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当て馬の言い分
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しおりを挟む「君が入ってきて、アレクシスが奪われてしまうんじゃないかと思えば、ユーフェミアも流石に自覚してアレクシスに想いを打ち明けるだろうなと。アレクシスにしても、結局の所よく知る女性なんてユーフェミアしかいなかったから、ここで違う女性を相手にすれば、どれだけユーフェミアが素晴らしいかに改めて気付くかと」
「なんて言うかわたしがとてつもなく失礼な認識をされているかってのがよくわかるお話ですね! その通りなので文句のいいようもないですけど!!」
「まあそう卑下することはない。君は思っていた当初よりずっと面白い女性だよクロフォード嬢」
「黒い人が追い打ちをかけてくるけどいいですよ、そこはそれちょっと置いておきますよ、意外とお気遣い屋さんだなんて思ったわたしに謝れって言いたいけどそれは我慢して話を進めますよ黒い人!!」
バンバン、とノエルは地面を叩いて話を切り替える。
「わたしが側室ルート一直線に乗ってるのって、つまりは黒い人とそのお仲間さん達が原因ってことになります?」
いくら宰相が推してきたとはいえ、王族派が断固として反対していれば回避できていたかもしれない。こうも簡単に、そしてサクサクと事が進むという事は、強く反対する者がいなかったに他ならない。
ノエルの突っ込みに青年はあっさりと頷く。
「そう思われても仕方がないだろうな。結果としてはこちらの目論見は見事外れてしまったわけだが。あの二人の拗らせ具合が想像以上だった」
「より一層、自分なんかよりもって思われてしまったんですもんね……って本当にもうなんて言うか黒い人と愉快な仲間達が憎くてたまらない今日この頃です」
せめて彼らの陣営が反対してくれていれば、少なくとも現状は回避できていたはずだ。不満の意を露わにノエルは青年を見つめるが、当の本人は不思議そうに瞳を軽く瞬かせた。
「別にそう愉快ではないが?」
「言葉のアヤぁっ! いいですもうわかりました。少なくともこの件に黒い人を巻き込むことにわたしはこれっぽちも罪悪感を持たなくていいって話ですよね!?」
「ああ、気にしないでくれ」
「真顔で即答こわいんですけど」
「すまない、こういう顔だ」
やっぱりこの人天然だ! とノエルはどっと疲れが押し寄せてくるのを感じつつ、負けてなるものかと青年を見据える。
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