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第二部 復興編
8.ガルデーン救済開始
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「それで、どんな人なんだ?ここの領主さんは」
「ガルデーンの領主は貴族の中でも良心的な方だな。民に重税を課すことも無いし、信頼できるぜ」
そりゃ良かった。
「じゃあ明日、領主に面会してライド王子が緊急物資を運んで来るって伝えてくれ」
「教会に運び込む分の事か?」
「いや、それとは別に領主の屋敷に運び込みたいって言って、荷馬車を何台か融通してもらってきてほしい」
ちょうどいい畑を探して、そこで野菜とかを作ったはいいが、運べる足が無いのよ。
借りた荷馬車で、館までピストン輸送するってわけ。
で、それを領主の屋敷で仕分けして、各方面に配給してもらう。
領主は民が救えるし、ライド王子の株も上がってウィンウィンって寸法。
おおまかに説明すると、効果的だとスザールも賛成した。
灌漑設備の建設もまだ出来ず、聖女の奇蹟も大っぴらに出来ないならば、ちょっと姑息ではあるが別の方法で行くしかない。
朝一でアデル達は教会に向かい、スザールと数人の兵士達は町中の領主の所に向かった。
俺とライド王子は町の外周に出て、水脈を探しつつ人目に付きづらい畑を探す。
水脈は……まだ見つからない。
ガックリ。
でもしょぼくれてる暇はない。
しばらくして、俺達の計画にピッタリな畑を見つけた。
回りの畑より一段低くなっていて、他からはかなり近づかないと見えない。
うん、ここは良さそうだ。
水が全然無くて干乾びて放置された状態だから、農民もいない。
よし、ここにしよう。
一応奇蹟の瞬間を見られないように、回りに兵士を見張りにたたせてから、スタート。
まずは雨雲を低い位置に作って、たっぷりと水分を補給する。
ひび割れた土地は、ゴクゴクと飲み込んで潤っていく。
さて、ここからは人力しかない。
「よしザウス、野郎共、出番だぜ!」
「おうよ。鍛えた筋肉の出番だ」
鍬を構えて待ち構えていたザウスと兵士達は、待ってましたとばかりに力瘤を盛り上がらせてガンガン耕していく。
その後を、ライド王子とリネルに追いかけてもらい、カゴから種を撒く。
水を多めにしている為に足が泥だらけになるが、気にしない。
ええ、立ってる者は親でも王子でも使いますとも。
鬼ですが、何か?
俺もその後を追いかけながら、即育成加速をかけていく。
そう、順番に育成が出来るようになったんだ。
何かのアニメで、神様が歩いた跡から草が生えて育っていくのを見たことがあって、それをイメージしたら出来たんだ。
ほんと、イメージって大事な。
で、実が生った所からネコを押した兵士がもいで収穫していく。
ネコも持って来て良かったぜ~。
側面には、しっかりとマンガのようなネコのマーク付き。
すっかりトレードマークだ。
もうちょっと真面目に描けば良かったなぁ。
「お~、もう収穫してるのか」
半分くらい収穫した所へ、スザールが荷馬車を連れて到着した。
「スザール、早かったな……って、何台持って来たんだ?」
後ろから来るわ来るわ、10台くらいついて来たぞ。
そんなに借りられたのか。
「領主に配給品を持って来たが、途中で馬車が故障して運べないって言ったら、大喜びで貸してくれたぞ」
乗せるものも無くて馬も荷馬車も暇そうにしてたからな、取り敢えず全部借りたと豪快に笑ってる。
「よく館の召使いとかガルデーンの兵士達とかを派遣させるって言われなかったな」
「すぐに運んで来るから、それよりも仕分けの準備と配布の場所を用意しといてくれって言っといたぜ」
ナイスだスザール、機転が利くな~。
「よし、じゃあどんどん持って行かないとな。荷台に積んでいくぞ!」
「おう!」
耕し終わった兵士達は、今度は収穫した野菜や果物を積み込み始める。
俺は収穫が終わった列から、また育成を加速して実らす。
荷馬車が3台満載になると、早速領主の館に向かわせる。
次は麦にするか。
全面を一気に加速して、葉や茎が萎れて粉になった所で、また力自慢達の出番だ。
「いくぜっ!」
うおおーっと耕す姿は、既に兵士なんだか農民なんだか分からんようになってきた。
頼もしや~。
一面が金色になったら鍬を鎌に持ち替えて、ダダーっと刈り取っていく。
脱穀とかまではやってられないから、そのまま荷馬車に積んで、後の工程は館でやってもらおう。
藁も使えるしな。
今日は、夕方まではひたすらこれの繰り返しになる。
住民の数が多いから、離宮の時の倍は必要だ。
ザウスも兵士達も体力もつだろうか?
「ガルデーンの領主は貴族の中でも良心的な方だな。民に重税を課すことも無いし、信頼できるぜ」
そりゃ良かった。
「じゃあ明日、領主に面会してライド王子が緊急物資を運んで来るって伝えてくれ」
「教会に運び込む分の事か?」
「いや、それとは別に領主の屋敷に運び込みたいって言って、荷馬車を何台か融通してもらってきてほしい」
ちょうどいい畑を探して、そこで野菜とかを作ったはいいが、運べる足が無いのよ。
借りた荷馬車で、館までピストン輸送するってわけ。
で、それを領主の屋敷で仕分けして、各方面に配給してもらう。
領主は民が救えるし、ライド王子の株も上がってウィンウィンって寸法。
おおまかに説明すると、効果的だとスザールも賛成した。
灌漑設備の建設もまだ出来ず、聖女の奇蹟も大っぴらに出来ないならば、ちょっと姑息ではあるが別の方法で行くしかない。
朝一でアデル達は教会に向かい、スザールと数人の兵士達は町中の領主の所に向かった。
俺とライド王子は町の外周に出て、水脈を探しつつ人目に付きづらい畑を探す。
水脈は……まだ見つからない。
ガックリ。
でもしょぼくれてる暇はない。
しばらくして、俺達の計画にピッタリな畑を見つけた。
回りの畑より一段低くなっていて、他からはかなり近づかないと見えない。
うん、ここは良さそうだ。
水が全然無くて干乾びて放置された状態だから、農民もいない。
よし、ここにしよう。
一応奇蹟の瞬間を見られないように、回りに兵士を見張りにたたせてから、スタート。
まずは雨雲を低い位置に作って、たっぷりと水分を補給する。
ひび割れた土地は、ゴクゴクと飲み込んで潤っていく。
さて、ここからは人力しかない。
「よしザウス、野郎共、出番だぜ!」
「おうよ。鍛えた筋肉の出番だ」
鍬を構えて待ち構えていたザウスと兵士達は、待ってましたとばかりに力瘤を盛り上がらせてガンガン耕していく。
その後を、ライド王子とリネルに追いかけてもらい、カゴから種を撒く。
水を多めにしている為に足が泥だらけになるが、気にしない。
ええ、立ってる者は親でも王子でも使いますとも。
鬼ですが、何か?
俺もその後を追いかけながら、即育成加速をかけていく。
そう、順番に育成が出来るようになったんだ。
何かのアニメで、神様が歩いた跡から草が生えて育っていくのを見たことがあって、それをイメージしたら出来たんだ。
ほんと、イメージって大事な。
で、実が生った所からネコを押した兵士がもいで収穫していく。
ネコも持って来て良かったぜ~。
側面には、しっかりとマンガのようなネコのマーク付き。
すっかりトレードマークだ。
もうちょっと真面目に描けば良かったなぁ。
「お~、もう収穫してるのか」
半分くらい収穫した所へ、スザールが荷馬車を連れて到着した。
「スザール、早かったな……って、何台持って来たんだ?」
後ろから来るわ来るわ、10台くらいついて来たぞ。
そんなに借りられたのか。
「領主に配給品を持って来たが、途中で馬車が故障して運べないって言ったら、大喜びで貸してくれたぞ」
乗せるものも無くて馬も荷馬車も暇そうにしてたからな、取り敢えず全部借りたと豪快に笑ってる。
「よく館の召使いとかガルデーンの兵士達とかを派遣させるって言われなかったな」
「すぐに運んで来るから、それよりも仕分けの準備と配布の場所を用意しといてくれって言っといたぜ」
ナイスだスザール、機転が利くな~。
「よし、じゃあどんどん持って行かないとな。荷台に積んでいくぞ!」
「おう!」
耕し終わった兵士達は、今度は収穫した野菜や果物を積み込み始める。
俺は収穫が終わった列から、また育成を加速して実らす。
荷馬車が3台満載になると、早速領主の館に向かわせる。
次は麦にするか。
全面を一気に加速して、葉や茎が萎れて粉になった所で、また力自慢達の出番だ。
「いくぜっ!」
うおおーっと耕す姿は、既に兵士なんだか農民なんだか分からんようになってきた。
頼もしや~。
一面が金色になったら鍬を鎌に持ち替えて、ダダーっと刈り取っていく。
脱穀とかまではやってられないから、そのまま荷馬車に積んで、後の工程は館でやってもらおう。
藁も使えるしな。
今日は、夕方まではひたすらこれの繰り返しになる。
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ザウスも兵士達も体力もつだろうか?
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