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婚約者編
ⅩⅩⅡ
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「……陛下、何してるんですか?」
「え?見て分からないかな?」
ナルサスは、執務室にいないグレンを探し回った。壺の中や机の下、天井の裏も探した。廊下に敷かれているカーペットを捲った時に侍女から厨房の方へ向かうグレンを目撃したと言うので厨房へ行くと、グレンが暴れていた。
「分からないから聞いてるんですが…」
「そうかい?今、私はクッキーを作っているんだよ」
「………そうなんですか?でも、私の記憶ですとクッキーに魚は入っていなかったと思うのですが」
「カルシウムが取れて良いだろう?」
「では、スッポンは?」
「コラーゲンの元だ。最近、妻が皺を気にしているらしい」
「お優しい事で」
「そうだろう」
「では…その……缶詰………シュールストレミングは?」
「ハズレだ」
「なんで、クッキーに当たりとハズレがあるんだよ!王妃、匂いで失神するぞ!!」
「ドキドキするだろう?」
「そんなドキドキいらんわ!!」
「私とナルシスと王妃……ふふふ、誰に当たるかな?」
「そんなロシアンルーレット嫌だ!!」
「死なばもろとも」
「誰が死ぬもんか!!」
悪い顔でクッキー生地を捏ねるグレン。ナルサスは胃薬を用意すべきなのか、爆弾処理班と言う名の犠牲者を用意するべきなのか迷っていた。
「しかし、何故クッキーなんて作る気になったんですか?」
「ん?ヴァレンティーナから君の息子がクッキーを作ってくれたと嬉しそうに話していてね」
「ジルベルトはお菓子作りと刺繍が得意なんですよ。自慢の息子です」
「そこは娘じゃないんだね」
「陛下、先程から気になっていたんですが…良いですか?」
「何かな?」
「その格好はなんですか?」
「割烹着と三角巾の事かな?」
そう、グレンは割烹着と三角巾を着けた格好で厨房に立っていた。嬉しそうに割烹着の端を持ち上げている。
「どこから、そんなもの」
「本で見つけてね。なんでも、調理する時の戦闘服だとか。ジルベルト君が作ってくれたよ」
満面の笑顔のグレンは作業に戻った。額を押さえるナルサスは、先行きが不安になっていた。
「違う気がする」
「さて、焼くか」
鼻唄を歌いながら、オーブンの中へと型付されたクッキー生地を入れる。
「やっとですか?」
「さて?何℃位なのかな?」
グレンは首を傾げる。ナルサスは、遠くを見て半笑いしている。
「ん~、適当にやっちゃえ」
魔法で、オーブン内の温度を一気に上げていく。すると、
ボンッ!!
と、音を立てて、オーブンが壊れた。
「ちょっ!!」
「失敗した」
「え?見て分からないかな?」
ナルサスは、執務室にいないグレンを探し回った。壺の中や机の下、天井の裏も探した。廊下に敷かれているカーペットを捲った時に侍女から厨房の方へ向かうグレンを目撃したと言うので厨房へ行くと、グレンが暴れていた。
「分からないから聞いてるんですが…」
「そうかい?今、私はクッキーを作っているんだよ」
「………そうなんですか?でも、私の記憶ですとクッキーに魚は入っていなかったと思うのですが」
「カルシウムが取れて良いだろう?」
「では、スッポンは?」
「コラーゲンの元だ。最近、妻が皺を気にしているらしい」
「お優しい事で」
「そうだろう」
「では…その……缶詰………シュールストレミングは?」
「ハズレだ」
「なんで、クッキーに当たりとハズレがあるんだよ!王妃、匂いで失神するぞ!!」
「ドキドキするだろう?」
「そんなドキドキいらんわ!!」
「私とナルシスと王妃……ふふふ、誰に当たるかな?」
「そんなロシアンルーレット嫌だ!!」
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「誰が死ぬもんか!!」
悪い顔でクッキー生地を捏ねるグレン。ナルサスは胃薬を用意すべきなのか、爆弾処理班と言う名の犠牲者を用意するべきなのか迷っていた。
「しかし、何故クッキーなんて作る気になったんですか?」
「ん?ヴァレンティーナから君の息子がクッキーを作ってくれたと嬉しそうに話していてね」
「ジルベルトはお菓子作りと刺繍が得意なんですよ。自慢の息子です」
「そこは娘じゃないんだね」
「陛下、先程から気になっていたんですが…良いですか?」
「何かな?」
「その格好はなんですか?」
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そう、グレンは割烹着と三角巾を着けた格好で厨房に立っていた。嬉しそうに割烹着の端を持ち上げている。
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鼻唄を歌いながら、オーブンの中へと型付されたクッキー生地を入れる。
「やっとですか?」
「さて?何℃位なのかな?」
グレンは首を傾げる。ナルサスは、遠くを見て半笑いしている。
「ん~、適当にやっちゃえ」
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ボンッ!!
と、音を立てて、オーブンが壊れた。
「ちょっ!!」
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