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第二部 復興編
6.出発
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引継ぎや準備が整い、俺達もガルデーンに向かって出発した。
出発に先立って、離宮の町にかけていた入場制限を取っ払い、商人や旅人達を町中に引き入れた。
様変わりした町の姿に驚く人々に、敢えて聖女様が降臨なさって水を与えて下さったと町の人達に吹聴してもらう。
これが王都に届けば、まずここにガザル王子の配下の者がやってくるだろう。
その隙に他の場所で奇蹟を起こし、噂を上書きしていくのだ。
攪乱作戦のスタートだ。
砂漠や荒れた石だらけの道を、強化した馬車はいいスピードで進んでいく。
通常4日かかる旅程を3日に短縮できそうだ。
日中は陽射しが強いので、フードを被って馬で移動。
アデル姫とお付きの侍女さんは、馬車の中にクッションを敷いて乗ってもらった。
あ、姫ひとりって訳にはいかないから、離宮からひとり侍女としてついてもらったんだ。
なるべく目立つ行動を避ける為、途中は宿場などには泊らず、街道を外れて野宿をする。
野宿と言っても寒い訳じゃないから苦にならない。
冷たい水は樽にいつでも出せるし、食料もある。
夜は少し冷えるけど、リルの木を成長させて薪も取れるから焚火もバンバン焚ける。贅沢~。
しかもシャワーを浴びてサッパリして寝れる。
なにこれ、快適じゃん!
グランピングと言って差し支えないぞ。
みんなも、こんな快適でいいのか?と戸惑っている。
いつもは、移動といったら地獄だったと。
暑くて汗まみれ、水はギリギリで常に喉が渇いている状態。
常に不快な状態での移動。
そりゃあツラ過ぎる。
そして、またちょっと考案してしまった。
アデル姫がいるから、シャワーだけだと体が冷えるか?と思って、防水布を広げて四隅にポールを立てて結び、中に雨で水を溜める。
高温に強いあの樹液粘土を樽の内側に塗って、焚火で熱した石を入れて、そのまま防水布の水に入れる。
ゴボゴボっと水が一気に沸騰して、はい、お風呂の出来上がり~。
石鍋ならぬ石風呂だな。
浅めだけど、それは我慢。
薄い生地の服を着たまま、おそるおそる入ったアデル姫。
「ええ~!なにこれ、温かくて気持ちいいわ!」
はい、感激の悲鳴頂きました~。
ふふふ、風呂は気持ちいいだろう。
日本人の心だからな、風呂は。
「アキラの世界には、本当に素敵なものが沢山あるのね」
ピンク色に上気した頬でニッコリと笑う姫さんは、美人度2割増し。
眼福でした、はい。
侍女さんにも堪能してもらってから、水と石を変えて俺もライド王子と一緒に入った。
やっぱ浸かりたいじゃんか?
日本人は、風呂の魅力には抗えない。
何故かスザールも一緒に浸かって、満喫していた。
二人とも、かなり気に入った様子。
「水を温めて浸かるという発想自体がありませんでしたが……これは、いいものですね」
ライド王子は湯を掬いながら感心している。
「まあ、水が豊富な世界だから思いつくものかもな~」
水が貴重な世界じゃ、風呂って発想は出ないわな。
あっちの世界じゃ、動物も浸かるんだぜ?
ゆったりと浸かりながら見上げる夜空には、向こうの世界と変わらず星が瞬いていた。
星には詳しくないけど、星座は全く違った。
そりゃそうだ。
月が3つもあるしな。
さすが異世界。
出発に先立って、離宮の町にかけていた入場制限を取っ払い、商人や旅人達を町中に引き入れた。
様変わりした町の姿に驚く人々に、敢えて聖女様が降臨なさって水を与えて下さったと町の人達に吹聴してもらう。
これが王都に届けば、まずここにガザル王子の配下の者がやってくるだろう。
その隙に他の場所で奇蹟を起こし、噂を上書きしていくのだ。
攪乱作戦のスタートだ。
砂漠や荒れた石だらけの道を、強化した馬車はいいスピードで進んでいく。
通常4日かかる旅程を3日に短縮できそうだ。
日中は陽射しが強いので、フードを被って馬で移動。
アデル姫とお付きの侍女さんは、馬車の中にクッションを敷いて乗ってもらった。
あ、姫ひとりって訳にはいかないから、離宮からひとり侍女としてついてもらったんだ。
なるべく目立つ行動を避ける為、途中は宿場などには泊らず、街道を外れて野宿をする。
野宿と言っても寒い訳じゃないから苦にならない。
冷たい水は樽にいつでも出せるし、食料もある。
夜は少し冷えるけど、リルの木を成長させて薪も取れるから焚火もバンバン焚ける。贅沢~。
しかもシャワーを浴びてサッパリして寝れる。
なにこれ、快適じゃん!
グランピングと言って差し支えないぞ。
みんなも、こんな快適でいいのか?と戸惑っている。
いつもは、移動といったら地獄だったと。
暑くて汗まみれ、水はギリギリで常に喉が渇いている状態。
常に不快な状態での移動。
そりゃあツラ過ぎる。
そして、またちょっと考案してしまった。
アデル姫がいるから、シャワーだけだと体が冷えるか?と思って、防水布を広げて四隅にポールを立てて結び、中に雨で水を溜める。
高温に強いあの樹液粘土を樽の内側に塗って、焚火で熱した石を入れて、そのまま防水布の水に入れる。
ゴボゴボっと水が一気に沸騰して、はい、お風呂の出来上がり~。
石鍋ならぬ石風呂だな。
浅めだけど、それは我慢。
薄い生地の服を着たまま、おそるおそる入ったアデル姫。
「ええ~!なにこれ、温かくて気持ちいいわ!」
はい、感激の悲鳴頂きました~。
ふふふ、風呂は気持ちいいだろう。
日本人の心だからな、風呂は。
「アキラの世界には、本当に素敵なものが沢山あるのね」
ピンク色に上気した頬でニッコリと笑う姫さんは、美人度2割増し。
眼福でした、はい。
侍女さんにも堪能してもらってから、水と石を変えて俺もライド王子と一緒に入った。
やっぱ浸かりたいじゃんか?
日本人は、風呂の魅力には抗えない。
何故かスザールも一緒に浸かって、満喫していた。
二人とも、かなり気に入った様子。
「水を温めて浸かるという発想自体がありませんでしたが……これは、いいものですね」
ライド王子は湯を掬いながら感心している。
「まあ、水が豊富な世界だから思いつくものかもな~」
水が貴重な世界じゃ、風呂って発想は出ないわな。
あっちの世界じゃ、動物も浸かるんだぜ?
ゆったりと浸かりながら見上げる夜空には、向こうの世界と変わらず星が瞬いていた。
星には詳しくないけど、星座は全く違った。
そりゃそうだ。
月が3つもあるしな。
さすが異世界。
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