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第二部 復興編
47.タンパル復興
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俺はリルの枝をサクっと成長させて、岩壁に亀裂を作った。
「出るぞー!」
「おおー!下がれー」
掛け声と共に、岩壁が水流に押されて崩壊し、干からびた川に大量の水が流れ込んだ。
慌てて横の高台に避難した俺達の前を、水は勢いよく流れていく。
サーチで岩壁の中を下に下に探ってみると、詰まっていた時は分からなかった水の流れが見える。
うん、太い水脈に繋がっているな。
これだけの水量があればまったく問題ない。
「よーし、戻るぞ野郎共!」
「おうよ!」
すっかり土木作業員の貫禄が身についたメンバーに、親方~という幻聴が聞こえてきそうだ。
いんかいかん、俺は親方じゃなくて聖女……じゃねぇわ!
もう聖女ってワードに麻痺してきた。ヤバい。
町に戻ると、住民達は枯れていた川に流れてくる水に歓声を上げて喜んでいた。
そうそう、この輝く笑顔がいいんだよな。
でもみんな栄養失調でヒョロヒョロだから、まずは食料の配給だ。
領主の畑を借りて野菜や果物、麦なんかを蒔いて成長させ、兵士達総出で配給をスタートさせた。
それでも、広いタンパル全域に行き渡らせるには何日もかかる。
領主の館の近隣住民で、元気になってきた人達の手も借りてタンパル商会の果樹園だった場所も畑に改良する。
どっちみちトトメスは領主毒殺未遂の重罪。
ここはもう没収だから、サクサクと有効利用させてもらおう。
焼けた木や草がいい肥料になるから良い野菜がとれるぞ。
焼き畑農業バンザイ。
タンパル商会の元果樹園の野菜畑を加速成長させていると、スザールがやってきた。
「おっ、数日振りだなスザール。領主の容態はどうだ?」
「かなり良い感じになってきたぞ~。体の方はまだ緑色だが、顔色は肌色に近づいてきた。自分で立てるようになってきたから、アイリスに任せてきた」
よしよし、順調にデトックス出来ているな。
汗や尿から排出できるタイプの毒で良かったわ。
これが脳や内臓を先に犯すタイプだったら俺もお手上げだった。
もちろん、落ち着いたら薬師に診てもらわないとだけどな。
「果樹園管理者達はもっと良くてな。明日には現場復帰すると息巻いていたぞ」
うわぉ、さすが超人〇ルク集団。
汗腺が発達しているから毒の出もいいんだな。
体力もあるしな。
あの風呂場でマッチョ軍団がムンムンとミドリの汗をかいているのを想像するとちょっと怖い。
「明日からは配給の方は俺が面倒を見る。お前は管理者達と果樹園再生に着手してくれ」
「それは助かる。じゃあ朝にドカンと成長させとくから、後は頼むわ」
「任せろ」
手が足りなくて同時進行は無理かと思っていたから良かったぜ。
ここで時間をかけているとライド王子の身が心配だ。
よし、明日からは果樹園の復興に取りかかろう。
「……おおぅ」
朝日をバックに果樹園の入り口にズラリと並ぶマッチョなオヤジ軍団。
ド迫力だわ~。
「みんな回復したようで、よかっ…」
「聖女様に感謝を申し上げる !」
うわっ、きた!
制止する間も無く、ズザーっと軍団がひれ伏した。
それ、いらんから!
マ~ジ~で、いらんから!
「やめやめ!そのひれ伏しは禁止!」
慌ててすぐに立たせて、みんなを見回す。
「時間がもったいない。すぐに復興作業に入るぞ」
「何でも言って下さい」
果樹園管理者のリーダーは、ググルンガといって、肌色の〇ルクそのまんまな風貌だ。
俺はググルンガ達に、生きている木はそのままでダメな木は伐採して新たに育てる木の枝をそこに刺すように言った。
死んだ木をそのままにしておくと、成長加速した時に邪魔になるし、場所の無駄になるからだ。
ハテナマークがふよふよと浮かんでいるオヤジ達に、説明より早いので一本の木を加速させて見せた。
あっという間に枝が伸びて葉が茂り、花が咲いて実がたわわに実る様を見たググルンガ達は目を真ん丸に見開いて呆けていた。
まあ、何年も手をかけて育てるものが、あれよあれよという間にわさっと実るんだから、あ然とするよな。
実をひとつもいでググルンガに手渡す。
「みんなが手塩にかけて育てているのは分かっているんだ。でも今は緊急事態だ。まずは現状を復帰させる手伝いをさせてほしい」
「………ありがとう……ございます」
ググルンガは震える両手で艶やかな実を包み、額に当てると涙をこぼした。
「………よぉーし、野郎共!聖女様と園を復活させるぞ!」
リーダーの叫びに回りの果樹園管理者達も雄叫びを上げる。
「うおおー!聖女様!」
突然始まった聖女様コールに俺は頭を抱えた。
「だからそこはアキラでいいんだって~!」
後ろでは兵士達とスザールが腹を抱えて笑っていた。
おまえら、絶対にシメるからな。
「出るぞー!」
「おおー!下がれー」
掛け声と共に、岩壁が水流に押されて崩壊し、干からびた川に大量の水が流れ込んだ。
慌てて横の高台に避難した俺達の前を、水は勢いよく流れていく。
サーチで岩壁の中を下に下に探ってみると、詰まっていた時は分からなかった水の流れが見える。
うん、太い水脈に繋がっているな。
これだけの水量があればまったく問題ない。
「よーし、戻るぞ野郎共!」
「おうよ!」
すっかり土木作業員の貫禄が身についたメンバーに、親方~という幻聴が聞こえてきそうだ。
いんかいかん、俺は親方じゃなくて聖女……じゃねぇわ!
もう聖女ってワードに麻痺してきた。ヤバい。
町に戻ると、住民達は枯れていた川に流れてくる水に歓声を上げて喜んでいた。
そうそう、この輝く笑顔がいいんだよな。
でもみんな栄養失調でヒョロヒョロだから、まずは食料の配給だ。
領主の畑を借りて野菜や果物、麦なんかを蒔いて成長させ、兵士達総出で配給をスタートさせた。
それでも、広いタンパル全域に行き渡らせるには何日もかかる。
領主の館の近隣住民で、元気になってきた人達の手も借りてタンパル商会の果樹園だった場所も畑に改良する。
どっちみちトトメスは領主毒殺未遂の重罪。
ここはもう没収だから、サクサクと有効利用させてもらおう。
焼けた木や草がいい肥料になるから良い野菜がとれるぞ。
焼き畑農業バンザイ。
タンパル商会の元果樹園の野菜畑を加速成長させていると、スザールがやってきた。
「おっ、数日振りだなスザール。領主の容態はどうだ?」
「かなり良い感じになってきたぞ~。体の方はまだ緑色だが、顔色は肌色に近づいてきた。自分で立てるようになってきたから、アイリスに任せてきた」
よしよし、順調にデトックス出来ているな。
汗や尿から排出できるタイプの毒で良かったわ。
これが脳や内臓を先に犯すタイプだったら俺もお手上げだった。
もちろん、落ち着いたら薬師に診てもらわないとだけどな。
「果樹園管理者達はもっと良くてな。明日には現場復帰すると息巻いていたぞ」
うわぉ、さすが超人〇ルク集団。
汗腺が発達しているから毒の出もいいんだな。
体力もあるしな。
あの風呂場でマッチョ軍団がムンムンとミドリの汗をかいているのを想像するとちょっと怖い。
「明日からは配給の方は俺が面倒を見る。お前は管理者達と果樹園再生に着手してくれ」
「それは助かる。じゃあ朝にドカンと成長させとくから、後は頼むわ」
「任せろ」
手が足りなくて同時進行は無理かと思っていたから良かったぜ。
ここで時間をかけているとライド王子の身が心配だ。
よし、明日からは果樹園の復興に取りかかろう。
「……おおぅ」
朝日をバックに果樹園の入り口にズラリと並ぶマッチョなオヤジ軍団。
ド迫力だわ~。
「みんな回復したようで、よかっ…」
「聖女様に感謝を申し上げる !」
うわっ、きた!
制止する間も無く、ズザーっと軍団がひれ伏した。
それ、いらんから!
マ~ジ~で、いらんから!
「やめやめ!そのひれ伏しは禁止!」
慌ててすぐに立たせて、みんなを見回す。
「時間がもったいない。すぐに復興作業に入るぞ」
「何でも言って下さい」
果樹園管理者のリーダーは、ググルンガといって、肌色の〇ルクそのまんまな風貌だ。
俺はググルンガ達に、生きている木はそのままでダメな木は伐採して新たに育てる木の枝をそこに刺すように言った。
死んだ木をそのままにしておくと、成長加速した時に邪魔になるし、場所の無駄になるからだ。
ハテナマークがふよふよと浮かんでいるオヤジ達に、説明より早いので一本の木を加速させて見せた。
あっという間に枝が伸びて葉が茂り、花が咲いて実がたわわに実る様を見たググルンガ達は目を真ん丸に見開いて呆けていた。
まあ、何年も手をかけて育てるものが、あれよあれよという間にわさっと実るんだから、あ然とするよな。
実をひとつもいでググルンガに手渡す。
「みんなが手塩にかけて育てているのは分かっているんだ。でも今は緊急事態だ。まずは現状を復帰させる手伝いをさせてほしい」
「………ありがとう……ございます」
ググルンガは震える両手で艶やかな実を包み、額に当てると涙をこぼした。
「………よぉーし、野郎共!聖女様と園を復活させるぞ!」
リーダーの叫びに回りの果樹園管理者達も雄叫びを上げる。
「うおおー!聖女様!」
突然始まった聖女様コールに俺は頭を抱えた。
「だからそこはアキラでいいんだって~!」
後ろでは兵士達とスザールが腹を抱えて笑っていた。
おまえら、絶対にシメるからな。
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
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