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第二部 復興編
7.ガルデーン到着
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結局、野宿は2泊で3日目の午後には目標のガルデーンの地が見えてきた。
ここは自由都市に近いスタイルをとっているらしく、検問とかは無い。
中心に町、その回りに農地という配置だな。
畑は離宮の地と同じく、砂混じりだったりひび割れていたりして、ここも深刻な状況なのは一目で分かった。
「よし、探索に入ろう」
ライド王子の指示で、隊を2手に分ける。
俺達は水脈をサーチしながら町の中心に向かって進み、もう一隊は全体の畑の状況や住民達に現状の聞き取りをかけることにする。
水源探査チームは、馬である程度進んでから降りて地面を触って探る。
俺のサーチ力は大体半径1キロ程度なので、ちまちまやっていくしかない。
パカパカ進んで、降りてサーチ。
地味に疲れる作業だ。
しかし、離宮の地と違って、町中には大きな水脈が見当たらない。
「ま、そんなに上手くいく訳はないか~」
ど真ん中に水脈が通っていたあそこは、スゲー運が良かったんだな。
夜まであちこちサーチしたが、見つからなかった。
のっけからピーンチ。
夜に町中の宿屋で別動隊と合流して、情報を共有する。
「状況としては、離宮の地よりは少しマシな程度ですね」
別動隊に同行していたザウスは、眉を顰めたままだった。
「10段階評価として、離宮の地が1ならここは?」
「……2ですね」
げっ!ヤバいじゃないか。
確かに、通りすがりに見た畑は作物があんまり生っていなかったし、完全に水が足りない感じだったけど、他も全部同じ程度ってことか?
すぐにでも奇蹟で水を出したいのに、井戸の建設場所を決めない事には始められない。
奇蹟で水を出す場所は、井戸と離れた所にしないと都合が悪い。
井戸掘りは、人の立ち入りを制限しないと危ないからな。
他にも、目を逸らす意味合いもある。
悩ましいな~。
「明日は外周の畑をサーチしてみるか」
「広い分、時間がかかるが仕方ない」
今日見回ってきたザウスに、効率的に回れるルートを作成してもらう。
「リネルとアデルは明日、変装して3ヶ所ある教会の様子を見てきてくれないか?患者が多いようなら、とりあえずそこに少しだけでも水と食料を届けたいのだ」
「分かりました」
ライド王子の沈痛な表情と言葉に、リネルとアデルがしっかりと頷く。
「ああ、持って来た食料は、ほとんど配っていいよ。それと樽に水を溜めておくから、それも配ってくれ」
「えっ?全部渡してしまって良いのですか?」
驚くライド王子達に、俺はニカッと笑う。
「明日、サーチついでに死んでる畑を使って食料を加速で作れば大丈夫だろう?」
どちらにしても、レベル2じゃ水だけ供給してもダメだろ。
食料事情も改善させないとな。
「そうでした、アキラのお力ならそれが可能だ!」
「そうですね、出来ることは全部やっていきましょう!」
みんなの暗い表情が、キラキラに変わる。
そう、俺らがメンタルやられたらダメだ。
水脈も早く探さないとだが、緊急性が高いものから優先しないと、助かる命が救えなくなる。
焦り過ぎて先ばかり見てると、足元がヤバい。
ちょっと計画を修正しよう。
リネルが宿の主人から町の地図を貰ってくると言って、部屋を出ていく。
「テイル、私達は馬車の食料を確認して、3つに仕分けしておきましょう。朝一で出発できるように」
「はっ」
アデルは、護衛のテイルと何名かの兵士達と一緒に、隣の馬小屋に入れてある馬車に向かった。
みんな意識の切り替えが早い。いいねぇ。
「……で、スザールには、他の仕事を頼みたいんだ」
俺が目を向けると、スザールが何だ?という顔をする。
「ここの領主と面識はあるか?」
「もちろんだ。ほとんどの領主とは会って話をしているぞ」
やっぱりな。
シシル宰相は多忙で、そうそう王都から出られない筈。
となると、各地の領主達の動向なんかは、部下が出向いて確認していると思ったんだよ。
腕が立つスザールならば護衛の必要も無いから、数人の部下と各地の領主へ宰相の指示や文書を届けることも可能だもんな。
冴えてるねぇ、俺。
スザールがニヤっと笑ってくる。
「目の付け所がいいじゃないか、アキラ」
ここは自由都市に近いスタイルをとっているらしく、検問とかは無い。
中心に町、その回りに農地という配置だな。
畑は離宮の地と同じく、砂混じりだったりひび割れていたりして、ここも深刻な状況なのは一目で分かった。
「よし、探索に入ろう」
ライド王子の指示で、隊を2手に分ける。
俺達は水脈をサーチしながら町の中心に向かって進み、もう一隊は全体の畑の状況や住民達に現状の聞き取りをかけることにする。
水源探査チームは、馬である程度進んでから降りて地面を触って探る。
俺のサーチ力は大体半径1キロ程度なので、ちまちまやっていくしかない。
パカパカ進んで、降りてサーチ。
地味に疲れる作業だ。
しかし、離宮の地と違って、町中には大きな水脈が見当たらない。
「ま、そんなに上手くいく訳はないか~」
ど真ん中に水脈が通っていたあそこは、スゲー運が良かったんだな。
夜まであちこちサーチしたが、見つからなかった。
のっけからピーンチ。
夜に町中の宿屋で別動隊と合流して、情報を共有する。
「状況としては、離宮の地よりは少しマシな程度ですね」
別動隊に同行していたザウスは、眉を顰めたままだった。
「10段階評価として、離宮の地が1ならここは?」
「……2ですね」
げっ!ヤバいじゃないか。
確かに、通りすがりに見た畑は作物があんまり生っていなかったし、完全に水が足りない感じだったけど、他も全部同じ程度ってことか?
すぐにでも奇蹟で水を出したいのに、井戸の建設場所を決めない事には始められない。
奇蹟で水を出す場所は、井戸と離れた所にしないと都合が悪い。
井戸掘りは、人の立ち入りを制限しないと危ないからな。
他にも、目を逸らす意味合いもある。
悩ましいな~。
「明日は外周の畑をサーチしてみるか」
「広い分、時間がかかるが仕方ない」
今日見回ってきたザウスに、効率的に回れるルートを作成してもらう。
「リネルとアデルは明日、変装して3ヶ所ある教会の様子を見てきてくれないか?患者が多いようなら、とりあえずそこに少しだけでも水と食料を届けたいのだ」
「分かりました」
ライド王子の沈痛な表情と言葉に、リネルとアデルがしっかりと頷く。
「ああ、持って来た食料は、ほとんど配っていいよ。それと樽に水を溜めておくから、それも配ってくれ」
「えっ?全部渡してしまって良いのですか?」
驚くライド王子達に、俺はニカッと笑う。
「明日、サーチついでに死んでる畑を使って食料を加速で作れば大丈夫だろう?」
どちらにしても、レベル2じゃ水だけ供給してもダメだろ。
食料事情も改善させないとな。
「そうでした、アキラのお力ならそれが可能だ!」
「そうですね、出来ることは全部やっていきましょう!」
みんなの暗い表情が、キラキラに変わる。
そう、俺らがメンタルやられたらダメだ。
水脈も早く探さないとだが、緊急性が高いものから優先しないと、助かる命が救えなくなる。
焦り過ぎて先ばかり見てると、足元がヤバい。
ちょっと計画を修正しよう。
リネルが宿の主人から町の地図を貰ってくると言って、部屋を出ていく。
「テイル、私達は馬車の食料を確認して、3つに仕分けしておきましょう。朝一で出発できるように」
「はっ」
アデルは、護衛のテイルと何名かの兵士達と一緒に、隣の馬小屋に入れてある馬車に向かった。
みんな意識の切り替えが早い。いいねぇ。
「……で、スザールには、他の仕事を頼みたいんだ」
俺が目を向けると、スザールが何だ?という顔をする。
「ここの領主と面識はあるか?」
「もちろんだ。ほとんどの領主とは会って話をしているぞ」
やっぱりな。
シシル宰相は多忙で、そうそう王都から出られない筈。
となると、各地の領主達の動向なんかは、部下が出向いて確認していると思ったんだよ。
腕が立つスザールならば護衛の必要も無いから、数人の部下と各地の領主へ宰相の指示や文書を届けることも可能だもんな。
冴えてるねぇ、俺。
スザールがニヤっと笑ってくる。
「目の付け所がいいじゃないか、アキラ」
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
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