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★想定外
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それからは生田さんの気が向いた時に、連絡を貰って部屋へ通うようになった。
頻度は月に二回。そのうち一回は必ず月始めに呼ばれる。
なんでだろう、とずっと気になっていたけど、もしかしたら、その辺りが給料日なのかもしれなかった。
雇用契約を結んでから実際部屋へ足を運んだのは五回だ。生田さんは、いつも俺が許容出来るギリギリの範囲で、いやらしいことを頼んでくる。
太ももに射精させろとか、パンツの匂いを嗅がせろとか、指を舐めろとか、毎回毎回「うーん」とちょっと反応に困ってしまうようなことを要求される。
最終的にはお金が欲しいのと、顔射やフェラよりはマシかあ……と思って、一応オーケーしてしまう。
まだ、手でしてあげたことは三回しかない。
しかも、最初の一回目は力が弱くて物足りなかったのか、性器を握る俺の手の上から生田さんが自らの手を重ねてきて、ゴシゴシと上下に激しく動かされた。
自分についてるものと同じはずなのに、すごく熱くて固いように感じられた。
「……自分、以外の、触ったことある?」
「ないです……」
絶対絶対、いくら土下座されたってセックスだけは駄目だと、生田さんの性器を眺めながら改めてそう感じていた。
こんなの受け入れたら俺の身体は壊れてしまう、怖い……だから手で満足して貰わないと、と必死で扱いた。
終わった後、怖いくらい真剣な顔で「鈴井さん、覚えた?」と生田さんから聞かれて、内心震え上がった。
「一回教えたことは、もう教えないよ」とでも言いたげな伝統工芸品のベテラン職人みたいに鋭い顔つきをしていたから、「覚えました」とその場しのぎの嘘をつくか迷ったけど、正直に謝った。
「ご、ごめんなさい……。初めてだったから、何がなんだか分からなくて、あの、覚えられませんでした。
次はちゃんと覚えるから、もう一回教えてください……」
「……そっか。仕方ないな……。じゃあ、もう一回」
「えっ!……わあっ!えっ、今?!ええーっ……」
……ということもあった。手取り足取り一から十まで教えられた。
もちろん帰ってからルーズリーフに書き留めた。誰にも見せないとは言えこんないやらしいことを書いていいんだろうか、と迷いながらも頑張って書いた。書き終える頃には「ふうっ」とため息が出たし、顔も熱かった。
その後、自分でも気持ちがいい手コキの方法について調べまくったし、生田さんに会う予定の数日前からはオナニーも禁止している。多少ムラムラしていた方が反応はよくなる気もするし、「俺は何をやってるんだろう……」と冷ややかになる瞬間が減る。
「俺も早くイキたい」という精神状態でいた方が、ずっと楽だった。
生田さんの反応も一生懸命観察するようにしている。「気持ち悪い」「最低」と言われた時はにやっと笑って喜ぶ。
「豚野郎」は全然喜ばれなかった。たぶん、「ジジイ」とか「ブサイク」とかも喜ばないような気がする。
生田さんは、自分の起こしたアクションに対して嫌がられるのは嬉しいけど、見た目や年齢と言った変えようのないことを罵倒されるのはフツーに嫌だと感じるようだった。もちろん、会うたびに生田さんがどんなリアクションをしたかもちゃんと家に帰ってからメモしている。
お金や食べ物を貰う時に、俺が「ありがとうございます」と言った時や、「これ大好きなんです!嬉しいー」と喜んだときは、いつも真顔で固まっている。
真顔の時はどんな心境なのかまだ分からない。生田さんの気持ちを探ろうとじっと観察していると、恥ずかしいのかコソコソいなくなってしまう時もある。
それでも、最初に比べたら生田さんが喜ぶことや嫌がることについて、知っていることが増えてきた。おかげで生田さんの満足度はいつも高いから、バイト代も順調に貯まりつつある。
早くも俺はこの仕事を極めつつあるかも……と調子に乗っていた時のことだった。
「……鈴井さん、そのまま、続けて。こっちは見ないで」
「……わかりました」
生田さんにそう返事はしたけど、頭の中は混乱していた。二人で並んでソファーに座っていて、俺はスマホでゲームをしている最中だ。
生田さんは「続けて」と言ってるけど、さっきから全く集中出来ていない。
……なぜかというと、生田さんが俺の側で、勝手にオナニーを始めたからだ。
その日、出迎えてくれた生田さんは「適当に休んでてくれる?勤務時間に含めてていいから」と言って何やら忙しそうに電話をかけていた。
振動とか、テストとか、納品といった言葉が部屋のドア越しに時おり聞こえてきて、仕事の話をしているのは明らかだった。
俺が「大好き」と一度言ったから生田さんによって大量に買いだめされているアルフォートを食べながら、スマホでゲームをして適当に時間を潰していた。
こういう、オヤツが常時あるところとか、何かこの部屋は実家みたいだよなー……と思っていると、生田さんが戻ってきて俺の側に座った。
「あっ、すみません。すぐやめます」俺がそう言うと、「ゲーム?いいよ、キリのいいところまでしても。……ゲームしてるところが見たいから」という返事が返ってきた。
そうなんだ、ゲームが好きなのかな?と思いながら、言われたとおりに続けた。
「あと、一分半で終わります」
「えっ?そんなに短いの?もっと続けてよ」
「……わかりました」
えっ?どういうこと?早くエッチなことしたくないのかな?と疑問に感じつつも、生田さんから止めるように言われるまでは普通にゲームで遊び続けた。
じっと見られている気はしていたけど、特に気にならなかった。
もう10分くらい経ったかも、と思い生田さんの様子をうかがった時だった。
「えっ……」
……なぜか、勝手に一人で始めていた。パンツのファスナーを下ろして、ほんの少し下着をずり下げた状態で、自分の性器を擦っていた。
「えっ?えっ!なんで?」
「……鈴井さん」
続けて、そう言われても、勃起した生田さんの性器が目に焼き付いて離れないし、側でオナニーされてるのに、気にせずにいられるわけが無かった。
「あ、あの……」
「は、鈴井さん、動揺してる……?かわいいね……はあ…」
吐息混じりにそんなことを言われて、状況が理解できないうえに気持ち悪いしで、本気で困惑した。
どうしたって、視界の隅に生田さんの姿が映る。「鈴井さん、さっきから、ゲーム、全然集中出来てないよね?」と言う、生田さんの声が、ねっとりと耳にまとわりいてくる。
耳に熱い吐息がかかって、生田さんのために禁欲中だった身体が、ピク、と反応する。
「この状況はどう行動するのが正解なんだろう?」と困っている意思とは関係なく、「早く」と身体が疼き始めた。
モゾモゾと足を動かしてなんとかやり過ごす。……本当にゲームどころじゃなかった。
オナニーを見せて喜ぶはずなのに、どうして今日は「見ないで」と言うんだろう?どうして、今日は俺の身体に触ったり裸を見たりしないんだろう?と俺が頭の中にクエスチョンマークをいっぱい浮かべている間に、生田さんはフィニッシュを迎えてしまった。
「……あの、今のはいったい……」
困惑している俺を見て、生田さんはニコッと笑った。
「……鈴井さん、最近ずいぶん手慣れてきたみたいだから。ちょっと久しぶりにビックリしてるところが見たくて」
「へ……」
「最近は「俺にも同じものがついてるし、割り切ってどこでも触ろう」とかたぶん考えてるよね?わかるよ」
まあ、それはそれで嬉しいけどね、と言いながら生田さんはティッシュを丸めている。
「あの、どうしてわかったんですか?俺の……心境の変化みたいなこと……」
「勘だよ」とか適当なことを言ってから、笑って受け流して欲しかった。
「……分かるよ。俺も鈴井さんを見ているから」
俺の心の内側を探るような目付きでそう言われて、全身がゾワッ、として一気に鳥肌が立った。
単に考えていることがバレていたことだけじゃなく、俺が生田さんの様子をずうっと観察していたことが気付かれているということが、なんだか恐ろしく感じられた。
生田さんがグッと顔を近付けてきて、反射的に目を瞑る。なぜ、そうしたのか、自分ではよく分かっていた。
ぎゅっと固く閉じた口元には何もやって来なくて、「……ビックリした?ごめん」と囁くように言われただけだった。
「あ……」
目を開けると生田さんは手でも洗いに行くのか、立ち上がっているところだった。
……俺は、今、何を考えていたんだろう。キスされる、と思って口を閉じた……そう思った瞬間にボッと顔に熱が集まった。
もしかしたら、今日はエッチなことしないのかな、と思っていることも気付かれているのかもしれない。俺が禁欲のせいで欲情してることも気付かれているのかもしれない……「バレたくない」と思うことはいくつもあった。
そのせいか、今日は何にもされていないのに、裸にされるよりも、羞恥に堪えられそうになかった。
頻度は月に二回。そのうち一回は必ず月始めに呼ばれる。
なんでだろう、とずっと気になっていたけど、もしかしたら、その辺りが給料日なのかもしれなかった。
雇用契約を結んでから実際部屋へ足を運んだのは五回だ。生田さんは、いつも俺が許容出来るギリギリの範囲で、いやらしいことを頼んでくる。
太ももに射精させろとか、パンツの匂いを嗅がせろとか、指を舐めろとか、毎回毎回「うーん」とちょっと反応に困ってしまうようなことを要求される。
最終的にはお金が欲しいのと、顔射やフェラよりはマシかあ……と思って、一応オーケーしてしまう。
まだ、手でしてあげたことは三回しかない。
しかも、最初の一回目は力が弱くて物足りなかったのか、性器を握る俺の手の上から生田さんが自らの手を重ねてきて、ゴシゴシと上下に激しく動かされた。
自分についてるものと同じはずなのに、すごく熱くて固いように感じられた。
「……自分、以外の、触ったことある?」
「ないです……」
絶対絶対、いくら土下座されたってセックスだけは駄目だと、生田さんの性器を眺めながら改めてそう感じていた。
こんなの受け入れたら俺の身体は壊れてしまう、怖い……だから手で満足して貰わないと、と必死で扱いた。
終わった後、怖いくらい真剣な顔で「鈴井さん、覚えた?」と生田さんから聞かれて、内心震え上がった。
「一回教えたことは、もう教えないよ」とでも言いたげな伝統工芸品のベテラン職人みたいに鋭い顔つきをしていたから、「覚えました」とその場しのぎの嘘をつくか迷ったけど、正直に謝った。
「ご、ごめんなさい……。初めてだったから、何がなんだか分からなくて、あの、覚えられませんでした。
次はちゃんと覚えるから、もう一回教えてください……」
「……そっか。仕方ないな……。じゃあ、もう一回」
「えっ!……わあっ!えっ、今?!ええーっ……」
……ということもあった。手取り足取り一から十まで教えられた。
もちろん帰ってからルーズリーフに書き留めた。誰にも見せないとは言えこんないやらしいことを書いていいんだろうか、と迷いながらも頑張って書いた。書き終える頃には「ふうっ」とため息が出たし、顔も熱かった。
その後、自分でも気持ちがいい手コキの方法について調べまくったし、生田さんに会う予定の数日前からはオナニーも禁止している。多少ムラムラしていた方が反応はよくなる気もするし、「俺は何をやってるんだろう……」と冷ややかになる瞬間が減る。
「俺も早くイキたい」という精神状態でいた方が、ずっと楽だった。
生田さんの反応も一生懸命観察するようにしている。「気持ち悪い」「最低」と言われた時はにやっと笑って喜ぶ。
「豚野郎」は全然喜ばれなかった。たぶん、「ジジイ」とか「ブサイク」とかも喜ばないような気がする。
生田さんは、自分の起こしたアクションに対して嫌がられるのは嬉しいけど、見た目や年齢と言った変えようのないことを罵倒されるのはフツーに嫌だと感じるようだった。もちろん、会うたびに生田さんがどんなリアクションをしたかもちゃんと家に帰ってからメモしている。
お金や食べ物を貰う時に、俺が「ありがとうございます」と言った時や、「これ大好きなんです!嬉しいー」と喜んだときは、いつも真顔で固まっている。
真顔の時はどんな心境なのかまだ分からない。生田さんの気持ちを探ろうとじっと観察していると、恥ずかしいのかコソコソいなくなってしまう時もある。
それでも、最初に比べたら生田さんが喜ぶことや嫌がることについて、知っていることが増えてきた。おかげで生田さんの満足度はいつも高いから、バイト代も順調に貯まりつつある。
早くも俺はこの仕事を極めつつあるかも……と調子に乗っていた時のことだった。
「……鈴井さん、そのまま、続けて。こっちは見ないで」
「……わかりました」
生田さんにそう返事はしたけど、頭の中は混乱していた。二人で並んでソファーに座っていて、俺はスマホでゲームをしている最中だ。
生田さんは「続けて」と言ってるけど、さっきから全く集中出来ていない。
……なぜかというと、生田さんが俺の側で、勝手にオナニーを始めたからだ。
その日、出迎えてくれた生田さんは「適当に休んでてくれる?勤務時間に含めてていいから」と言って何やら忙しそうに電話をかけていた。
振動とか、テストとか、納品といった言葉が部屋のドア越しに時おり聞こえてきて、仕事の話をしているのは明らかだった。
俺が「大好き」と一度言ったから生田さんによって大量に買いだめされているアルフォートを食べながら、スマホでゲームをして適当に時間を潰していた。
こういう、オヤツが常時あるところとか、何かこの部屋は実家みたいだよなー……と思っていると、生田さんが戻ってきて俺の側に座った。
「あっ、すみません。すぐやめます」俺がそう言うと、「ゲーム?いいよ、キリのいいところまでしても。……ゲームしてるところが見たいから」という返事が返ってきた。
そうなんだ、ゲームが好きなのかな?と思いながら、言われたとおりに続けた。
「あと、一分半で終わります」
「えっ?そんなに短いの?もっと続けてよ」
「……わかりました」
えっ?どういうこと?早くエッチなことしたくないのかな?と疑問に感じつつも、生田さんから止めるように言われるまでは普通にゲームで遊び続けた。
じっと見られている気はしていたけど、特に気にならなかった。
もう10分くらい経ったかも、と思い生田さんの様子をうかがった時だった。
「えっ……」
……なぜか、勝手に一人で始めていた。パンツのファスナーを下ろして、ほんの少し下着をずり下げた状態で、自分の性器を擦っていた。
「えっ?えっ!なんで?」
「……鈴井さん」
続けて、そう言われても、勃起した生田さんの性器が目に焼き付いて離れないし、側でオナニーされてるのに、気にせずにいられるわけが無かった。
「あ、あの……」
「は、鈴井さん、動揺してる……?かわいいね……はあ…」
吐息混じりにそんなことを言われて、状況が理解できないうえに気持ち悪いしで、本気で困惑した。
どうしたって、視界の隅に生田さんの姿が映る。「鈴井さん、さっきから、ゲーム、全然集中出来てないよね?」と言う、生田さんの声が、ねっとりと耳にまとわりいてくる。
耳に熱い吐息がかかって、生田さんのために禁欲中だった身体が、ピク、と反応する。
「この状況はどう行動するのが正解なんだろう?」と困っている意思とは関係なく、「早く」と身体が疼き始めた。
モゾモゾと足を動かしてなんとかやり過ごす。……本当にゲームどころじゃなかった。
オナニーを見せて喜ぶはずなのに、どうして今日は「見ないで」と言うんだろう?どうして、今日は俺の身体に触ったり裸を見たりしないんだろう?と俺が頭の中にクエスチョンマークをいっぱい浮かべている間に、生田さんはフィニッシュを迎えてしまった。
「……あの、今のはいったい……」
困惑している俺を見て、生田さんはニコッと笑った。
「……鈴井さん、最近ずいぶん手慣れてきたみたいだから。ちょっと久しぶりにビックリしてるところが見たくて」
「へ……」
「最近は「俺にも同じものがついてるし、割り切ってどこでも触ろう」とかたぶん考えてるよね?わかるよ」
まあ、それはそれで嬉しいけどね、と言いながら生田さんはティッシュを丸めている。
「あの、どうしてわかったんですか?俺の……心境の変化みたいなこと……」
「勘だよ」とか適当なことを言ってから、笑って受け流して欲しかった。
「……分かるよ。俺も鈴井さんを見ているから」
俺の心の内側を探るような目付きでそう言われて、全身がゾワッ、として一気に鳥肌が立った。
単に考えていることがバレていたことだけじゃなく、俺が生田さんの様子をずうっと観察していたことが気付かれているということが、なんだか恐ろしく感じられた。
生田さんがグッと顔を近付けてきて、反射的に目を瞑る。なぜ、そうしたのか、自分ではよく分かっていた。
ぎゅっと固く閉じた口元には何もやって来なくて、「……ビックリした?ごめん」と囁くように言われただけだった。
「あ……」
目を開けると生田さんは手でも洗いに行くのか、立ち上がっているところだった。
……俺は、今、何を考えていたんだろう。キスされる、と思って口を閉じた……そう思った瞬間にボッと顔に熱が集まった。
もしかしたら、今日はエッチなことしないのかな、と思っていることも気付かれているのかもしれない。俺が禁欲のせいで欲情してることも気付かれているのかもしれない……「バレたくない」と思うことはいくつもあった。
そのせいか、今日は何にもされていないのに、裸にされるよりも、羞恥に堪えられそうになかった。
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