!!!人って眠らないと死んじゃうんだよ!!!」
「一日眠らない位では人は死にませんよ」
「私、この国の王様なんだよ!?覚えてるかな!?なんか、扱い酷くないかな!!?」
「え?………帰りますよ」
「え?って、何?え?って!!」
「はいはい」
「雑っ!!!!」
ギャアギャア騒ぎながらナルサスはグレンを羽交い締めにして引き摺りながら帰ってしまった。壁減り込み息子をそのままに。
ナルサスが不機嫌そうに言い放ち、これからどうやって彼等からジルベルトに対しての謝罪の言葉を引き出す事と慰謝料請求を考え始めた。
「そうだ。ジルベルト」
思い付いた、といった風にジルベルトへ言葉を掛け、自分の方へと向かせる。
「はい、何ですか?ヴァレンティーナ様?」
「ティーナで良いよ。寧ろティーナと呼んでくれて構わないよ。それでね?傷痕を無くしたくないかい?」
「そうですね。誰にも見られたくないですし…」
ある程度の治癒魔法であれば、傷痕も残らずに治す事もできるが、それは完治する前でなくてはならない。完治した後にどれだけ治癒魔法をかけても傷痕が薄くなる程度しか作用しない。
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笑顔で無言のヴァレンティーナと泣きそうなジルベルト。多分、勝てないのだろうとそれ以上は名前を呼ぶのは止めた。
「できるんですか?」
「ヴァレンティーナは最高クラスの治癒術師だよ。部分欠損さえも癒すよ。傷痕を無くすなんて昼飯前だよ。まぁ、属性攻撃魔法も最高クラスだけどね」
事も無げに言うグレン。それにナルサスは不思議そうに問う。
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「え?まだだから?」
途端、グレンのお腹から「クキュッ」と可愛らしい音が鳴った。
「そうですね。そろそろ執務に戻らなくては、いけないですね。城に帰りましょう。お昼抜きで馬車馬の如く働いて下さい」
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「私のお昼は無駄かな!!!?」
「え?無駄じゃないですか?」
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「一日眠らない位では人は死にませんよ」
「私、この国の王様なんだよ!?覚えてるかな!?なんか、扱い酷くないかな!!?」
「え?………帰りますよ」
「え?って、何?え?って!!」
「はいはい」
「雑っ!!!!」
ギャアギャア騒ぎながらナルサスはグレンを羽交い締めにして引き摺りながら帰ってしまった。壁減り込み息子をそのままに。
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