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おまけ
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しおりを挟むしかしその後長期に渡って会えなかったのも事実だ。記憶が戻ったばかりだからとしばらく安静にし、それが落ち着いたら二人でゆっくりお茶会でも、と話をしたはずが結局今日という日まで会う事はなかった。
会いたいのは山々なれど、最優先すべきはフェリシアの容態である。あと、なにやらようやくお互いの間にあった遠慮が消えたらしい、そんな夫婦の邪魔をするもの悪かろうと自重していたのだが。
これは思っていた以上に遠慮が消えたって言うか距離が……距離が近い、近すぎですけど伯爵様!? それとほんっっっっとうにあの、ダダ漏れですけど!?
なにが、と言えばそれは勿論フェリシアに対する愛情である。妻が可愛くて、愛しくて、そんな彼女の傍にいられるのが幸せすぎる、と言ういっそ暴力的なまでの愛情が豪速球で飛んでくる、ような、気がする。なんなら頬にめりこんでさえくるようだ。
うっわ、とその勢いにミッシェルは押される。そしてこれを一身に受けている親友を見やれば、首筋まで真っ赤にする勢いでプルプルと震えている。恥ずかしくて堪らないのだろう、無理もない。
「フェリシア、今日のドレス、とても素敵ね!!」
露骨にも程があるが、ひとまずミッシェルは場の空気を変えようと話題を変えた。実際お世辞でもなんでもなく、今日のフェリシアのドレスはとても彼女に似合っているのだ。
薄い緑を基調としたドレスは派手さこそないが、フェリシアの軽やかで明るい雰囲気によく合っている。
「そのネックレスも素敵だわ。青い色がとても綺麗」
澄んだ青空の様な、そんな色の宝石が大きくフェリシアの胸元を飾っており、一際目を引く。
「まるで伯爵様の瞳の色みたい」
少しばかりからかいを含んでみたその言葉は、しかしとんだやぶ蛇であった。ボフン、と顔から火が出るのではなかろうかと思うほどに真っ赤になるフェリシアと、より一層花が舞う、を通り越して暴風雨の様にミッシェルにぶち当たる。
あ、これ本当にそういう意味で、っていうかなんていうか
「俺の嫁っていう主張が強すぎやしませんか?」
なにかと迂闊な発言が多いフェリシア、の長年の親友であるからしてミッシェルも同類だ。つい、うっかり、勢いのままにそう突っ込んでしまえば、グレンもフェリシアと同じ様にサッと頬を朱色に染める。
「いや、そんなつもりは……なか、った、んだ、が……うん……ちょっと、だけはありは、した……」
あったんかい、との突っ込みをミッシェルはなんとか飲み込む事に成功した。
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