反芻

にっしょん

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ダラダラと続く、長くて緩やかな坂道。木の根で凸凹と盛り上がったアスファルトの脇は土で固められている。
ビニールの向こうで吊るされたまだ熟されていないぶどうを眺めながら、左手を強く握り、右手でバランスを取る。

果物狩りに行こうよ、という彼の提案に私は二つ返事で頷いたことを多少後悔していた。勿論果物狩りは楽しいと思っているし、動きやすいシャツとパンツ、スニーカーで来ている。問題は時世柄、着用必須とされているマスクだ。
それなりに車で登った山の上、まだ坂道を歩くというのにうまく呼吸ができない。

やっと登り切った先にビニールが左右に開けた入り口の脇で、陽気な笑顔のスタッフがおつかれさまでーすと両手を振っている。余程人がいないのだな、と思った。
彼は私の左手から右手を外し受付をしている。
その場で狩ったさくらんぼを時間いっぱい食べていいらしい。

やっとマスクの窮屈さから解放されて、人のいない、木々の生い茂った土の上で、慎重ながらも心軽く足を運んでいく。背の高い彼は枝葉に窮屈そうにしながらも、高い位置で残っている、熟れたさくらんぼに手を伸ばしている。

背の低い私はなかなか、手の届く場所はもう摘まれているものが殆どだった。彼が寄ってきて、枝を手繰り寄せてくれる。ありがとう、と振り返って、降りてきた実に手を伸ばす。痛んでないかさらっと目を通し口に含む。

ぷちっとした感触の後、柔らかな果肉に歯が食い込む。果汁が口いっぱいに広がる。思わず、ひとり笑顔でその甘酸っぱさに夢中になっていた。
種を吐き出し顔を上げると、にこにことした彼と目があった。美味しそうに食べるね、と大きな手が私の髪を撫でる。少し恥ずかしくなったが、美味しかったから…と返し軽く唇を重ねた。

それから、いろんな品種を試して、お互いに好きな品種を見つけたり、木の幹から垂れる蜜を探したりして、大いにさくらんぼ狩りを楽しんだ。
そろそろ時間だね、と彼が手を差し伸べてくる。左手を伸ばしその大きな右手をとる。

入れ違うように入ってきた家族連れを横目にマスクをつける。また、息苦しさに眉をひそめながら、ダラダラと続く坂道を降る。
車に乗り込むと、少し疲れちゃったね、という。1時間近くはしゃいでいた疲れが急に襲ってきた。

帰ろっか、とにこにこした笑顔が振り返る。そうだね、とまた唇を重ねた。
好きな音楽をかけながら、あのさくらんぼが美味しかったね、とそんな話をしながら、助手席に座っていた。

帰ってきてから荷物を下ろし、並んで手を洗い、もうシャワー浴びちゃおっか、という提案に頷く。
その場でばさばさと服を落としていく。少し汗の滲んだ肌をくっつけながら、彼がシャワーの温度を確かめるのを眺めていた。

交互にシャワーを使ったりシャンプーを使ったりしながら、汗や土を落としていく。
先に出な、と言われたものだから、ふわふわのタオルで体や髪の水滴を雑に拾っていく。滴らない程度に拭き取ったらバスローブに腕を通し、そのままベッドに倒れ込んでしまった。

暫くあとにタオルを腰に巻いた彼が、また私の濡れた髪を撫ぜるように手を伸ばしてきた。遊び疲れちゃったね、と隣に潜り込んでくる。

とても、疲れていた。はずなのに。

隣で横になった彼に覆い被さる。唇を割って舌を入れる。彼はんんっと驚きながら舌を絡めて返してくれる。腕が背中に回って、強く抱きしめられる。タオル越しに固いものがあたる。

前側からバスローブが左右にはだけていく。さっきシャワーで流したばかりの首筋を、鎖骨を、肩を温く湿った舌が這う。濡れた髪を大きな右手が撫ぜる。
彼が上体を起こすので、対面座位になる。彼の顎を両手で支えて奥まで舌を絡ませる。彼の舌もまた奥まで絡んでくる。

肩からバスローブがぱさっと落ちる。しゃぶりつくように乳房を吸われる。頭が重い、意識がとろとろとしていく。そのまま仰向けに転がされた。覆い被さる彼が、唇を少しだけ重ねてから、もう我慢できないんでしょ、と耳元に零す。

巻いていたタオルを傍に放り、そそりたったそれを私の間にあてがう。だが、あてるだけである。焦らしくって腰を浮かせ、頂戴…と呟きにこにこした笑顔に目線を訴える。
大きな手で濡れた髪を指に絡めながら、唇を重ね、いいよ、と呟く。少しずつ、ずぷっと中に来る。

根元まで繋がってからぎゅっと抱き締める。ゆっくりと出し入れされる。少しずつ激しくなる出し入れが、大きくではなく、先でこつこつと当ててくるような動きになる。

や、だめっ好き…

彼の両手は私の腰をしっかりと支えている。私の両手はベッドシーツを握っている。

奥、されるの好きなんだ?

好き、奥好きっ、欲しい…奥まで、ちょ、うだいっ

快感に頭をかき混ぜられ、言葉を返せてるのかも良くわからなかった。この気持ちいいのがずっと…
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