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第二部 復興編
9.水源探索
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お……終わった。
というか、もうこれ以上は無理だ。
日が傾いてきた頃、兵士達がぶっ倒れた。
そりゃそうだ。
昼飯を食べる間だけ休憩したけど、後はぶっ通しだったもんよ。
みんな体力オバケだぜ。
「みんなここに集まってくれ」
点々と散乱している屍、もとい、兵士達をまだ動けるやつらが一ヶ所に集めてくる。
うお!死にかけなのに目がまだ爛々としてる。
「ま……まだ…やれます…」
いや、無理だから!
こえーから!
ゾンビみたいな兵士達の上に雲を作って、強制的にクールダウンをかける。
「おお……聖女様~、愛してますぅ~」
お前ら、まだいけそうだな?
ピキっとコメカミに筋が立ったが、この状態のヤツらに蹴りはさすがに可哀想で出せなかった。
汗と泥を流して、水と食事をとると、何とか馬に乗れるくらいまで復活した。
「ザウス、荷馬車を戻したら、みんなを宿に戻して休ませてやってくれ」
「アキラはどうするんだ?」
「俺は更に外周を回って、水源サーチをする」
ならば俺も同行すると言うザウスに、俺は首を振った。
さすがのザウスも疲れてるだろ。
「場合によっては、明日もやらなきゃいけないんだぜ?体力を回復しといてくれないと困るんだ」
そう言えば、ザウスも押し黙る。
「私は同行します」
おいおいライド王子、気丈に振る舞ってても、足が笑ってるからな?
バレバレだよ。
「ライド王子は、まだやることが残ってるだろ?」
「え?」
「この配給品は王子からのものだろ?最後の品物と一緒に領主の所に行って、故障した馬車の代わりを寄越してくれてありがとうと挨拶しないとな。ちゃんと恩も売っとけよ?」
「あ………そうでした」
立てた筋書きをちゃんと締めくくらないとだ。
「代わりにスザールを寄越してくれ。一緒に回るから。それなら安心だろ?」
しぶしぶ了承した王子に、リネルも付き添ってもらう。
荷馬車に野菜と王子達を乗せて、兵士達が出発する。
この量で、どれくらい行き渡るのか分からないが、なるべく沢山の人達の口に入るといいな。
「さっすがに疲れたぁ」
荷馬車の御者をしていてまだ体力が残ってた兵士達と、小さな空き地にぐったりと転がる。
体力はある方だが、さすがに一日やってたらシンドイわ。
マジで土方のプロになってるんじゃなかろうか。
荷馬車が館について、それからスザールが来るなら、30分くらいは寝てもいいかな?
傾いてもまだ暑い日差しを横に受けながら、俺は少しだけ休憩しようと目を閉じた。
涼しい風が気持ちいい。
「……ん?……あれっ?」
がばっと起き上がったら、回りは薄暗くて星がちらほら見えていた。
うっそ!俺どんだけ寝てた?
「よう、起きたか。アキラ」
「へ?」
グリンと首を捻ると、スザールが横でニヤニヤしながら座ってた。
「疲れてるようだったから、少し寝かしといた」
「ええ?すまん、起こしてくれて良かったのに」
頭を掻きながら回りを見ると、一緒にいた兵士達も爆睡してた。
あれま。
「あれだけ作って運んだら、大の大人でもへばるさ」
よくやったなと、頭をクシャクシャッとされた。
何だか悪い気がしない。
いないけど、兄貴がいたらこんな感じなんだろうな。
「あれで足りたかな?」
「ギリギリだが、全員に行き渡る量だったよ」
「そっか、良かった」
今日はみんながちゃんとした食事を摂れるんだな。
ちょっと、いやかなり嬉しくて顔がニヤける。
「ガタイはデカイが、まだ子供だろ?良くやってるよ」
「子供って、さすがにそれは……」
ええ?と引く俺に、スザールは至極真面目な顔をしている。
「こっちの成人は22才だ。17才なんてまだ全然子供の部類だぞ」
最初に17才と聞いて驚いたぜと呆れるスザールに、俺も驚いた。
「そうなのか~。俺の世界じゃ20才で成人だぜ。あ、場合によっては18才からだな」
どっちにしろ子供じゃないかと言われて、返せない。うぐぐ。
「……子供を無理矢理召喚するなんて、済まなかったな…」
お、そこを気に病んでたのか。
スザール、いいヤツだな。
「でもそれだけ切羽詰まってたって訳だろ?まあ期間限定だし、やれるとこまでやってみるさ」
案外楽しんでるからな、異世界。
「さあ、急いで出発しないと」
すくっと立って伸びをしてると、黄色い果物を渡された。
「日が落ちてからの方が体力を使わないし、動きやすい。それに目立たないしな」
慌てなくていいぜと、ニッと笑ったスザールは、兵士達を起こしに行った。
「…おっ、甘酸っぱくてウマ~」
貰った果物は杏子に近い味で、食べ応えがあった。
「まだまだ知らないものが沢山あるな」
折角だから、異世界を楽しまないとだ。
というか、もうこれ以上は無理だ。
日が傾いてきた頃、兵士達がぶっ倒れた。
そりゃそうだ。
昼飯を食べる間だけ休憩したけど、後はぶっ通しだったもんよ。
みんな体力オバケだぜ。
「みんなここに集まってくれ」
点々と散乱している屍、もとい、兵士達をまだ動けるやつらが一ヶ所に集めてくる。
うお!死にかけなのに目がまだ爛々としてる。
「ま……まだ…やれます…」
いや、無理だから!
こえーから!
ゾンビみたいな兵士達の上に雲を作って、強制的にクールダウンをかける。
「おお……聖女様~、愛してますぅ~」
お前ら、まだいけそうだな?
ピキっとコメカミに筋が立ったが、この状態のヤツらに蹴りはさすがに可哀想で出せなかった。
汗と泥を流して、水と食事をとると、何とか馬に乗れるくらいまで復活した。
「ザウス、荷馬車を戻したら、みんなを宿に戻して休ませてやってくれ」
「アキラはどうするんだ?」
「俺は更に外周を回って、水源サーチをする」
ならば俺も同行すると言うザウスに、俺は首を振った。
さすがのザウスも疲れてるだろ。
「場合によっては、明日もやらなきゃいけないんだぜ?体力を回復しといてくれないと困るんだ」
そう言えば、ザウスも押し黙る。
「私は同行します」
おいおいライド王子、気丈に振る舞ってても、足が笑ってるからな?
バレバレだよ。
「ライド王子は、まだやることが残ってるだろ?」
「え?」
「この配給品は王子からのものだろ?最後の品物と一緒に領主の所に行って、故障した馬車の代わりを寄越してくれてありがとうと挨拶しないとな。ちゃんと恩も売っとけよ?」
「あ………そうでした」
立てた筋書きをちゃんと締めくくらないとだ。
「代わりにスザールを寄越してくれ。一緒に回るから。それなら安心だろ?」
しぶしぶ了承した王子に、リネルも付き添ってもらう。
荷馬車に野菜と王子達を乗せて、兵士達が出発する。
この量で、どれくらい行き渡るのか分からないが、なるべく沢山の人達の口に入るといいな。
「さっすがに疲れたぁ」
荷馬車の御者をしていてまだ体力が残ってた兵士達と、小さな空き地にぐったりと転がる。
体力はある方だが、さすがに一日やってたらシンドイわ。
マジで土方のプロになってるんじゃなかろうか。
荷馬車が館について、それからスザールが来るなら、30分くらいは寝てもいいかな?
傾いてもまだ暑い日差しを横に受けながら、俺は少しだけ休憩しようと目を閉じた。
涼しい風が気持ちいい。
「……ん?……あれっ?」
がばっと起き上がったら、回りは薄暗くて星がちらほら見えていた。
うっそ!俺どんだけ寝てた?
「よう、起きたか。アキラ」
「へ?」
グリンと首を捻ると、スザールが横でニヤニヤしながら座ってた。
「疲れてるようだったから、少し寝かしといた」
「ええ?すまん、起こしてくれて良かったのに」
頭を掻きながら回りを見ると、一緒にいた兵士達も爆睡してた。
あれま。
「あれだけ作って運んだら、大の大人でもへばるさ」
よくやったなと、頭をクシャクシャッとされた。
何だか悪い気がしない。
いないけど、兄貴がいたらこんな感じなんだろうな。
「あれで足りたかな?」
「ギリギリだが、全員に行き渡る量だったよ」
「そっか、良かった」
今日はみんながちゃんとした食事を摂れるんだな。
ちょっと、いやかなり嬉しくて顔がニヤける。
「ガタイはデカイが、まだ子供だろ?良くやってるよ」
「子供って、さすがにそれは……」
ええ?と引く俺に、スザールは至極真面目な顔をしている。
「こっちの成人は22才だ。17才なんてまだ全然子供の部類だぞ」
最初に17才と聞いて驚いたぜと呆れるスザールに、俺も驚いた。
「そうなのか~。俺の世界じゃ20才で成人だぜ。あ、場合によっては18才からだな」
どっちにしろ子供じゃないかと言われて、返せない。うぐぐ。
「……子供を無理矢理召喚するなんて、済まなかったな…」
お、そこを気に病んでたのか。
スザール、いいヤツだな。
「でもそれだけ切羽詰まってたって訳だろ?まあ期間限定だし、やれるとこまでやってみるさ」
案外楽しんでるからな、異世界。
「さあ、急いで出発しないと」
すくっと立って伸びをしてると、黄色い果物を渡された。
「日が落ちてからの方が体力を使わないし、動きやすい。それに目立たないしな」
慌てなくていいぜと、ニッと笑ったスザールは、兵士達を起こしに行った。
「…おっ、甘酸っぱくてウマ~」
貰った果物は杏子に近い味で、食べ応えがあった。
「まだまだ知らないものが沢山あるな」
折角だから、異世界を楽しまないとだ。
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