壁の穴

月夜野レオン

文字の大きさ
上 下
1 / 3

気持ちのいい壁

しおりを挟む
怪しい路地裏に、その店はあった。
ゲイの集まる界隈の中でも更に奥まった場所にあるその店は、看板の代わりにぶら下がった板の真ん中に丸い穴が開いている。
ようは、あれだ。
突っ込まれたいヤツは穴にケツを押し込んで待ち、突っ込みたいヤツはそのケツにぶち込むシンプルな店。
シンプルだけど、なかなかにディープだ。
顔も声も聞こえないから、オナニーをしているような気分になるヤツもいれば、色々と想像が出来て普通よりも楽しめるというヤツもいる。
そんな話を聞いたのは、オフィスの喫煙ルーム。
最近はタバコを吸うヤツも減ってきていて、部屋には常連の顔ぶればかり。
「え~、そんなに良かったのか?」
「うん、かなり興奮したわ」
突っ込まれに行ってみたと話しているのは技術課の細野。
キレイな顔をした細身のバリネコ。
聞いているのは営業の須田。
スポーツマンっぽい大柄な体格でイケメンのバリタチ。
お互いにフリーなんだから2人でやればいいのにと思ったが、好みのタイプが全然違うんだそうで。
まあ、同じ職場内でってのは勘弁だもんな。
俺もタチだが、特にタイプは偏っておらず、ハッテン場で気に入ったヤツとたまにヤるくらいだ。
しかし、そんな話を聞いたら、行ってみたくなるってもんだ。
あまり興味は無いって顏をしつつも、場所だけはしっかりと聞いておいた。


数日後、仕事が終わった後で何となく足を向けた。
複雑な路地を進んだ先に、果たしてその店はあった。
「本当に穴開きの板だけかよ」
シンプル過ぎる看板に、ちょっとウケた。
口コミだけでやっているだけのことはある。
普通の人は、これだけ見ても何だか分からない筈だ。
そろっと扉を開けてみると、階段が下に続いている。
ちょっとホラーな雰囲気に怖気づいたが、細野が入ったというならば大丈夫だろう。
階段を下りきると左右に3つずつ扉が並び、右上にスピーカーと横の壁にボックスとインターホンのようなものがついている。
「いらっしゃいませ」
テレビで音声を加工している時のようなヘンな声がスピーカーから聞こえ、料金と使用方法を説明される。
ボックスに料金を入れ、タチの方を選択するボタンを押すと、右側の扉の3番のランプが点灯した。
ここに入れってことか。
中に入ると脱衣ボックスがあり、左の壁に小さい穴と大きい穴が開いていた。
穴の向こう側はカーテンが引かれていて、更に部屋は真っ暗になっていて、どんな人物がいるのかは分からなかった。
服を脱ぎ、小さい方の穴にチンポを入れる。
ドキドキしながら待つと、触れていたカーテンの感触が消えてチンポの根元を指らしきものでそっと掴まれた。
先っぽにペチョリとした感覚がしてから、温かいものの中に包まれた。
これは、しゃぶられている。
音は聞こえないが、舌がサオに絡まってズリズリと擦られる感覚。
口全体で根元から先端までじゅるじゅるとしゃぶる感覚は、視覚がなくても十分感じた。
勃起してくると、更に強く吸い上げられで、鈴口を舌先でゴシゴシされる。
「うっ……すっげ…」
これは当たりだ。
かなりのテクニシャンで、すぐにギンギンにマックスまで勃起した。
口と手が離れたので、あれ?と思っていると、ゴムを装着される。
そして横の大きな穴のカーテンが開き、そこから白い尻が突き出されてきた。
ぶち込みタイムか。
白い尻は真ん中の穴がもう濡れてヒクヒクとしている。
準備も万端ってことね。
こりゃ楽だ。
さっそく育ててもらったチンポの先端を穴に当てて、ぐりぐりと入れる合図を送る。
穴の縁が亀頭をクポクポとしゃぶってくる。
「えっろ……」
スブズブとサオを沈めていくと、中も絶品だった。
キュウキュウと締めつけてくる内壁をグイグイと割開いていく気持ち良さ。
奥まで入れたら、ゆっくりと亀頭付近まで抜き出す。
馴染んだら、後はもうひたすらピストン。
穴の両横に掴まる取っ手があって、それを握りながらだと高速のピストンも可能だった。
「…はっ……く……っでるっ…」
ビクビクと腰が震えて、先端からザーメンがドックドク出てるのが分かる。
一発でこんだけ出したのは久しぶりかも。
脱力している内に尻が離れ、ゴムを外されたと思ったらお掃除フェラが来た。
「っ至れり尽くせりかよ」
キレイに舐めとられた後で、暖かいタオルで拭かれて終わり。
服を着て、入ってきたのと反対の扉から出て階段を上がると、扉があった。
外に出ると、やはり入り組んだ路地に面した変哲のないドア。
電車に揺られながら、まるで夢のような時間だったな~と思った。


「お、行ったの?あそこ。どうだった?」
「行った。マジでサイコーだったわ」
翌日、喫煙ルームでばったりと会った細野に行ったことを報告した。
「だろ、だろ~?雰囲気も不思議な感じだし、面白いよな」
そこに須田が入ってきた。
「あ、須田~。大野が例の店、行ったんだって」
「マジで?どうだった?」
「良かったってさ」
「お~、そうなのか」
俺も行ってみるかな~と須田が興味深々な感じでタバコをふかす。
「いんじゃね?安かったし。相手によるかもだけど、丁寧だったよ」
と勧めて、俺はタバコを消して立ち上がった。
そのまま部屋を出た俺は、2人が視線を絡ませて頷き合っているのに全く気がつかなかった。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

僕たちのこじれた関係

BL / 連載中 24h.ポイント:610pt お気に入り:91

壁穴屋

BL / 連載中 24h.ポイント:255pt お気に入り:292

性癖全開注意

BL / 連載中 24h.ポイント:149pt お気に入り:136

三十代で再召喚されたが、誰も神子だと気付かない

BL / 連載中 24h.ポイント:2,087pt お気に入り:5,960

毒を喰らわば皿まで

BL / 完結 24h.ポイント:7,556pt お気に入り:12,859

キミのスケベなネコになる

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:64

【R18】××に薬を塗ってもらうだけのはずだったのに♡

BL / 完結 24h.ポイント:184pt お気に入り:39

処理中です...