え?聖女って、女性がなるものだよね? ~期間限定異世界救済プロジェクト~

月夜野レオン

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第二部  復興編

31.発見!

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大きな蓋を取り去るとブワリと湯気が立ち上り、その下からは真っ白な粒がキラキラと光りながら現れた。 

「やった!キタコレ~!」 

俺の目には宝石よりも輝いて見えた。 

しゃもじで大きくかき混ぜてから、掬ってみる。 

うん、普通の米と餅米の中間くらいの粘りだ。 

アツアツだろうがお構いなしにガブっと頬張る。 

「あっふ……ふぁ……うっまぁ~…!」 

やべ、涙出そう。 

はあ~、日本人はコメだよな、やっぱ。 

向こうの世界のコメとは味も香りも違うけれど、これは米だ。 

噛めば噛むほど強い甘みが出てくる。 

「美味いのか?これ…」 

スザールが俺の真似をして掬って食べる。 

「……ん~…?あんまり味がしないな。少し甘い…か?」 

モグモグと味わいながら素直な感想を漏らす。 

「麦と違って、こいつはあんまり強い味を主張しないんだ。でも、付け合わせで色々と変化するんだぜ」 

皆が素の米をモグモグと味わっている横で、俺はおにぎりを作り始めた。 

手を濡らしてリルの塩をつけて米を乗せ、真ん中に焼いたマルルの実を置いて更に米を乗せてサッと握る。 

次は器に米を取り、ザザの葉を混ぜる。 

手慣れたもんで、ひょいひょいとすぐに何個もできる。 

「アキラ、お前器用だな。何でそんな形に作れるんだ?」 

フツー丸くなるだろと、三角のおにぎりをスザールが不思議そうに見ている。 

「まあまあ、食べてみろよ」 

ルルガとスザールはおにぎりにパクっと食いつくと、カッと目を見開いた。 

ふっふっふ、おにぎり教にようこそ。 

「……アキラよ、お前は俺を何個の宗教に入信させれば気が済むんだ……」 

「俺は……俺は何で今までこれを、馬のエサなんかにしてたんだ…」 

口一杯にコメを頬張りながら呻くスザールと、絶望感にガックリと膝をつくルルガに爆笑したわ。 

全部握りたかったが多分手が腫れ上がるので、鍋にザザの葉と塩をぶち込んで豪快に混ぜご飯にする。 

器に盛って、その上にマルルの実を乗せて皆に食べさせた。 

もれなく全員を米の虜にして、今後の方針がひとつ決まった。 

田んぼは絶対に作ろう。 

 

翌日は、広場に開かれた市をライド王子達と見て回る。 

王都から10日の距離にあるサザレーには、色々な行商人が来るので、とても賑やかだった。 

逆に、小麦の買い付けに来ている業者もいる。 

「麦と米の二本立てなら、産業としてかなり確立されると思うけど……」 

豊富な水、もう少し有効活用できないかなぁ。 

何かヒントがないかと、賑わう屋台の商品を色々と見て回っていた。 

「おや、ミモルがある。よくここまで持ってきたな」 

「ミモル?」 

ライド王子が立ち止まって見ていたのは、大きな桶の中でチョロチョロと泳ぐ小魚。 

「これはランドスでとれたものを王都まで運んで、そこからまた水を替えてここまで持ってきてるんでさ」 

屋台主のおやじがニコニコしながら説明してくれる。 

「死ぬと鮮度が一気に落ちちまうんで、生かして運ぶんすよ。大変すけどね」 

あ~、確かにこの砂漠気候じゃ、すぐに腐るわな。 

「塩漬けにはしないのか?」 

「塩漬け?」 

あれ、おやじとライド王子がハモった。 

塩漬けの文化、無いのか? 

うお!王子の目がキラキラしだしたぞ。 

「アキラ、それはどのような手法なのですか?」 

「お、おう……説明はするけど、その前にこの魚を全部買えるか?」 

「もちろんです!」 

またハモる……二人共、息ピッタリだな。 

 

兵士達に手伝ってもらって、何個かの桶に小魚を入れて水たまりまでやって来た俺達は、比較的小さな水たまりに小魚を放してみた。 

ランドスの川で捕れたんなら、川魚だよな。 

それならここの湧き水でも生きられるんじゃないかと思ったんだ。 

そう、養殖だ。 

食べ物が合うなら、ここは水の循環も自然に行われる生簀になる。 

俺はライド王子達に養殖のしくみをざっと説明した。 

もちろん素人だから詳しくは分からないけど、魚が育ちそうならランドスからミモルの扱いに慣れた人を派遣してもらって、養殖システムを作ってみてはどうかと。 

逆に、ランドスでもあの水汲みプールを使って養殖が可能かもしれない。 

出来そうなら、更に何個か作ればランドスでも産業として成り立つかもだ。 

王都を挟んで逆側にある場所だから、流通範囲も別々になるだろう。 

ランドスはガルデーンやケルックで販売して、サザレーは南側を販売拠点にする。 

競合しないなら、協力できるんじゃね? 
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